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注目集める山本太郎の街頭演説 “一本独鈷でもっとやれ”の声

 衆院総選挙の公示を迎えた10日、全国一斉に12日間の選挙戦に入った。小池新党が「反自民」を装って登場しながら自民党との連立を構想したり、民進党がみずから解体してそれらに野合するなど、政局は有権者にとってわかりにくいものにもなっている。そんななか、下関市では山口4区から森友・加計問題の追及を掲げて出馬する無所属新人の黒川敦彦候補の応援演説に、山本太郎参議院議員が駆けつけた。同氏はこの間、東京都内を中心に「街頭記者会見」として現在の政治分析や政策を訴え、野党解体のなかで独自のスタンスをとってきたことが注目を集めている。以下、その演説の内容を整理して紹介する。

 

国や政治は誰のものか 大企業天国と貧困大国の現実

 

 

演説する山本太郎(10日、下関市)

 安倍政府が「景気回復この道しかない」といって推し進めたアベノミクスで、本当に景気がよくなっただろうか。あなたの手元にも好景気が循環してきただろうか。確かに一握りの人人にとっては大成功だった。上場企業の多くが過去最高益を出し、あのバブル期よりももうかっているという。一方で、この国に生きる6割近い人人の生活が苦しい状態にある。


 厚生労働省の国民生活基礎調査では、「生活が苦しい」と感じている人の割合は56・5%だ。母子世帯では82・7%だ。相対的貧困率(必要最低限の生活水準を維持するための食料・生活必需品を購入できる所得・消費水準に達していない人の割合)は15・6%。6~7人に1人が貧困だ。貯蓄ゼロ世帯は、20歳代で59・3%、30歳代で47・3%、40歳代で50%にものぼる。


 その一方で、一握りの人間だけが好景気を享受している。この4年間で、企業の内部留保――株主に対する配当もすべて終えた後のまるまるの純利益の蓄積は、33・5%も増えている。皆さんに聞きたい。この4年で手にする給料や売り上げが33・5%も上がった人がいるだろうか。いくら企業がもうけても働く人人には分配されないことが明らかになっている。2010年の実質賃金を100として現在を見れば、5%も減っている。ほんの数%の人たちはどんどん富を蓄え豊かになるが、この国に生きる多くの人人はギリギリの生活で、逆に収入が減っているのが現実だ。どうしてこういうことが起こるのか。


     

 大企業が33・5%も利益を増やした理由は二つある。一つは大企業に対する大規模な減税だ。1990年代の法人税率は50%近かったが、いまや29%台に突入している。安倍総理は「法人税は25%まで下げていく」とまで明言している。過去最高益を上げている大企業に対してさらに減税していくなら、この国の税収は減っていくばかりだ。


 私が議員になって2年目に財務省に「この税率通りに法人税を払っている企業は、どれくらいあるのか?」と問い合わせたことがある。財務省主税局は、「税率通りに払っている企業は1社もございません」という。どういうことかといえば、租税特別措置などの税金割引のルールが80以上も存在しているから払わなくていいのだ、というのが財務省の回答だ。これからますます安くしていくそうだ。


 それを消費税で補うということになる。1989年、1997年、2014年と、消費税を上げる度にこの国に生きる人人、消費者、中小零細企業は首が絞まった。安倍総理は「倒産件数は減った」とドヤ顔でいうが、休業、廃業に追い込まれた中小企業は、安倍政府になってから何倍に膨らんだだろうか。


 2014年4月、消費税を8%に上げるとき安倍政府は政府広報で「消費税率の引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」と約束している。消費税率が5%から8%に上がると、その税収は5兆円になる。これを「皆さんの社会保障に使う」ということだった。14年総選挙での自民党の政策集でも「消費税財源は、その全てを確実に社会保障に使う」と明記している。


 では、実際はどうか。支出内訳を見ると、社会保障にはわずか4980億円しか使っていない。待機児童解消など子育て支援に3000億円、低所得者の国民健康保険料の軽減に620億円、高額療養費制度の拡充に50億円、難病対策に300億円、医療・介護のサービス提供体制整備に1000億円、遺族年金の支給を父子家庭に拡大するのに10億円。

 残りの4・5兆円はどこにいったのか? それは「赤字国債の穴埋めに使いました」という顛末だ。「社会保障の充実」という約束は平気で反古にしている。「また欺されました」という話だ。


 むしろ社会保障費全体は、充実どころかカットされている。予算編成過程での自然増カット、法改悪によるカットをあわせると削減額は3兆4500億円以上にのぼる。増税をして別名目に使うだけでなく、現行の社会保障費のカットまでするのであれば、この国唯一のセーフティーネット(生活保護)から漏れた人人は、刑務所に入るか、死ぬかの選択肢しか残されない。国が労働規制を撤廃しながらブラック企業対策をしないため、ブラック企業に体だけでなく心まで潰された人たちは、生活保護に頼る以外に生きていけない。生活保護は今不正受給の代名詞のようにいわれているが、その割合は約2%だ。98%は適正受給であり、受けるべき人が受けられているかを示す補足率をみると2割から3割しかない。一番多いのが高齢者、次は傷病者、母子家庭、単身者…それらの人人の生活にほとんど目を向けていない。受けるべき立場にある7割の人たちは、生活保護さえ受けられずにいるのが現実だ。


 憲法25条には、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれている。憲法とは、この国の最高法規であり、政治家や公務員など権力側の暴走をさせないために縛るルールだ。権力者が守るべきルールを権力者みずから緩めたいというとんでもない話をしている。近い一部の人たち、お友だちや、既得権益、組織票、企業献金…これらをくれる人たちに対して大サービスし、その大企業が税金を払うパーセンテージを下げる分だけ、みなさんの税金のパーセンテージを上げる。あまりにも矛盾している。税制を歪めているこの一点を見ても国民への背信行為だ。

 

内部留保貯め込む大企業  ワーキングプアは拡大

 

 大企業が内部留保を貯め込んだもう一つの理由は、労働環境の破壊だ。働くあなたから搾取することを際限なくやり続けた。その結果、33・5%もの内部留保を貯め込んだ。

 その先頭に立ったのは誰か。まさに安倍総理だ。これは日本の雇用をぶっ壊した小泉・竹中、さらにさかのぼれば、レーガノミクス、サッチャリズムと同じく新自由主義の先頭に立とうとした中曽根政府の時代から始まっており、これを連綿と受け継いできたのが今の自民党だ。それによって働く人人はどうなったか。全労働者の2人に1人に迫る勢いで非正規労働者が増えた。失業前提の働き方をさせ、「半年後のあなたの夢を教えてください」といわれても答えられるわけがない。いつまで今の仕事を続けられるかわからないという状況が万人に押しつけられた。


 ワーキングプアといわれる年収200万円程度の低所得者(貧困)層は、1991年度に710万人、安倍政府になってから1130万人にまで急増した。一人暮らしの女性20~64歳までの3人に1人が貧困。この国全体で見れば5~6人に1人が貧困だ。たとえ名だたる企業の正社員で他より給与に恵まれていたとしても、過酷な労働環境に身を置くことになるのは、昨年末の電通社員の過労自死を見ても明らかで、昨年度の過労死労災支給決定件数(自死及び未遂を含む)は191件にのぼっている。過労による「精神障害」の請求件数は、1991年度はわずか2件(支給決定ゼロ件)だったのが、昨年度は1586件(同498件)にも及んでいる。請求にさえたどり着かない人がその背後にどれだけいるだろうか。もう目の前以外なにも見えなくなって、身体が壊れるまで働いて死んでいく人たちがとんでもない数いる。


 不名誉なことだが、「過労死」(KAROSHI)という日本語は、ツナミやタイフーと同じようにいまや世界に通じる言葉になった。「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」という安倍政府は、働き方改革として「最も忙しい1カ月は残業100時間未満、2~6カ月は残業80時間以内の労働を政労使で合意しました」(働き方改革実現会議決定)といっている。現在は100時間当たり前のように働いている人がたくさんいるということでもある。でも、ちょっと待ってください。「過労死ライン」は「月の残業時間が80時間」(月20日出勤・1日4時間以上残業・12時間労働)といわれている。平成13年の厚労省労働基準局通達では、「月45時間をこえる残業で、身体に異変が出ることを認め、通達しています」といっている。

 

 人間を部品のように使い捨てることに慣れきった大企業と政治家が考えた「働き方改革」は、ただの過労死促進の提案だったという冗談にもならない事実だ。そこには過労死、過労自死した人たちの悲痛なメッセージなどなにも反映されていない。

 

労働者は使捨て部品に  派遣労働増やして

 

 有権者の2割しか投票していない自民党をバックアップしてきたのは、ほかでもない経団連(日本経済団体連合会)だ。その2割得票のほとんどを占める組織票と企業献金をかき集め、落選時には就職の斡旋までして自分たちの息のかかった代理人を送り込み、自分たちに有利なルールを作らせる。


 彼らがいったいなにを求めているのか。まずは派遣法改正で、専門職だけに限られていた派遣労働を全業種に広げ、どんな職場でも派遣労働者は一生不安定で低賃金の派遣雇用のままに生きていかなければならなくなった。


 外国人労働者の導入については、国家戦略特区と外国人実習生制度の2つの入り口をつくった。「技能の移転」と体の良い言い訳を並べているが、安い労働力をより多く調達するためだ。あなたよりも安い賃金で長時間働く労働力を大量に導入する方向へ向かえば、日本国内は世界的な低賃金競争に巻き込まれ、あなたの賃金は削られ、最後は仕事は奪われる。外国人を排斥しろというのではない。この国に生きる人人の労働環境をぶちこわす提言(命令)を経団連は出し続けているということだ。


 さらに消費税については「2025年までに19%まで上げろ」といっている。自分たちの法人税を下げた分を補填するためだ。これだけ見ても、誰のための政治がおこなわれているかは明らかだ。この国に生きる多くの人人のためには政治は一切おこなわれていないということを私は国会の最前列で見てきた。権力を手に入れ、大企業側の代理人として多数派を占め、数数の法改正や立法がおこなわれた結果、すべてその尻ぬぐいさせられるのはこの国に生きる人人だ。もう今限界にきている。人人の暮らしはギリギリだ。


 「税金はないところからとるな、あるところからとれ」というのが常識だ。「会社あっての労働者」とか「企業がもうからなければ収入は増えない」というが、もうかっているのに増えていないのが現実だ。労働者は生きていくだけの最低限の収入もなく、使い捨ての部品扱いされている。一方で株式など富裕者が貯め込む金融資産は年年増え続け、この数年で200兆円増加している。だが国は、これらの収入については所得として処理せず、わざわざ分離して税率を抑えている。


 所得税は所得に従って税率が上がる累進課税が基本で、最も高い税率(28・7%)で払っているのは年収1億円の人だ。だが、それを境にして税率は下がり、年収が100億円ある人は17%にまで下がる。大金持ちほど税率が低い仕組みになっている。金融資産による所得を分離しているからであり、その不足分を、収入のほとんどが消費に回るような人に負担がかかる消費税からとっている。これでは景気が冷え込むのは当たり前だ。


 この大企業やお友だち優遇の政治があらわれているのが、森友・加計問題だ。

 

全体の奉仕者を放棄      モリ&カケ問題

 

 森友学園問題は安倍昭恵夫人のお友だちから始まった話だ。財務省が8億円も値引きし、タダ同然で国有地を差し上げた。そんな通常考えられないラッキーなことが、安倍昭恵・総理夫人が名誉校長を務める「安倍晋三記念小学校」創設のためにおこなわれた。だが、財務省などは、それにかかわる交渉を記録したデータを積極的に廃棄し、一連の経緯を検証することを不可能にした。国会答弁で総理を守る先頭に立ち続けた財務省官僚は、見返り人事で国税庁長官に昇進した。嘘をつき通せばいいことがあるということだ。


 同じく加計学園問題も、安倍総理の40年来の「腹心の友」が作りたかった今治市への獣医学部新設であり、これまで15回も跳ねられてきた案件がトントン拍子に進んだのは、安倍総理になってからだ。それによって加計学園には、36億円の土地を無償で譲渡されるばかりでなく、総事業費の半分、96億円もの補助金が下りる。国に認可されたら、私学助成金は税金から出される。あまりにも突然の展開だ。これには建築費水増しの補助金詐欺疑惑も浮上している。


 昭恵夫人は、森友問題のまぎれもない当事者の一人だ。証人喚問に呼んだのは籠池元理事長だけで、どうしてもう一人の当事者であり、100万円を直接渡したという安倍昭恵夫人を自民党は呼ばないのか。片方だけの当事者が証人喚問に呼ばれ、もう片方の人はフェイスブックで申し訳程度に自分のコメントをつぶやくだけ。こんな不公平がまかり通るのは、あまりにも理不尽ではないか。この森友・加計問題のマインドで国政を運営するなら、国は破綻に導かれる。前述した一部の人たちに対してのみの税制の優遇。その尻ぬぐいをするのが、この国に生きる皆さんという構図も同じだ。この森友・加計問題に見られる構図は、今の政治のあらゆるところにあらわれている。


 安倍首相は「森友・加計隠し解散では?」と問われ、「私自身、閉会中審査に出席するなど、丁寧に説明する努力を重ねて参りました」とのべた。実際はどうか。閉会中審査は衆議院で八回、参議院で七回おこなわれたが、出席したのはそれぞれ1回で、まともに説明などしていない。不都合なことには嘘と権力でフタをする。


 憲法には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(15条2項)とある。だが、このようなことを日常的におこなうものが国のトップに君臨し、一部の奉仕者として仕事をしているのが現実だ。


 国の総需要(GDP)とは消費、設備投資、政府支出の総計であり、その6割を占めるのが消費だ。消費があがらないのは、国民の家計が苦しいからだ。景気回復のためには消費税を下げ、もうかっているところからとれ。デフレで「異次元の金融緩和」というのなら、その刷った金は「お友だち」へのバラ撒きをやめ、介護や保育、奨学金など本当に困っている必要なところに使え。「国の借金は1000兆円だから」と財務省は騒いで緊縮と増税を叫ぶが、国家財政のバランスシートには負債と資産がある。国の金融資産395兆円、固定資産等の180兆円、運用寄託金の104兆円を差し引けば、純負債は492兆円に下がる。大企業には、消費税が上がったぶん還付金として戻ってくる輸出戻し税もある。税収を上げれば財務省は、それらの企業に天下り先も確保できるから、借金だから緊縮だ、増税だと騒ぐ。金融資産などは売ればよい。日銀の270兆円の国債だって資産であり、それらを連結すれば国の借金はさらに下がる。世界では常識的な考え方だ。

 

 このままいけば低賃金競争にさらされ、今よりも厳しい使い捨て社会になる。企業ばかりではなく、国に使い捨てにされる。なぜ政治家は私たちの税金で食べているのに、お友だち、既得権者ばかりに金を回すのか。この国で一番偉いのは政治家ではない。政治家も大臣も期間限定の代理人であり、総理大臣など「雇われ店長」程度にすぎない。そんなものが都合の良いように自分勝手に振る舞えば、店は潰れてしまう。だからこそ、国民一人一人がしっかりと政治をチェックし、監視し、私たちの力でコントロールすることが必要だ。野党も分断・解体状況にあり、所属政党や派閥では判断はできない。選挙に際しては、どの政治家がこれまで誰のために、どのような政策や活動を実行してきたかを自分の目で見極めて投票してもらいたい。


 憲法に謳う「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」はあなたにある。それを実現するのが政治であり、今の憲法も守らない人間に憲法を変えさせるのではなく、一人一人が最低限度の生活をできるような、人人のための経済政策をやらせなければいけない。諦めるのではなく、一人一人が行動を起こすことでそれは可能だ。

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この記事へのコメント

  1. 進ちゃんのブログ管理者 says:

    今日の危機は、煎じ詰めると、日本人の有権者の自覚の無さですね。詐欺師安倍晋三や、詐欺師応援団の宗教・創価学会、議員に乗り移っている日本会議の策略に、まんまと乗せられる。その結果は、己の生活にブーメランしてくることを想像できないでいることです。山本太郎氏のお話の通りです。日本人の意識改革には、米国で言えばNYタイムズのように広くアピールできるメディアが必要であり、育成しなければ民主主義は消えてしまいますね。
    山本太郎さん、もう、首班指名に出る強気を見せてもいい頃かと思います。

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