いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

揺らいでいるあべこべのMIX

 トランプショックを受けた23日(金曜日)の日経平均株価はNYダウに引きずられて974円も暴落し、金融市場では空売りの嵐が吹き荒れた。ブラックマンデー(1987年、暗黒の月曜日)のさいに記録した3836円の下げ幅には及ばないが、それでも時価総額にして数十兆円が吹き飛んだのだから半端な数字ではない。これはヘッジファンドなどの巨額の資金を動かせる投資機関が売り浴びせに転じたことを物語った。安倍・黒コンビが異次元緩和によって捏造してきた「好景気」の底が抜けようとしているのである。

 

 「異次元緩和」とは、すなわち他が真似できないほど後先考えずに金融緩和にのめり込むことだった。おかげで日銀の国債保有残高は450兆円近くにまで膨らんでいる。ヘッジファンドに売り浴びせられる度に日銀が必死になって株式を買い支え、格好の餌食にされてきた。中央銀行が株式市場のメインプレーヤーになって官製相場を捏造するという、見たことも聞いたこともない行為を真顔で実行してきたのだ。そして気がついた時には抜け出せないところまで深入りしてしまい、いまやあっちもこっちも日銀が筆頭株主となって、進むも地獄、引くも地獄の状態でオロオロしている。株価暴落となると、他がババ抜きをしているなかにあって黒田日銀が一人だけババを買い集める状態なのである。出口戦略など何も考えずに突き進んでいたのだとすると、まことに「異次元」の脳味噌といわなければならない。

 

 公文書改ざんもさることながら、この株価改ざんというかアベノミクス捏造の罪も大概なものだ。8億円の値引きと比べても、こちらは注ぎ込んできた金額が尋常ではなく、底が抜けた時の社会的影響ははかり知れないものがある。中央銀行の破綻ないしはハイパーインフレによるお札の紙屑化へと事態が動き始めたさいには、恐らく「安倍は、やめろ!」どころの騒ぎでは済まない。株式市場には国民の年金も注ぎ込んできたが、これらみんなの老後のための資金が溶け出すことについても、相応の落とし前をつけさせることが必要だ。「退陣したので知りません」は通用しない。

 

 異次元の虚言癖、異次元のファーストレディの勘違い、異次元のバラマキ、異次元の私物化、異次元の統治への無理解等々、わたしたちが見ているのはまことに異次元な光景ばかりで、驚かされるものがある。終いには「籠池出して、昭恵を入れろ!」「証人喚問、出てこい昭恵!」などと群衆が街角で叫んでいる。

 

 統治の建前であったり、品位や常識はすっかり壊れた。ここまでくると、異次元な世界に日本社会を貶めた男として、安倍晋三・昭恵は歴史に名を刻んでいるように思う。従って教育勅語よりも何よりも優先して教科書に掲載し、後世にしっかり訓話として語り継ぐことを求めたい。議会制民主主義、三権分立、憲政とは何かといった近代国家の統治の在り方を学習する生きた教材として、これほど最適なものもないだろう。そして、安倍・黒コンビの顔を見せながら「あのときはね、中央銀行まで私物化されたんだよ」といって、日銀の独立性やその後の日本経済がたどった困難を教えることが重要であると思う。中央銀行のカネで操作した株価上昇を「アベノミクス」などとネーミングすること事態、公私の区別を伴わない私物化なのだ。人のカネ、国家のカネで思い上がってはならない。                         吉田充春

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。