いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

狙撃兵 米国がシリア難民に責任を負え

 戦乱が続くシリアから400万人もの難民が欧州各国に押し寄せ、この受け入れ先をめぐって大騒動がくり広げられている。沿岸に漂着した幼児の溺死体を抱え上げる映像がセンセーショナルに取り上げられ、さらに駅構内や広場を埋め尽くす難民の群れや、200㌔近くを歩いて新天地を求める人人の姿がテレビ画面に映し出される。オーストリアのウィーン郊外では、冷蔵車両に71人もがすし詰め状態で窒息死していたことも報道された。生きるために故国を逃れた人人が追い込まれた最期として、あまりにも酷く、まるで人間扱いではない。欧米側の感覚たるやアラブ人は魚か肉と同じ扱いなのかと思わせる。
 欧州各国は互いに難民受け入れに難色を示して押し付け合い、400万人は行き場がない。もともと中東やアラブ世界をひっかき回してきたのは欧米列強である。ところが、いざ難民が押し寄せると困ってしまって、責任を転嫁しあって揉めているのである。なかでも驚かせたのがフランス政府で、こうした最中にシリア空爆を検討し始めるなど、火に油を注いで、余計でも難民を増やすような真似事を始めようとしている。頭が狂っているか、もしくは難民として逃れようとしてくる一般人を空爆したがっているか、どちらかしか考えられないようなことだ。
 アサド政権を標的にしてシリアに攻撃を加えてきた張本人はアメリカである。そしてネオコンとの関係が疑われているISがアサド打倒を掲げてシリア領内に攻め込み、米軍による空爆が始まって戦乱はより拡大することとなった。空爆によって武器商人たちが歓喜する一方で、その投げつけた爆弾によってシリアの民衆が親兄弟を殺され、生活を奪われ、国を逃れなければ生きていけない極限状態をつくり出しているのである。そして、張本人のアメリカは難民対応で慌てふためいている欧州各国を尻目に、海の向こうで知らぬ顔をしているから汚い。欧州各国も「いい加減にしろ!」と抗議するような度胸はないのかと思う。
 難民を生み出さないようにする解決策は簡単で、アメリカが軍事行動を止めればいいだけだ。アサド政権の良し悪しや政治体制の問題はシリア国民が判断すれば良いことで、他国がとやかくいうことではない。最も責任を問われなければならないのはアメリカである。

 吉田充春

関連する記事

  • <狙撃兵> 外交交渉の意志と能力がない  北朝鮮の核実験にあたって、安倍政府は国連決議よりはるかに突出した制裁に乗り出している。新聞やテレビもバカのひとつ覚えのように、日本の脅威だと […]
  • 狙撃兵 法的瑕疵は中心問題か?  沖縄県の翁長知事が名護市辺野古沖の埋め立て承認取り消しを表明し、手続きに入ったことを明らかにした。昨年末の知事選から1年近くを経て、ようやく […]
  • 狙撃兵 上関原発、最大の天王山  二井県政・農林水産部と県漁協が乗り込んで、祝島支店の漁業補償金をめぐる総会を29日に招集しようとしている。これは世間には目立たぬようにやって […]
  • 狙撃兵 安倍晋三の独り言  あれほど有識者会議を立ち上げたり大騒ぎしてきた戦後70年首相談話の落としどころが「安倍晋三の独り言」になろうとしている。戦後70年かけてつく […]
  • 狙撃兵 新陳代謝が止まった自民党  自民党総裁選は無投票で安倍晋三の再選が決まった。衆参合わせて400人以上もの国会議員を抱えながら、対抗馬の側はたかだか20人の推薦人が集めら […]
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。