インスタグラム、X(旧ツイッター)、フェイスブック、ユーチューブ、ティックトックといったSNSがこの15年来でスマホの登場とともに爆発的に普及し、大人から子どもまでが世間の話題や流行、出来事を追いかけたり、日常生活の喜怒哀楽について思いをつぶやいたり、政治的主張をしたり、芸能やスポーツを話題にしたりと、世論形成や情報収集のコンテンツとして存在感を増してきた。
このネット空間において、ワンコやニャンコ、ダンスを観たりといった分にはまだほんわかとさせられるが、時として当事者が問題を起こして炎上したり、誹謗中傷の嵐にさらされたり、「正義」を掲げたマウント合戦で感情的にぶつかったりと、見も知らぬネットの向こう側との抗争にまで発展していることも珍しくない。スマホという便利な道具を手にしたものの、プライバシーをさらしさらされ、一方ではとりつかれて精神的ストレスを抱えているだけではないかと思うような光景もしばしば目撃するようになった。1日のうち何時間もスマホに釘付けにされているような中毒の人だっており、SNSでバズることで承認欲求や自己顕示欲を満たしたり、精神的に依存症のような状態に陥っている人だっている。
さて、今回の解散総選挙を巡って某報道番組の特集をテレビで観ていたら、政治系ユーチューバーを名乗る人物が匿名でインタビューに応え、「選挙期間中にもっとも収益の上がるコンテンツは自民党や高市氏を絶賛する切り抜き動画で、2週間でがっつり稼ごうと思ったら100万円とかは堅く普通に稼げる」と話していた。自民党へはポジティブ(好意的で前向き)な投稿をやり、中道や野党へはネガティブ(否定的)な投稿をやることが手っ取り早い収益になったというのである。資金を投じて特定の動画にブーストをかけて拡散したりといったテクニックもあるなかで、こうした扇動系動画が選挙期間中はこれでもかとSNS上に溢れ、レッテル貼りや印象操作がやりたい放題におこなわれたのである。規制なき無法地帯のような言論空間であり、同調圧力を強めるコンテンツとして跋扈(ばっこ)したのだった。
半年前の国政選挙でテコ入れされたのが国民民主党や参政党だったのから、今回は自民・高市称賛と中道・野党バッシングへと、まるで電通あたりの司令塔が企画方針を出しているのかと思うほど動画の作りは統率されているから不思議である。こうした切り抜き動画の編集を「案件」として業務発注する企業なども現実に存在し、SNSによるプロモーション戦略というのが今時は企業イメージの向上のみならず、特定の個人や政治家を上げたり下げたりする道具にもなっている。世論扇動の武器としてSNSが用いられているのである。
選挙期間中、ユーチューブでは高市早苗が語りかけ口調で登場するCM広告がこれでもかと画面に登場し、あり得ない再生回数を叩き出していることも話題になった。まさにカネをかけてブーストをかけたのではないか? と見なされておかしくない億越えである。こうしたサブリミナル効果を狙ったCM等々も、カネをかければいくらでも作ることができるし、SNS上で否が応でも目に入ってくる状況を作り出すことができるのである。
SNSは世界各国においても政権転覆の道具として利用されたケースがあり、宣伝扇動の武器にもなっている。そして世界中の人々のプライバシー情報を一手に握る運営企業がメタのマーク・ザッカーバーグを見てもわかるように大金持ちとなり、こぞってトランプを支援しているような有り様である。
混沌とした言論空間のなかで意図的に陰謀論が垂れ流されたり、AIで生成したフェイク動画までが出回るようになり、何が真実で何がデマなのか訳が分からなくなるほど人々の脳味噌を攪乱していく。選挙という政治意識がもっとも鋭く動く期間に、空気をでっち上げる有効なコンテンツとして利用されていることに注意を払いたい。
武蔵坊五郎


















