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憲法研究者らが辺野古新基地建設の強行に反対する声明

 沖縄県民の圧倒的な反対世論を押さえつけて日米政府が強行する辺野古新基地建設について、稲正樹元国際基督教大教授ら憲法学者の有志一同が24日に、都内の衆院議員会館で会見をおこない、辺野古新基地建設の強行に反対する憲法研究者声明を発表した。24日時点で131人の憲法研究者が声明に賛同している。

 

会見で発言する憲法研究者ら

 会見のなかで稲氏は「辺野古基地建設の問題は沖縄県民の問題だけではなく、日本国民にとっての問題だ」と強調した。「住民・県民の意志を一顧だにせず建設されている辺野古新基地は、当該地域の住民の意思を踏みにじり国家権力が闇雲に発動している。この一点において、住民自治、団体自治という憲法の地方自治の本旨に反するものである。そして民主主義の問題だ。民意を誠実に聞き、民意に答え、政治の基本を決定していくことが立憲民主制の基本である。それに照らし合わせると現在の安倍政府はアメリカ側の歓心を買い、アメリカの国益にそう形で沖縄を切り捨てているといわざるを得ない。自己の見解や自己の政治的立場に反する民意を切り捨てて恥じないという政治は、民主制とはほど遠い独裁制ではないか」と批判した。

 

 そして「声明のなかには記載されていないが、辺野古新基地建設の問題は米軍基地を日本全土において自由に設置・管理・運営してよいということをアメリカに認めている地位協定とその元の安保条約の問題が根幹にある。アメリカのいうがままにその基地建設に邁進するという政府の方針を支えている安保条約の問題を私たちは国民的な課題として受け止めていくべきだ。私は憲法研究者として暴力によって服従させられるということを拒否したい」と強く訴えた。

 

 石川裕一郎聖学院大教授は「これは沖縄の人権、日本国民の人権、日本国の民主主義の問題である。辺野古新基地建設において現政権はすでに沖縄の人たちを懐柔しようという意図すらない。ポーズですら沖縄の民意にそうということをしなくなっている。強い者が圧倒的な力によって弱い者に有無をいわさず強行する。これまでの国会の強行採決にもあるように現政権を象徴的にあらわしているものだ。しかしこれは、沖縄に対する差別というだけの問題にとどまらない。日本国内全体にいえるものだ。オスプレイが最初に飛び始めたのは沖縄だが、日米地位協定ではオスプレイは日本国中どこでも飛べる。日本国民の民主主義、デモクラシーの問題だ。そういった視点からわれわれ憲法研究者もこの問題を重要視している」とのべた。

 

 飯島滋明名古屋学院大教授は「明治憲法下では地方自治というものはなかった。地方公共団体というのは国の意向をすみずみまで行き渡らせるという組織の役割を果たしていた。これが戦争遂行を容認したという考え方のもとに、今の日本国憲法では地方自治が重視されている」とのべた。

 

 その例として1950年にできた港湾法を挙げ、「港湾法では港湾管理権を自治体の首長が持っている。戦時中は全国各地の港から軍艦が出て行き戦争をおこなった。それをさせないために自治体の首長が管理権を持っている。公有水面埋立法も同じだ。自治体の首長に持たせることによって戦争をしないようにしようというのが法の体系としてできている。それを安倍政権は壊し、戦争できる国づくりを進めている。辺野古新基地建設は普天間基地の危険除去でもアメリカが日本を守るためでもなく、あくまでアメリカの軍事戦略と日本の戦争のできる国づくりの一環だということをとらえなければならない」と指摘した。

 

 声明要旨は以下の通り。

 

 2018年9月30日、沖縄県知事選挙において辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の圧倒的な民意が示されたにもかかわらず、現在も安倍政権は辺野古新基地建設を強行している。安倍政権による辺野古新基地建設強行は「基本的人権の尊重」「平和主義」「民主主義」「地方自治」という、日本国憲法の重要な原理を侵害、空洞化するものである。私たち憲法研究者有志一同は、辺野古新基地建設に関わる憲法違反の実態及び法的問題を社会に提起することが憲法研究者の社会的役割であると考え、辺野古新基地建設に反対する声明を出すものである。

 

 辺野古新基地建設問題は、憲法九条や日本の安全保障の問題であると同時に、なによりもまず、沖縄の人人の人権問題である。また、選挙で示された沖縄県民の民意に反して政府が強引に建設を推し進めることができるのか、民主主義や地方自治のあり方が問われているという点においては日本国民全体の問題である。政府が新基地建設をこのまま強行し続ければ、日本の立憲民主主義に大きな傷を残すことになる。こうした事態をわれわれ憲法研究者は断じて容認できない。直ちに辺野古埋立ての中止を求める。

 

 安倍政権は沖縄の民意を無視して基地建設を強行してきた。2018年12月14日には辺野古湾岸部で土砂投入を強行した。ここで埋め立てられているのは辺野古・大浦湾周辺の美しい海、絶滅危惧種262種類を含む5800種類以上の生物だけではない。「基本的人権の尊重」「民主主義」「平和主義」「地方自治」といった、日本国憲法の重要な基本原理も埋め立てられているのである。

 

 辺野古新基地建設に反対する人たちに対しては、「普天間の危険性を放置するのか」といった批判が向けられることがある。しかし「普天間基地」の危険性を除去するというのであれば、普天間基地の即時返還を求めれば良いのである。そもそも日本が「主権国家」だというのであれば、外国の軍隊が常時、日本に駐留すること自体が極めて異常な事態であることを認識する必要がある。「平和」や「安全」が重要なことはいうまでもないが、それらは「軍事力」や「基地」では決して守ることができないことを、私たちは悲惨な戦争を通じて歴史的に学んだ。アメリカと朝鮮民主主義人民共和国の最近の関係改善にもみられるように、紛争回避のための真摯な外交努力こそ、平和実現には極めて重要である。

 

 日本国憲法の国際協調主義も、武力による威嚇や武力行使などによる紛争解決を放棄し、積極的な外交努力などを通じて国際社会の平和創造に寄与することを日本政府に求めている。東アジアの平和は「抑止力」などという、軍事的脅迫によって達成されるものではない。辺野古新基地建設は、平和的な外交努力などによる平和構築を目指す日本国憲法の精神にも逆行し、むしろ軍事攻撃を呼び込む危険な政治的対応である。私たち憲法研究者有志一同は、平和で安全な日本、自然豊かな日本を子どもや孫などの将来の世代に残すためにも、辺野古新基地建設に対して強く反対する。

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