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無理がある土地取引の正当化

 「それはいくらなんでも、それはいくらなんでも、ご容赦ください」の太田理財局長が9日、森友学園への国有地払い下げに伴う8億円値引きの根拠となったゴミについて、理財局の側からなかったものをあったことにするよう口裏合わせを依頼していた事実を認め、謝罪した。これまでの政府見解では、地下9㍍にゴミが大量に埋まっており、この値引きは正当なもので不正な土地取引ではないと押し通してきた。ところが実際には、理財局職員が昨年2月20日、学園の弁護士に電話して「撤去費が相当かかった気がする、トラック何千台も走った(搬出した)気がする、という言い方をしてはどうか」と提案していたのだ。しかも、森友側はそれを断っていた。

 

 詐欺師呼ばわりされて籠池はいまだ拘置所に放り込まれている。しかし、ここまでくるとどっちが詐欺師なのかは明々白々だ。「安倍首相がんばれ!」の愛国小学校建設に邁進し、右傾化勢力に投機していたことについてはまったく賛同しないが、その後、憑きものが落ちたように国会その他で証言を開始し、それらは嘘偽りない事実であったことが、時間をかけつつも証明されているのである。

 

 結局のところゴミはなかった。それをわかっていて8億円値引きのスキームをつくり上げたのは理財局だった構造が浮かび上がっている。口裏合わせを依頼したのは、値引きの根拠が嘘であることをわかっており、主導していたからと見なすのが妥当だろう。無理に無理を重ねた国有地の不正取引であり、どう虚飾したところで道理などない。だからこそ公文書を改ざんして、関与した政治家や日本会議の存在をかき消し、口裏合わせまで求めて嘘をつき続けていたのだ。彼らが犯罪を犯しながらも守っている者こそ本丸である。

 

 これだけの事実が明らかになっていながら、なお「土地取引は正当である」というのには無理がある。ゴミはなかったし、値引きする理由はなかったけれども8億円値引きは正当であるとか、政治家及び首相夫人や秘書官の関与は理財局の判断に何ら影響を及ぼすことなく、役人が勝手に値引きを手引きしたのだといったところで、いったい誰が信用するのだろうか。そうやってバレバレの嘘を真顔でつき続ける行為にみんなが付き合わされて、自殺者まで生み出し、疲労困憊している様がありありと伝わってくるのである。理財局もいっそのこと、「総理夫人や日本会議が深く関与していた気がする」「松井府知事も無関係ではない気がする」「財務省では○○さんがこのように指示していた気がする」等々と国会で吐き出してしまえばよいのにと思う。

 

 膿が「膿を出し切る」などと主張していることも含めて、今やすべてがあべこべにひっくり返った世界が出現している。これだけ改ざん、隠蔽、嘘をくり返す政府が「改憲」を標榜するなど笑いの種である。恐らく「改憲」ではなく、憲法改ざんの間違いなのだろう。                           吉田充春

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