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「打つ手なし」の宣言解除

 産経新聞に掲載された記事によると、政府が一都三県に発令中の緊急事態宣言を21日に解除する方向で調整しているそうで、政府や専門家のあいだで「現在の対策ではこれ以上の改善は見込めない」との見方が強く、厚生労働省に助言する専門家組織が11日に行った非公式会合では、主要メンバーから「もう打つ手がない」との意見が出たのだという。首都圏のコロナ感染者数は横ばいから微増傾向にあり、さらに変異株が国内でもあちこちで出始めているなかで、「打つ手がないから宣言を解除する」というのは、万歳降参、すなわち実質的なお手上げ状態を晒しているようなものである。こうして政府が感染抑止のための政策を放り投げていくもとで、日本社会は今後とも、コロナウイルスからフルボッコを食らわなければならないというのである。

 

 ただ厳密に見てみると、確かに「緊急事態宣言」といっても飲食店に6万円を支給しながら時短営業を促していただけであって、他国がやっているようなロックダウン(都市封鎖)とは比べものにならないほどユルユルで、それは「宣言」していただけという側面もあった。中身はスカスカなのだけど、「緊急事態宣言」という強い調子の言葉を使うことによって、世間一般に「自粛しなきゃ」の空気を醸成したかったのだろう。強制力もなく、結局のところすべては国民の自己責任・自粛に委ねていただけなのである。したがって、この宣言を解除しようが延長しようが、何も変わりないといえばそれもまた事実で、ではいったい何がしたかったの? と思うのである。というか、何もしていないに等しいのである。

 

 未知のウイルスに世界中が震撼し、前代未聞の疫病禍に置かれたなかで、政府が国民の生命と安全を守る絶対的な後ろ盾となり、「あぁ、この国に生まれてよかった」と思えるような施策を実施すれば、自民党も少しは支持率が上がっただろうに、マスク2枚に1人10万円支給をしてからはさっぱりで、いまだに10万円のおかわりもくれない。こうして補償なき自粛を強いたために、働かなければ生きていけない多くの国民は自衛しつつ社会生活を送らなければならないし、人との接触をすべて断つような暮らしなどできるわけもなく、いつまでたってもコロナを撲滅できない状態が続いてきた。終いにはPCR検査もさらに抑制し始め、目の前のコロナウイルスに対して「見えてません」と目をつむってしまったかのように非科学的対応をしているのが日本政府なのである。

 

 「打つ手なし」なのではなく、日本政府の場合は「何も手を打っていない」といった方が正確だろう。ノーベル賞を受賞した科学者たちが早くから指摘しているように、発熱や咳など自覚症状のある人だけでなく、無症状の人も含めて社会全体を対象にした徹底的なPCR検査(一度のみならず定期検査の実施)によって感染者を割り出し、治療が必要な人々に対しては病床を確保して治療にあたり、無症状であればホテル借り上げなどで保護・隔離をするといった、感染症対策の基本を忠実にやればよいのだ。できない条件をあげつらうのではなく、PCR検査についても「どうすれば実現できるか」を考えて実際に実現までこぎ着けるのが政府の責任であり、ワクチンについても日本国内で開発できるように大学等の研究機関に資金を投入するなり、なぜやらないのだろうか? と不思議でならない。他国の医薬品メーカーのカモにされつつ、ワクチンが届くのを口を開けて待っていたり、いざワクチンが届いても注射器が足りないといって韓国にすがりついたり、すべてが後手後手でコロナウイルスから日本社会を守るという気概がまるで感じられないのである。コロナ追跡アプリ「ココア」の放置状態など最たるものだ。

 

 ワクチンの効かない変異株までが出現し始めたなかで、コロナ禍はますます深まりを見せようとしている。コロナ禍は「今だけ、カネだけ、自分だけ」の無能な政府に日本社会の命運を委ねてよいのか問いかけているように思う。 武蔵坊五郎

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この記事へのコメント

  1. 正義の味方 says:

    その通り。打つ手なしと言っているが、何も手を打っていないのに等しいので、感染を防げないのは当たり前。PCR検査を広範に行って徹底的に無症状感染者を隔離すべきで、台湾はそれで見事に押さえ込んでいる。それをやらずに飲食店を悪者にする政策は間違いで、無症状感染者を隔離すれば、飲食店の営業自粛など必要ない。政府の無策を飲食店の生にするのは許せない。

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