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広島中央警察署から消えた8572万円 身内で穴埋めして幕引きか

 広島県警広島中央署(広島市中区)の会計課の金庫から、詐欺事件の押収品である現金8572万円が盗まれた事件について、広島県警が内部で現金を集めて盗難金を補てんする方針で動いていることが明らかになった。内部犯行が確実視されながらも発覚から1年9カ月たった今も真相は解明されず、穴埋めのため幹部職員や互助会、警察OB組織などから寄付の形で金を募っていることがわかり、市民の間では「内部で穴埋めして幕引きするつもりなのか」と厳しい視線が注がれている。

 

 盗まれた現金は、生前贈与をかたるメールを不特定多数のアドレスに送ってだましとったとされる広域詐欺事件の被害金で、広島県警が2017年2月に容疑者5人を逮捕し、主犯格とされる男から約9000万円を押収して中央署の会計課金庫に保管していた。ところが、同年5月8日に金庫の中から8572万円が消えていた。

 

 当時、金庫の管理責任者である会計課長が、退庁時に金庫の鍵を持ち帰るという規定を守らず、机の引き出しに入れて施錠し、机の鍵を課内の別の場所に隠して帰宅していたことが明らかになっている。さらに、同課の部屋の鍵は署内で複製(規定違反)が出回り、課長の机の鍵の所在を知っている人間なら、休日でも容易に金庫を開けることができる状態にあった。署内に防犯カメラは設置されておらず、金庫は差し込み式の鍵とダイヤル式の二重ロック構造だったが、ダイヤル式の鍵は解錠されたまま運用されていた。しかも、保管してから盗難が発覚するまでの約2カ月間、現金を入れた金庫内の箱の中身をまったく確認していなかったなどの不自然極まりない実態が明らかになっている。

 

 盗難事件の捜査は、空き巣などの犯罪捜査を手がける県警捜査3課が担当し、これまでに署内数百人の職員から事情聴取をしたり、「ウソ発見器に掛けた」「金融機関の口座など5万件を照会した」など非公式の情報が小出しにされてきたが「証拠がない」ため犯人の特定に至っていない。

 

 詐欺事件の被告は、組織犯罪処罰法違反などの罪で公判中で、判決によって8572万円を含む押収金が犯罪被害財産として認定されると、押収金は詐欺事件の被害者への返還に充てなければならない。ところが押収したはずの金はなく、県費による補てんの可能性さえ浮上していた。これに対して県民から激しい批判が巻き起こったため、県警関係者の入れ替わりや退職者が出る春の定期異動の前に、当時の関係者で内部補てんする方針に転じたとみられている。

 

 8572万円の穴埋めのため、県警では警視正や警視ら所属長級以上の幹部には役職に応じた金額を設定して個別に集め、残りは全職員が加入する県警警察職員互助会や退職者組織の拠出金でまかなう方針であることが関係者の話としてアナウンスされている。全加入者の総意が得られているのかの是非や、個別の金額については明らかになっていない。

 

 広島県警本部に隣接し、広島市中心部を管轄する中央署内部で起きた前代未聞の盗難事件について、広島市民の間では「いくらポケットマネーや警察組織の金で補てんするといっても、事件の真相は闇の中で処罰者すらいない。県民に対する公的な説明はされておらず、身内を庇って隠蔽しようとしていると思われても仕方がない」「よほどの幹部が関与しているか、複数の警察官による犯行が疑われる事態。現状では泥棒が泥棒をとり締まっているわけで、どちらが組織犯罪処罰法違反なのかさえわからない状態だ。隠そうとするのではなく、公明正大に膿を出し切ることでしか県民の信頼は回復しない」と語られている。

 

 街中に監視カメラを設置したり、駐車違反など罰則を強化し、捜査令状なしに盗聴やカード会社、携帯会社などから個人情報を提供させるなど警察権限の強化がとりざたされているが、一方では常軌を逸した腐敗が進み、自浄能力を失っている様に批判が強まっている。

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