(2025年8月6日付掲載)
れいわ新選組の伊勢崎賢治参議院議員(元国連上級職員)は5日、参議院予算委員会で初の国会質問に立ち、日本の主権の問題として日米地位協定を米国と対等なものへ改定すること、現在もガザで虐殺を続けているイスラエルの蛮行を止めるためにパレスチナの国家承認を早急に閣議決定でおこなうことを石破首相に求めた。以下、質疑の要旨を紹介する。

石破首相に質問する伊勢崎賢治議員(5日)
伊勢崎 石破総理、だいぶん前になるが、研究者だった私に総理を最初に引き合わせたのは田原総一朗さんだったと記憶している。「おもしろい政治家がいる」と。そのときお話させていただいたのは、国際比較から見た日米地位協定の問題だった。焦点はレシプロシティ(互恵性)。トランプ関税のことではなく、地位協定における互恵性だ。
つまり、米軍を受け入れる国が法的にアメリカと平等になること。これは概念上、もしその国の軍隊がアメリカ本土に駐留したときに、そこでアメリカが許さないことはアメリカ自身もできなくなるというものだ。これがアメリカの自由なき駐留だ。主権国家として当然のことだ。これが他のすべての同盟国ではあたりまえになっているなかで、日本がとり残されている現実。この問題意識が、今はお立場はあるだろうが、(石破)総理のなかに少しでも残っていることを僕は願っている。
今年6月、トランプ米政権はイランの核施設を3つ空爆した。今日問題にしたいのは、この空爆に使われたB2ステルス爆撃機がアメリカ本土から飛び立ったことだ。それもイランまで36時間かけて。イランの目と鼻の先のカタールには、中東最大のアメリカ空軍基地があるにもかかわらずだ。なぜか?
昨年10月にカタールの首相は、米軍基地を他国への攻撃や戦争に使うことを許可しないと明言していた。アメリカに対する拒否権の表明だ。これは主権国家としてあたりまえのことだ。自国に駐留する米軍の行動の結果、真っ先に報復のターゲットになるのはアメリカ本土ではなくカタール自身だからだ。つまり、カタール自身の国防のためである。このおかげで、イランによる報復攻撃はカタールの米軍基地のみ、それもきわめて限定的、儀礼的な攻撃で収束した。
これを日本に当てはめると、在日米軍基地が他国への攻撃に使われそうなとき、日本がそれを拒否する権利をまず地位協定のなかで担保することだ。これが冒頭でいった自由なき駐留のことである。そして、カタールがやったように、アメリカが始める戦争に在日米軍基地は使わせないということを、平時から世界に向けてわれわれが発信すること。これらは日本の国防にとって必要な措置だと考えるが、総理の見解をお願いする。
石破首相 同じ1957年生まれだが、私は今でも伊勢崎さんのことを先生だと思っている。おそらく書かれた本を一番読んでいるのは私だと思っていますし、いろんな議論も今までさせていただいた。ですから「少しでも残っていれば」というご指摘だが、それはそのまま残っている。問題意識は同じように持っている。立場は違うが、こうして議論できる機会を得られたことは大変に幸せなことだと思っている。
事前協議については、当たり前のことであるが、日本として「それはできない」ということはある。また事前協議が、極東有事とほかの有事の場合、日米安全保障条約の場合とそうでない場合について、事前協議のあり方をもう一度きちんと確認しておく必要があるという問題意識を持っている。そのうえで、日本の独立国としての地位協定をどう考えるかという、これまたずっと長いこと議論させていただいた課題だが、これは日米安全保障条約本体と地位協定をどうして一体のものとして考えるかという問題意識がある。
その点で、じゃあ地位協定の部分だけ変えるということがあり得るのか。まさしく今委員がご指摘になった、イタリアにおいてどうだったのかというようなお話は、私自身、ただ、わが党のなかで、あるいは与党のなかできちんとその議論を積み重ねていかないと私は結論が出ないと思っており、その努力はしていきたいと思っている。
パレスチナ国家承認を閣議決定で
伊勢崎 (質問の)時間がない。ご存じのように、日米地位協定の改定を超党派で考える会を発足させた。総理にもお言葉をいただいた。これを超党派議連にする。ご協力いただきたい。
最後にガザのことだ。日本政府も支持している「Two State Solution(二国家解決)」。美しい響きだ。だが、そもそも二国家といってもパレスチナは国家ではないのだから、空虚な響きでしかない。これは結果的にイスラエル政府の蛮行を追認する免罪符に成り下がっているともいえる。
現在いよいよガザの状況がジェノサイドであることを否定することが難しくなってきたからだろう。G7のなかでもパレスチナの国家承認をする動きが強くなっている。僕には「今さら」という感じがあるが。イスラエルの蛮行を止めるのに、残された外交手段はパレスチナ国家承認しかない。総理、閣議決定でお願いする。
石破首相 これはもう人道上の問題だという強い問題意識を持っている。即時停戦、そして非人道的な状況を一刻も早く解消するために、わが日本国として最大限の努力をしていかなければならないと考えている。





















