いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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記者座談会 トランプ登場をどう見るか 

大統領選の勝利演説をするトランプ(16年11月9)

米国の階級矛盾激化を反映

 アメリカではトランプが大統領に就任し、選挙公約で掲げていた政策を次次に大統領令で発令して物議を醸している。TPP離脱、オバマケア廃止、メキシコ国境への壁建設、移民排斥などの一連の政策に「保護主義に向かって戦争になる」「人種差別」「強権による民主主義の圧殺だ」などの批判的な論調がメディアで飛び交い、先行きの見えない混沌とした不安ばかりが振りまかれている。本紙では、このトランプ体制の本質と、それを動かしている情勢の特徴について記者座談会で論議した。

 貧困拡大し統治力崩壊 墓穴掘った新自由主義体制

  トランプの発言の一つ一つや反トランプデモなどが連日センセーショナルに報じられ、事態をどう見るか? をめぐって混乱がある。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を声高に叫び、国益を損ねるものについては一貫して攻撃したり、排除するという姿だが、表面的な言動やトランプの素性だけをとりあげて、支持するかしないか、好きか嫌いか、批判的に見るか肯定的に見るかという極論が混在し、ぶつかり合ったりしている。「保護主義に走れば世界は多極化して戦争になる」「下品極まりない差別主義者だ」「自由を束縛する独裁者だ」という調子の論評も多く見られるが、そのような一面だけを短絡的に切りとっても本質は見えてこない。このトランプ体制に行き着いた米国社会の本質を見なければいけない。


  知識人のなかでも混乱がある。「トランプ誕生はグローバル化に対する反抗のあらわれではなく、弾圧体制の強化であり、自由と民主主義の敗北だ」とか「第2次大戦でファシズムに勝利したアメリカの民主主義が損なわれる」など暗くなっている感じもある。概して「オバマは平和主義だった」という評価があり、とくに「進歩派」の側にそのような見方が強いようだ。アメリカの変化を捉えなければならないわけだが、一挙手一投足に反応して一喜一憂していてもはじまらないという感じだ。


  まずはトランプ登場に至った大統領選はどんなものだったか正しく捉える必要がある。今後どのような政策をとるにせよ、トランプはその国内矛盾と世論に縛られている。政財界メディアなど既存勢力は、完全にヒラリー・クリントンの勝利を予測して、その方向で世論を先導した。アメリカ国内では大手メディアのほとんどがヒラリー側についてトランプバッシングを展開したにもかかわらず敗北した。ここで噴き上がった力、大統領選を下から突き動かした原動力を見なければいけない。


  大統領選では、トランプ現象とともに、民主党の予備選でサンダース現象が席巻した。社会主義者を自称し、アメリカ国内で深刻化する格差を是正するため、金融資本や多国籍企業など1%に集中した富を再分配して、教育や福祉、社会インフラ整備に注ぐ、このために「優遇されてきたウォール街に課税せよ」という主張が若者を中心に全米で支持を集め、ゴールドマン・サックスなど金融業界から多額の選挙資金を得ていた元国務長官のヒラリーを追い詰めるところまで押し上げた。選挙コントロールで民主党本部がヒラリーを指名した後、「嫌われ者対決」といわれた本戦では、金融寡頭政治やワシントン体制の批判を展開したトランプが勝利し、メディアや金融業界をバックにして「常識的な選択」の側にいたヒラリーが敗北した。このヒラリーの敗因にこそ、もはや権力ではコントロール不能なほどに噴き上がった米国内の変革要求がある。過去数十年間、グローバル化を推し進めてきた発信源である米国内で、深刻な社会の崩壊が起きていることを世界に知らしめた。


  まさにみずから墓掘り人を生み出した。イギリスにせよアメリカにせよ、資本主義の総本山が実はもっとも社会が蝕まれていたし、それがブーメランになって跳ね返ってきている。日本ではあまり知らされていないが、アメリカ国内の貧困化は凄まじいものがある。それが保護主義に向かわせる最大の矛盾だろう。もはや世界を牽引できる先進国とはいえないほど没落しているという現実だ。


  全米では60万人ものホームレスがいる。米住宅都市開発省の調査では、政府や行政が避難用に用意した「シェルター」と呼ぶ無料宿泊所に40万人、また、18万人が路上や車中、公園などの屋外で寝泊まりしている。


 調査機関によってホームレスの定義にも幅があり、700万人をこえているという報告もある。最大はニューヨークの6万人で、昨年末にはロサンゼルス、ポートランド、ハワイなどでホームレス増加による非常事態宣言を出している。4割が家族連れのホームレスで、「全米家族ホームレスセンター」の2014年の推定では、全米で子どものホームレスは過去最高の250万人と報告している。30人に1人の子どもがホームレスを体験しているという深刻さだ。


 リーマン・ショックの原因を作った主要大銀行が公的資金によって救済され、いまやそれ以前を上回る過去最高益を上げる一方で、国内では家賃が払えずに家を追われる人たち、医療破産、奨学金破産に追い込まれる人人が年年倍増している。フードスタンプ(生活保護)受給者は国民の七人に一人におよび、労働人口の4割が職を失っている。


  日本では、マイケル・ムーアの映画「シッコ」や、堤未果のルポ「貧困大国アメリカ」など限られた機会でしか知り得ないことだ。多くの人が高い保険料がかかる医療保険には入れず、盲腸の手術に500万円、虫歯治療は1本25万円など法外な費用がかかり、「チェンジ」を唱えたオバマがやった国民皆保険オバマケアも大手製薬会社や保険会社は焼け太りしたが、肝心の保険料も薬価も値上がりしただけだった。「チェンジ」といって国民に幻想を振りまいて、金権政治にひたりきったオバマへの失望がトランプ勝利につながったといえる。メキシコへの関税強化も、保護主義にしても、かつてのニューディール政策のような仕事を与えなければ99%の反発は止められないという切迫した現状に対応したものだ。それほど余裕のない力関係の下で政治が動いている。


 D 冷静に現実を直視すれば、ヒラリーになろうが、トランプがどのような政策をとろうが、アメリカそのものが世界の指導的立場にはないほど没落したということだ。立教大学の西谷修(哲学)は、アメリカが掲げてきた「自由」と「解放」のロジック、つまり国や地域ごとの社会形態や習慣、文化などの一切を「非合理的」「自由への障壁」として否定し、アメリカン・スタンダードで均一化して自由競争を持ち込んでいく新自由主義の破産だといっている。それは一部の多国籍企業や金融資本、投資家にとっての「自由」と「解放」でしかなく、一般の労働者、人民は無慈悲に裸で路頭に「解放」されることであり、奪われるだけの「自由」だったということが鮮明になっている。これに対置して、地域の生産基盤や共同体に根ざして独自の政治を打ち立てていく方向でどうたたかうのかという観点でなければいけないと提起している。


  ソ連崩壊後アメリカ一極体制のもとではびこった新自由主義は、国家の規制を撤廃して、市場競争の決定に社会の再編をゆだねるというものだが、その結果アメリカ社会をさんざんに衰退させたという顛末だ。サブプライムローン問題など実体経済からかけ離れたマネーゲームが破産し、「テロとの戦い」を叫んだイラク戦争も泥沼化して国内を疲弊させ、世界中だけでなく国内でも求心力を失った。もはや脱グローバル化に進むしか活路がなくなっている。

 海外進出し国内空洞化 移民増やした原因

 

金融資本の富独占に抗議し、ウォール街を占拠する若者たち(2011年)

 E トランプは就任初日にTPPからの永久離脱の大統領令を発した。これは選挙戦での公約だが、その根拠にあるのがNAFTA(北米自由貿易協定)の失敗だ。メキシコ、カナダ、アメリカの北米地域で無関税で輸出入を可能にした。TPPはそれに輪をかける自由貿易協定だが、日本だけでなく、アメリカ国内でも反対世論が圧倒して、大統領選では全候補者が反対を公約にした。


 NAFTAは1994年に発効し、すでに23年経っている。94年というのはGATTウルグアイラウンドなどで、アメリカが一気に自由貿易で世界に攻勢を仕掛けていった時期だ。この間にアメリカ国内で500万人の雇用が失われた。メキシコから流入した移民が職を奪ったという構図で「国境に壁を作る」といっているが、その移民流入の原因を作ったのがNAFTAだった。メキシコは農業国だが、そこにアメリカから無関税で安い農産物が大量に流入していった。それまで100%自給だった主食のトウモロコシが、NAFTA発効後の20年間で輸入量は410%も増加している。メキシコでは農民が経営に行き詰まり、土地を追われ、低賃金労働力として米国内に流入した。モンサントやカーギルなどアグリビジネス資本の台頭によってアメリカでも個人農家は土地を奪われ、農業労働者になっている。そこにメキシコの移民が流れ込んでいるため飽和状態になった。


 農業資本は、今度はメキシコにも資本を投下して工場をつくり、安い豚肉などを輸入して肥え太った。08年のリーマン・ショック以後は、マックの労働者が最低賃金の値上げ斗争をやったり、メキシコでも農業労働者の抗議行動が激しくなった。どちらの国でも多国籍企業の暴利のために農家や労働者が犠牲になっている。これ以上搾取できないところまで貧困化させ、グローバル化の下では経済発展はないというところまで行き詰まっている。


  メキシコは人件費が安く、低コストで生産できる格好の場所だった。だからフォードなど自動車会社がどんどん進出し、日本でも日産やマツダなどが生産拠点を置いて、アメリカやカナダに無関税で売り込んでいく。経済的な不均衡を利用して多国籍資本が搾取の対象として利用してきた。だが、そのようにグローバル化を進めた結果、アメリカでは製造業が衰退した。トランプの勝利を引き寄せたのは、ペンシルベニア州やオハイオ州などかつて鉄鋼業や重工業で栄えたラストベルト(錆びついた工業地帯)の接戦州を抑えたことだといわれるが、フォード、GM、クライスラーのビッグ3に収斂される自動車産業界は、1970年代の2度のオイルショックで潰れかかって政府から融資を受けながら国際競争力といって他地域やメキシコに工場を移転した。ラストベルトの中心にあったデトロイトでは、200万人いた人口が70万人にまで減少し、2兆円もの負債を抱えて財政破たんにまでいった。


 D 現在は、労働集約型の工場は国外に移り、アメリカ国内では最先端型の開発分野などだけが残っている。GDPにおける製造業の比率は、60年代の27%から比べると、2001年には13・1%へと落ち込み、いまや10%前後だ。海外進出が進み、脱工業化による金融立国を目指した過程で技術力も含めて劣化していることは否めない。


 IT関連でも、DELLなどの米パソコンメーカーの製造拠点は中国や台湾に移っている。アップルも自社工場は持たず、アジア圏で部品を製造し、それらを集めて台湾で委託製造をやっている。ITバブルといっても米国産といえるものがなく、本国ではウォール街にカネが集中するだけでモノづくりの力は空洞化した。金融立国といって金融取引に傾斜している間に、産業資本はみんな外に出て行った。


  リーマン・ショック後、移民の流入も含めて米国の人口は年率で300万人規模のペースで増えている。だが雇用の方では、08年から10年までに700万人近い職が失われた分をまだとり戻せていない。その雇用を奪い合う形で白人と移民系との対立を生んでいるが、労働力の飽和状態は資本の側からすれば都合がよく、労働力を安く買い叩いたり、短期雇用で切り捨てるなど、利益率を上げる絶好の機会となった。ロボット化などの生産効率化という要素もあるが、アメリカの労働生産性が上がっているという主因になっている。だが貧困化が深刻化し、税収も内需もますます冷え込むという関係で、社会機能を麻痺させるところまでいった。


  フランスの歴史学者エマニュエル・トッドが、移民というのは新自由主義の労働力の流動化政策だと指摘している。欧州を見ても、92年にEUの単一市場化を決めて、どんどん拡大し、東欧まで入れてしまった。リーマン・ショックや欧州危機後は、スペインやギリシャなどの財政破たん国の若年労働力や、ポーランドやチェコなどの安い高学歴の労働力もドイツ資本がとり、ドイツ一人勝ちの状態をつくっておきながら、国家破たんした国にはカネを貸すかわりに緊縮政策を要求する。


 ギリシャでは医療費が削減されて働く場所がなくなった7500人の医者が海外に出て行き、GDPは25%下がり、若年層の失業率六割という惨憺たる状況になった。EU離脱は保護主義などではなく、ドイツ一人勝ちのEU支配に対する反抗であり、今後はスペイン、イタリア、ギリシャでも同じ国民投票が起きるのではないかと経済学者のスティグリッツなどがいっている。アメリカでも同じような矛盾が激化している。

 自由と解放の欺瞞崩壊 国民の反乱怖れる

  これも西谷修の考察だが、アメリカの自由と民主主義を掲げたグローバリズムというのはもともと15世紀のコロンブスの「新大陸発見」にはじまり、宗教改革によってイギリスやオランダなどから白人が流入して大陸に「新世界」の構築することを目指した植民地化だった。スペインも中南米でかなりの先住民を虐殺しているが、北部ではイギリスがキリスト教による「新世界」の制度化をしていく。「だれの土地でもない」と見なし、見付けたものが登記したら私有化できるという論理で、邪魔になるものは駆逐しながら西へ西へと侵攻した。とくに先住民族をインディアン(インド人)と呼んで虐殺し1000万人いた先住民は19世紀の末には25万人にまで減った。神から与えられた「自由と解放の新世界」を作ることが正義だとして「野蛮人」を虐殺しながら壁を築いていった。金融中心地のウォール街のウォール(壁)というのも、その当時ニューアムステルダム(現ニューヨーク)を管轄していたオランダがみずからの権益を守るために築いた防護壁に由来している。


 この西進運動は、ゴールドラッシュなどを含めて西海岸のカリフォルニアまで到達すると、まったく同じ論理と手法でハワイを略奪し、フィリピンでやり、第2次大戦では日本でやった。手向かうものは皆殺しし、自分たちの「自由と民主主義」のルールを押しつけて領土や市場を広げていった。それがリーマン・ショック後のグローバリズムの破たんまできて、自国民すら養えなくなって消滅の危機に立ち至った、というものだ。資本主義の先進地において末期症状が強烈にあらわれている。


 C トランプが政府高官や主要閣僚に登用したメンバーは、ゴールドマン・サックス社長兼COOや、エクソンモービル会長兼CEOなどに加えて、国家安全保障政策担当大臣には元国防情報局(DIA)局長、CIA長官や国防長官にも軍人を起用している。中東でイラン敵視政策に戻るとか、対中国での強硬策など海外展開も注視する必要があるが、軍人起用のもう一つの側面は国内弾圧に向いている。国内での反乱を鎮圧するために国民に対して軍事力を行使させる。それほど国内矛盾は鋭いものになっており、支配の側が恐れおののいている。


  「IS壊滅」を掲げているが、現実には派遣できる兵力や財源があるのかだ。ヒラリーが相手にされなかったのもその好戦姿勢への国民の反発だ。堤未果の「貧困大国アメリカ」によれば、07年の時点で全米のホームレス350万人のうちの50万人が退役兵だという。経済的徴兵制で貧困層に「学費免除」などの甘い言葉を並べて入隊させるが、退役後も貧困から抜け出せない。とくにイラクやアフガンに侵攻してからの兵士の精神疾患が増え続け、社会復帰を不能にしている。イラク帰還兵の乱射事件も頻発しており、これは支配の側からすれば現実的な脅威だ。だから最近は警察がすぐに撃ち殺す。年間で1000人の市民が警察によって射殺されている。黒人がポケットに手を突っ込んだだけとか、目が合っただけで撃ち殺すというほど権力が凶暴化している。何百万人もの国民を路頭に迷わせているのだから支配の側の権威が失墜するのも当然だが、「自由と平等」の欺瞞力を失って抑えがきかず、戦戦恐恐としている。

 孤立する対米従属政治 思考停止の安倍政府

  グローバル化の破たんと総本山のアメリカの劣化は、敗戦後ずっと対米従属でやってきた日本の政財界にも激震を走らせている。

 すべてアメリカにおんぶにだっこでやってきただけに、この急激な変化を前にしてまるで対応しきれていない。外務省もヒラリーが勝つと思い込んでいて、世界を認識する能力がまるでないことを露呈した。経済界でもトヨタがツイッターで名指しで批判されると「1兆円投資する」といったり、安倍首相にしても、いまだに「TPPの優位性を説得する」といいながら、絶対に譲歩しないといっていた2国間協定にも応じる構えを見せている。相手が保護主義でやるといっているのに「開かれた国際経済システム」「自由貿易だ」といい続ける思考停止状態だ。それなら自由貿易を主張する中国と組まなければ筋が通らない。国民に対して「改革を恐れるのはやめて、勇気を持ってチャレンジすべきだ。オープンな世界に踏み出すときだ!」と大上段から説教していたが、その先進地のアメリカが総瓦解してはしごを外された。それでゴルフクラブを握りしめて面会に行ったり、オバマに叱られて真珠湾を訪問したり、落ち着きがなくあたふたしている。


  トランプから「壁を作るからカネを出せ」といわれたメキシコでは、首脳会談を断ってまで反発している。TPPに関しても、ペルーやチリなどの中南米諸国やオーストラリアも「アメリカ抜きで」といいはじめ、中国や韓国を入れた別の枠組みが動き出している。世界はもはやアメリカ一強という時代ではない。日本の安倍政府だけが「アメリカ抜きでは意味がない」と主張しつづけている。


  トランプは日米FTAでは、まさに「アメリカ・ファースト」でTPP以上に日本市場を奪いとりにくる構えだ。だが、「世界第二位の先進国」がメキシコ政府ほどの抵抗力もない。これまでTPPで「国益第一だ」「とるべきものはとる」などといってきたが、格好が付かない。


  東芝が米原発大手のウエスチングハウス(WH)を相場の3倍で買収させられ、母屋を乗っとられているのが象徴的だ。敗戦後、小麦や脱脂粉乳をくれたり、表向き「独立」させたように見せて高度成長までいくがここまできてそれを丸ごとアメリカが有無もいわさず奪いとっていく。同じ敗戦国のドイツと比べても歴然としている。まるまる太らせて食べる。アメリカの外国侵略の成功例になっているが、同じようにやろうとしたイラクではできなかった。フセインと比べても日本の支配層がいかに隷属的であるかを物語っている。


  反トランプ論調のメディアは「強大なアメリカが暴走をはじめた」「横暴さに振り回される」と恐怖心を煽り立てているが、実態はものすごく弱体化しているということだ。世界の方がまだ冷静だ。「アメリカには従うしかない」という固定観念に縛られているから恐怖心しかない。またアメリカの危機は、日本の独占資本にとっては自分たちの未来でもある。金融資本も必死だしこれまで以上に日本を食い物にする力が強まるのは目に見えているが、ここで「日本ファースト」を口にする者すらいない。トヨタにしてもアメリカの雇用を心配する前に日本の雇用を心配しろとみんなが思っている。いったいどの国の利益を代表する政府であり、企業なのかという姿がはっきりしてくる。アメリカが弱体化して世界の多極化は避けられないし、そのなかで日本が独自の立場で関係を切り結ばなければいけないわけだが、そのためには対米従属構造からの脱却が焦点にならざるをえない。


  政治勢力で見ても、左翼潮流のなかにこの支配層と大衆との力関係が見えず、アメリカ民主主義の幻想にとらわれている要素が強い。「アメリカ抜きの世界はありえない」と信じ込みグローバリズムにどっぷりはまっている。ヨーロッパでもそのような「共産党」や社会民主主義が崩壊し、反グローバリズムの第三勢力が躍進している。1%と99%の矛盾の激化は世界的な趨勢であり、日本も例外なく連動しあう関係にある。アメリカも含めた世界的な大衆世論の動きに注目していきたい。トランプが好きか嫌いか等等のレベルではなく、そのような現代社会を突き動かしている原動力はなにか、階級矛盾の本質を捉えて世界を見ていくことが重要だ。

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