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「だるまさんが転んだ…」 逃げ切れぬ金融市場のクジラたち

 先週からのNYダウ暴落の煽りを受けて、連休明けの25日には日経平均株価が1000円以上も暴落するなど金融市場が揺れている。下がったり、上がったりしながら下がっていくのが金融メルトダウンの特徴で、そろそろ限界がきたのかと思うような展開だ。10年前のリーマン・ショックではサブプライム・ローンの焦げ付きが表面化し始めた07年秋からの1年間で、世界の株式時価総額のうち約6割(3000兆円)が消滅するなど、すさまじいババ抜き合戦に発展した。断末魔の金融市場とは「だるまさんが転んだ!」みたいなもので、みんなして走ったかと思えば未練たらたら株価を振り向いて時折固まり、次の瞬間には他人を出し抜いて思いきり走って逃げる状態なのだ。誰も信用できない不安に苛(さいな)まれながら、つかまされた紙屑の価値と逃げる瞬間を推し量っているのである。

 

 今回の暴落のきっかけになったのは、米政府機関の閉鎖問題や、米中貿易戦争の長期化に伴う景気減速への懸念、消費税増税後の日本の景気後退への懸念等等、さまざまにエコノミストたちが解説している。いずれも不安を沈静化させたいためか、「大丈夫、大丈夫」「直ちに影響はありません」といい聞かせているような風にも見える。しかし、膨らんだら破裂するのがバブルであり、遅かれ早かれ「その時」はやってくる。いまや些細な動きや発言にも敏感に反応するほど金融市場の不安が高まっており、「その時」が近づいていることを教えている。

 

 この数日の動きを見てみると、「急落阻止チーム」の座長でもあるムニューシン米財務長官が23日に米主要6銀行のトップとの電話協議を通じて、銀行には「十分な流動性がある」という言葉を発したことが槍玉にあがっている。わざわざ「流動性がある」とアピールしなければならないほど「実は流動性がないのではないか…」という不安をかき立て、一層の株安を煽ったというものだ。激怒したトランプがムニューシンの解任を検討しているというニュースまで飛び交っている。「流動性がない」といったらそれこそ大暴落の引き金になるが、「ある」といっても暴落する。かといって黙って何もしなければじり貧で株価は下がる。不安で仕方がない金融市場が、恐らく何をいっても不安なのに「オレたちを安心させろ」と求めているのだ。

 

 日経平均の暴落を受けて、日本国内では日銀、財務省、金融庁の幹部たちが先週にひき続いて三者会合を持つなど対応に追われている。アベノミクスで踊ったこの5年半余りの期間、日銀やGPIF(年金積立金)が大量の株式購入で官製相場を支えてきたが、株式市場でクジラと呼ばれてきたこの巨漢が「だるまさんが転んだ!」に逃げ遅れた場合、損失は甚大なものになることは疑いない。しかし、逃げればそれ自体が暴落の引き金になるというジレンマも抱えている。GPIFの原資でもある社会保険料の負担は、企業にとっても個人にとっても重荷で、みなが苦労して支払ってきた。これが焦げ付いた場合、果たして許せる人がどれだけいるだろうか。最悪の場合、カルロス・ゴーンどころでない特別背任容疑で、首謀者たちが逮捕投獄されて然るべき問題といえる。
                            武蔵坊五郎

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