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すぐ忖度する男

通称は「下北忖度道路」で

 

 「皆さんよく考えてください。下関は誰の地盤か。安倍晋三総理大臣だ。安倍晋三総理大臣から麻生副総理の地元への道路の事業が止まっているわけだ。吉田参議院幹事長と大家敏志参議院議員が副大臣室に来て、『何とかしてもらいたい』といわれた。動かしてくれということだ。吉田氏が私の顔を見て、『塚田、分かっているな。これは安倍総理大臣の地元と麻生副総理の地元の事業なんだ。俺が何で来たと思うか』といった。私はすごくものわかりがいい。すぐ忖度する」「総理大臣とか副総理がそんなことはいえない。森友学園などでいろいろいわれているが、そんなことは実際ない。でも私は忖度する。それでこの事業を再スタートするためには、いったん国で調査を引きとらせてもらうことになり、今回の予算で国直轄の調査計画に引き上げた」。

 

 以上が1日に北九州市で開かれた福岡県知事選の集会で、麻生派応援団として乗り込んだ自称「すぐ忖度する」男こと塚田一郎国交副大臣が発言した内容である。部分切りとりではなく前後の脈絡も含めて読んでみたが、誰がどう見ても政治権力を握る者へのあからさまな利益誘導発言であり、予算権限を持つ担当省庁の副大臣みずからが、総理大臣と副総理に「忖度した」と重ね重ね自慢しているのである。しかも大勢の前で。いまどきの永田町や霞ヶ関界隈は忖度争いで感覚が麻痺しているのではないかと思うほど、アッと驚かせる発言である。

 

 問題が指摘されると塚田某は「大勢が集まる会だったので、我を忘れて事実とは違う発言をした」として謝罪・撤回し、なかったことにしようとしていた。舞台裏の出来事について登場人物の固有名詞まであげておきながら、なにをかいわんやである。大勢を前にすると我を忘れて事実とは違う発言をする--。それ自体が政治家として不適格であり、その度に我を忘れ「事実とは違う発言」すなわちうそを吹聴するというのである。そして今度は、発言が社会問題としてとり上げられ、大勢の国民の視線にさらされるなかで本当に我を忘れたのか、「事実と違う発言をした」といって事実と違う発言をしたようだったが、あっけなく辞任となった。

 

 さて、この一件で「下北道路」なる固有名詞がニュースで報道され、関門地域に暮らす人人のなかでは、はじめて「しもきた」なる固有名詞を耳にした者も多い。地元では「第二関門橋」の計画があることは以前から知られていたが、何が何でも建設してほしいと熱望しているのは役所界隈や商工会議所の上層部くらいで、その他の一般住民からすると、なければ困るというものでもない。「どうせ安倍と麻生の利権だろ」といった捉え方が大半である。

 

 本州と九州を結ぶ道路は関門橋と関門トンネルがあり、鉄道は別途トンネルがある。関門橋は建設から46年目を迎え、関門トンネルが61年。鉄道トンネルはもっと古く、この老朽化に対応し、メンテナンスを施していくのは社会インフラを維持するためにも重要なものだ。

 

 確かに関門トンネル(普通車片道150円)がメンテナンスに入り通行止めになると、その1カ月近くは関門橋(その期間だけ高速道路の下関―門司区間に限り割引料金となる)に車が集中したり、逆に関門橋で大渋滞や事故、風による影響で通行止めなどがおきると関門トンネルに車が集中して大渋滞を引き起こしたり、慢性的ではないにしてもたまに大変なときがあるのは事実だ。トンネル内で事故が発生したり、昨年の集中豪雨で門司側の国道がやられたときも、本州と九州を結ぶ連絡道路の周辺は連日にわたって大渋滞が起こり、身動きがとれない事態となった。日頃は30分でたどり着ける職場に、3時間かかったとかの事態が生じ、トラック運送など物流に携わっている人人はお手上げであった。これらは地元に暮らす者にしかわからない事情だろう。

 

 将来を見据え、関門橋の耐用年数を考えてバトンタッチしていく術について無策というわけにはいかない。さらに社会インフラとして万が一を回避する選択肢として、もう一本橋でつなぐというのは、現実的にあり得る話だろう。ただ、それは安倍晋三や麻生太郎のためではなく、社会にとって必要であるか否かが基準でなければ話にならない。利益誘導すなわちゼネコンや政治家界隈の何がしかの利得のために建設しようなどというよこしまな魂胆は弾劾されて然るべきである。しかし同時に、ろくでもない政治家のおかげで社会インフラそのものを悪と見なすのもまた極論である。そもそも「誰の地盤か」で「すぐ忖度」して予算を動かしている等等がふざけているのである。吉田充春

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