(2026年3月11日付掲載)

イランでの戦争を止めろ!のプラカードを掲げデモ行進する人々(7日、ニューヨーク)
アメリカとイスラエルが2月28日にイランに対する大規模な軍事攻撃を開始してから1週間が経過した7日と8日、全米60以上の都市をはじめ世界各国で大規模な集会やデモ行進がおこなわれた。8日が国際婦人デーだったこともあり、女性を中心に多くの市民が路上に結集し、イランへの軍事攻撃を続けるアメリカやイスラエルに対し「イランに手を出すな!」と怒りの声をあげるとともに、イランの市民への連帯の意志を示した。抗議参加者たちはベネズエラに次ぎイランと、国際法無視の違法な軍事介入をくり返す米国に対して、非難するのではなく追従する自国政府に対しても厳しく抗議。国際的な結束によって戦争を止め、この戦争による影響から市民生活を守るためのたたかいが熱を帯びている。
米国内では7、8日、イラン戦争が始まってから1週間で3度目となる全国行動がおこなわれた。米国内では第2次トランプ政府発足後さまざまな全国統一行動がくり広げられており、その都度いろいろな団体が全国統一行動を主催して呼びかけをおこなってきた。最近ではICE(移民・関税執行局)による強引な移民捜査や、それに抗議する市民を監視・弾圧する政府に対する怒りの声が全米に広がり、若い学生や労働者のなかで組織化が進み過去最大規模のゼネストがとりくまれるなど全米で運動が発展してきた。
今回の全国統一行動を組織したのは、反戦団体「ANSWER連合」をはじめ、人民フォーラム、パレスチナ青年運動、イラン系アメリカ人全国評議会、黒人平和同盟、アメリカ民主社会主義者、パレスチナのためのアメリカ人ムスリム、CODE PINKなどの市民団体だ。
主催者のANSWER連合は「石油企業と兵器メーカーの利益のためにくり広げられるこの新たな戦争で、すでに米軍兵士が命を落としている。また、イランでは女子小学校への恐ろしい爆撃で160人以上の命が奪われるなど、甚大な人命損失が絶えず発生している」「トランプ大統領は、イランに対する体制転覆戦争を“必要な期間”継続する用意があることを明確に表明した。政権は、死と破壊をかつてないほど深刻化させる“地上部隊”による侵攻も辞さない構えを示している。共に立ち上がり、イランとの戦争を止めよう!」と呼びかけた。
米国内では全国60以上の都市で集会やデモ行進がおこなわれ、ニューヨーク、ワシントンDC、ロサンゼルス、シカゴ、ピッツバーグ、サンフランシスコなど主要都市に多くの人々が結集してトランプ政府による国際法違反を非難するとともに戦争終結を要求した。
ニューヨークでは7日、数千人の群衆がマンハッタンのユニオンスクエアに集まり「現在の世界最大の脅威ドナルド・トランプと米国」「トランプはさらなる戦争を唱えるが、我々はこれ以上は反対だ」などのスローガンを叫んだ。デモ行進では「イランに手を出すな」「中東での新たな米国戦争反対」「イランとの戦争ではなく、国民のニーズに資金を」「米イスラエルの戦争マシンを止めろ」「弾劾して有罪判決を」「アメリカとイスラエルの嘘で無実の人々が死ぬ」などと書かれたプラカードを掲げた。
トランプが踏み切ったイラン攻撃はすでに10億㌦をこえる負担を米国民に強いていると試算されており、長期化すれば1000億㌦(約15兆7000億円)に達すると報じられている。
カリフォルニア州ロサンゼルスでは数百人が市庁舎に集まり、イラン国旗を振りながら、米国とイスラエルによる軍事介入は地域の平和を破壊する犯罪だと主張した。
デモ参加者の訴え 「解放叫び爆撃する米国の欺まん」

サンフランシスコでも米国とイスラエルによるイラン攻撃に抗議するデモを実施(7日)
ロードアイランド州プロビデンスでは7日、国際婦人デーを記念するとともに、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に対する抗議デモと集会がおこなわれた。集会の主催者で移民強制送還に反対する市民団体の女性は、マイクを握り以下のように訴えた。
米国によるイランへの爆撃は少なくとも4つの学校と13の病院にのぼった。昨日時点で、国防総省はイランへの地上侵攻のために米軍を派遣する準備を進めている。これは、米国の支配階級が私たち全員を陥れた大惨事だ。私たちはベトナムの歴史やイラクとアフガニスタン戦争の経験から、この戦争がどのようにエスカレートするかを知っている。
トランプは平和を呼びかけるかわりに、イランの無条件降伏を要求している。そして外交のかわりに、他国の次の指導者を選ぶことができるまで止まらないことを決定した。それは、終わりのない戦争を意味する。このような戦争で死ぬのは西アジアと米国の労働者であり、数え切れないほどの人々の残忍な殺害を意味する。家族が愛する人や家を失うことを意味する。都市全体が爆撃されることを意味する。全世代が戦争と制裁の下で育つことになる。そしてアメリカの石油大手幹部が中東の資源に汚い手を出すことができるように、国全体を破壊することを意味する。
世界でもっとも重要な海上航路の一つであるホルムズ海峡は、戦争の拡大にともない混乱に陥り、米国のガソリン価格は先週すでに14%も急騰した。これは文字通り、一般労働者がこの戦争の費用を負担していることを意味する。1日10億㌦(約1570億円)。これがこの戦争が私たちに課している費用だ。
私は教育関係の仕事に就いているが、今月SNAP(特定緊急医療扶助制度)の給付が削減されたため、食卓に食べ物を並べることさえ困難になったり、子どもに新しい靴を買うか、医者に行く代わりに家賃を払うかの選択を迫られ、医療サービスを受けられなくなったりしている。1日10億㌦。これはプロビデンス市全体の1年間の家賃を賄えるほどの金額だ。
このような戦争は封じ込められないということを歴史が物語っている。戦争はエスカレートし、地域全体を壊滅に陥れる。だからこそ私たちは今日ここにいる。私たちの名の下に、終わりなき戦争が再びおこなわれるのを拒否するためだ。私たちは他国の破壊を拒否する。
国全体を爆撃しておきながら、それを「安全保障」と呼ぶ政府を受け入れない。最終的に犠牲になるのはそこに住む一般市民だ。私たちのメッセージは単純明快だ。「イランとの戦争は許さない」。
今週末は世界中の人々が国際労働女性デーを迎える。女性の権利を求めるこの闘いの日を記念するとともに、戦争の現実も忘れてはならない。なぜなら戦争の最悪の影響を被るのは女性だからだ。
イランにおけるこの戦争が「イランの女性の権利のために戦われている」という、冷笑的で邪悪な嘘を聞いたことがある人もいるだろう。トランプ政権は、イランの女性たちとその子どもたちに壊滅的な攻撃を仕掛けておきながら彼女たちを解放したふりをする。女性のために立ち上がるといいながら、地域社会を爆撃し、人々の生存に必要なインフラを破壊しているのだ。女性の解放は、爆弾や制裁、占領によってもたらされたものではなく、今まさに私たちがおこなっているように闘う人々によって勝ちとられるものだ。
議会の政治家たちが今週、この無謀な戦争を遅らせられる可能性があった戦争制限決議を可決できなかったことも恥ずべきことだ。憲法は、大統領が世界中を自由に歩き回り、望む場所で戦争を始められる権利を与えているわけではない。この違法な戦争に対して、またしても政治家たちは傍観しているだけだ。彼らが行動を起こさないのなら、あなたや私のような一般市民が街頭に出て声を上げることがより一層重要になる。だからこそ今日、彼らよりも明確で大きなメッセージを一緒に唱えよう。「中東に手を出すな!」
英国やアイルランドでも 「違法な戦争に巻込むな」
米国内で政治や社会問題の調査において信頼性が高いとされるキニピアック大学の最新の世論調査(9日公表)によると、有権者の53%が米国によるイランへの軍事行動に反対し、74%が米地上軍のイラン派遣を望んでいないことが明らかになった。2001年に米英両軍がアフガン空爆を始めた直後の世論調査では、米国民の94%が軍事行動を支持。さらに2003年のイラク戦争開戦直後に実施された全米世論調査では、76%が開戦の決断を支持していたことと比べても、現在の米国内でかつてなく戦争反対の世論が高まっていることがわかる。
米国内だけでなく欧州や中東、東南アジア諸国、南米、南アフリカなど世界中で抗議デモや集会がとりくまれた。
スペイン国内では8日、首都マドリードをはじめバルセロナ、バレンシア、セビリア、グラナダ、ビルバオ、サンセバスティアンなどの各都市で国際婦人デーを記念する集会やデモ行進がおこなわれた。数千人にのぼる規模のデモが複数組織され、参加者たちはアメリカやイスラエルに抗議し、イランへの連帯を示すスローガンのもと「戦争反対」や「帝国主義戦争に反対」などのプラカードを手に抗議の声をあげた。

北アイルランドの首都ベルファストでも国際女性デー集会とともにイランへの侵略に抗議するデモがおこなわれた(8日)
英国内では7日、各都市でイランへの攻撃の停止を求める反戦デモが各地でとりくまれた。ロンドンには約6000人の人々が結集。この行動は核軍縮キャンペーン(CDN)、ストップ・ザ・ウォー、パレスチナ連帯キャンペーン、英国ムスリム協会、英国パレスチナフォーラム、アルアクサの友などの団体が主催したもので、デモ行進参加者はロンドン市内のイラン大使館と米国大使館付近へ向けて行進し、「イランに手を出すな」「今すぐに爆撃を止めろ」と訴えた。
英国のスターマー首相は2日に発表した声明で、西アジアへの軍事装備の移転拡大の方針を明らかにし、同地域における米軍の作戦に英国基地の使用を認めている。英国内ではスターマー政府の米国追従姿勢に対する批判が高まっている。
集会でマイクを握った無所属議員のジェレミー・コービン氏は、抗議参加者に向けて読み上げられた声明のなかで、「英国を新たな違法な戦争に引きずり込むな」「2003年、我々数十万人がイラクへの違法な侵攻に抗議したが無視された。しかし今日、我々は英国を再び違法な戦争に引きずり込まないでほしいと大声ではっきりと訴えるためにここにいる」とのべた。また「“永遠の戦争”はゲームではない。これは人間にとって現実的な結果をもたらす。米国とイスラエルは、その戦果に対して責任を負わなければならない」と厳しく非難した。
同日、英国のイングランド南西部フェアフォードの空軍基地の入り口では、「イランに手を出すな」「アメリカ人は帰れ」などと書かれたプラカードを掲げて市民たちが抗議行動をおこなった。地中海の島国キプロスにある英空軍基地は、1日にイランによるとみられる無人機攻撃を受けており、今後も米軍の軍事攻撃に加担した基地が報復攻撃の対象になる危険性が高まっている。
北アイルランドの首都ベルファストでは、国際婦人デーを記念するデモに2000人が参加し、アメリカとイスラエルによる攻撃によって苦しむイラン市民への連帯と戦争反対の声を上げた。元大統領のメアリー・ロビンソン氏は集会で演説し、米国とイスラエルによるイランへの攻撃は「違法であり、国際法に違反する」とのべた。また、「イランの女性と市民社会は長年にわたり苦しみ、とくに最近は非常にひどい苦しみを味わっている」と指摘。しかしその苦しみは「侵略戦争」を正当化するものではなく、むしろ西側諸国の侵略戦争がさらなる悲惨さを引き起こしていると厳しく非難した。
欧州各地で最近おこなわれた世論調査によると、ほとんどの国の人々が米国とイスラエルによるイラン攻撃に反対していることが明らかになっている。スペイン、イタリア、ドイツ、イギリスでおこなわれた世論調査では、国民の大多数が軍事介入を拒否し、政府の慎重または中立的な立場を支持している。
スペインでは、マドリードに拠点を置く調査会社がおこなった世論調査で、回答者の約68%が米国とイスラエルによるイラン攻撃を拒否していることが明らかになった。さらに調査では、スペイン政府が米国とイスラエルに軍事支援をおこなわないことを決めたことに対して57%が「支持」している。
イタリアでは、ローマに拠点を置く調査会社による世論調査で56%が米国とイスラエルによるイランに対する軍事介入に反対している。
ドイツでは国営放送ARDが発表した新たな世論調査で、回答者の58%が米国とイスラエルの戦争は正当化されないと考えており、米国に対する「信頼」は15%まで低下していた。さらに調査では、回答者のなかで「イスラエルを信頼できるパートナー」だと答えたのはわずか17%に留まっている。
英国では、ロンドンに拠点を置く調査会社が世論調査をおこなった。これによるとイランへの攻撃が始まった直後の3月2日時点ですでに回答者の49%が攻撃に反対を表明しており、「支持」はわずか28%だった。

フランス首都パリのレピュブリック広場に人々が集まり、中東での戦争に抗議し、レバノン、ガザ、イランとの連帯を表明した(6日)
南米やアジア各国 反米・イスラエル世論拡大
南米ではメキシコやブラジル、チリ、ベネズエラでも大小の集会や抗議行動がとりくまれた。
メキシコでは7日と8日、首都メキシコシティの米国領事館前でアメリカとイスラエルのイラン攻撃に抗議する集会とデモがおこなわれた。参加者らはトランプ米大統領とネタニヤフ首相の写真と両氏の血まみれの手のひらに「暗殺者」と書いたプラカードを掲げ、軍事侵攻の即時停止を求めた。デモが激しくなることを予測した米国大使館は、市民に対して事前に警報を発令した。
世界最大のイスラム教国であるインドネシアでも、イランへの連帯が強まっている。同国の人口約2億7000万人のうち約87%がイスラム教を信仰しており、インドネシアのイスラム教徒の大多数はスンニ派だ。一方、イランは世界最大のシーア派人口を有しており、両国ではイスラムの政治理論や歴史の側面については異なる見解を持つ。それでもこの間、イスラエルによるガザ地区での一般市民に対する歴史的な大量虐殺が続くなかで、派閥間の対立感情を超えてイスラム教徒としての連帯感と、長年蓄積されてきた反イスラエル、反米感情が高まっている。
こうしたなか9日には、首都ジャカルタの米国大使館前で米国とイスラエルによるイラン攻撃と、イラン最高指導者ハメネイ氏殺害に抗議する集会が開かれた。インドネシア国内では2月28日にアメリカによるイラン攻撃が始まって以降、多数の学生・青年団体が中心となって連日集会やデモをくり広げている。
抗議行動のなかで学生代表は「ファシスト政権と米国の傀儡プラボウォ・ジブラン大統領の行為はインドネシア国民と憲法に対する忌まわしく、恥ずべき侮辱であることは明らかだ」とのべ、アメリカやイスラエルによる軍事侵攻に加え、それに従属する自国政府に対しても厳しく非難した。
インドネシアのプラボウォ大統領は先月、パレスチナ自治区ガザ地区の暫定統治機関「平和評議会」の初会合で、ガザの「治安維持」を謳って米国が指揮を執る「国際安定化部隊」に8000人を派遣すると表明し、必要に応じて増員する可能性にも言及した。このように西側諸国による侵略行為に加担する自国政府に対し、インドネシア国内では反発が拡大している。抗議を続けている学生たちは、政府に対して「米国とイスラエルによる主権国家に対する侵略と戦争を非難・拒否」「インドネシアとイスラエル間のあらゆる形態の協力を拒否」などを求めている。
中東・イエメンでは首都サヌアをはじめ、国内200カ所以上で大規模なデモ行進がおこなわれた。主催者によると、このデモはここ数カ月で最大規模の行動となり、参加者はイランとレバノンの人々への連帯を表明した。



















