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首相失格「安倍はやめろ!」 国会前抗議行動に5万人が集結

本紙報道紙面(16日付)

 国会議事堂前で14日、「安倍政権は退陣を! あたりまえの政治を市民の手で! 0414国会前大行動」とする抗議集会がおこなわれた。安保法制に反対する行動を呼びかけてきた総がかり行動実行委員会や「未来のための公共」などの若者グループが主催し、首都圏をはじめ全国からのべ約5万人(主催者発表)が詰めかけた。連日おこなわれてきた官邸や国会前での抗議行動の積み重ねのうえで「国会前大集合」を呼びかけ、森友学園問題や自衛隊をめぐる公文書の隠蔽・改ざんに手を染めた安倍政府に抗議するとともに、早期退陣と国政正常化を要求した。3年前の安保法制に反対するデモに次ぐ大規模な行動となった。


 午後2時にはじまった抗議行動は、年配者から若者、親子連れなどの幅広い世代の人人が続続と詰めかけ、安保関連法に反対する学者の会や各大学有志の会、弁護士や医療関係団体、各労組、仏教団体なども合流し、国会正門につながる車道両側の歩道を埋め尽くした。参加者は「安倍は辞めろ」「大嘘つき」「まともな政治を」「嘘をつくな、ちゃんとやれ」「人柄が信用できない」「文書改ざん詐欺政治」「♯首相案件」「ABE IS OVER」など思い思いのプラカードを持参し、「さよなら晋三」「安倍やめろ」などの巨大な横断幕も掲げられた。群衆は、ステージの掛け声に合わせて「安倍政権はいますぐ退陣!」「国家の私物化許さない!」「捏造・隠蔽許さない!」などのシュプレヒコールを議事堂に向けて連呼した。

 

国家の私物化に激怒した群衆の波

 

国会議事堂に向かい抗議の声を上げる(4月14日、東京都千代田区永田町)

 主催者の挨拶では、第2次安倍政権が発足してからの5年5カ月で、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法、新米軍基地建設などの軍事大国化に向けて暴走し、ついに憲法改定にまで手を付ける一方で、国家権力を私物化し、官僚機構を変質・堕落させて国会や国民をないがしろにする前代未聞の政治腐敗が進んだことを指摘し、社会の立て直しのために早期退陣に向けて国民が力を合わせることを呼びかけた。

 

抗議参加者の波は国会前を埋め尽くした(14日)

崩壊する統治への信頼

 

 安保関連法に反対する学者の会代表の佐藤学氏(学習院大教授)は、「国会から官僚組織までこれほど腐りきった姿を露呈したことがかつてあっただろうか。先日、愛媛県から出てきた“首相案件”という文書は、加計学園問題の真相そのものだ。安倍首相は“膿を出し切る”といったが、“膿はお前じゃないか!”といわざるを得ない。財務省トップの福田事務次官のセクハラも含めて、こんな日本にするために、こんな政治を支えるために私たちはこれまで学び、働いてきたのか。最近行った韓国では、昨年100万人のデモで朴前大統領を弾劾したが、その民衆のデモがいまも続いている。そして3月26日、文在寅大統領が新しい憲法草案を出した。その中心は、国民の権利を市民の基本的人権に置き換え、労働者を守り、平和を推進する改憲案だ。日本とは真逆の動きだといえる。一日も早く嘘つきを国会から追放し、日本も真っ当な政治の道を歩むべきときだ」と呼びかけた。


 医療介護の現場で働く都内の女性は、横田基地へのオスプレイ配備計画に反対する連絡会を発足した経緯をのべ、「故郷の青森にある三沢基地では、F16戦闘機が昼夜飛び交い、爆音で学校の窓ガラスにひびが入るほどだ。平成4年には、騒音に耐えられない1600人が他所に集団移住した。駅前では、Yナンバー(米軍車両)に二度も追突されて廃業した店もある。そのような脅威がいよいよ東京にもやってくる。先日の説明会では、紙切れ一枚を配り、防衛官僚が“我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し…”と配備理由を読み上げた。米国に忖度して国民に半月も計画を隠しながら、市民からの質問にも“米国との信頼関係があるので答弁は差し控える”と応えていて驚いた。数年以内にオスプレイ10機、米兵と家族あわせて1500人が東京にくることがわかったが、住民説明会はせず、超低空飛行訓練もやるという。政権に近ければ人の命さえなんとも思わないのか」と訴え、反対運動を広げる決意をのべた。


 立教大学大学院の金子勝特任教授は、「公文書の改ざん隠蔽は、国家と民主主義の統治機構そのものの崩壊を意味すると危機感を感じている。こんなことが許されるならば、どんな邪悪な政策も、どんな不正や腐敗も正当化されてしまうからだ。南スーダンやイラクの日報隠しも明らかになったが、この自衛隊を憲法に明記するということは、証拠を隠蔽し、あらゆる情報を隠す自衛隊をそのまま合憲化することだ。つまり、どの戦争もそうだったように、証拠をでっち上げて自衛の名で戦闘行為をすることが可能になる。働き方改革でも同様に隠蔽やデータ改ざんがおこなわれたが、過労死で大量の人が死んでも、データを作り替えて情報を隠蔽すれば、多くの国民が次次と死ぬまで働かされることを意味している。社会の基本を壊してしまう行為だ。これほど愚かな首相は、歴史上かつて見たことがない」と熱弁をふるった。


 「だが、バカな権力者ほど恐ろしいものはない。愚かものほど自分を批判するものを強権を使って弾圧する。実際に、元理財局長の佐川や迫田、昭恵や谷秘書、今井元首相補佐官は自由に動けるのに、籠池は7カ月以上も拘置所に閉じ込めている。彼にとって都合の悪い真実を語るものは監獄に閉じ込めるということであり、共謀罪そのものだ。官僚の人事権まで握らなければ権力を誇示できないというのも愚かさの裏返しだ。この愚かな安倍が辞めるまで追及しなければ、社会が壊れるところまできた。ある意味で、とくだわら(土俵際)に足をかけていることを自覚しながら、頑張っていこう!」と力強く訴えかけた。熱のこもったスピーチに参加者のボルテージも上がり、シュプレヒコールに熱がこもった。


 集会の進行中も周辺から押し寄せる人の波は増し、東西南北に延びる歩道は通行もできないほどのすし詰め状態となった。だが、車道への立ち入りを制限する警視庁は、鉄柵やバリケードを敷きつめて人人を歩道上に閉じ込め、さらに横断歩道の通行も禁じたため、数万人が狭い通路に隔離されて身動きのとれない状態となった。国会前の車道は土曜日はほとんど交通量がないにもかかわらず、「安全確保」を名目にした警備でむしろ危険が増す事態となり、「過剰警備ではないか」「警察は車道を解放しろ」という声とともに力ずくで押し込めようとする警察と市民の衝突が各所で起きていた。

 

人の波でバリケード決壊

 

車道に流れ込む人々と鉄柵でバリケードを敷く警察(14日)

 午後3時半、集会の運営が若者グループに変わると、「前へ! 前へ!」の掛け声とともに押し寄せる人の圧力の前に、ついに警察のバリケードが決壊した。ロープで頑丈に固定されていた鉄柵は押し倒され、膨張した群衆が解き放たれるように車道上を埋め尽くし、国会議事堂前になだれ込みながらコールの熱気も最高潮に達した。


 車道上に広がる群衆の動きを押しとどめられないとみた警官隊は、サイレンを鳴らしながら議事堂正門前にバスを横一列に並べ、その前に鉄柵を並べて議事堂に向かう人の流れを必死で遮断した。

 「公文書を改ざんするな!」「嘘をつくな!」「私物化ではなくまともな政治をしろ」「官僚は政治家ではなく、国民のために働け」と要求する行動を、警察機関が抑圧するという歪な構図を見せつけた。


 「見守り弁護団」としてデモの運営にかかわる20代の男性弁護士は、「市民の安全を守るためと称して市民の安全を害している警察の過剰警備から、市民を守るために弁護団として活動している。警察は何から何を守るためにこんな過剰警備をしているのだろうか。危険とわかっていて鉄柵で狭い歩道に隔離するやり方は、公文書改ざんを許さない市民の行動さえも隠蔽しようとする意図さえ感じる。個人的には“こんな警備はバカバカしい”と思っている警官もいると思うが、上からの命令に粛粛と従わなければならないのが公務員だ。勝手に上を忖度して、後から国会で“バカか!”といわれることを進んでやる公務員や官僚はいない。だが官邸の目が厳しいといわれる現政権の下で、大臣から命令もされていないのに公文書を改ざんしたり、日報を隠蔽したり、公務員のスタンドプレーによる怪奇現象が起きているという。そんなバカな話はない。首相が白といえば、カラスさえ白くなる。この国はいつからこんな独裁国家になったのか。国会では“盗っ人猛々しい”ということわざを使った野党議員に与党から激しい野次が飛んだが、首相の口の周りがあんこだらけなのに、“私は饅頭を食べていない。誰か見たのか? 証拠はあるのか?”と非難しているようなもので、口のまわりのあんこを指摘されると“現在調査中”という。なにが悲しくて私たちはこんな茶番に付き合い続けなければならないのか。保守政治ならぬ保身政治から手を切り、この国の民主主義をこの場所からはじめよう」とのべた。


 議事堂前の車道を埋め尽くした抗議行動は午後5時ごろまで続き、6時半からはキャンドルデモがおこなわれた。


 小学生の子どもを連れて参加した母親は、「秘密保護法のころから学生たちの言葉に感銘を受けて参加するようになった。当時は“デモをやっても意味がない”といっていた知人やSNSで呼びかけた人たちも参加してくれるようになり、少しずつ仲間が増えている。誠実さや真実ではなく“勝てさえすればいい”という政治がはびこっている。安倍首相が退陣したところでまた同じ独裁政治がおこなわれるのなら意味がなく、私たち国民が意識を変えなければいけないし、そのためにこれからも行動していきたいと思う」と話した。


 はじめてデモに参加したという都内の男性会社員は、「犯罪行為が明らかになっても内閣は辞める気配すらなく、そこにどんな力学があるのかと感じている。周辺でも少しずつみんなの目は厳しくなり、自民党も公明党も有権者にどんな説明をするのだろうかと思う。抗議行動に警察がどんな対応をするのか関心があって見に来たが、明らかな過剰警備で逆に危険だと思った。政治が狂うと警察までまともさを失うのだろうか」と口にしていた。団体参加に加えて、SNSなどのネット情報を通じて行動に参加した個人も多く見られた。


 この日は国会前行動に連動して、札幌、仙台、新潟、船橋、金沢、名古屋、伊勢、大阪、神戸、奈良、福岡、宮崎、鹿児島などでも統一した抗議行動がおこなわれた。

 

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この記事へのコメント

  1. 葛西 敦子 says:

    克明な情報発信をありがとう存じます。
    あの日、あの場に居た一人として 大変心強く励まされる思いで読ませていただき、Facebookでもシェア&拡散させていただきました。

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