二井県政・農林水産部と県漁協が乗り込んで、祝島支店の漁業補償金をめぐる総会を29日に招集しようとしている。これは世間には目立たぬようにやっているが、28年に及ぶ上関原発問題が最大の天王山を迎えていることを意味している。
二井知事は1昨年10月に埋め立て許可を出したが、それは祝島の漁業権放棄が既定事実であるかのように欺いてやったもので実際には有効性はない。したがって、昨年2月に祝島の総会で補償金受けとりを否決されると、工事は止まり、昨年11月、今年1月と補償金受けとりのために必死の画策となった。県側は「管理委員会の契約に祝島は拘束されるという最高裁の判決にしたがう」と口では言うが、実際には「祝島の漁業権は生きており、何が何でも放棄させなければ工事はできない」を行動で暴露している。口で言うのはウソで、行動にあらわれているのが本音である。
祝島島民のなかでは、「28年頑張ってきていまさら負けるわけにはいかない」の世論が圧倒している。しかしこの時期に二井県政と県漁協が総会を招集することは、ある種の勝算をうかがわせている。一つの不安は、この2回の説明会で、山戸氏をはじめ反対派漁民がボイコットをしていることである。
漁業法によると、漁協総会は委任状をふくめて正組合員の過半数の出席で成立することになっている。もし反対派漁民がボイコットが正しいと誤解して、推進派と中間派の出席で過半数となって総会が成立したら、推進派の過半数議決が現実味を帯びることになる。その後いくら抗議行動をしても後の祭りとなる。28年頑張って、あと一息で原発は終わりというところまできて、「だまされた」を繰り返すわけにはいかない。
反対派漁民側は総会参加に力を入れなければならず、県や県漁協のペテンや脅しとたたかい、中間派を獲得し、推進派を孤立させるたたかいを強めることが不可欠である。それには島民全体が、すべての漁民を激励し、総会会場を取り囲んで見守り、島を守る力を激励するための、全力を挙げた行動をやる必要がある。それはこれまでのあらゆる行動よりも価値がある。
28年を経た上関原発問題はまぎれもなく終結かどうかのもっとも重大な分岐点を迎えている。主導権は中電、二井県政の側ではなく、祝島島民の側が握っている。
那須三八郎