いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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猿の尻

 米大統領になるトランプがテレビ画面に出てくると、口の悪いお年寄りが「サルの尻(ケツ)」呼ばわりして周囲を驚かせた。興奮し、顔を紅潮させてまくし立てる様がそのように見えるようで、以後、話を聞いたこちらまでが「サルの尻」を連想してしまうようになっていけない…。ゴルフクラブを握りしめて媚びを売りに行く者がいる一方で、巷にはひどく破壊力のあるあだ名をつけ、風刺するご老人がいる。
 トランプの振る舞いについて知性や品性に欠けるといって連日メディアが嘆いてみせている。ロシアでの醜聞等等、真偽のほどは別として飛び交っている情報は確かに下劣であるし、会見での記者とのやりとりも身も蓋もないものだった。オバマとまったく異なるタイプの人間がアメリカの最高権力者になったのだ。そして、そんな海の向こうの支配層内部の戸惑いが伝播したのか、日本国内でも「アメリカは大丈夫なのでしょうか?」と識者が眉間にしわを寄せ、心配そうな素振りをして不安がっている。
 ここで思うのは、目下、知性や品性を問題にしているエスタブリッシュメント(既存の権威)といわれる側についても、それではオマエたちは品位のある政治をしてきたのか? という点だ。紳士面をして九九%のクビを締めるような政治をしてきたから民衆にしっぺ返しを食らい、その屈折した力がサンダース・トランプ旋風となったわけで、既存政治が綺麗であったなどといえるものでもない。オブラートをはぎとって登場した赤ら顔もまた、さっそく軍人やウォール街人脈で周囲を固め、より露骨に米大統領としての権力を行使し始めることは疑いないが、オバマやそれまでの米大統領には品位があってーー という評価については、それこそ猿の尻笑いではないかと思うのだった。
 支配の側が欺瞞力を失ったもとで、トランプのような男が権力を握って暴れ始めた。そして老人たちは「今日も猿の尻が興奮しておる」と話題にしている。  武蔵坊五郎

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