いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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自民党下関支部で起きた傷害事件の真相 安倍vs林の場外乱闘が過熱

市長選のシコリが忘年会で 

 

 安倍事務所の私設秘書から県議に転身した平岡望氏(44)が、自民党下関支部の忘年会で小熊坂孝司市議(69)を押し倒して骨折させ、全治2カ月の重傷を負わせていた事件を巡って、下関市内及び山口県内で注目が高まっている。自民党下関支部では春の市長選を契機にして安倍派と林派が暗闘をくり広げてきたが、議会(言論の府)で言葉を武器にしてたたかうべき政治家が、感情をこらえきれずに暴力に訴えるという、身も蓋もないような振舞に及んでいるのである。下関市民にとっては日頃から「どっちもどっち」な安倍派と林派が、小さな街の覇権を求めて場外乱闘をくり広げ、ついには武力衝突を引き起こして郷土の恥をさらしている。読者からの問い合わせも多いことから、本紙は関係する人人への取材をすすめ、彼らのなかでいったい何が起こっているのか調べてみた。

 

言葉でたたかえぬ政治家の資質 酒席でなく議場でやれ

 

事件の舞台となったみもすそ川別館(下関市)

  事件が起きたのは1日の晩だった。その日は忘年会の前に、自民党下関支部の臨時役員会が招集されていた。役員会には議員だけでなく、女性局長や青年部長など民間の役員もいたようだ。議題は安岡市議の処分についてだった。3月の市長選からくすぶり続けていた案件ではあるものの、10カ月も前の話だ。議題を聞いて「今さら?」と内心思った自民党員たちも少なくなかったようだ。


 この役員会で安岡については、自民党下関支部の役職停止という処分が決定したが、その理由は市長選ではなく、同日実施された市議補選で、自民党支部は星出を公認したのに、安岡が秋山(安倍事務所秘書出身)を押したことだった。安岡からすれば星出は同じ長府地区で地盤が重なるし、いわば安岡潰しのために安倍派が擁立した玉だろうに、応援できるわけがないのだが、処分理由はそういうことだった。他にも秋山を応援した自民党市議はいたのに、安岡だけが処分となった。


 安倍事務所の秘書上がりの秋山を応援したのに、なぜ処分されるのか? と思うかもしれないが、補選で安倍事務所が押していた本命は星出で、秋山は相手にされてなかった。だから秋山は中尾陣営なり当時の関谷議長側に投機していた。安倍派から見たときには裏切り者だ。


  「安岡と関谷に制裁を加えよ」となったのは、市長選後最初の六月定例会での代表質問が直接の契機だ。志誠会の代表質問に立った安岡は、保守系で2人立候補する場合は自主投票としてきた慣例を破って、前田推薦を決定した自民党下関支部の強引さを批判した。


 選挙戦について「安倍先生の後援会、あるいは事務所、あるいは昭恵夫人も来られて活動し、まさに安倍先生の選挙という感じであった」「中尾候補も前田陣営と選挙をしているのか、安倍総理と選挙をしているのか、まったくわからない状況でたたかってきた」「九州の建設業者が100人体制で前田候補の名刺を持ってローラー作戦をされたり、福岡市長、昭恵夫人も再三来られ、総理本人からも要所要所に直接電話をしておられ、すさまじい選挙であった」とのべた。さらに、得票は僅差であり、「前田新市長も勝ったとはいえない状況だろうと思っている。今回の選挙戦をどう思っているのか、勝つためにはなにをしてもいいのか、強引な選挙をされ、中尾候補を応援された市民にどう納得のいく説明をしていくのか」などの質問をしていた。


 前田支援に回った自民党議員たちは、「自民党トップの安倍総理の名前を出して批判したのはけしからん」「安倍総理に謝罪すべきだ」などと鼻息を荒くしていた。市長選の経緯も含めて、制裁にもっとも執念を燃やしていたのは安倍派県議のトップに君臨している友田、さらに安倍事務所筆頭秘書の配川だとみながわかっている。これらが某所の飲み会で安岡について散散に文句を垂れていたこともあった。壁に耳あり障子に目ありで少しくらい警戒して振舞えばよいのに、街中でそんな一部始終が「汚い飲み方だ」と評判にされていたくらいだ。


  前段の役員会でそういうことがあってから、関門橋下のみもすそ川別館に会場を移し、2階の和室で6時半から忘年会が始まった。出席メンバーを聞くと、県議は平岡望、西本健治郎の2人だけだった。友田は欠席、林派県議の塩満久雄も当日になって急に欠席になったという。市議では旧市内の自民党市議のうち、関谷、板谷、香川、福田の四市議が欠席し、後は全員出席していた。それに安倍事務所秘書の鮎川、林事務所秘書の中林、自民党支部事務局の須藤もいたという。総勢20人ほどだ。


 「飲み会そのものは普通だった」という参加者もあれば、「最初からあまりよい空気ではなく、小熊坂市議と平岡県議が向かい合って座り、激しく口論していた」という話もある。周囲でも他の市議同士が口論をくり広げていたようだ。そして忘年会開始から2時間ほどたった8時30分頃、事件は起こった。

 

平岡望県議

 酒が入った席で、本人も含めて正確な状況を把握している者がどれだけいるのかは定かではない。だいたい「被害者」の小熊坂自身が記憶がないくらい泥酔していたというから、失礼かもしれないがバカではあるまいかと思ってしまう。現場にいた者の話を総合してみると、小熊坂が他のテーブルに行こうと席を立ち、ちょうど立ち話をしていた平岡の隣を通りながら「お前も頑張れよ」と声をかけたそうだ。すると、平岡が突然、「お前とは何か! 支部長に向かって何がお前か!」と激高したという。小熊坂の方も「お前は俺の息子くらいのもんだ。お前といって何が悪い!」みたいな感じになり、平岡が胸ぐらをつかんだと思った次の瞬間、小熊坂は畳の床に転がっていた。急に喧嘩が始まったので、周囲は緊張したそうだ。小熊坂を市議の平岡が抱え、県議の平岡の方は江村市議が抑えに入って、とにかく2人をひき離したようだ。それでもなお平岡が、「来い! ふざけるな!」と暴言を吐き続けていたのをみんなが見ている。


  小熊坂本人も、一瞬のことでどうやって転がったのかわかっていないようだ。周囲にいた人人も、気づいたら小熊坂が転がっていて、つかみ合いの喧嘩が始まりそうな空気だったと口口に話している。それほど一瞬の出来事だったようだ。


 空気も悪いし小熊坂が「帰る」といったので、市議の村中が1人付き添って会場を出ていったようだ。それで出て行った2人は帰ったのかと思いきや、2次会会場だった唐戸のスナックで待っていたようだ。そして、後からやってきた1次会フルメンバーと再び合流している。そこで互いに「さっきは悪かった」と一応仲直りしたのだという。2次会は「歌え、歌え、水に流そう」という雰囲気で誤魔化していたそうだ。


  その時点では周囲もこれで終わりだと思っていた。しかし休みが明けて4日の市議会に、小熊坂がスリッパを履いて出てきた。「足が腫れて靴が入らない」というから「病院に行った方がいいのではないか」と仲間の議員たちのなかで話になり、午後から病院に行ってみると骨折していたことがわかった。本人も酒が入っていて事件をあまり覚えていなかったが、事件当日の出来事を同僚議員たちから聞くにつけ、痛みとともに腹が立ってきたようだったと同僚議員たちは証言していた。骨折がわかってから、弁護士や警察にも相談に行き、警察も「いつでも受理する」という対応をした模様だ。

 

郷土の恥さらす場外乱闘   政治私物化の末に

 

自民党の下関市議ら。左から井川、星出、江村、右から香川、安岡、小熊坂

  口論の具体的内容については、どちら側も隠したがっている様子だが、3月の市長選以後の感情的な対立が背景にあったことは、まぎれもない事実として関係者らは指摘している。制裁を受けたのは安岡だが、志誠会メンバーは全員、代表質問に目を通して判を押しているので、「安岡ばかりが矢面に立っていることには申し訳ないと思っている」のだという。小熊坂と平岡が何を口論していたのかは明らかではないが、そういった感情的な部分がなく、「お前」にいきなり激高するというのは、それはそれで精神異常か何かを疑わなければならないレベルの話だ。


  そのほか市長選後の自民党支部内のごたごたで、それぞれが嫉妬や恨みを募らせていたようで、たまりにたまった鬱憤がこの忘年会で表面化した感じだ。その一つが自民党支部の役員人事だ。市長選当時の支部長は友田だったが、任期が2年なので、次の支部長は塩満、幹事長が安岡、副幹事長が板谷に決まっていたそうだ。だが、林派制裁という意味合いもあって当初案がひっくり返り、支部長・平岡県議、幹事長・江村、副幹事長・香川、総務会長・小熊坂、政務調査会長・井川という体制になった。自民党市議にとって幹事長などの役職は、ものすごく魅力的なポストらしく、1年生市議たちが先輩を差し置いて就いたことに、排除された側の鬱憤がくすぶっていた。


  逆に、前田支援に回った方にも嫉妬やねたみがあったらしい。選挙後の安岡発言の後、志誠会が詫びを入れに行ったのか安倍晋三に会いに東京に行った。内心「裏切った者たちに安倍先生が会うはずがない」と思っていた者も少なくなかった。ところが、森友学園問題の渦中にあった安倍がわざわざ志誠会メンバーと会って官邸を案内したり、中華料理屋で北京ダックやフカヒレスープを振舞ったりと歓待した。志誠会が「安倍先生が“これからも下関で頑張ってくれ、地元の政争にはこだわらない”といった」と大喜びで帰って来たものだから、前田派なり志誠会を離脱した者たちの嫉妬は深いものがあったようだ。


 安倍晋三からすれば、地盤が割れて恨まれれば衆院選に響く。取り込んでしまえば安倍派A組、B組、C組等等の、毛並みの違う選挙マシーンとして有用だと思うのが当たり前だ。

 

県議の友田(左)と塩満

  今回の安岡制裁を動かしたのは友田なり配川なのだとみんなが薄薄感じている。だが、表向きは平岡が支部長だ。そして友田と塩満、つまり犬猿の仲の安倍派・林派の県議トップは二人とも欠席して逃げた。処分を決定して憎まれる役回りをやらされた平岡にも、やりきれない鬱憤がたまっていたのではないかと推測する人もいた。議員たちに事情を聞いても「お前」に激高するに至る過程を話したがらないのが特徴だが、とにかく「お前」という言葉だけをきっかけにして起きた事件ではない。


  いずれにしても、バカみたいなことをして「山口県議 市議に重傷負わす」がニュースになったわけだ。「アイツらついにモンゴル人力士もびっくりの武力衝突を始めたのか!」といって街の人人も驚いている。小熊坂は全治2カ月だから、全治2週間の貴ノ岩よりも重傷なのは間違いない。だいたい、40歳そこらが70歳近い老人に手を出すとは何事かと話題になっている。柔道でもボクシングでも階級差があるように、手を出す相手はフェアでないと話にならない。平岡の体格ならヘビー級だろうに、痩せた小熊坂が吹き飛んでいくのも無理はない。


  どっちが目上なのか? という常識も狂っている。県議であり支部長である俺に向かって「お前」呼ばわりする市議はけしからんという感覚は、年齢ではなく地位で上下を見ているし、しかも安倍事務所出身の俺様に何をいうか! という感情をさらけ出している。市議よりも県議が偉いと思っていることだけは疑いない。端から見ていたら市議にせよ県議にせよ「議員バッチつけたくらいで思い上がるなよ」と思っているのに、偉い人なのだと勘違いしてしまいがちなのが議員だ。


 「先生! 先生!」と呼ばれているうちに思い上がる。国会の自民党2回生、3回生が問題ばかり起こしているのも、そういう勘違いが原因だ。雑巾掛けが足りないまま、威張り癖だけが身についていく。そうして落選してしまうとみんなが周囲から遠ざかっていき、なおかつすぐ威張るものだから潰しが効かない。悲劇だ。


  市長選のシコリが暴力沙汰にまでなった以上、何もなかったような顔をして誤魔化すべきではない。全市民的な視線からすると、「郷土の恥さらしが!」という思いしかない。しっかりケジメをつけさせることが大切だ。政治家なら選挙なり議会の言論対決で勝負せよと思うが、こうやってことあるごとに小競り合いとか抗争を引き起こすくらいなら、いっそのこと「安倍派林派」で下関武道館あたりを貸し切りにして、ボクシングなり柔道なり、好きな競技によって思いの限り肉体に宿った鬱憤を発散させたらどうかと思う。そのさい、ヘビー級がライト級とやりあうようなことはあってはならない。平岡の相手としてふさわしい柔道家を林派が準備すればいい。話しあいとか政治によって解決する意志がないのだから、極論からするとレフェリーを介在させた武力衝突をさせるしかない。酒が入っているとはいえ、感情がこらえきれないのだから。


  しかし理由がどうであれ、議員が暴力によって相手を骨折させたという事実は重い。日馬富士は横綱からも引退したが、全治2週間が叩きあげられているのと比較して、全治2カ月は支部長を辞める程度で許されるのかどうかだ。政治家の資質としては、先ほどから論議になっているように、言葉ではなく武力に訴えるようなのが議員をしているという事実について考えなければならない。自民党下関支部は武力でもって上下が決まり、支部長なり安倍派に目を付けられた年寄りが骨を折られるというのであれば、それはもう政治ではない。林派も骨折り損のくたびれもうけで泣き寝入りするのではなく、きっちりと落とし前をつけさせなければ、本当に度胸がない連中だと市民は鼻で笑う。県議会でも暴力県議についてきっちり議会として対応しなければ話にならない。


  本来ならば議員失職が妥当だ。モンゴル人力士たちがあれほどバッシングされているのと比較して、下関の暴力沙汰は音沙汰なしというのでは済まない。それをせずにケジメもなく次の問題を引き起こしたときには、監督責任をきっちり問われるのは安倍事務所だ。自民党下関支部はそのような政治風土によって運営された組織なのだと公言しなければならない。そもそも身内に甘くというのが政治家なり政治を志している勢力のなかで通用すること自体がおかしい。別件で入札情報を云云とかも一部記者たちは追いかけているわけで、公安だってそのぐらい耳にしているんだろうが! と思うが、全力でその生態なり資質を追及していくことが必要かもしれない。それらが回り回って、安倍事務所なり安倍派の評判につながっていくわけだ。秘書時代のあんなことやこんなことも、しっかりと裏取りして報道していく必要があるだろう。測量設計関係者や、土木・建築関連業者などは知っている情報をこっそり持ち込んでもらいたい。


  安倍派としてどうケジメをつけるのかを世間は見ている。「骨を折っただけじゃないか」と開き直るならそれも良し。世間がどう見なすのかは判断を委ねるほかない。どっちもどっちの安倍派と林派とはいえ、骨を折る重傷を負わせたのは紛れもない事実なのだから、こういう場合、まずは「すみませんでした」と誠心誠意謝るべきだろうし、みずからを厳しく罰するというのがあたりまえの姿ではないか。「対応は弁護士に任せています」ではなかろうに…と街中で大話題だ。

 

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