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「円安でホクホク」なのは誰か

 「円安でホクホク」なのは輸出企業くらいのもので、国内では輸入に依存する食料品をはじめとしたあらゆる生活物価が跳ね上がり、深刻なインフレに見舞われて日々の暮らしは厳しさが増している。電気代も水道代もガス代も上がり、地方生活者にとっては移動に欠かせない車やバイクの燃油代だって高止まりの状況が続く。こうしたなかで家族に少しでも安く美味しく食べてもらおうと業務スーパーのような飲食店御用達の店舗に出向き、食材調達している人々だって少なくないが、これまた海外からの輸入食料品は円安の影響で価格高騰が直撃しており、1、2年前とは状況が様変わりである。


 2㌔㌘の冷凍ブラジル産鶏もも肉で見てみると、去年の今頃はだいたい1000円もしないで買えていた。特売の日を狙うと900円だった。それが今や1800円近くまで高騰しているではないか。なんでもブラジルで昨年鶏インフルが発生して生産量が落ちたことや、国際的な需要増に伴って商社が仕入れの際に買い負けている事が要因という。国産鶏もも肉の価格にジワジワと近づいている有り様で、以前のように圧倒的コストパフォーマンスを誇っていた状況からはほど遠い。某弁当チェーンの看板メニューである唐揚げ弁当に用いられる肉としても卸されている商品だが、原価がこれほど上がれば弁当本体の価格がアップするのもうなずける。飲食店で鶏もも肉のソテーや唐揚げ等々を出してきたところも、こうなると価格転嫁せずにはいられない。客足が遠のいていくのを気にしながら…。またこうした業務用食料品をまとめ買いした後に解凍してジップロックに小分けし、少しでも家計支出を抑えようと弁当や夕飯のおかずとしてやりくりしていた一般人にとっても悩ましい価格高騰である。もも肉に限らず下位互換的位置づけだった胸肉だって上がっているのだ。


 以前ならコンビニのおにぎりは一つ100~120円くらいの感覚だったのに、今や200円ごえが当たり前となり、おいそれと幾つも買うのはためらわれる。卵も1パック300円前後が当たり前で、母親たちの間ではやれどこそこのスーパーはL玉やM玉が何円とかの話題にもなっている。子どもたちだってスポーツ終わりにちょっと喉を潤すのもコンビニや自販機で買うのではなく、それよりも50~60円安いスーパーで買うように工夫したり、お小遣いの使い方はとてもシビアである。


 アベノミクスの副作用として今日の円安はもたらされた。金融市場に異次元の規模で円を注ぎ込んだことで、円安とセットの株高がつくられ、日経平均株価なんて5万円どころか6万円も見えてくるほど跳ね上がっている。ヘッジファンドや富裕層を中心に投資で儲ける者はガッツリと儲けているのだ。そして輸出企業を中心に大企業も内部留保を膨らませ続け、利益も過去最高額を更新してきた。円に換算するとそれは当然でもある。しかし日本国内で暮らしている者からすると急激な円安によってすさまじいインフレが襲ってきて、なおかつ給料は上がらないもとで食べていくのに精一杯な状況が広がっているのである。

 

 「円安でホクホク」なのは限られた一握りの富裕層や大企業だけであり、むしろ国民生活にとっては生活破綻にもつながりかねないほど強烈な打撃となっている。歪な経済政策のツケが暮らしの隅々にあらわれており、選挙で自民党が叫んでいたような食料品のみの消費税減税ではとても穴埋めできるものではない。いわんやこの物価高騰に加えて10%(1割)も税を課し続けるなど「意地悪」では済まないと思うのである。

 

吉田充春              

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