いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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密着・れいわ新選組関東ツアー in 新宿

 れいわ新選組の山本太郎代表は18日、全国ツアーの年内ファイナルとして東京都・新宿駅南口で街頭記者会見をおこなった。今年最後の街頭演説を見届けようと駅前には多くの人たちが集まり、新党旗揚げから参院選、全国を細かく回るツアーに踏み出した今年一年をふり返り、全国各地で切実な要求を束ねながら政治変革の力を拡大してきた成果を共有した。


 聴衆を前にマイクを握った山本代表は、れいわ新選組を旗揚げした今年一年について、「国会議員の6年間を考えると自分という存在はガス抜きにしかなれていなかった。自分はガス抜きのために政治家になったわけではない。国会では命や人人の生活にかかわることよりも、企業側の利益になることなら何でも進む。それ以外のことには興味のない多数派がいる。確実に国は破壊されていっている。この加速を止めるために少しでもブレーキになりたいと思ったときに(新党を)旗揚げするしかなかった。もし旗揚げしないのなら政治はやっていなかったかもしれない。さらに6年ガス抜きをやりつづけて、いつか世の中変わるだろうという気楽な話ではない。今の世の中はそんな局面まで来ている。選挙で2人の国会議員が生まれ、国政政党になったが、私自身はバッジを失っている。だからこそ私は全国を走り回りながらみなさんの声を届けていく役割だ。激動の一年だった」とふり返った。


 「年が変わっても、元号が変わってもなにも変わらない。昭和から平成と続いた新自由主義的な政策によって人人の生活は確実に地盤沈下している。そのしわ寄せが最大限押し寄せるのが令和だと考えると、私たちは令和をそんな悲惨な時代にしないために新しく変えていく。人人を搾り続けた20年以上の緊縮財政から、人人へ投資するまったく違う形に転換していくという政策をみなさんに理解してもらいながら力を与えていただく以外にない」と決意をのべた。

 

 また、次期衆院選に向けて立憲民主、国民民主、社民、共産など野党間で共闘に向けた動きがはじまっていることについて問われると、「消費税5%を選挙のメインに立てられるならば、私たちは捨て石になっても野党共闘で頑張る。ただ野党が塊になるだけで勝てるのならばとっくの昔に勝っている。民主党の再結成にどれだけの人が期待するだろうか? と考えると、かつての民主党とは違う世界観を目指していることをはっきりメッセージしなければいけない。全国290カ所の小選挙区で勝つためには野党は塊にならなければならないが、そこに魅力的な政策が乗らなければ勝てるとは思わない。50%の有権者が票を捨てているという前提を忘れている。この間、数数の悪法が通りながら野党が選挙で勝てない原因の総括ができているのか。私は野党には経済政策が弱いと考え、人人の困窮を改善する点からも、政局の点からも、一番わかりやすい政策として消費税5%を掲げることが政権交代を引き寄せる道だと思う」とのべた。


 9月の北海道を皮切りにはじめた全国ツアーの手応えについては「今日私がここに立てているのも、交通整理や受付、ビラ配りを担ってくださるボランティアの方方がいなければ成立していない。新しい変化は、幅広い世代の人たちの政治参加がはじまったこと。政治は監視しなければならないことを思い出し、そこにおもしろさを感じている人がこの何年間かで増えてきたと思う。そのような人たちがいろんな地域で手助けをしてくれる。非常にありがたい」と謝辞をのべた。来年冒頭からは、残る中国・四国地方などの空白地に加え、候補者を立てる地域にも積極的に対話に赴く方針も示した。


 さらに「日本では日常的に政治について話すのはタブーであるかのような風潮があるが、このように街頭記者会見をやるとバンバンと手を挙げて発言する。赤信号で止まり、払いたくない消費税を払うように、政治と自分は一直線に繋がっているにもかかわらず、あまりにもひどい政治の体たらくによって政治への興味を手放してしまい、先の選挙では50%が投票権を捨てている。そうではなく、みんなでしっかり監視してコントロールしようという気持ちをシェアしていく場だ。究極は私を応援してくれなくてもいい。とにかく政治に対してみんなでコミットしていこうということを全員で共有するオープンな場だ。いろんな政治家の方も街に出てみんなの質問を受け付けてみたらいい。底が浅いのはすぐにバレる。わからないことは教えてもらうというスタンスだからやれている。知らないことを認めるにも勇気がいるが、国会議員は代理人でしかないのだから学べばいい」と街頭での対話の意義をのべた。

 

4氏も交えて参加者と活発な論議に

 

 街頭記者会見には、ともに参院選をたたかった安冨歩、三井義文、辻村ちひろ、大西つねきの4氏も集まり、聴衆との対話に参加した。

 

 「アベノミクスは格差を広げるばかりだ。日銀の金融政策だけで財政政策はされていない。必要なところにお金が注がれていない」(男性)との意見に対して、山本代表は「金融緩和で増やしたお金は実体経済に回さなければならない。資金需要がなければお金は世の中に流れない。デフレが20年続いているなかで投資する人は少ない。だからこそ国が大胆に財政出動しなければいけない。アベノミクスなどと図図しい名前を付けているが経済学の初歩的な話だ。金融緩和や財政出動はどの国でもやっている。20年以上つづいたデフレから脱却するためには、奨学金チャラなど教育への投資、介護、保育などニーズがあるが処遇が悪いから働けないという分野に対しては公務員化していくなど伸びしろがある。みんなの生活を底上げするための一つとして消費税を廃止する。やる方法はいくらでもあるのにやる気がないだけだ」とのべた。


 関連して発言を求められた大西つねき氏(元JPモルガン銀行ディーラー)は「政府の借金を増やしてでも必要なところに回していくことが肝心であり、それによって子どもの教育や介護で働く若者が実体価値を作り出してくれる。カネというものは意味がなく、カネで交換できる実体価値にこそ意味がある。子どもたちや介護業界の若者たちが動けないことこそが国家にとっての大損失だ。富の本質がわかっていない人たちがカネ、カネ、カネ……で頭を縛り、作り出すべき実体価値を作れないまま多くの若者たちの時間や可能性を無駄にしている」とのべた。


 さらに「アベノミクスでは異次元の金融緩和で銀行にお金を出させようとしているが、銀行は国内に投資できず海外に投資している。過去最大の5兆㌦もの資産をもっていながら、海外に投資するためには円を売って外貨を買う。売られた円は日本国内に残り、外国人投資家が買っている。だからいま日本中のあらゆる資産や土地が外国人投資家に買われている。ひどい売国政策がこの数年間おこなわれてきた。これをなんとかしなければ国は合法的に買われ、合法的に植民地化される。そんなことを与党が平気でやり続け、野党も指摘できないまま野放しにしてきた。われわれはそれをしっかり指摘していくことによってみんなに伝え、本気で変えていく。本当に売国政策を止める政党だ」とのべて支援を訴えた。


 別の男性から「社会が崩れている原因は教育にあるのではないか。大学改革で研究者がしっかり研究できる環境を作り、学ぶ意欲のある人が学べる環境をつくるべき」との意見に対して、山本代表は大卒と高卒とでは生涯賃金に大きな差があることを指摘し、「小卒でも中卒でも大卒でも人間の尊厳が守られる暮らしを送れる状況にしなければ解決しない。教育においても型にはまることだけが求められ、自分の思いを素直に表現できる自由さがなく、空気を読むだけの社会が極まったのが今の日本ではないか」とのべた。


 関連して安冨歩氏(東京大学教授)は「この国は学歴差別によってボロボロにされている。どこの大学を出たか、大卒か否かによって生きる道が区切られている。この学歴差別を撤廃することが何よりも大切だ。就職において出身大学を問うことを違法とすれば、一体誰が大学に行くか。そのうえでまだ勉強をしたいと思えば、いかなる人でも、どんな時でも学べる学校をつくる。それ以前にすべての子どもに寝る場所、安全、十分な食事がなければ教育など話にならない」とのべた。


 労働環境に関して女性から「時給1500円というのはわかるが、職人や管理職、個人事業主は歩合制だ。たくさん働かせるための抜け道のようになっている。サービス残業の報酬が払われない場合もある」との意見に対して、三井義文氏(元コンビニ店主)は「私たちは競争ではなく、支え合って生きている。ベースで働く人がいてこそいい商品ができる。私は、人を安く働かせる政治を変えるためにコンビニを辞めて立ち上がった。20年間の不景気を嘘で塗り固める連中を国会に戻せば暗黒の社会が続く。素人集団といわれようと、みんなで声を上げていけば政治は変えられる」と訴えた。

 


 山本代表は「労働問題はこの国の問題の根幹だ。多くの過労死を生み出している。サービス残業のような違法労働を監督する機関として労働省を作り、拡充していく必要がある」と補足し、「変えられるのは皆さんだ。あなたがいなければ始まらない。50%が投票を捨てているのだから、みんなが緩やかに繋がればひっくり返せる。経団連と自民党がタッグを組み、自分たちには減税させ、この国の人人の働き方を壊し、非正規雇用や安い外国人労働者の拡大などをおし進めてきた。たった3割の有権者の票で好き放題やっている。であるなら50%とみなさんが力を合わせれば、消費税廃止も奨学金チャラも現実にできる。それをあなたが望むか、望まないかという話だ。その先頭に立ちたい」と呼びかけた。


 マイクを引き継いだ大西氏は、「山本代表の全国行脚が多くの人を集めていることは与野党にとって大きな脅威になっている。私を含む他のメンバーも勝手に全国を回っているが、それをやらない他の政党にはプレッシャーになっている。同じようにみなさんが自由にそれぞれ自分の声で自分の言葉を発信していくことが大事であり、それを現場で見聞きした周りの人たちがだんだん変わっていく大きな時代の流れを感じる」と概括した。


 来年も全国行脚を継続し、次期衆院選に向けてさらに勢力を拡大する進撃をおし進めることを参加者とともに確認し、今年の街宣活動を締めくくった。

 

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この記事へのコメント

  1.  すごい数の聴衆で、びっくりですね。前日の夜は、大阪で、「#あなたを幸せにしたいんだ」の出版を祝うトーク・イベントがありました。太郎さんのサイン入りの本をゲットしましたよ! 太郎さんは、そのあと大阪空港に向かわれました。太郎さんて本当にスーパーマンですね! スタッフの方々もお疲れ様です。ゆっくり疲れを癒して、来年の四国・中国地方のツアーに備えられますように。
     長周新聞さんも、長いツアーの間、密着取材をしてくださり、ありがとうございました。あまりにありがたくて、ついに定期購読しました。毎回届くのが楽しみです。濃い内容で、教えていただくことばかりです。ささやかですがカンパもしますね。
     高い知性、見識、教養、優れた時代感覚、どんな記者の方々でいらっしゃるのでしょうね。そのうちのお一人の記者さんが太郎さんに質問されたら、聴衆から拍手が起こったそうですね。感謝の拍手ですね。私たちも心からの感謝を申し上げます。
     
     

  2. サバトラ says:

    年末、ブラックアルバイトと誰もが認めるような現場で短期のアルバイトをしました。
    わずか2週間ほどでしたが、辞めたあとに元々持っていたパニック症状が酷くなり、今は薬でごまかしながら新しい仕事先に通っています。
    そんな辛い中、街宣で太郎さんと撮ってもらったツーショット写真を見て何度も勇気づけられました。
    職場にも誰も味方は居なくても、太郎さんは生きてて欲しいと言ってくれたのだ、と思いながら通勤していました。
    長周さんの記事のアップにも感謝します。
    応援しています。

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