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国交相が承認撤回の効力停止 辺野古工事強行の横暴な手法

 石井啓一国土交通大臣は10月30日、沖縄県による辺野古埋立承認撤回の執行を停止し、沖縄県の同意のないまま埋め立て工事を再開させる意向を発表した。沖縄県の埋め立て承認撤回への対抗措置として、沖縄防衛局(防衛省)がおこなった行政不服審査法に基づく執行停止の申し立てをわずか2週間で認め、米軍占領期にブルドーザーと銃剣によって土地を強制的に奪いとった手法と同じく、知事選で示された沖縄県民の圧倒的な民意と地方自治の原則を無視して新基地建設に向けて暴走する姿勢を見せた。

 

 石井国交大臣(公明党)は会見で、「事業者である沖縄防衛局が、埋め立て工事をおこなうことができないという状態が継続することにより生じる経済的損失」「普天間飛行場周辺に居住する住民が被る航空機による事故等の危険性の除去や騒音等の被害の防止を早期に実現することが困難となる」「日米間の信頼関係や同盟関係等にも悪影響を及ぼしかねないという外交・防衛上の不利益が生ずる」などの理由をあげ、「“重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるとき”に該当すると判断した」とのべた。

 

 防衛省が申し立てに使った行政不服審査法は、行政庁の処分によって権利や利益を脅かされる「私人」の救済措置であり、辺野古埋め立てを推進する国の機関(防衛省)の申し立てを同じ国の機関(国交省)が「審査」すること自体、中立性を欠いた茶番にほかならない。石井大臣は、一昨年の最高裁判決を例にあげて「国の機関であっても、(行政庁から)処分を受けたものといえれば、一般私人と同様の立場」などと開き直った。

 

 沖縄県の玉城知事は同日、「国土交通大臣は、3年前の承認とり消しと同様、沖縄防衛局長が一私人の立場にあるということを認め、県の意見書提出から5日後という極めて短い審査期間で、執行停止決定をおこなった。今回の決定は、結局のところ、結論ありきで中身のないもの」であり、「内閣の内部における、自作自演の極めて不当な決定といわざるをえない。審査庁として公平性・中立性を欠く判断がなされたことに強い憤りを禁じえない」と怒りを込めて批判した。

 

 県として今後、国地方係争処理委員会への審査申し出を軸に対応することを明らかにし、「執行停止決定がなされたとしても、(埋め立て)承認に付した留意事項に基づき、沖縄防衛局は、沖縄県との間で実施設計及び環境保全対策に関する事前協議をおこなう必要がある。事前協議が調うことなく工事を着工することや、ましてや土砂を投入することは断じて認められない」とのべた。

 

 許認可権を持つ地元自治体の同意もなく埋め立ての工事を進め、法的手続きにのっとってストップをかけても、国民の権利や財産を脅かしている側が「損失」「不利益」を主張し、問答無用で広大な公有水面を奪いとっていく--前代未聞の強硬手段をみせる安倍政府に対し、10月26日、全国の行政法研究者有志(99人)が連名で「日本政府による再度の行政不服審査制度の乱用を憂う」と題する声明を発表した。

 

 声明では、行政不服審査法が「国民の権利利益の救済」を目的(第1条)としており、「国民(一般私人)」と異なる立場に立つ「固有の資格」をもつ行政主体あるいは行政機関が行政処分の相手方となる処分については明示的に適用除外としている(7条2項)ことをあげ、「そもそも公有水面埋立法における国に対する公有水面の埋立承認制度は、一般私人に対する埋立免許制度とは異なり、国の法令順守を信頼あるいは期待して、国に特別な法的地位を認めるものであり、換言すれば、国の『固有の資格』を前提とする制度である。国が、公有水面埋立法によって与えられた特別な法的地位(『固有の資格』)にありながら、一般私人と同様の立場で審査請求や執行停止申し立てを行うことは許されるはずもなく、違法行為に他ならない」と指摘。

 

 また、「故翁長雄志知事がおこなった埋立承認取消処分(2015年10月)に対して、審査庁としての国交相は、執行停止決定は迅速におこない埋め立て工事を再開させたものの、審査請求における適法性審査には慎重な審議を要するとして、前述の和解(福岡地裁那覇支部)でとり下げられるまで長期にわたって違法性判断を回避した。それにもかかわらず、地方自治法上の関与者としての国交相は、ただちに埋立承認取消処分を違法であると断じて、代執行訴訟を提起するといった行動をとったのである。このような矛盾する対応は、審査庁としての国交相には第三者性・中立性・公平性が期待し得ないことの証左である」とのべ、「日本政府がとる、このような手法は、国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を乱用するものであり、法治国家にもとるものといわざるをえない」と批判した。

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