なにやら福岡県政を巡って自民党内部の内輪もめが激化し、主導権争いが繰り広げられているようである。ここにきて大金をかけた知事や県議会議員たちの海外出張の実態が暴露されたり、元県議会議長が議長選をめぐって自民党県議団の幹部から金銭を要求されて支払ったことを記者会見で明かしたり、援護射撃するように福岡市の高島市長が市長選に出馬する際に5000万円を要求されて断ったことを明かして物議を醸している。そこにSNSでも安倍晋三界隈の右巻き風情の騒ぎ屋たちが群がって、盛り上げに一役買っている有り様である。標的になっているのは福岡県議会及び福岡県政のドンといわれてきた蔵内勇夫県議会議長やその仲間たち、すなわち現在の福岡県政において主導権を握っている勢力のようなのである。
副知事出身の服部福岡県知事が飾り物に過ぎないことは以前から指摘されてきた。隣の山口県でも村岡県知事が飾り物で実質的には県議会議長の柳居俊学が「天皇」呼ばわりされているのと同じである。政治家たちが群雄割拠する福岡県においては、以前から山崎拓、古賀誠、麻生太郎、武田良太といった面々が互いに影響力を競い合い、主導権争いを繰り広げてきた。時代と共にこのパワーバランスも変化を遂げ、山崎、古賀のように年老いて引退する者は引退し、武田良太のように落選して影響力を失ったかに見えたが息を吹き返す者もいたり、いくつもの変遷を経ながら蔵内勇夫が実権を握って今日に至る。
そんな地元福岡の力関係について面白く思っていないのが御年86歳にもなる麻生太郎のようで、子飼いとして知られる元県議会議長や福岡市長がいっせいに蔵内潰しで動き始めた――というのが大方の見方である。福岡県内で筑豊という田舎の地域を地盤にしているのが麻生太郎で、セメント・コンクリート会社から専門学校、病院、不動産、介護サービス、塾経営、人材派遣、ゴルフ場等々、ありとあらゆる分野を網羅した130社を束ねる麻生グループの影響力と財力でもって中央政界に足場を築き、いまや自民党のなかでも高市早苗の後見人のごとく振る舞うまでになった。ところが地元では中央政界とは勝手が違ってさほど影響力がないというか、前述したように蔵内のような言いなりにならないのが実権を握っており、面白くないようなのである。
86歳が仕掛ける地元福岡での権力奪取――。もう大概引退しろよ…と老害呼ばわりする声も少なくないなか、武田良太ともバチバチやり、もう片方では蔵内潰しに身を乗り出し、まだまだ血気盛んで最後の大勝負に出ているのだろう。子飼いたちの一斉蜂起にも見えるのが今回の騒動であり、親分の意を汲んでいるのかセンセーショナルなネタを披露して狼煙を上げているのである。
それにしても議長選でカネを要求されてカネを払った者が正義派ぶっているというのも頓珍漢な光景である。「わたしは議長ポストをカネで買った男です」と自己紹介しているようなもので、いくら要求されたとはいえ、たかられて可哀想…と世間は果たして同情を寄せるのだろうか。カネを出す側も出す側で、議長ポストから転落したいまになって「闇を暴く」的な振る舞いをしているというのは端から見ても解せないし、「どっちもどっちじゃないか」としか思えないのである。
もうこうなったら、福岡県政界を巡る自民党内のあんなことやこんなことを互いに暴露しあって、汚物の投げ合いでもやるといい。その際、「5000万円要求された。録音もある(けど相手の名前は明かさない)」とかの小賢しいジャブや牽制ではなく、誰からどうカネを要求されたのか、そして渡したのか等々、実名でやりあうべきである。同じ穴の狢(むじな)の汚物と汚物が胸を熱くして決闘するのを世間としては達観し、カネと欲にまみれた福岡県政を眺めているほかない。そして、一連のバトルを経て来年春の選挙で審判を下すのは有権者なのである。
武蔵坊五郎

















