いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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新しい世界秩序へ

 注目された米中首脳会談はトランプをはじめとしたアメリカ側が中国詣でをして、すり寄っている様を露骨に見せつけるものとなった。世界では米国、中国の二大国がG2とされているものの、今回のイラン戦争における大敗北まできてアメリカの一極支配の終焉はますます進行の度合いを深め、イランの政治指導者が「未来はグローバルサウスのものだ」と宣言するように覇権交代が進んでいることを印象付けるものになった。トランプ訪中の直後にはロシアのプーチンが中国詣でをして習近平との間で関係強化を確認し、イランも中国重視で関係を切り結ぶなど、これまでの均衡が崩れてパワーバランスに変化があらわれ始めている。アメリカの国際的影響力はイラン戦争を見てもわかるように著しく低下し、パクス・アメリカーナの終焉はトランプが暴れれば暴れるほど加速しているのである。

 

 昨年から高関税をかけて殴りかかったつもりが中国側によるレアアースの輸出停止という急所を突かれて最新鋭の武器さえ製造できなくなり、その高関税のおかげで苦しんだのはアメリカ国民で逆に米国内でインフレがひどいものになるなど、トランプがやることはどこか自爆的で後先考えていないことが多い。一見すると攻撃的であるが、自分で自分を痛めつけているというような光景である。

 

 イランを攻撃して政権転覆を仕掛けたと思ったら、こちらも逆に断固たる抗戦にあってホルムズ海峡を封鎖され、戦争終結に際しては経済制裁解除、凍結資産の解除、戦後賠償、二度と武力攻撃しないことの誓約等々、開戦前よりもアメリカにとって引くことを意味する条件を呑まされる羽目となり目下立ち往生。「大規模攻撃を再開するぞ!」と恫喝するものの、湾岸諸国の米軍基地はイラン側の攻撃で壊滅して出撃拠点もなく、さらに前述のように武器製造が追いつかずミサイルも枯渇気味。戦闘の継続と泥沼化はアメリカの国力を削るだけなのが目に見えている状況である。トランプのやることなすことすべてが裏目に出ているのである。

 

 アメリカの脳科学者たちはトランプについて認知症の兆候を指摘し、こんな男に核のボタンを持たせて良いのか? と問題提起しているが、怒りっぽい認知症老人が三度目の原爆投下を実行するなどあってはならないことである。というか、「核開発をやめろ!」といって逆に核を投げつけるなど、なにをかいわんやなのである。

 

 巷ではトランプの顔がテレビに映る度にみんなが「コイツのせいで潤滑油が入らない」「コイツのせいで有料指定ゴミ袋さえ手に入らない」「コイツのせいで工事の部品が届かない」「コイツのせいでシンナーが入らない」「コイツのせいで病院のゴム手袋すらない」「ぜ~んぶトランプのせい!」「ぜ~んぶコイツのせい!」とコイツ呼ばわりで怒っているではないか。ひどい人になると「どうしてあのときちゃんと狙撃しなかったんだ!」と過去の襲撃事件を引っ張り出してケチをつけている有り様だ。「こうなるとプーチンや習近平のほうがはるかにまともに見える」という人だっている。トランプの大暴れで世界が振り回され、日常が壊されることへの怒りったらないし、「早く戦争を終結してホルムズ海峡を開放しろ」と誰しもが思っている状況だ。

 

 2000年代初頭に米大統領だったブッシュがイラク戦争を仕掛ける際、イラクやイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」呼ばわりしたことがあった。四半世紀が経った現在の世界ではイスラエル、アメリカこそが戦争に狂った悪の枢軸であり、諸悪の根源として浮き上がった存在になっている。アメリカが圧倒的な軍事力を背景にして君臨してきた「世界秩序」が終わりに近づき、グローバルサウスを中心とした新たな世界秩序の構築が始まっていく趨勢にある。その変化のなかで日本はどう世界のなかで存在するのかが問われている。

 

武蔵坊五郎            

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