大手芸能プロダクションであるジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川による生前の小児性犯罪が、その死後になってからこれでもかと暴露され、そのあまりにも酷すぎる実態に世間は唖然としている。被害者たるや10人、20人と聞かされても驚くのに、実に「数百人規模にも及ぶ」とされ、とどのつまり目の前にいる美少年たちのなかからお気に入りを選り取り見取りで、デビューを夢見る抵抗できない子どもたちを相手にやりたい放題だったことがわかる。アイドルとは、ある意味で大衆に消費される消費財という側面もあるが、事務所のトップがその歪んだ小児性愛のはけ口としてもっとも消費していたというのである。
第三者による調査報告で指摘された具体的行為に至っては、もう耳を塞ぎたくなるような反吐が出る内容であり、仮に我が子が被害に遭っていたとしたら、親としては即刻ぶん殴りに行くレベルの話である。死んだとはいえ、それはれっきとした小児性犯罪であり、よくもまあ、このような犯罪者が長年にわたって市中に野放しにされ、しかも芸能事務所のドンとして「ジャニーさん」などといって上級国民扱いされていたものである。
「数百人規模に及ぶ被害者」という時、それは世界的に見ても驚かれるほどの異常なる小児性犯罪者だったことをあらわしており、まさに「異次元の小児性犯罪者」といっても決して大袈裟なものではない。それほどまでに異様なのである。世界史に例があるかすらわからないほどの規模といえる。問題は、こうした犯罪がなぜ誰からも制止されることなく長年にわたってくり返され、黙認されてきたのかである。隠蔽してきたジャニーズ事務所の責任は当然重いものの、歴史的にはチラホラと週刊誌等で取り沙汰されていたのに、なぜ黙殺されたのかは曖昧にできない。
通常であれば、こうした小児性犯罪は取り締まるべき捜査機関が把握できないはずがなく、これらが決して捜査・逮捕に動こうとしなかったことを浮き彫りにしている。捜査機関は1人の未成年に強制わいせつをした同じくジャニーズ事務所のTOKIOメンバー・山口達也は書類送検したが、それよりもはるかに多い「数百人規模に及ぶ」子どもたちを常習的に食い物にしていたジャニー喜多川について「まったく知らなかった」で済ませたとして、いったい誰が納得するというのだろうか。
そして、テレビ局をはじめとした大手メディアが目をつむってきたことも無関係とはいえない。芸能界でも周知の事実だったはずである。ジャニーズのタレントが出てこないテレビ局など一つもないほど、今やテレビをつければジャニタレだらけで、視聴率を稼ぎたいテレビ局がこの問題について最期まで及び腰で、最近になってようやく重い腰を上げたのも、その持ちつ持たれつの相互依存関係が影響していることは誰でも想像がつくことである。
テレビに出てくるジャニーズのアイドルたちは、何もなかったような顔をして歌ったり踊ったり、お笑いに興じたり、今日もまたお茶の間に笑顔を振りまいている。しかし視聴者としては、この子もまた小児性愛をこじらせた男色の餌食になったのだろうか? この子も? だからデビューできたのだろうか? えっ、ひょっとしてSMAPも? キンプリも? などなど変な気持ち悪さがつきまとってしまい、どの子を見てもみんな被害経験者に思えて仕方ない。だって、弄ばれた子どもたちの数は想像を絶する「数百人規模」にも及ぶわけで、それって被害に遭っていない子どもの方が少ないのではないか? とすら思ってしまうのである。
吉田充春