(2026年1月21日付掲載)

高市首相が23日の通常国会で冒頭解散することを表明し、1月27日公示、2月8日投開票で解散総選挙が実施されることになった。わずか1年余り前に選挙をやったばかりで、「またやるんか!」「なぜいま解散なのか?」という声が渦巻くなかで、「高市早苗が総理大臣でよいのかを決める総選挙」などといい、過去最短の日程で奇襲を仕掛けている。見たことも聞いたこともないほどはちゃめちゃな解散劇である。混沌とした政治情勢について記者座談会で論議してみた。
前代未聞の奇襲解散劇

テレビ中継で1時間近く解散方針と自身の思いをのべた高市首相(19日)
A 昨年から解散を仕掛けるのではないか? という空気は永田町にあったというが、年末段階では1月末召集の通常国会での冒頭解散はないという見方が支配的だったという。ところが年が明けてこの騒ぎだ。やるなら昨年末に実施して1月以後の来年度予算の審議に影響を与えないというのが従来の常識だろうが、おかげで年度内の予算成立は見送られる見通しだ。政権基盤が脆いなかで、この3カ月でやったことといえば中国にケンカを売って日中関係を悪化させ、韓国大統領と太鼓を叩き、トランプと腕を組み、安倍晋三のクリアファイルを持って伊勢神宮を参拝したくらいではないか。メディアは盛んに「高支持率」などと持て囃しているが高市本人にレガシーなどなにもない。
この間、旧安倍派を中心とした裏金議員は無罪放免どころか自民党総裁選で高市を担いだことで息を吹き返しつつあったが、一方では韓国発で次々と統一教会による日本国内での政界汚染(旧安倍派)の実態が明るみになったり、週刊誌は高市界隈の政治資金を巡る問題などもつつき始めようとしていた。維新をとりこんで国会の過半数を占めているといっても苦肉の策というかギリギリで、好き放題できるような力は与えられてなかった。予算委員会での「熟議」や追及に耐えられないというのが実態だろう。それで、えいやっ!で解散してその後はフリーハンドで好き放題やらせてもらいますよ――という意味合いしかない解散だ。
「総理大臣は高市早苗でよいか」――つまり白紙委任を求めているわけだ。惨敗して辞任にでもなれば結局のところ「日本中を巻き込んでなにがしたかったのか?」となるし、800億円も選挙費用をかけて笑えない顛末でもあるが、解散権を持つ総理大臣たるものが仕掛けた身勝手きわまりない解散なのだ。国論を二分するような政策の是非を問うわけでもなく、「働いて」×5を叫んだだけでとくになにもしていないなかで「私が総理大臣でよいか」選択せよという。自己顕示欲とか承認欲求が如実にあらわれていて世間もあっけにとられている。だいたい「この前選挙やったばっかりじゃないか!」「なぜいま?」という声が大半だ。
B この間、円安がますます深刻になり物価高は加速。国債が売られるために長期金利は10年物国債で2・27%の水準にまで高まるなどしている。「安い日本」がますます安くなり、世界的には債務危機を心配されるほどだ。安倍晋三が異次元緩和をやりまくったおかげで円の価値は暴落し、株価は上がっているというがそれは円安の裏返しでしかない。輸入物依存で食料自給率も低水準にあるなかで、当然世界から輸入してくる食料は高騰して家計に重くのしかかる。
そして、中国からレアアースを止められたために製造業は生産停止に追い込まれて工場のラインがストップするような事態にもなろうとしている。トヨタをはじめ大企業もたまらない状況だろう。台湾有事に際して武力行使を公言したことで日中関係は悪化したまま、居直っている高市のもとでは事態改善の兆しもない。経済界からすると日中関係の悪化は経営にとって大打撃で、「なんてことしてくれるんだ!」という反発はすごい。事態打開に向けて高市の首をすげかえろという要求は当然ある。
3カ月でなにもやっていないのではなく、唯一、日中関係を悪化させたという実績だけはあるのだ。レアアースのみならず医療品、工業製品、食料、衣料雑貨等々、中国とは密接に貿易で関係を切り結んできたわけで、コロナ禍のマスク1枚とっても中国の存在がなければ手に入らないほど国内の生産拠点は失われて頼りきっている。関係をこじらせたおかげで物価高に拍車がかかり、巷は大迷惑をこうむっている。世界の工場である中国に暮らしを依存してきた関係なのだ。「嫌中」とかの気分感情の話ではなく、暮らしのまわりをじっくりとながめて考えなければならないし、友好平和で関係を切り結ばないとどうにもならない。中国が態度を硬化させている状況が長引けば、国内産業にとってもたいへんな影響がもたらされるのが現実だ。調子に乗って官僚原稿にもないことを口走ってやらかしたという点でいえば、高市早苗は戦犯なのだ。
まさに内憂外患で追い込まれての解散であることは疑いない。「解散の大義がない」とメディアが盛んにとりあげているが、その通りで大義など考えてすらいないのだろう。後からくっつけるものもない。「私を総理大臣に選んで」解散なのだ。「高支持率」とかいわれているうちに選挙をして多少なりとも議席を増やし、自分がやりやすいように――しかないのだ。振り付け師の今井(安倍時代の首相補佐官)あたりが吹き込んでいるのだろう。
目玉となるのが物価高対策で食料品の消費税を2年間減税するかの「検討を加速する」というものだが、そんなものは施政方針演説に盛り込んで、通常国会に法案を提出してさっさと実現すればよいだけだ。解散する理由にはならない。むしろ、「検討を加速する」とは永田町用語で「やるかやらないかわからない」というもので、「やる!」ではないところがミソだ。はっきりいって世間を愚弄している。
それで獲得議席の目標は「与党で過半数」ということで、現状維持すなわち自民と維新、その他の目くらまし役となる補完政党も配置しながら勝ちさえすればよいという設定だ。「自民党で単独過半数(233議席)」というのなら多少の意気込みも感じるが、恐らくその自信はないのだろう。というか現実的に考えてムリだ。この1年ちょっとなり3カ月でなにか政治状況が劇的に変わったかというと首相の石破が引きずり下ろされて高市に変わったくらいであとはなにもない。問うべき政策もないままその後4年間のフリーハンドを与えろという理由で解散総選挙というわけだ。選挙が終われば好きにやらせてもらうという宣言でもある。
政権基盤は現状でも脆い状態で、自民党の衆議院における頭数は199議席に過ぎない。維新と連立を組むことでなんとか過半数を保っている状態だ。それで議席目標が現状維持ならなおのこと「なんで解散するの?」となる。意味不明だ。
統一教会疑惑隠し 裏金議員まで公認
C 大義もないし意味不明だがとにかく解散に踏み切る。意図はあるのだ。自民党総裁選で高市を担ぎ上げて旧安倍派が復権したものの、いかんせん国会における頭数が少なくて政権基盤は脆弱だ。こうした状況をどうにかしたいという願望はあるのだろう。裏金議員も前回総選挙でみそぎが済んだということで、今回の解散総選挙では選挙区に加えて比例での重複も公認するという。ただの人になったのもいるなかで引き上げて自分を支える基盤にしたいという狙いもあるのだろう。ただ、果たして願望通りになるのかだ。下手すれば引責辞任。博打みたいなものだ。しかし、やらずにはいられない事情があったということだろう。
1年前の解散総選挙と異なるのは、公明党が連立を離脱して選挙協力の関係も解消しているのが大きい。それこそ山口2区の岸信千世などは前回選挙でおよそ1700票差まで立憲の平岡秀夫に詰められて辛勝していたが、2区の2万票ともいわれる公明票が平岡に移ってしまうと4万票差をつけられて敗北することが必至だ。下手をすると比例復活もできないほどの惜敗率になりかねない。焦っているのか「えっ、あんな団体にまで手を出すの?」と驚かれるような組織にまで支援をお願いしている有り様だそうだ。これで落選すると次はないし、岸家&安倍家の政治的血脈は断絶になるほかない。
山口県東部を基盤にしてきた岸・佐藤の凋落であり、戦後政治を彩ってきた政治家一族の没落となると感慨深いものがある。七光りも含めて一族郎党を葬り去る選挙として、山口2区は見所満載だ。信千世がもがき苦しんで、選挙区で絶叫して回るといい。エセ右翼とか保守もどきが跋扈(ばっこ)する時代ではあるが、その頭目を生み出した総本山の山口2区できっちり勝負をつけることが大切だ。これもまた味わい深いものがある。
2区の統一教会にいくら頼ったところで失う公明票には及ばないことを味わうのだろう。まあ、長年の腐れ縁できた地元の公明党・創価学会が実際にどんな動きをするのかは知らないが、単純に見るとはじめから信千世に芽はない。再び選挙結果が拮抗するようなら2区の公明票は自民党に流れたと見なされるだけで、いずれにしても蓋を開ければわかることだ。
A 山口2区はについては公明票の動向もだが、それにもまして信千世本人の評判が悪すぎる。自民党山口県連所属の議員ですら「あいつは1回落ちたほうがいい。そうじゃないと勉強しない」と漏らしていたくらいだ。政治家一族のサラブレッドかなにか知らないが、前回選挙でも本人が「1日2時間は休憩がほしい」とか言い出す始末で、陣営関係者も「ぼんくらが過ぎる」と嘆いていた。
頭を下げて地盤を築くというのではなく御輿に乗って当たり前な感じが嫌がられているのだ。それで毎日、柳居俊学(県議会議長・自民党山口県連の天皇)に怒られていて、ふてくされ、秘書たちも愛想が尽きたのか周囲に愚痴を漏らしていたほどだ。雑巾がけが足りないし、仮に公明党の票がついても危ない選挙になっている。選挙区では同日実施となる県知事選の有近支援に自民党関係者は本腰を入れており、信千世の選挙を誰がどう取り組むのだろうか。「みんながやって当たり前」ではないことを思い知るのかもしれない。いくら看板とカバンがあっても、地盤がなければ政治家はやっていけない。
公明と立憲も節操なき野合 立憲は事実上解体

「中道改革連合」を発表した立憲民主党と公明党の会見(16日、東京)
B 公明票が立憲候補すなわち「中道改革連合」候補に流れるというのは選挙結果にも直結する大きな変化にはなる。山口2区に限らず他の選挙区でも1万~2万票はあると見られる公明票が自民党ではなく対立候補に流れた場合、それは1万~2万票が剥がされて相手方に移るわけだから票差としては2倍の威力を持っている。例えばある選挙区で自民党候補8万票にたいして対立候補が5万票で落選していたとする。その自民党から2万票が剥がされて6万票に減ると同時に、今度は2万票が対立候補につくとそちらは7万票になるわけで、形勢逆転となる。公明党が自民党を揺さぶる選挙にもなるのだろう。
石破引きずり下ろしのきっかけになった前回の総選挙でも、創価学会は自民党と共闘していたが、それでも惨敗した。今回の総選挙で公明・創価学会が離れた影響がどれだけのものになるのかだ。自民党総裁として当たり前に考えたら、公明票なき自民党など大惨敗する以外にないことはわかりきっている。しかし、なにを根拠にしているのか前回並みの「与党で過半数」は維持できると見なしているのだ。「高市人気」なるものに勘違いしているのか、はたまたどういう計算をしているのか知らないが、物理的に考えて雰囲気や風だけで1万~2万票を叩き出すのは至難の業だ。
それぞれの選挙区を具体的に分析すると、単純に公明票すべてが移動するわけではないだろうが、すでに創価学会は活発に動いていて、信者に「比例は中道(なかみち)で」といい、学会員がその通りに周囲に「比例は中道で」とお願いしている。これまでになく活発だと話題になっている。今回の選挙で存在感を示さなければならないのだろう。
A 公明党が立憲に泣きついての「中道改革連合」だろうが、これまた奇襲で衆院選のためだけに新党を立ち上げ、綱領としては原発再稼働に舵を切り、集団的自衛権の行使も容認するなど、立憲民主がこれまでの党是を放り投げて変質している。党内議論もなくまるで別物の政党へと移行しているではないか。「枝野立て!」で立憲民主党結成になった際の謀略的な旧民主党解党劇を彷彿とさせるものがある。要は自民党に対抗して選挙に勝つためだけに公明党と野合するというものだが、世間はどう見なすのかだ。節操がない連中だとなれば離れていく有権者もいる。
一方で立憲民主党の候補者からするとホクホクで、公明党の組織票がもらえるなら両手離しで自転車でもこいでいきそうな雰囲気だ。先は崖かもしれないのに。「選挙に勝てればそれでいいのか」「政治家の本質が出る」と巷では大話題だ。今どさくさに紛れて起こっていることは立憲民主党の解体なのだ。そのために公明党がいやらしい働きをしたということだ。立憲民主党のなかでも左側寄りの部分が殲滅の憂き目にあい、野田佳彦はじめとした自民党の鵺(ぬえ)みたいな部分が一気呵成で仕掛けている。
そして、仮にこの選挙で国会における最大勢力となった場合、単独過半数まではいかずともアッと驚く大連立ができあがっても不思議ではない。大混迷の国会で多党化しているが、数合わせができればそれでよしという感覚だろう。与党とか野党などといいながら、実際には対立などしていないし、対立しているようなふりをして世間を欺きながら国政を動かしてきたのだ。「主導権が今度はボクに任される」といって小躍りした、政権交代以後の裏切りの民主党の悪弊が見え隠れしていて、これもまた嫌らしさがプンプンしている。いずれにしても選挙を通じて有権者がどう見なすのかだ。弱者連合のM&Aが上振れしないのと同じで、「中道」と衣替えしたところで新鮮さは乏しい。公明党からすると選挙区から完全撤退まで追い込まれたもとで、立憲に抱きついて恩を売り、比例の議席だけは死守するという防衛的振る舞いでもある。追い込まれている。
C 大阪では維新が県知事と市長を辞職しての3度目の都構想実現を問うダブル選をしかけていて、自治体の選挙実務がたいへんなことになっているようだ。都構想については橋下徹の頃から2度も住民投票で否定されており、「何回やんねん!」「しつこい!」が府民の感覚だろうが、解散総選挙の混乱に乗じてショック・ドクトリン方式でかぶせている。維新も党勢に陰りが見えているなかでの選挙となる。
B この選挙に800億円かかるというが、最短での奇襲選挙とあって行政の選挙実務や負担がとんでもないことになっている。山口県では県知事選も同日実施で、各自治体の選挙管理委員会がてんやわんやの大騒ぎだ。「選挙事故が起きそうで恐ろしい…」と話になっているが、各地で起こることは疑いない。自治体には1月1日に全国共通の標準準拠システムが導入されたばかりで、投票受付のレイアウトがこれまでとは違う。扱いに慣れていない人が多い。そのなかで、知事選のみならず衆議院選挙まで加わればどんな混乱が生じるのか想定ができないという。
この間、なかなか選挙日程が決まらなかったために行政は整理権も選挙ポスター掲示板の印刷の発注もできず、しかし準備を急がないといけないという焦りがあった。山口県内では有権者のもとに2枚の整理権が届くことになるが、県知事選挙の入場整理券はもう発送してしまっている。衆議院の方がギリギリになるので「衆議院選挙の整理権が届かない」という電話が選管にたくさんかかるのだろう。あと、投票所には県知事選、衆院小選挙区、衆院比例、国民審査の四つの投票箱を設置しなければならないが、足りない自治体も出ている。とにかく急すぎてたいへんなことになっている。解散表明の会見でまた「働いて」×5を自慢げに披露していたが、やっていることは「働かせて」×5ではないか。選挙管理委員会の職員たちが可哀想でならない。
選挙後は軍拡大増税も トランプへの貢ぎ物

米空母「ジョージ・ワシントン」艦上での在日米軍の行事に招かれ、トランプ米大統領の隣で跳びはねる高市首相(昨年10月、横須賀)
A 高市政権の発足は昨年の10月21日。それから3カ月で日中関係を悪化させた以外にまだなにもしていないなかでの解散総選挙だ。自民党のなかではこの何年来か、最大派閥として影響力を行使してきた旧安倍派が、統一教会との関係や裏金問題で隅に追いやられ、冷や飯だったはずの石破が首相になっていた。ところが、選挙でそれこそ裏金問題や統一教会問題が原因で自民党が惨敗したにもかかわらず、今度はそうした問題の張本人だった自民党右派が石破を退陣に追い込み、高市が担ぎ上げられて「有頂天の3カ月」をすごして今日に至っている。
「初の女性総理大臣が誕生」「ガラスの天井を突き破った」とか持て囃されていたが、主導権を握りたい清和会の残党や麻生派をバックボーンにして選ばれたというだけだ。しかし、「これ以上自民党(清和会)の腰巾着をしていたら危ない」と思ったのか党勢に陰りが見えていた公明党が連立から離れていった。そのため苦肉の策で維新と手を伸ばし、党勢低迷にあった維新も閣外協力という形でこれに応じて、少数与党による政権運営がおこなわれてきた。「はじめから泥船の高市政権」と本紙でもやったが、追い込まれた状態だったのだ。
高市早苗からすると、まさか公明党が立憲と手を組むなど想定していなかっただろうが、「高市人気」で支持率が「高い」といわれる今、選挙をやって、ボロが出る前に逃げ切るという算段だったのかもしれない。それで「いま選挙をやれば自民党は260議席獲得」などという話に乗せられて解散を仕掛けてはみたものの、実は選挙区はボロボロという実態がわかりはじめて後の祭りなのかもしれない。あるいは余程の奇策を隠し持っていて、選挙期間をつうじて世論を自民党支持に染め上げていくというのだろうか。
内閣支持率と政党支持率は比例しないというが、「私の人気でいけちゃうかも」と思っているのだとしたら相当な自意識過剰といわなければならない。選挙に勝つとは具体的だ。選挙区で選挙に挑む候補者、政党の姿勢が有権者から見られるわけで、首相の人気投票ではあるまいし、「私が総理大臣でよいかを問う選挙」にはならない。「3カ月しか首相をしていないのに、オマエなにかやってから選挙せんかい!」という声は「なぜ今?」の疑問とともに世論としては支配的だ。
C いずれにしても政権が少数与党の状態で好きにできず、フリーハンドを求めての総選挙なのだ。勝ったら好きにやらせてもらう――がこの選挙の本質だ。それでなにをしようとしたがっているかというと、自民党と維新が組んで連立協議で合意した政策を見てみると、防衛費増額、防衛装備品の輸出を規制する「五類型」の撤廃、原子力潜水艦を念頭にした潜水艦保有など、より軍事力増大に前のめりで舵を切ろうとしている。2027年度に防衛費をGDP比2%へ増額するとした安全保障関連三文書の前倒し改訂も明記していた。
憲法9条改正の条文案について26年度中の国会提出を目指すことも記している。そして、統一教会が望んできたスパイ防止法関連法制についても検討を開始し、速やかに法案策定・成立させるとしていた。
台湾有事をめぐって前のめりに武力行使もほのめかしたが、基本的にはアメリカの鉄砲玉になって対中包囲網の最前線で立ち回るというのが日本の番頭の役目なのだ。安倍晋三からこの方進めてきた「戦争できる国づくり」をどこまでも追求する体制ということだ。トランプに媚びを売って米軍需産業から武器を買いまくり、米中覇権争奪のもとで身を乗り出していくというのが見たままの姿だ。安倍晋三が高市早苗のフェイスマスクをかぶったような駒の配置なのだ。
生活苦は拡大の一途 れいわの大暴れ期待
A この選挙では、軒並み政党が消費税減税について触れているのも特徴だ。食料品につき2年間の消費税減税の「検討を加速」が自民党。中道は食料品について期間を設けず減税。共産、国民民主は一律5%への減税という。れいわ新選組が2019年の国政選挙で台頭した際に消費税廃止を叫び、当時はきわもの扱いする向きもあったが、2026年の国政選挙では自民党も含む全党が消費税減税を主張するようになった。れいわ新選組がぶれてないだけともいえるが、物価高と円安がますます深刻になるなかで国民生活に直結する政策になっているし、「いいから早くやれ!」がみなの実感だろう。
消費税減税・廃止もだが、昨今の物価高騰はすごいものがあって、コロナ禍にも増して生活の苦しさはひどいものになっている。国民一人当たり10万円給付などの実施も追加でやるくらい暮らしの底上げをしていくことも必要だ。ベーシックインカムの導入は本気で検討しないと暮らしがままならない。「高市早苗が総理でよいか」などあまり関心を持っている人間は少ないが、物価高騰とインフレがひどい状態のなかで、政治がどこをみてなにをしようとしているのか問う声は大きい。消費税減税を全党が掲げなければならないほど国民的な圧力は強まっているのだ。国民生活の底上げのために政治や行政機構がなにも機能してこなかったから失われた30年になったわけで、この責任は重大だ。
B 円安と物価高、インフレのひどさは深刻になるばかりで、国政の舵取りに大きな責任が問われている。むしろ選挙後の政権運営の方がたいへんな困難さをともなうだろう。いかなる政党が勝とうが負けようが、勝った勝ったで好き放題とはならないし、国の現実と向き合った政策を実行するほかないのだ。
A 日本の政治状況ははっきりいって混迷状況にある。既存政党が力を失い四分五裂に多党化し、どの党とどの党をトッピングして連立政権を組むか、みたいな状況が今後はしばらく続くのだろう。前回選挙では排外主義を煽る政党がSNS選挙を駆使して勢力拡大を見せたが、近頃の選挙はSNSが猛威を振るうのも大きな特徴だ。あることないことを発信してデマやディープフェイクまでが拡散され、まるで真実であるかのように脳味噌を染め上げていく等々が常套手段になっている。劇場型を仕掛ける手段がテレビや新聞だけでなくSNSという情報発信装置を通じてもおこなわれ、組織的な拡散をはかっていく。切り抜き動画がいくつも出回ってプロモーションしたり、感情をかきたてたり、なにがなんだかわからない混沌とした情報空間がつくられるのも特徴だ。
恐らく今回もSNSが異様な状態になるのだろうが、安易に乗せられるのではなく、誰が何を意図してどうしようとしているのか、しっかりと見極めることが重要だ。前回選挙の異様さは統一教会はじめとした宗教右派の大暴れという側面もおおいにあるが、カネを投じて謀略を仕掛けるのが選挙プロの世界では常識みたくなっている。自民党だってDAPPIに業務発注していた。そうして新聞やテレビには真似できない下品さで世論を宣伝扇動するのだ。
C れいわ新選組は31人の候補者を発表したが、前回以上の議席獲得を目指して大暴れしてほしいものだ。消費税廃止を叫んできたが、結局ぶれてないのはれいわだけじゃないかと改めて思う。候補者全員のプロフィールを見ても錚々たるメンツじゃないかと思うし、一人でも多く国会に送り込みたいものだ。そうして国会議員になった人たちは当選がゴールみたいなことではなく、当選はあくまではじまりであって国会でしっかり闘わないといけない。折衷して永田町の世界に溶け込んでいく、馴れ合っていくというのは支持者への裏切りでしかない。去る者は去ってよし、闘う強靱な議員集団として存在すべきだ。空気を読まないバカにしかこの国は変えられないのだ。

全国各地で有権者との対話を続けてきたれいわ新選組(2025年11月8日、香川県丸亀市)





















