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維新が勤しんだ「自分の社会保険料だけ下げる改革」 364議員が国保逃れ疑い 浅ましく巧妙な脱法スキーム

(2026年1月28日付掲載)

衆院選に合わせたダブル選を発表する大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)と大阪市の横山英幸市長(同副代表)〈1月15日〉

意味不明なダブル選の影で


 高市首相による抜き打ち的な解散総選挙に合わせ、連立与党を組む日本維新の会(吉村洋文代表)は、すでに2度の住民投票によって否決された「大阪都構想」の3度目の挑戦を争点にして大阪府知事、大阪市長の出直し首長選(いずれも総選挙と同じ8日投開票)にうって出た。任期途中での唐突な辞職、再選挙となり、他党が一切身動きが取れないため事実上の信任投票となるうえ、現職が当選した場合の任期は選挙前と変わらない。口を開けば「ムダを削る」「身を切る改革」といいながら、史上最も無駄遣い選挙と揶揄されている。その維新が抱える大きな問題に所属議員らによる「国保逃れ」問題がある。

 

 「国保逃れ」問題は、「身を切る改革」を声高に訴え、「社会保険料を下げる改革」を目玉公約にしてきた維新所属の議員らが、本来支払うべき国民健康保険料の支払いを免れるため、実態不明な一般社団法人を立ち上げ、その法人理事(役員)になることによって社会保険に切り替え、自己負担分の保険料を大幅に下げる仕組みを作り上げていたというものだ。

 

 この問題が明るみに出たのは、昨年12月の大阪府議会での自民党議員の一般質問。通常、歳費や議員報酬を主たる収入とする国会議員や地方議員は、個人事業主やフリーランスなどと同じ国民健康保険に加入するが、その抜け穴となる脱法スキームを維新議員が悪用している可能性があると指摘した。維新の議員のなかにその「勧誘役」がおり、京都市内に事務所を置く一般社団法人「栄響連盟」の理事になることで保険料を最低水準に抑えられることを喧伝していたという。勧誘役が持ち歩いていた同法人の指南書には「数万円から数十万円のコスト削減が可能」と記されていた。

 

 公的医療健康保険制度には、職域保険(共済組合や協会けんぽ等)と地域保健(国民健康保険、後期高齢者医療制度)があり、個人事業主や議員、退職者、非正規雇用労働者、会社員の「扶養」から外れた家族などは基本的に後者に加入する。その場合、保険料は全額自己負担で、議員など年収が高い人では年額109万円だ。

 

 ただし、個人事業主でも法人からの収入があるなどすれば社会保険に加入できる。明らかになっている国保逃れの手法は、その制度を悪用したものだ。議員らはこの一般社団法人の理事になり、月4万円程度の「会費」を法人に納め、法人から月1万~2万円の報酬を受け取ることで国保から社会保険に切り替える。これにより地方議員なら1400万円もの議員報酬は保険料計算の対象から外れ、法人から得る低額の報酬のみで保険料が決まる。しかも、労使折半であるため、本来の自己負担分109万円(国保)が30万円程度の最低水準の社会保険料に抑えられるという仕組みだ。この脱法スキームで約80万円もの節約をしていた議員もみられた。

 

 報道によれば、理事といいながらも実際の業務は、月に1、2回、15分ほどのアンケート調査をおこなう程度だったという。従業員であれば雇用契約にあたるため、労働法で定められた最低賃金の規制があり、報酬が法定額を満たしていなければ社会保険に加入できないが、理事であればその制限を受けない。そのためこの社団法人の理事は700人以上にも膨れ上がっていた。

 

 法人側は、理事1人当り月4万円を会費として集め、社会保険料の企業負担分(約2万円超)との差額を懐に入れる。分母が大きくなければ法人を維持できないため、理事になった者が次の人を勧誘し、ねずみ算式に膨らんだとみられている。

 

 これが公になると日本維新の会は、党内調査と称して所属議員へのアンケートを実施し、回答した803人のうち、首長である知事・市長19人を差し引いた364人(45%)が、国保ではなく社会保険加入者であったことを認めた。栄響連盟や類似法人への関与を認めたのは8人で、そのうち栄響連盟の理事に就任していたことが確認され、著しく低額な社保料しか支払っていなかったとして、長崎寛親(兵庫県議)、赤石理生(兵庫県議)、松田昌利(大阪市議)、長﨑久美(尼崎市議)、南野裕子(神戸市議)、松本光博(元杉並区議)の6人を除名処分とした。

 

 現時点までの調査では、党の組織が指示をしたという意味での「組織的関与を示す事実」は確認されていないと自己申告している。だが、そもそも栄響連盟の代表者は維新の衆議院議員の元秘書であり、同党公認候補として兵庫県議選にも出馬した人物。さらに関西だけでなく、東京でも維新の元区議が、議員の社会保険料を脱法的に下げることを業務とする法人を運営し、維新議員らのLINEグループで勧誘していたことも明らかになっている。実態のない役職を登記することは虚偽記載となり、公正証書原本不実記載にあたるとの指摘もあり、公金が注がれる国政政党(しかも政権与党)による疑惑である以上、捜査機関など第三者による調査は必須といえる。

 

国保料負担の過重を知りながら…

 

 たとえ「違法性はない」と開き直ったところで、このような脱法行為で本来支払うべき保険料を支払わない人が増えれば、制度上、その負担は被保険者に回り、国保料の値上がりにつながる。高すぎる国保料負担は国民生活を締め上げており、厚労省の令和5年度調査では、滞納世帯は183万世帯にのぼり、9世帯に1世帯が保険料を支払えていない。滞納が長引けば、差し押さえや医療保険からの排除(窓口10割負担)などの厳しい制裁が加えられるのが巷の現実だ。さらに2026年度からは子ども・子育て支援金が上乗せで徴収される。

 

 この実態を重々承知のうえで、有権者には「高すぎる社会保険料を下げる!」と謳って選挙をやり、実際には「身を切る」どころか自腹だけは切らず、「自分だけ社会保険料を下げる改革」に勤しんでいたことは、維新なる政党の羊頭狗肉ぶりを如実に物語っている。その追及が広がらないうちに出直し選挙(府市ダブル選の費用は28億円)にうって出たともみられ、求心力低下とともに足が絡まって自壊する様でもある。身を切らぬ自民党との違う潔さをアピールしてきたものの、いまや連立を組む裏金自民党と肩を並べ、「今だけ、カネだけ、自分だけ」のさもしい姿を露呈している。

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