いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

大阪地裁 高校無償化裁判で大阪朝鮮学園が全面勝訴

 

判決後の地裁前で「勝訴」を伝える(28日)

 

安倍政府の朝鮮学校排除は違法・無効

 大阪朝鮮高級学校(東大阪市)の「高校無償化」裁判(大阪地裁第二民事部、西田隆裕裁判長)の判決が28日午前11時からおこなわれた。原告の大阪朝鮮学園(大阪市東成区)の主張をすべて認めた判決となった。

 

 傍聴席にはチマチョゴリ(朝鮮の民族衣装)を着た二十数人の女子生徒たちがずらりと並び、判決を待った。判決がいい渡されると傍聴席は総立ちとなり、歓声が上がり、皆が抱きあい、涙を流し、これまでのたたかいをねぎらいあった。弁護士も総立ちとなった。11時過ぎに裁判所の外で待機している人たちのもとに「勝訴」「行政の差別を司法が糾す」と書かれた垂れ幕を若手弁護士が持ってあらわれると、参加者は拍手し、歓声があがった。

 

 学園側の請求の趣旨は、①文科大臣が原告に対して平成25年2月20日付けでなした本件(「高校無償化法」)規則第1条第1項第2号ハに基づく指定をしない旨の処分を取り消す(取り消し訴訟)、②文科大臣は原告に対し、大阪朝鮮高級学校について本件規則1条1項2号ハに基づく指定をせよ(義務付け訴訟)、③訴訟費用は被告(国側)の負担とする、であった。判決は学園側の主張を全て認めた全面勝訴となった。安倍政府が省令(1条1項2号ハ)まで削除して、朝鮮学校を排除したことも違法・無効だと文科省側を糾した。

 

 「高校無償化法」は2010年4月、民主党政府下で施行されたが、朝鮮学校だけ先送りされた。「高校無償化法」は高校生に対する就学支援金であり、生徒自身への支給である。この法制度は、教育の機会均等、全ての生徒の教育権を保障するためにできた法律であり、法律成立の過程で民主党政府も「政治上、外交的な問題には左右されない。教育上の問題だ」とくり返しのべてきたが、当時の拉致問題担当大臣の横やりで適用が先延ばしになった。

 

 さらに、第二次安倍政府になり、2012年12月、当時の下村博文文科大臣は、拉致問題に進展がないこと、朝鮮総連との関係をあげ、「国民の理解が得られない」と省令を変え(上記ハの削除)、朝鮮学校を排除し、露骨な朝鮮差別、民族排外主義を教育行政に持ち込んだ。

 

 文科省は、教育基本法に書かれている「不当な支配」を持ち出し、朝鮮学校が朝鮮総聯、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)など特定の団体に支配されていると主張したが、この根拠は産経新聞や民団新聞、さらには公安調査庁の資料である。判決はこれらの資料には「裏付けもない」と一蹴し、判決文では「両者の関係が不適正とはいえない」とした。さらに「不当な支配」の有無を判断する裁量は文科相に与えられていない、このことを認めれば「行政権力の教育への介入を過度に容認することになる」と言及した。

 

 判決文では「朝鮮高級学校は、在日朝鮮人子女に対し朝鮮人としての民族教育をおこなうことを目的の一つとする学校法人であるところ、母国語と、母国の歴史及び文化についての教育は、民族教育にとって重要な意義を有し、民族的自覚及び民族的自尊心を醸成する上で基本的な教育というべきである。そうすると、朝鮮高級学校が朝鮮語による授業をおこない、北朝鮮の視座から歴史的・社会的・地理的事象を教えるとともに北朝鮮を建国し現在まで統治してきた北朝鮮の指導者や北朝鮮の国家理念を肯定的に評価することも、朝鮮高級学校の上記教育目的それ自体には沿うもの」であると指摘し、「不当な支配とは認め難い」とのべている。

朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪が主催した報告集会(28日)

 「高校無償化」裁判は、大阪以外でも東京、名古屋、広島、福岡でたたかわれている。
 傍聴した朝鮮学校関係者、日本人支援者は口口に朝鮮学校生徒の教育権を認め、在日朝鮮人の尊厳を守り、未来を見据えた判決に感動の声を上げた。判決後、裁判所の近所のビル会議室でミニ報告会がおこなわれた。夜、東成区民センターで「判決言い渡し報告集会」がおこなわれ、約700人が集まり会場は満席となった。

 

 金英哲(キム・ヨンチョル、大阪朝高出身)弁護士は、解釈の点で部分的に認められていない点はあるが、学園側の主張が全て認められた判決であること、国は控訴するがさらに判決文を精査し、弁護団も全力で頑張っていくとのべた。

 

 オモニ会の高吉美(コウ・キルミ)会長は、3年前の集会で朝高の生徒が、無償化は恩恵でなく、権利であり、このたたかいには正義、希望、未来があると力強く発言したことをあげ、子どもたちの笑顔と明るい未来のためにこれからもたたかい抜くとのべた。

 

 朝高2年生の女子生徒はチマチョゴリを着て登壇し、「なぜ私たちはチマチョゴリを着て通学できないのか」と日本社会の差別構造を批判し、「この判決は私たちの存在を認めてくれた。これからは堂堂と生きていける。今度は自分たちが後輩たちを守り、差別がなく、人権が奪われない社会をめざしてこれから生きていきたい」とのべた。

 

 韓国の「ウリハッキョとこどもを守る市民の会」の代表は、六四団体の共同声明を読み上げ、「民族教育の権利のために、ともに生きる日本社会のために、未来の東アジアの平和のために、祖国の統一のためにともにたたかい抜きましょう」とのべた。

 

 主催者団体の「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の伊地知紀子共同代表(大阪市大教授)が声明文を読み上げ、日本政府は判決を受け入れ控訴することなく、直ちに「高校無償化」制度を全国の高級学校(10校)に適用すること、あわせて地方自治体への補助金交付見直しを求めた2016年3月29日の文科省通知を撤回すること、大阪府・市に対しては不毛な対立に終止符をうち、速やかに補助金支給を再開することを求めた。

判決後の地裁前(28日)

関連する記事

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。