(10月9日付掲載)
れいわ新選組は7日、衆議院第1議員会館で次期衆議院選挙の公認候補予定者の発表会見をおこなった。会見では、北海道、東北、北関東、東京、南関東、東海、近畿、中国、四国、九州地域の比例や小選挙区候補予定者17人が立候補の決意をのべた。すでに公認が発表されていた11人と合わせて28人の顔ぶれが明らかになった。選挙区では、立憲民主党の野田代表が足場とする千葉14区、枝野元代表の埼玉5区などにも候補者を立てる形となり、山本太郎代表は、国を衰退させてきた自民党だけでなく、その補完勢力としてアシストしてきた旧来の「野党」とも対峙していく姿勢を示した。最低でも現状(衆院3議席)からの倍増を目指し、真正面から政策を訴えていく決意を語った。新しく発表された公認候補予定者の決意と会見の模様を紹介する。
■国民を大事にしない政治では衰退は止まらない
のむらパターソン和孝 (比例北海道)
私は3代前から自民党を支持する家庭に生まれ、自民党に投票したことすらある。ただ、成人して国際結婚し、国内外さまざまなところを見たり、アーティスト活動や中小企業をみずから経営するなかで、今の政治の暴走には我慢ができなくなった。直近では旭川の市議会議員として活動してきた。正直な発信をするなかで、自民党の国会議員や統一教会の信者から訴訟を受けたりもしたが、そのスタンスは変えずにやっていきたい。今のこの状況を変えないことには日本の衰退は止まらない。国民を大事にしない政治ではこの国は決して良くならないと強く感じている。
私は、現役の議員として、元アーティストとして、中小企業経営者として、父として、子として、さらには30代の日本人として、しっかりとれいわの政策を北海道で背負っていきたいと思っている。(旭川市議会議員)
■東北にこそ積極財政を!
にとうべ とうま (山形2区・比例東北)
私は大石田町の町議会議員をしている。地方議員約5年のなかで、子育て支援、若者の移住定住の支援、雪の課題など、さまざまとりくんできたが、行き着くところは財政の問題だった。地方自治体では今、壊滅的な少子化、人口減少が起きている。失われた30年をとり戻すためには経済政策、東北にこそ積極財政を。しっかりと訴えていきたい。(山形県大石田町議会議員)
■皆のために働く政治つくる
大林 まさひで (宮城4区・比例東北)
私たちの生活は、政治に支えられている。その政治は、誰がやっても同じではない。ひとつひとつの政策がいかに立派であっても、市民の支持と理解が得られなければ民主政治を実らすことはできない。今、世界の常識が過激に変わろうとしている。日本の政治もこれまでの常識を見直して、みんなのために実践・実行する政治を選んでほしい。市民みんなが均等な政治の恩恵を受けられるようにすること、それが政治の基本だ。国内の政治で唯一ベンチャーといえるのはれいわ新選組だ。皆さんのこれまで溜めた鬱憤を晴らしたい、その思いで挑戦する。(コンピュータ・セキュリティ対策法人)
■子どもたちのため核燃サイクルに反対する
佐原 若子 (比例東北)
弘前に住み歯科医師をしている。ずいぶん前になるが、(イギリスの)セラフィールドの子どもたちの歯からプルトニウムが検出された。これは大変なことだ。子どもの頃から被ばくしていないとそんなことにはならない。私はその恐ろしさから核燃料サイクルに反対してきた。そして今、れいわ新選組とともに反原発、反戦争で一緒に子どもたちに明るい未来をあげたい。
失われた30年をとり戻すのは山本代表率いるれいわの経済政策以外にあり得ないという強い思いで、れいわの一員となり、山本太郎代表を押し上げ、この国を救いたい。(歯科医師)
■野党再編し、政権交代を目指す
高井 たかし (埼玉13区・比例北関東)
私は幹事長であると同時に、北関東ブロックの責任者だ。北関東ブロックは3年前、惜しくも1議席とれなかったブロックであり、今回は何としても1議席、そして2議席を目指すという役割を担ってきた。
裏金ナンバーワン議員の二階さんが引退したので、この埼玉13区の三ツ林議員が現職国会議員ではナンバーワンの裏金議員だ。私は総務省で働いていたときに、政・官・行の癒着、まさに政治とカネの問題を目の当たりにして、「こんな政治は変えなければならない」と思い、公務員を辞めて政治の世界に入った。
あれから20年経つが、未だに何にも変わってない。政治と金の問題を何としてもここで決着をつける。そのためにはこの象徴的選挙区の埼玉13区で、裏金ナンバーワン議員には必ず退場してもらう。
それともう一つ。これから野党再編をして真に強い野党をつくって政権交代をするためには、幹事長であり交渉役の私が国会議員でなければならないと思っている。そういう意味でも必ず当選して野党再編、そしてれいわ新選組が中心となった政権交代を実現していく。(元衆議院議員)
■地獄のような選択肢に風穴開ける
辻村ちひろ(埼玉5区)
私は自然保護の現場で働き、各地を歩いてきたが、そのなかでは常に声なき声が押し潰されていく構造をまのあたりにしてきた。今回出馬予定の埼玉5区は、地獄のような選択肢しかないと私は思っている。また、そのなかには弱者の声が削ぎ落とされていってしまう同じ構造があると私は強く感じた。だからこそこの埼玉5区で、巨大な相手ではあるが、第三極として風穴を開けていきたい。(自然保護アナリスト)
■深刻な人権問題の解決にとりくむ
加川 ゆうみ (茨城3区)
私は元牛久市議会議員だ。牛久市には東日本入国管理センターという法務省管轄の施設がある。そこでは、身長180㌢の外国人の背が天井に届くため、かがまなければいけないほど狭く、室温42度の居室の中で暮らしている状況だ。このような人権問題、福祉、教育に全力でとりくんできた。議席を獲得できたらまずは人権問題を全力で解決していきたい。また給食費の完全無償化、地域交通の確保にもとりくみ、地域のために全力で働く。(元牛久市議会議員)
■今こそ積極財政の旗を立てるとき
長谷川ういこ(比例北関東)
今回自民党総裁選と立憲民主党の代表選がおこなわれ、どちらも緊縮の代表が選ばれた。今こそ、れいわ新選組の積極財政の旗を立てにいかなければならないということで、前回ギリギリ議席を獲得できなかった北関東ブロックで必ず議席をとり、れいわ新選組の躍進の一歩にする。
皆さんと一緒にれいわ新選組の積極財政で、誰も心配しなくていい、そんな社会をつくっていきたい。そして与党とも野党とも全力で戦っていきたい。(れいわ新選組政策審議会経済担当)
■日米地位協定を含む日本の外交防衛政策を正す
伊勢崎 賢治 (比例東京)
私は国連や日本政府代表という立場で、国際紛争の現場で働いた実務家だ。東京外国語大学で教鞭をとり、平和構築という分野を教えてきた。同時に、防衛省の統合幕僚学校という堅苦しいところで、陸海空の自衛隊の精鋭たちを10年以上にわたって教えてきた。安全保障の専門家でもある。
非戦。つまり、戦争にあらがい、いかに戦争を回避するか。私のアプローチは、歴代の日本の政権(旧民主党政権も含む)と正反対のものだが、防衛省のなかにはそういう私の講座を維持してきた人たちもいることも忘れてはいけない。実際に命をかけるのは、政治家でも官僚でもなく、彼らなのだから。
私はれいわを通じて、日本の外交防衛政策を正す。それは日米地位協定を含む。残りの人生をそこに賭けるつもりだ。
現在進行する二つの大きな戦争を止めるために以下のことを付け加える。なお、ガザについては戦争とは呼ばず、ジェノサイドと呼ぶ。
2001年の9・11同時多発テロ後、主犯アルカイダとともに悪魔化されたタリバンに米国が戦いを挑んだアフガニスタンでの対テロ戦は、20年を経て2021年8月15日、地上最強の軍団であるはずの米・NATO軍の完全敗北で終わった。
タリバンがそうであるように、ハマスやヒズボラなど民衆運動から生まれた政体は、米国大統領の一任期をこえ、世代をこえて戦う。最初から勝負にならないのだ。しかし、その間に犠牲になるのは、おびただしい数の一般市民と兵士である。これを米国は苦い教訓としているはずだ。米国は今すぐにイスラエルのネタニヤフ政権に対する軍事供与を止め、即時停戦を説得すべきだが、これをやらない。日本が最たる親米国家であるという自覚があるのなら、日本がそれをするべきだ。
ウクライナ戦争について私は、決して「降伏」が望ましいといっているのではない。しかし、第二次世界大戦末期の日本政府に、もう少し早い段階で敵国と交渉するという考え方があれば、広島や長崎の悲劇は避けられたはずだ。ウクライナでは、まだ少数ではあるが、戦争の継続ではなくロシアとの対話と交渉によって、停戦を実現させたい国民の数は確実に増えている。徹底抗戦の末路としての苦い経験があるからこそ、日本人はその声に寄り添うべきである。
この戦争が始まった早期からそのような主張をしていた政党の党首は、山本太郎代表だけだ。だから残りの人生を、れいわに賭けたいと思った。(元国連PKO武装解除部長)
■原発再稼働させた与野党の政治判断を問う
ミサオ・レッドウルフ (千葉14区・比例南関東)
私は約20年間、脱原発の市民運動にとりくんできた。2012年、民主党政権のときに私たちは大飯原発の再稼働反対のための官邸前抗議を呼びかけ、10万人以上の人々が官邸前に集まった。私はその代表をして、野田首相に官邸の中で直接、大飯原発再稼働をするなと申し入れた。そしてこの千葉14区は、立憲民主党の党首になっている野田さんの選挙区ということで、12年前に原発再稼働をした野田さんの政治判断の是非も問いたい。また、もう与党にも野党第一党にも、どちらにも任せられないという強い気持ちがある。
れいわ新選組の議席を増やしていくしかない。困難な地域ではあるが、議席を獲得する一助になればと思っている。(デザイナー・イラストレーター、脱原発市民活動家)
■人権を尊重する、多民族共生社会を実現したい
上村 英明 (比例東海)
私は20年間、大学の教員をしてきた。私の専門は人権問題だ。また同時に40年間マイノリティや先住民族の権利と関わって人権運動をやってきた。 今回、れいわから出馬する一番の目的は、れいわの政策のひとつの根幹でもある人権を尊重した社会を実現するということだ。
「人権」とは、その言葉は誰でも知っているが、ほとんどの人が内容を知らないという典型的な分野だ。人権と普通の権利の違いは、普通の「権利」には対概念として「義務」があるが、人権にはそれがない。どんな状況であろうと守らなくてはいけないもの。それが人権だ。こうしたことが分かってないがゆえに、この社会にはさまざまな政策上の弊害が蔓延している。
その中でも私が今までやってきた分野に関していうと、多民族共生社会をつくりたいと思っている。これは難民の問題や移住労働者の問題がある。たくさんの人々が日本で仕事をしたり、生活をする時に公正な対応ができていない。ある意味では、使う時だけ使ってあとは「さよなら」というような状況で、そうした人たちを使い捨ててしまっている問題がある。
また、教育の現場でも人権という問題がわかっていない。子どもたちの権利、教員の労働権、そして教育をどうやって民主的に運営していくのかという根本的なところがわかっていないがために、さまざまな弊害が出ている。
こうした問題を議論して実現に向けて進んでいけるのはれいわ新選組だけだと判断した。政治というのは確かにテクニカルな問題であり、ある意味で妥協も必要だ。だが同時に本質を議論できないのであれば、政党は政党であるべきではないと思っている。その意味でれいわに対して、私は大変な期待を持って立候補している。(恵泉女学園大学名誉教授)
■金融詐欺を撲滅し、被害者を救済する
冨谷 こうすけ (静岡6区・比例東海)
私はYoutubeの『ガルスTV』というチャンネルで、金融詐欺被害の被害者救済、詐欺被害の撲滅を標榜して活動している。今日本で多くの人が金融詐欺被害にあっているが、これには将来不安が前提にある。私も実はスルガ銀行の不正融資「かぼちゃの馬車」の被害者だった。私自身の被害は回復したが、私の周りには多くの被害者の方が救済してほしい、助けてほしいということでやってくる。新たな被害者を一人でも救いたいという思いから今回立候補した。
れいわ新選組はストップ消費税を掲げている。消費税は社会保障に使うということで集められ、私もそれを信じていたが実際には社会保障にほとんど使われてないという事実を知ったときに、国民全員騙されていると思った。私の目的は政治家になることではなく、政治家になってこの国を良くすることだ。みんなが幸せに豊かに暮らせる国をつくるために、ジャイアントキリングを起こしたい。(大手家電メーカー勤務)
■健康保険証の廃止を撤回させたい
梅村 忠司 (比例東海)
歯科の開業医をしている。また三重県の医師と歯科医師1700人が所属する三重県保険医協会の副会長をしている。与党も野党も消費税を上げるばかりだ。消費税をぜひとも廃止して、まず生活を楽にしたい。私は年金を貰っているが、月に8万円だ。これでどうやって生活すればいいのかと思うと、歯科医師も辞めることができない。
物価高で収入がまったく上がらず、私たちは10円、20円にも苦労して生活しているが、一方で100万円、200万円を平気で懐に入れる国会議員もいる。私は政治家になったら、まず真っ当で正直な政治家になりたい。れいわの議員は尊敬する人ばかりで、2019年に党を立ち上げた時に初めて山本代表に会ってからずっと応援してきた。
喫緊の課題としては、12月2日といわれる健康保険証が廃止を断固として撤回させる為に、今、署名や街宣をしている。(歯科医師)
■希望と安心届ける政治を
やはた オカン (兵庫8区)
私は2020年から、やはたオカンという名前で活動を続けてきた。厳しい言葉を向けられることもあるが、「今の世の中はおかしい」「変えなければならない」という声も増えてきている。皆さんの生活に希望と安心と豊かさを届けられるような政治を目指す。(ホテル客室清掃)
■ゆずれない4つの信念を掲げて
細井 俊希 (比例中国)
理学療法士として訪問リハビリ、特別支援学校、放課後児童クラブなどで働いている。私の信念は四つある。「平和」、「教育」、「環境」、「ウェルビーイング」だ。
私は広島出身で平和を大切にしており、核兵器をなくす日本キャンペーンのボランティアもしており、核兵器禁止条約への署名批准をひとつの目標にしている。教育に関しては、子どもの個性に合わせた教育実現のため、子どもの選択肢をもっと増やしたい。環境に関しては、広島には里山里海がたくさんあり、大切にしていきたい。また、放射性廃棄物を出し続ける原発は廃炉にしたい。
ウェルビーイングに関しては、人生誰もが主役であり、最後に良い人生だったと思える最後を迎えられる社会にしたいと考えている。この四つの信念と、れいわ新選組の政策が合致していると考え、このたびれいわ新選組からの立候補を決意した。(理学療法士)
■発達障がい者の居場所づくりを
ライト 光 (比例四国)
日本では、発達障がいや知的障がいの人々が活躍できず、居場所がない。当事者に寄り添った政策が重要だ。例えば、官民一体となって行政、大手企業、優良企業等への障がい者雇用率を今以上に上げることは重要な課題だ。実際、私自身がアスペルガー症候群という障がいを持っており、弟も自閉症の重度の発達障がいを持っている。
しかし、例えば障がい者デイサービスなどに預けたくてもなかなか見つからなかったり、あるいは働ける場所を見つけられなかったりする。私自身はそこまで重度ではないが、コミュニケーションが苦手だったり、考えが少し他の人にまだ追いつけてないところがある。そうしたなかで、れいわ新選組では重度の障がい者が国会議員になっているということもあり、次は発達や精神・知的障がい者の人たちの居場所を求め、活躍できるような社会を実現したい。(警備会社勤務)
■県民所得が低い九州を浮揚させる政策を
民田 森夫 (比例九州)
九州はとても災害の多い地域だ。特に水害が頻発する。その水害によって肥薩線というところでは、不通区間がずっと放置されたままになっており、2025年度にならないと復旧しない見込みになっている。また、くま川鉄道というところは復旧の見込みさえ立っていない。その状態でどうやってその地域の人たちが過ごしていくのか。
九州においては、1人当りの県民所得が最高の福岡県でも全国35位。最低は沖縄県の47位で、下から13番目以内に九州すべてが入っている。最下位の沖縄県にいたっては東京都の41・6%しかない。そのなかで消費税を払わないといけない。これでは生活が苦しいに決まっている。その結果どんどん都会へ人口が流出してしまう。九州には水が豊富で非常に農業に適している土地があり、朝鮮半島や中国大陸に近いため、市場という点から見てもポテンシャルはとても高い。だからこそ積極財政で九州を浮揚させたい。(システムエンジニア)
■茶番国会に風穴を開ける選挙に――質疑応答より
記者 ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、ロシアとの軍事的緊張を高め、対ロ関係を悪化させた岸田・上川外交について伊勢崎氏はどう考えているか?
伊勢崎 ウクライナ戦争の開戦直後に、停戦のためのできるだけ早い対話と交渉を国連に託す主旨の訴えを「党首」として出したのは山本代表だけだ。有力な政治家のなかで私とまったく同じような主旨の訴えをした人が2人いる。今の首相(石破茂)と防衛大臣(中谷元)だ。当時この2人は、日本の国益を本当に真摯に考えていた。とはいえ、今は役職に就いているので話は別だ。
日本はアメリカ側に付いてロシア・中国を敵視し、悪魔化する。だが、両方ともアメリカと同じく超大国であり、彼らがくしゃみをしただけで私たちは風邪を引く。そういう意味では警戒はしなければならない。ただ、アメリカは何千㌔も海の彼方にあるが、中国・ロシアはわれわれの隣人だ。そこだけは違う。
アメリカが海の彼方から「あいつらに気をつけろ」「あいつらは悪魔だ」とささやく声にまんまと乗って、沖縄で重度の武装をしてミサイルを仮想敵国に向けることが、果たして日本の国防にとって良いことなのか、ということを考えなければならない。怖いからといって、敵国の一番近いところでミサイルを向けるというのは、ガキの発想。言い直すと、バカでもする発想だ。
アメリカの仮想敵国の目の前にいるからこそ、その国がアメリカと本当の戦争にならないように対話の役目を果たすという「緩衝国家」の実例は、北欧諸国にもある。NATOの創立メンバーであるノルウェーだ。この国はロシアと隣接しているが、国境地帯を日本の沖縄のように武装していない。
もちろん、ロシアの政治的な信条とはバッティングすることもあるかもしれないが、緩衝国家だからこそ、世界平和のためにできる役割がある。しかし残念ながら自民党政権、とくに岸田政権はそれと真逆のことをやってきた。これに対して私は日本の防衛の観点から非常に危機感を覚えている。野党としてできることをやる。それが私がれいわに人生を託す理由でもある。
山本 G7と足並みを揃えてロシアに対して経済制裁をおこなうということは、みずから敵国になりにいっているということだ。こんな愚かなことはない。目の前に中国・ロシアがあるという現実を含めたうえで考えるのが外交防衛だ。
ウクライナとの戦争に対して「やめよう」といえる近隣国としての立場を作っていくべきだったのに、残念ながら「自分も西側諸国の一員になりたい」というようなある種の「憧れ」を抱いたまま対米従属を強化し、自分たちの首を絞めているのが現状だ。私たちも、東アジアで第二ラウンドが起きないための動きをしていかなければならない。
記者 発足した石破政府に対する意見は?
山本 元日に発災した能登半島地震に対して岸田政府の支援は十分ではなく、現場の人たちが本当に困っていた。しかも、阪神大震災以降ボランティアに入り続けているような災害NPOやボランティアの人たちが、「こんなに先の見えない、支援が曖昧な生活復旧・復興は初めてだ」と疲弊していた。
そこに対して9月21日に豪雨災害が起き、私も2回現地に入ったが、残念ながら悲惨な状況しか耳にしなかった。国や県からのプッシュ型支援もなく丸投げの状態で、「お前たち、大地震で余っている物資があるだろう」「NPOがいるだろう。何とかしてもらえよ」というような形だ。私が現地に2回入って求められていることをまとめ、必要なことを国に申し入れした結果、これまでは市町などに対して十分なヒアリングなどがおこなわれていなかった部分が少しずつ動き出した。そこに関しては少し良かったと思うが、裏を返してみれば、被災地を何とかしたいというよりも、無理矢理選挙をやっていくうえで、被災地を切り捨てて置き去りにしているという現実を覆い隠すための小手先の対応でしかない。
能登6市町は、日本の国土の0・45%ほどの面積しかないが、そこに小手先の対応しかしない。そのことを考えると、これから南海トラフや首都圏直下という大型地震がやってきたときに、人々は救われるどころか見殺しにされる。石破さんの人柄なんて関係ない。彼も自民党の一員として、20年の日本の没落を手伝ってきた一人でしかない。そこに希望なんてない。だからこそ私たちが数を増やして、腰の抜けた野党たちに腰を入れるしかない。
各地域で「仁義なき戦い」 立憲民主党の中枢とも対峙
記者 立憲民主党の野田代表の千葉14区、枝野氏の埼玉5区などにれいわの候補者を擁立した理由や込めた思いは?
山本 立憲民主党に対しては、千葉14区の野田佳彦代表、埼玉5区の枝野幸男議員、宮城4区の安住淳議員の選挙区に、れいわの候補者を擁立している。自民党が2012年の終わりに政権を奪還したが、その前の民主党政権時代に民主党が数々の汚れ仕事をこなしてきた。「消費税を4年間上げない」といっていたのに増税したり、武器輸出や国内での武器製造、共同武器製造などさまざまなことに道を開いてきたのが民主党だ。その過去の亡霊たちが今、絶賛活躍中で代表選にまで出てくる。代表選では「野田さんだけはだめだ」「やっぱり枝野さんだ」などといわれていたが、はっきりいえばどっちも同じだ。
枝野さんは大臣として消費税増税のためのとりまとめをやってきた人であり、自分のさまざまなポジションを確保することと引き替えにこの国を壊してきた。立憲民主党を立ち上げた「始まりの人」であり、次の代表選で力を得てしまう可能性もある。また、2011年に原発事故が起きたにもかかわらず、同年7月に当時官房長官だった枝野さんは原発輸出について「国際的約束を守る」といって継続を表明している。
他にも2012年の経産大臣時代に「大飯原発再稼働はやむなし」とするなど、原発再稼働や原発建設の推進役を担ってきた。これだけの地震大国で、いつ収束するかもまったく目処がついていない世界で一番脆弱な核施設を持ったまま原発を続けていくということは、もはや電力のためではなく経済・産業界のためでしかない。
安倍政権では辺野古移設推進、オスプレイ運用拡大、集団的自衛権解釈改憲、日米軍事協力の世界規模の拡大、武器輸出の緩和などの対米従属政策が進められてきたが、これらの道筋をつけたのが民主党野田政権だった。自民党でも踏み込めなかったところを、民主党が汚れ仕事としてやり、平和国家日本を揺るがすようなアメリカ追従の基礎を作った。そして立憲民主党になってからも、自民党がやりたいことに対して賛成し続けている。
立憲の国対委員長だった安住さんもその一人だ。彼はこの数年間のあまりにもひどい国会運営の先頭に立ちすぎた。今年1月1日に能登半島地震が発生した。能登半島地震に関する予算は1月に提出される2024年度予算を編成する段階ではまだ地震が起きていないので、このなかには含まれていない。能登半島地震については補正予算が絶対的に必要だ。
一方で、能登半島地震に対しては予備費で小出しにするという。これではどこまでやれるかわからないので、どの省庁も蛇口を絞る。現場への支援が圧倒的に足りていない原因は、当然補正予算を組んでいないからだ。私たちは、とにかく能登半島地震に特化した補正予算を組めということを訴えてきた。
しかし、このとき立憲民主党がやっていたことは裏金問題だ。裏金問題も重要だが、それよりも能登被災地がないがしろにされてしまっていることの方が重要だ。もはや自民党と一緒になって「今国会では補正予算は通さない」と決め、被災者さえも救わないということを裏で自分たちで決めているとしか考えられない。一刻も早くこういう人たちを政界から追放するべきだ。合法的に追放できる方法が選挙であり、少なくとも選挙区で勝てないという状況であっても、比例で重複ということになるだけでも彼らの党内での力が弱まる。
立憲民主党のなかには私たちの考え方と近い良い議員たちもたくさんいる。過去の亡霊たちが、そういう人たちの仕事を台無しにし、日本の国益を損ねている。だからこそこちらから対抗馬を立てて、元凶、臭いの元を絶たなければ意味がない。過去の民主党が、立憲民主党という皮を被っているだけで中身は何も変わっていない。
この30年間日本を壊してきたA級戦犯が自民党であることは間違いないが、その影でアシストしてきたのが民主党であり、立憲も同じだ。自民党の劣化コピーだということを多くの人々に知ってもらうことが重要だ。
政権交代を目指すには、野党のなかで、れいわの数を増やす以外に方法はない。そうすることで私たちの交渉力や発言力を高めていくことが重要だ。とはいえ、2019年に消費税廃止を訴えたときには、野党の間でも「センスがない」などと笑われたが、今は自民、公明、立憲以外の政党はすべて消費税減税を訴えるようになっている。数は少なくても風穴は開けられるし、数が増えればその穴はもっと大きくなる。そうすることで、なれ合いの世界に対して冷や水をぶっかけ、突破していく力を私たちは持っている。