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生活の底上げさっさとやれ! 賃金低迷こそ国難の元凶 れいわ・大石晃子議員が衆院内閣委員会で質問

 れいわ新選組の大石晃子衆議院議員は17日、衆院内閣委員会で質問に立ち、増税や物価高、所得低下で窮乏する国民生活に対する岸田政府の無策とともに、一方で開催のために大盤振舞で予算を投入している関西・大阪万博への国の関与のあり方を問いただした。以下、大石議員の質問要旨を紹介する。

 

質問する大石晃子議員(17日、衆院内閣委員会)

 大石 イスラエル軍がガザの病院に突入した。それにアメリカ政府は賛同している。日本政府は、この国会の中でも、「国際人道法違反ではないか、その疑いはせめていえないのか」というのに対しても、「コメントは控える」と恥ずかしいことをいう。これが虐殺でなくて何なのか。これが力による現状変更でなくて一体何なのか。アメリカの二枚舌の正義があなた方の正義なのか。それならば二度と正義を語るな。国際社会は共犯だ。

 

 (与党席から「何も知らないのに勝手なことを言うな」の野次)

 

 日本の経済政策について伺う。「日本の経済再生のため総理の責任で賃上げをおこなうべきだ」と11月の2回の内閣委員会で申し上げてきた。岸田内閣による、介護のたった月6000円の賃上げ、国家公務員のたった0・96%の賃上げは、物価高にすら追いつかない実質賃下げだ。

 

 岸田内閣は「賃金上昇が物価高に追いついていない」と口ではいう。だが、来年か再来年に追いつくだろうという甘い見通しをしている。そんなことは許されない。

 

 パネル【グラフ参照】は、直近4 年間の物価高と賃金の推移だ。青い棒グラフが名目賃金、そしてオレンジ色の線がいわゆる物価だ。自公政権によって8%から10%に消費税が上げられた2019年終盤からの名目賃金と物価高の推移を見ている。棒グラフ(名目賃金)が物価の線を上回らなければ、国民はダメージを受け続けているということだ。

 

 2020年は消費税が上がっているのに物価は下がるというデフレ。名目賃金もだだ下がりだ。そしてコロナまで乗っかってきて、国民は大きな危機に見舞われ、そしてウクライナでのロシア侵攻が始まり、コストプッシュインフレで物価が上がっているが、名目賃金はずっとその下(マイナス)をいっている。名目賃金が物価を追い越している月など、この4年間でほとんどない。そして2022年3月から直近の9月まで18カ月連続の実質賃金マイナスだ。

 

 ずっと国民生活は危機であり、これを埋めなければならないということをずっと申し上げている。だからこそ消費税廃止や減税が必要なのだ。

 

 新藤(内閣府特命・経済財政政策担当)大臣がこんなことをいっている。「賃上げのためには生産性を上げなければダメだ」と。何をいっているのか。結局は、30年間、同じ間違いか、デマをいい続けている。「生産性を上げなければ賃金が上がらぬ」と。

 

 厚労省の資料で労働生産性と賃金の推移を見ても、生産性については日本とイギリスは同じように推移したが、実質賃金をみると、英国ははね上がっているが、日本は這いつくばっている。生産性と実質賃金は、控えめにいって関係ない。

 

 経団連がただただコストカットで賃金を減らす圧力をかけ、その飼い犬の政治家の皆さんも大いにそれに貢献してきた。まずは自公が謝罪、懺悔して、総辞職だ。そして、責任のある政府が賃上げ目標を決めて、大胆な賃上げ、まずは公的部門の大幅賃上げからやらなければいけない。「生産性ガー」というような資本家目線の政治家はもういらない。

 

 厚労省が9月に出した労働経済白書には、国民が貧しくなった原因が書いてある。「この30年、非正規が増えて労働分配率が減った結果だ、生産性向上は賃上げにならなかった」と。逆にこうも書いてある。「1%賃上げすると2・2兆円の経済効果があり、16万人の雇用が創出され、雇用者報酬も増える」。さらにこうも書いてある。「賃上げは消費を増加させ、更なる賃金の増加につながり得る」。わかっているんだったら、さっさとやれよ! ただそれだけだ。

 

「維新」の尻拭い 万博には大盤振る舞い

 

 大石 岸田内閣が賃上げも消費税減税もせずに財政規律にとらわれているが、一方、上限も設けずに支出しようとしているのが、「維新」の尻拭いのための大阪万博だ。補正予算までつけている。2020年計画の1850億円から、いろいろ理由をつけて予算は上がり、2350億円に増額。そのうち3分の1を国が負担することになる。万博の「木のリング」(万博会場を囲むように設置される円状の建造物)は350億円というが、実際にはもっと高かった。今回の補正予算案に増額部分が含まれると経産省が認めている。

 

 その値段を問うと、経産省は、「補正予算946億円の中に含まれているが、内訳はお答えできない」と答えた。本来公開しなければいけないものを「工期、契約の関係でお答えできない」といっているのだ。350億円は2020年の数字なので、普通に考えてもっと上がっているはずだ。

 

 粗い試算をおこない、他と同様の割合で増加したとして、429億円に上がっているはずだ。しかも海の上での工事もあるため他よりも上がるはずだ。公開して説明しなければならない。

 

 夢洲での万博開催の本当の狙いは(その後に大阪府市が誘致する)IR・カジノなので、ますます大阪市民や国が負担するべきではないものだ。

 

 このカジノのとんでもない実態は、内閣委員会でもとり上げてきたが、11月に入ってさらに法条例違反。そして、もともとカジノ事業者である「大阪IR株式会社」がペーパーカンパニー、実態なき会社であり、これでは工事ができないと批判が高まっている。

 

 そもそも大阪府市がカジノ事業者と不平等な契約を結んで3年の「解除権」を与えているので、(業者は都合が悪くなると)いつでも撤退できる。それを受けて、すでに大阪府市は七八八億円もの公金を投入して土壌対策工事を進めようと、環境アセスの住民説明会をこの間おこなっている。しかし、このアセスの住民説明会は、条例に基づいて参加しなければならない「大阪IR株式会社」は来ず、委託のコンサルにやらせている。

 

 「大阪IR株式会社」自体、社員が2名しかいない。代表のエドワード・バウワーズというMGM(米カジノ大手)の人と、高橋豊典というオリックスの人の2名だけだ。電話もなく、登記された場所に行っても会社はない。このような、工事を含む多額の支出をする契約が秘密契約であり、しかも、それをペーパーカンパニーにやらせるというのは危険極まりない。国交省は、連絡先や情報提供が可能なのか。これは追って追及していく。住民に対して連絡先さえ明かさないのはあり得ない。このようなカジノは中止すべきだと改めて申し上げる。

 

 最後に、新藤大臣に経済対策について伺う。労働生産性の向上と賃金は関係がないということが厚労省の資料からも明らかだが、大臣はまだ生産性の向上が賃上げに必要だとおっしゃるか。

 

 新藤大臣 物価の上昇を上回る賃金上昇。構造的かつ持続的にそれが可能となるような形態をつくらなければいけない。様々な要素がある。第一に私たちがやっていることは、まず生産性の前に、可処分所得を向上することだ。それが将来の所得の予見性を高める。減税も含めて。こういう政策を打ちながら、春闘でもって今みんなが必死に努力しようとしている。そのなかで、新しい経済をつくるために、人口減少、少子高齢化の世の中で、様々な意見を持つ人がそれぞれの生活の充実を求めている。このニーズにどう応えていくか、総合的な対策を打っていきたい。

 

 大石 生産性の向上が賃上げの条件になるような経済政策を唱えている内閣はいらない。終わる。

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