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「消費税廃止し、失われた30年取り戻す」 れいわ新選組、参院選候補7人発表 全国行脚続ける山本太郎の訴えから

(2025年5月9日付掲載)

各地で開催されているれいわ新選組・山本太郎とおしゃべり会(4月29日、大分県別府市)

 7月に予定されている参議院選挙に向け、れいわ新選組(山本太郎代表)は、定員3人以上の選挙区を中心に現在までに7人の公認候補予定者を発表している。同党所属の参議院議員5人のうち2人が改選となるが、議席倍増に向けて選挙区と比例(全国)でさらに候補者を擁立していく構えだ。自民党政府の支持率が急落するなか、旧民主党勢力や維新など「第二自民党」と目される勢力と一線を画し、政治に幻滅した5割の有権者とも結びつきながら、硬直した永田町をかき回す台風の目となることが期待されている。れいわ新選組の公認候補予定者の決意【別掲】とともに、全国行脚を続ける山本太郎代表が直近の街宣やおしゃべり会で訴えている内容を紹介する。(文責・編集部)

 

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山本太郎議員(4月27日、釧路市)

 生きているだけで価値がある社会――これが私たち、れいわ新選組が目指す社会だ。今の社会が、それとはまったく逆だからだ。「あなたの価値は私が判断してあげましょう」「あなたは何を生み出しているのか?」という空気感が社会に蔓延している。まったく自分と違う価値観の物差しで、ものすごく上から目線で価値判断をし、一人一人から自信や希望を奪っていくような社会が膨張してしまっている。そんな社会は地獄だ。

 

 役に立たないとされるグループに入ってしまえば、生きている価値もない人間として扱われる。高齢者や障害者はどうなる? かつてナチス時代のドイツでは、戦争が始まったときにお金がかかるといって障害者の命を奪った。この日本でも同じようなことが実際に起きた。「障害者は金がかかるから増やすな」「子孫を残すな」という優生思想みたいなものがつい最近まで渦巻いていた。特別な話ではない。

 

 選別させるなということだ。生まれてきただけで価値があるとされる社会であれば、誰も生きていくうえで不安はない。

 

 私自身も将来に不安だらけだ。だから自分のためにそんな社会を作りたい。それがあなたにとっても良い社会ではないですか? という感覚でやっている。「何があっても不安に思うな。何かあったときには国が助けるからな」という大船に乗ったような気持ちで生きられる社会であれば、一人一人が自信を持って生きられるはずだ。

 

 そのための1丁目1番地は、経済的安定だ。「いつ切り捨てられるだろうか」「今月乗り切れるだろうか」「来月まで持つかどうか」「来年の自分の状態など予想もつかない」という不安定な状態で生きていたら、将来に希望を持つことなどできない。今、将来に不安しかないという人が圧倒的多数だと思う。これを変えていけるのが政治だ。余裕のないギリギリのところで、将来を憂いながら生きるというところからみんなを解放できるのは、国の経済政策だ。

 

 今、物価が上がってたいへんな状況だが、賃金が上がらない状況は最近始まったことではない。実質賃金指数の推移を、消費税が5%に上がった1997年を起点に比較すると、先進5カ国はみな右肩上がりだが、日本だけが右肩下がりの異様な状況であることがわかる【グラフ参照】。

 

 1997年=100とすると、実質賃金は2023年までの26年間で、アメリカは139・6、イギリスは133・3、カナダは132・2、フランスは123・8、ドイツは118・4と軒並み増えている。これに対して日本は83・4だ。先進5カ国は、経済成長とともに賃金も上がっているが、日本だけは逆に国民が貧しくなっていることが一目瞭然だ。

 

 所得の中央値はどうか? 日本中の所得を低いところから高いところまで全部並べたときに真ん中に位置する所得のことだ。1994年には505万円だった1世帯当りの所得の中央値は、2019年には374万円に下落。25年の不景気で、約131万円も低下している。こんな「先進国」は世界中どこにもない。政治が間抜けすぎて国民を貧困化させてしまったのだ。いい加減にしろ! ということだ。

 

 当然、これは社会に大きな影響を与えている。令和5年の厚生労働省「国民生活基礎調査」を見ると、生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は、全世帯の59・6%だ。高齢者世帯では59%。児童のいる世帯では65%。貧困層だけでなく、これまで中間層といわれてきた人たちも苦しくなっている。完全に底が抜けている。

 

 実際に貧困とされる人たちは日本にどれくらいいるのか? 2022年で15・4%だ。つまり、6・5人に1人が貧困という状態にある。高齢者の5人に1人(20%)が貧困。一人暮らし女性の4人に1人(23・9%)が貧困。一人暮らしの高齢女性では2・3人に1人(44・1%)が貧困。一人親世帯の2・2世帯に1世帯(44・5%)が貧困だ。「日本最高!」という人がいるが、最高どころか最低だ。なんとかしなければならない。

 

下がり続ける実質賃金 大企業は過去最高益

 

 では、日本は貧しい国になって終わりなのか? そうではない。バリバリ絶好調だ。大企業をみると、内部留保(企業の最終的な利益から法人税、配当金、役員賞与等を差し引いた剰余金)は、過去13年間、過去最高額を更新し続けている。1997年には142・8兆円だったものが、2023年には601兆円にまで膨れ上がった。

 

 よりわかりやすく現預金(企業が所有する現金と預金)で見ると、過去13年間で新たに139兆円増加し、2023年には301・8兆円にのぼっている【グラフ参照】。つまり、むちゃくちゃカネを持っている者と、生活がむちゃくちゃ厳しい者という完全な二極化が進んでいる。こんな酷い状況を作ったのも政治の責任だ。

 

 大企業以外にも大金持ちはいる。フランスの調査会社「キャップジェミニ」の調査では、生活水準を落とさず、すぐにでも1億円以上のお金を投資に使えるという富裕層の数が世界で2番目に多いのが日本(365万人)だ。金がないのではく、うなるほどある。なのにみなさんの所得は減り、負担は増え、大企業や富裕層はどんどん減税されているのが現状だ。

 

 そして、なんとこの国は6年連続で税収が過去最高になった。今年度は78・4兆円で、昨年比8・8兆円増だ。ないところから搾りとっただけの話だ。いい加減にしろ! とみんなが怒らなければいけない場面だ。

 

 こういうことをやれば社会はどうなるか? 一番わかりやすいのが中小零細だ。2024年の全国企業倒産状況を見ると、中小企業の倒産は1万6件(前年比15・1%増)。1万件をこえたのは11年ぶりだという。

 

 みなさんの身近でも潰れた店があったと思うが、主にどんな業種が潰れているのか。2024年の倒産件数が過去最多にのぼった業種は以下の通りだ。飲食店(飲食業)、ラーメン店、そば・うどん店、焼肉店、居酒屋。さらには農業、建設業、職別工事業、美容室、エステ業、バー・キャバレー、経営コンサルタント業、介護事業者、訪問介護事業者、医療品小売業者、児童福祉事業、新聞販売店、葬儀業、学習塾、無店舗小売業、タクシー業、医療機関、病院、診療所、歯科医院……生活するうえで絶対に必要なものまでバタバタ潰れている。

 

 「賃上げしているからだんだん景気が良くなるのでは?」という人もいるが、実際はどうか? 商工会議所の調べによると、賃上げできた中小企業は67・6%。そのうち業績が改善していないのに人材流出を防ぐために自腹を切った「防衛的賃上げ」が63・4%だ。もうチキンレースみたいな話であり、これが続けば、倒れざるを得ない。

 

 根本的に賃金を上げなければ、みんな潰れてしまう。国会では「物価高に負けないような賃上げを実現してまいります」といろんな政党が政策を出すが、まったく間尺に合わない。30年の不況、コロナ禍、物価高で、これほど弱っている先進国は他にないのだ。

 

 大胆な政策、つまり大々的に景気を上げる以外にこの状況を転換する道はない。個人の、民間の努力でなんとかなるのなら30年も不況は続いていない。国の出番なのだ。

 

法人税下げ続けた30年 消費税増税の一方で

 

 たとえば、あなたが150円のりんごジュースを買えば、そのお金は、その店だけでなく、りんご農家、それを運ぶトラックドライバー、ジュース工場で働く人、パック工場にも波及する。つまり、あなたの消費は誰かの所得になる。これが基本的な仕組みだ。

 

 では、この国で30年も不況になったのはなぜか? 社会にお金が回っておらず、将来不安からお金を使わなくなった。働き方が不安定になり、給料も安くなった……などいろんな理由から、必要なものがあっても我慢する。そして、ますます社会にお金が回らなくなり、売上げが落ちた事業者は倒れる。倒れてしまうから、その前に従業員の首を切ったり、賃金を下げてきた30年だ。どんどん弱くなる方へ拍車がかかっていった。

 

 景気を良くするためには、まずあなたが必要なものをしっかり買えるだけの軍資金を手に入れる必要がある。つまり、国から軍資金を渡す必要がある。その方法が減税であり、社会保険料の減免、悪い物価高が収まるまでの給付金などのさまざまな政策だ。まずは消費者に軍資金を渡し、社会に回るお金を増やして、底上げするのが、経済政策の基本中の基本だ。

 

 景気の指標であるGDP(国内総生産)は、個人消費、民間投資、政府支出、純輸出をすべて足し合わせたものだ。だが、まず一番大きなエンジンである個人消費が30年冷え込んでいる。人が物を買わないのに民間企業は新たな設備投資もできない。そうなると出番は政府支出しかない。

 

 れいわ新選組のさまざまある政策のなかで1丁目1番地は、消費税廃止だ。「とんでもない。社会保障の財源をどうするのか!」とテレビや新聞はいい続けるが、それは事実ではない。みなさんから搾りとった消費税は一部を社会保障に回しているだけで、多くは別の目的で使われている。

 

 消費税は1989年に3%で導入され、97年に5%、2014年に8%、2019年に10%と上げられてきたが、必ずその前後に法人税率が階段を下りるように引き下げられている。なぜなら、そもそも消費税はそのために作られた税金だからだ。消費税導入のとき「直間比率の是正」といわれた。直接税を減らして、間接税を入れるという意味だ。「大企業の負担が重すぎる。誰のおかげで議員をやれているんだ? 私たちの組織票と企業献金で権力を持てているのに、なぜ私たちの負担を増やすのか。減税しろ。穴埋めはみんなから薄く広くとればいい」と企業側にいわれた政党、政治家によって前に進められた。疑う方は、ぜひ1989年の消費税導入前の議論をチェックしてほしい。

 

 消費税とは、消費にブレーキをかける税金だ。誰かの消費が誰かの所得になるのだから、消費が減れば当然、所得も減っていく。消費税は景気が過熱しすぎたとき、それを冷ますために力を発揮する。悪いインフレを招く前に溢れたお金を吸収するためのものだ。

 

 この30年、いつ消費が過熱しただろうか? 過熱どころか冷え込んでいるのに消費税を上げてしまえば、さらに冷え込ませることにしかならない。だから景気が悪いときに何度も消費税を上げる間抜けな国家は存在しない。先進国で唯一、日本だけが不況が続き、産業やものづくりまで衰退し、それらが国外に流出していくところにまで行き着いた由縁だ。

 

 消費税をやめれば、まず中小零細企業や小規模事業者が息を吹き返す。現在、消費税の負担があまりにも大きすぎて、税滞納のうち5割が消費税だ。その多くが中小零細だ。この国の屋台骨は中小企業だ。ここが元気にならなければ、日本の経済復活などあり得ない。

 

 物価高で今みんなが苦しんでいるが、消費税をやめれば年間で20万~30万円は使えるお金が増える。それだけでなく、参議院調査室のシミュレーションでは、何もしなかった場合に比べて、7年後には賃金が35・7万円増えるという結果が出ている。現在の日本には、これをこえる精度のエビデンスはない。

 

 30年続いてきた消費へのブレーキを解除し、みんなが使えるお金が増えれば、みんながこれまで我慢していた必要な物が買えるようになる。消費活動の活発化によって社会にお金が回り出せば、中小企業も設備投資ができるし、賃金も上げられる。当たり前のことだ。別の方法で「手取りを増やす!」といっている政党もあるが、こちらの方がはるかに手取りが増える。しかも、ある一定の人の手取りが増えるのではなく、働いている人も働いていない人も使えるお金が増える。この力がないと30年の不況で弱り切った国を復活させることはできない。

 

世の中変えるチャンス 国を壊す者に圧力を

 

れいわ新選組主催「増税?ダメ♡絶対!デモ」 in 別府(4月19日)

 れいわ新選組を私1人で旗揚げした2019年は参議院議員最後の任期だったが、新しい政策を書いたチラシを国会内で配った。どの政党の議員たちからも鼻で笑われた。「お前、頭大丈夫か?」「国民は黙ってても消費税は自動的に払うようになったんだぞ」「導入から30年続いてきたものを減らすとか、やめるとかいって誰が振り向くんだよ」と。消費税導入時に徹底的に反対したのは公明党と共産党だったが、公明党は小さな飴玉のかわりに権力に魂を売って増税方向に舵を切り、共産党も2019年時点では増税には反対していたが「廃止」とはいっていなかった。永田町では消費税廃止は誰もが非現実的だと思っていた。

 

 だが、れいわ新選組を旗揚げして5年、国会の中と外から揺らしていった結果、直近の選挙では、自民、公明、立憲民主以外のほとんどの政党が「消費税減税」を公約した。それで議席を増やした政党が、選挙後は消費税減税の“げ”の字も出さず、予算を通した後になって「減税」みたいなことをいっているが、こういう人たちのお尻を叩く必要がある。

 

 長らく「当たり前」として忘れられていた消費税に対して風穴を開けに行き、みんなの力でその穴を広げた。無視していた連中に「減税」といわしめるまで持っていったのだから、廃止も無理ではないことが見えてきたはずだ。まずは減税でも、その先の廃止を目指して力を合わせたい。一緒に揺らしていきたい。

 

 「少数では無理だから他の野党と組め」という意見も聞くが、野党と呼ばれるところが自民・公明と違うという線引き自体、もうやめた方がいい。

 

 民主党と呼ばれていたところは今でも民主党だ。消費税を5%から8%、10%へと増税することも民主党政権が自民・公明と一緒に決めたことだ。TPP(環太平洋経済連携協定)加盟で日本の農業や主権を破壊することに道を開いたのも民主党政権。武器の共同開発や輸出という自民党でも踏み込めなかった入口に足を踏み入れたのも民主党政権だ。国民が騙されることなく、ジャッジしなければ変わらない。

 

 数が多いところと組んでなんとかなるのなら、30年も異常事態は続いていない。そんな国が日本以外にないのは、国に生きる人々が弱れば国が弱るのが当たり前だからだ。国家あっての人々ではない。人々あっての国家だ。30年も経済的に弱らせて絶望を与え、イノベーションも起きないような社会状態にしてしまった責任は、自民党だけにあるのではない。

 

 「数が少ないから仕方がない」といって妥協し、いくつも悪い法案を通したり、修正するだけで前に進めさせ、国の破壊を加速させてきた側にも責任がある。経団連などが要求し、大量の移民労働者を国内に流入させるような入管法改定案など、絶対に国が壊れるから身体を張ってでも止めなければいけないことも途中で諦めて、お行儀良く採決に応じる。昔のように議長室や委員長室をロックアウトしたり、国会を機能不全にしてでも徹底的に抵抗しなければ、国民は事態を認識できない。その意味では徹底的にたたかってこなかった野党のおかげで今日の没落があるといってもいい。

 

 この状況に緊張感を与えることができるのは、この国のオーナーである有権者のみなさんだ。要は政治家や政党に託すのではなく、育てなければいけない。こんな酷い社会にした茶番だらけの国会で、テーブルの下でぬるっと手を繋ぎながら、この国を一緒に壊してきた者たちに緊張感を与えるチャンスはほとんどない。私も一生政治家をしたくてやっているわけではないし、できればこんな嫌な仕事はやりたくない。それでもやろうと思うのは、世の中をひっくり返すチャンスがあると思うからだ。それは選挙という制度が維持される限り、そして、政治を変えようと願う有権者がいる限り存在する。

 

 ある意味で無謀ともいえる「全体的にひっくり返してやろうぜ!」という思いで政治にとりくんでいるグループは他にない。バックに宗教も大企業もなく、「黙ってられるかよ!」「失われた30年を取り戻そうぜ!」ということを人生を1回横に置いてフルスイングでとりくむバカはこの先、そう出てこないと思う。ここで止まるわけにはいかない。さらに大きくして、国会にあぐらをかき続けている人たちにプレッシャーを与える先頭に立たせていただきたい。

 

㊤㊦広島市での「増税!?ダメ♡絶対!デモ」(17日)

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