いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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安心してください はいてますよ!

 室井佑月さんより日刊ゲンダイのコラムで「吉田充春さん、大ファンよ!」と公衆の面前で告げられた吉田充春でございます。あの日、同僚から「オマエ、なんか名前が出てるよ」と聞かされて驚く反面、「いろいろな方がホームページで見てくれてるもんだな」と嬉しくもありました。先日掲載したコラム「いきなり脱ぎ始めた読売新聞」について、「しっくりくる」との感想付きで他媒体の連載コラムにて紹介してくれていたのです。

 

 そこで、名前まで出して頂いたのになにもなかったようにスルーするのも失礼かと思い、さて、どのような公衆の面前返しをキメようかと考えあぐねておりました。そして、ここはコラムの内容とも被せて、とにかく明るい安村のようなとびっきりの笑顔でもって、大きな声で元気よく「安心してください! はいてますよ!」と応えるのが一番だろうと思うに至りました。

 

 まぁ、私自身は全てはいていますし、着ていますし、人様の前でいきなり脱ぎ始めるような破廉恥ではございません。例え苦しいからといって、小汚い振る舞いをしたり、安易に脱ぐようなことはいたしません。だいたい、そんなものを誰が見たいんだよ! とも思うのです。隣でお友だちの記者がそんなことを始めたなら、「オイ、オマエ恥ずかしいからやめろよ!」と注意をしますし、それでも聞かずどうしても脱ぐというのなら、それはもう何十倍ものソーシャルディスタンスを保ち絶交でございます。ジャーナリストでござい、などとイキるつもりなど毛頭ございませんが、何事もいきなり脱ぎ始めて人様のお目汚しをしてはならない――そう考えて気配り心配りを大切に、デリカシーを持ってペンを握りたいと思うのです。

 

 さて、世の中ファンにもさまざまあるなかで、今回の場合、室井佑月さんは小でも中でもなく、それはもう「大ファン」であるということで、少しばかり照れながら有り難く受け止めております。「ファンです!」なんて一度もいわれたことがない者に、いきなり小でも中でもない「大」なわけですから、それはもう恐縮するというものです。

 

 ただ私、ここで心配なこともございます。それは、あくまでネット上のコラムを気に入っていただけただけであり、仮に「ファン」などといってくださる方々にお会いした場合、世の中にはやはり見栄えというものがあるものですから、「え? ただのゴリラじゃん!」などといって「大ファン」の称号がとり消されるのではないか…、ひょっとすると「小ファン」に格下げになるのではないか…という懸念でございます。見かけじゃないよ、中身だよ! と心にいい聞かせてきた四〇年余りの人生、「ファンです!」どころか、幼少期より声をかけてくるお友だちのみんなは「ゴリ」あるいは「ゴリラ」と私に向かって呼称するばかりだったからです。したがって世の中見かけ重視派の皆様に限っては、安易に「ファンです!」なんていってはならないのではないか? それは罪作りなのではないか? とも思っております。

 

 ただ、そんな私にも転機というものがございました。京都大学総長だった山極先生のゴリラ本を読みあさってわかったのです。ゴリラほど心優しい繊細な生き物はいないと――。争いを拒み、目と目を見つめて問題解決にあたることなど、とても新鮮でございました。なんならゴリラを卑下し、争いばかりくり返している人間どもに、爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいと思ったほどです。そして、私はゴリラという称号はむしろ誉れであると確信し、共生していくことを決めたのでした。

 

 そんな心優しきゴリラの大ファンである吉田充春ではございますが、話をグイッと引き戻して、ジャーナリズムの貞操は守らなければならない派の端くれとして、今後ともよじってねじって放り捨てていくイメージのコラム執筆に精進したいと思っております。読者の皆様には、大変くだらない人となりの紹介文章に付き合って頂いたこと、心より御礼申し上げます。要は私自身は「ゴリラさん、大ファンよ!」と思っていることを述べたかっただけなのかもしれません。これをもって、「吉田充春さん、大ファンよ!」へのお返しといたします。  吉田充春

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