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国滅ぼす戦争依存国家への傾斜 国費投じた官製バブル 平和主義の国是葬る高市政府の武器輸出全面解禁

(2026年5月11日付掲載)

高市首相が日本の護衛艦を売り込んだ日豪首脳会談(4日)

 殺傷兵器輸出を全面解禁する防衛装備移転三原則改定を強行した高市政府が早速、武器売り込みのトップセールスに乗り出し、豪州やフィリピンへの軍艦輸出交渉を本格化させている。このなかで三菱重工等の軍需産業が色めきだって人員増や設備拡充に動き、増産体制を強化している。日本は戦後、痛ましい戦争の反省から、憲法で「戦争放棄」「戦力不保持」を規定し、他国への武器輸出を禁じてきた。だが高市政府は日本の国是を覆して殺傷兵器輸出を解禁。挙げ句の果ては殺傷兵器を日本の輸出主力品目にする方向だ。日本経済全体を「武器輸出依存」へ変貌させ、日本を「戦争がなければ存立できない国」へ転落させる策動が露わになっている。

 

 高市政府が4月の防衛装備移転三原則改定で撤廃した「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)は2014年の防衛装備移転三原則で定めた規定で「殺傷や破壊を目的にした装備品輸出は規制する」という歴代政府の立場を踏襲していた。ところが昨年12月、自民党と日本維新の会が与党協議で「5類型」撤廃を目指す方針を確認。「国際社会の現実に即さない防衛装備移転に対する国内的な制約により、我が国の安全保障上必要な防衛装備移転の実現を逸することがあってはならない」(3月提出の与党提言)と主張し、4月下旬の閣議で「5類型」を正式に撤廃した。そして「今後、全ての完成品(戦闘機、護衛艦、潜水艦など)、部品、技術及び修理等の役務の提供の移転を原則可とする」(政府発表資料)と規定。ミサイルや弾薬も含めて国産殺傷兵器輸出を全面解禁する方針を決定した。

 

 殺傷兵器の輸出先は日本と武器輸出(防衛装備移転)協定を結ぶ国で、すでに17カ国に達している。そこにはイランに強盗戦争をしかけている米国を筆頭に、対中国をにらんだ軍事同盟「オーカス」構成国の英豪、南シナ海の領有権問題で中国と争う国(フィリピン、ベトナム、マレーシア等)、海洋権益をめぐって中国と緊張状態が続くインドネシア等が名を連ねている。武器輸出先は日本と協定を締結すればどんな国でも武器輸出を認めるという緩い規定で、早急に20カ国をこす趨勢になっている。

 

 さらにこれまでの防衛装備移転三原則は「紛争当事国」への武器輸出を禁じていたため、自民党政府はウクライナを「紛争当事国」ではなく「被侵略国」と言い換え、「防弾チョッキなど殺傷能力のない装備品に限って輸出を認める」という「特例」を設ける手法をとった。しかし今回の改定で「戦闘が行われていると判断される国」への輸出は「原則不可」としつつ「特段の事情がある場合は例外的に可」と規定。「特段の事情」があれば紛争当時国への武器輸出も認める内容に変えた。

 

 加えて「歯止め策」である「国会の関与」については、事後通告を義務づけただけだ。それは「どの兵器をどこへ輸出するか」という内容を国会審議もなく閣議だけで決定可能にする体制だった。

 

武器の売り込みに躍起 首相も防衛相も

 

三菱重工が建造するもがみ型護衛艦

 こうした殺傷兵器輸出解禁を受け、勇んでトップセールスを開始したのが高市首相と小泉防衛相だった。

 

 高市首相は今月4日に豪州へ飛び、アルバニージー豪首相と会談。直談判で海自のもがみ型護衛艦改良型をベースにした豪海軍フリゲート艦(駆逐艦に次ぐ規模の中小型水上戦闘艦)新造計画を着実に進めることを確認した。首脳声明では今後優先する項目に「防衛能力の共同開発及び共同生産」「新たな防衛装備品及び新興技術の試験」「もがみ型護衛艦の能力向上型を含む防衛装備品の維持・整備」等を明記。そして日豪首脳声明でも4月に署名した「もがみメモランダム(豪海軍の新型艦導入計画に関する日豪の協力覚書)」にふれ「日豪は、将来の課題に共同で対応できるよう、それぞれの能力の構築において互いに支援する」と記載した。

 

 このもがみ型護衛艦改良型をベースにした豪海軍フリゲート艦新造計画は豪政府が新フリゲート艦を合計11隻導入する大型案件。4月の日豪防衛相会談で150億~200億豪㌦(約1兆7100億~2兆2800億円)規模の契約に署名しており、主契約者は三菱重工だ。最初の3隻は日本で建造(1号艦は2029年12月に納入)し、残りの8隻は豪国内で建造する予定になっている。もがみ型護衛艦は、高いステルス性能、自動化による省人化(約90名で運用)、対潜・対空・対水上・対機雷戦の全対応能力を特徴とする高性能の戦闘艦だ。

 

 さらに高市首相は4月下旬、もがみ型護衛艦に関心を示していたニュージーランドのラクソン首相に電話をかけ、殺傷兵器輸出の全面解禁を伝達。ニュージーランド政府にも日本の護衛艦を導入するよう打診した。それを受けてニュージーランド政府は7日、新たに導入するフリゲート艦をめぐって「海自のもがみ型護衛艦改良型と英海軍のフリゲートを有力候補として検討」と発表する動きになった。

 

 加えて小泉防衛相も同時期、中国との領有権問題等を抱えるフィリピンやインドネシアと立て続けに防衛相会談を開催。日比防衛相会談ではテオドロ国防相に殺傷兵器輸出を全面解禁したことを伝え、海自の中古護衛艦活用を打診。今後、フィリピンと海自のあぶくま型護衛艦(満載排水量2500㌧、定員120人)の輸出に向けて協議に入ることを決定した。

 

 あぶくま型護衛艦(主に三井造船、日立造船、住友重工が建造)は就役から30年以上経過しており、防衛省は現存する6艦を順次退役させる方向だ。だが、あぶくま型護衛艦は単なる「使い古された護衛艦」ではない。船体は小型だが対潜水艦戦闘も対空戦闘も同時にこなせる重武装艦だ。対空・対水上目標を攻撃する76㍉速射砲、遠方の潜水艦に魚雷攻撃をおこなう対潜ミサイル、近距離の潜水艦を攻撃する対潜魚雷等を装備し、敵のレーダーやミサイルの誘導電波を妨害する電子攻撃機能も備えている。このような護衛艦を中国との矛盾が激化しているフィリピンへ輸出し、活用を定着させようとしている。そうすれば弾薬やミサイルの補充、修繕には日本製品が必要になるし、後継艦導入時は日本製護衛艦を選択する可能性が高くなる。そのため高市政府はフィリピンへ無償譲渡することも検討している。

 

 さらに小泉防衛相は海自の中古潜水艦に関心を示していたインドネシアのシャフリィ国防相とも会談。そして新防衛装備移転制度の下で「共同訓練、防衛装備・技術」などの協力を拡大するため「防衛協力取決め」に署名している。

 

 本来、首相や防衛相は国民全体の利益に軸足を置いた言動が求められる。しかし殺傷兵器解禁以後に見せた高市首相や小泉防衛相の行動は、まるで軍需産業のセールススタッフに転身したかと見まがうような様相で、恥ずかしげもなく「トップセールスを推進していく」と公言している。

 

米国からの要求背景に 国家財政破たんの道へ

 

 武器輸出の制限は絶対主義天皇制を頭にした日本の支配層が開始した侵略戦争で、肉親を無残に殺された多くの国民の戦争体験に根ざしていた。それが「戦力不保持」「戦争放棄」を柱とする憲法の制定へつながり、1967年には佐藤栄作政府が「武器輸出三原則」を表明する動きとなった【日本の殺傷兵器輸出解禁へ向けた主な経緯の年表参照】。

 

 佐藤政府は、①共産圏、②国連決議で禁じられた国、③国際紛争当時国等への輸出を禁じる「武器輸出原則禁止」の立場を表明した。

 

 1976年には三木武夫政府が「武器輸出に関する政府統一見解」を提示。それは「三原則対象地域への武器輸出は認めない」「その他の地域へも、憲法や外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、“武器”輸出を慎む」「武器製造関連設備の輸出も“武器”に準じて扱う」という内容で事実上全面禁輸の方針だった。当時外相だった宮沢喜一元首相は国会答弁で「我が国は兵器の輸出で金を稼ぐほど落ちぶれていない」とのべていた。

 

 ところが1983年に中曽根政府が「三原則の例外」で米国への武器技術供与を認めて以後、なし崩し的に「例外」を増やし武器輸出規制を緩和。2011年には民主党の野田政府が国際共同開発などでの武器輸出容認に踏み切った。

 

 2014年になると安倍政府(当時)が武器輸出の原則禁止方針を覆し、武器輸出三原則を撤廃。そして欺瞞的な「防衛装備移転三原則」を策定した。それは三つの条件(①紛争当事国などを除く、②輸出を認める場合を限定し厳格に審査、③目的外使用や第三国移転に事前同意を義務づける)を満たせば、武器輸出を認める内容。「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)の条件付きで、武器輸出容認へ舵を切る政策転換だった。

 

 さらに2022年2月にロシアがウクライナに侵攻すると、岸田政府(当時)は「ウクライナを支援する」と主張し同年3月に防衛装備移転三原則の運用指針を改定。「防衛装備移転を認める国」にウクライナを追加し防弾チョッキ等の軍需物資供与を開始した。加えて米国が「ウクライナに送る弾薬が不足した」といって日本に弾薬提供を要求すると、またも防衛装備移転三原則を改定(2023年12月)し、ライセンス兵器(完成品)輸出を解禁。日本で製造した弾道ミサイルを米国へ輸出することを可能にした。翌2024年には無差別爆撃や空中戦を想定した「殺傷兵器の塊」である次期戦闘機の第三国輸出も解禁した。

 

 そして今年四月、とうとう高市政府が「五類型」を撤廃し殺傷兵器輸出の全面解禁に踏み切った。しかも参院予算委員会で宮沢元首相の国会答弁を巡って見解を問われた高市首相は「時代が変わった」「産業につなげ、お金を稼ぐことが落ちぶれたことだとは思わない」と開き直った。それは人殺しや破壊で多くの人々を不幸に陥れる殺傷兵器の製造・輸出で日本経済を活性化させ、日本経済を軍事依存に変貌させることを公然と正当化する発言にほかならない。同時にそれは農漁業をはじめとする国内産業は衰退するに任せる一方で、武器生産や武器輸出ばかりに力を注ぎ、武器売買や戦争によって経済活況を図る米国やイスラエルのような戦争中毒国家へ変貌させる意図をあからさまに示す内容だった。

 

暴利を貪る「死の商人」 公金の掴み取り合戦

 

 こうしたなか活況を呈しているのが国内軍需産業だ。日本の防衛産業の中核を占める三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工大手3社の2025年4~12月期の連結決算(国際会計基準)を見ると、3社合計の防衛関連売上高は前年同期比26%増の1兆926億円に到達。このなかで三菱重工はミサイル関連機器の生産拠点である小牧北工場(愛知県小牧市)内へ新たな工場建屋を建設している。三菱電機も2023年10月に約220億円を投じて鎌倉製作所など3拠点で新生産棟(計八棟)を建設(昨年四月から順次稼働)し、増産体制を強化した。

 

 レーダーを生産するNEC(日本電気)は2026年3月期末までに防衛事業の人員を21年3月期に比べて1600人増やす方針を実行しており、2027年3月期以降、防衛関連生産設備を新たに2万平方㍍増床する計画を示している。

 

 そのうえ高市政府にいたっては自民党と日本維新の会の連立政権合意書に「防衛生産・技術基盤を強化する観点から……防衛産業にかかる国営工廠および国有施設民間操業に関する施策を推進する」と明記している。

 

 国民の生活に関わる公営事業はNTT(旧日本電信電話公社)もJR(旧日本国有鉄道)も日本郵政グループ(旧日本郵政公社)もみな「不採算部門」といって切り捨て、現在は自治体部門の民間委託にも拍車をかけている。にもかかわらず兵器生産についてはわざわざ国営工廠をつくり、資金面でも人員確保の面でも国が全面的に支える方針を示している。

 

 日本経済全体を軍事依存に変貌させる国政の動きと連動して、三菱重工業は「防衛・宇宙事業」の受注高も売上収益も急増させてきた。

 

 過去5年の三菱重工業の「防衛・宇宙事業」の受注高を見てみると、

 

▼2021年3月期=4875億円
▼2022年3月期=6651億円
▼2023年3月期=5571億円
▼2024年3月期=1兆8781億円
▼2025年3月期=1兆8768億円

 

 と推移している。自民党政府が新安保戦略(2022年末策定)で日本の「反撃力(敵基地攻撃能力)の保有」を公然と認め、今後5年間で43兆円もの防衛予算を投じて軍備強化に乗り出す方針にそって防衛予算を大幅に増やし始めた2024年3月期は、前年度比約3・4倍に急増。2025年3月期も同水準の受注高を維持している。

 

 三菱重工はこうした動向について「防空ミサイルシステム関連をはじめとした複数の大型案件を受注」「過去最高となった前年度並みの受注高となった」と説明している。

 

 さらに「防衛・宇宙事業」の売上収益を見てみると、

 

▼2021年3月期=5244億円
▼2022年3月期=4959億円
▼2023年3月期=4749億円
▼2024年3月期=6064億円
▼2025年3月期=8276億円

 

と推移。売上収益は3年前まで減少傾向だったが2024年3月期は一気に回復。2025年3月期は2年前と比べて3527億円も売上収益を拡大した。こうした動向について三菱重工は「前年度からの受注増加にともない、航空機・飛昇体、艦艇・特殊機械を中心に売上も大幅に増加」したと説明している。

 

 三菱重工は2010年に神戸造船所での商船建造撤退を発表し、2016年には欧米向け大型客船の造船からも撤退を公表。さらに2021年には長崎造船所香焼工場の建造ドック売却を発表し、国民生活に不可欠な製造部門は「不採算部門」と位置づけ問答無用で切り捨ててきた。そのなかで軍事生産依存体質に拍車がかかっている。

 

 だが兵器生産で巨大な利益を得ている軍需産業は三菱重工だけではない。防衛装備庁が公表している2024年度の中央調達上位企業の契約実績【契約実績上位10社の表参照】を見ると、三菱重工の契約額が2位以下を大きく引き離しているが、川崎重工業、三菱電機、日本電気(NEC)、富士通、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)、東芝インフラシステムズ、日本製鋼も防衛省と1000億円をこす装備品の契約を結んでいる。

 

 また契約実績上位20社には沖電気(契約額=691億円)、スバル(595億円)、IHI(578億円)、三菱重工機械システム(549億円)、三井物産エアロスペース(418億円)、エネオス(345億円)、中川物産(340億円)、ダイキン工業(269億円)、小松製作所(256億円)等が名を連ねている。どの企業も表向きは自動車、家電、造船、ガソリンスタンド、建設機械など「別の顔」を持つ企業だが、密かに防衛省から兵器製造や兵器関連資材の供給を請け負い、物価高や不況でも確実にもうかる分野として兵器生産の比重を拡大している。

 

兵器注文額が近年急増 防衛省の中央調達

 

 そして座視できないのは防衛装備庁による兵器注文額を示す中央調達額が急激な伸びを見せていることだ【防衛装備庁中央調達実績のグラフ参照】。防衛装備庁の中央調達実績を見ると2018年度は1兆4402億円だった。ところがそれ以後は、

 

▼2019年度=1兆8243億円
▼2020年度=1兆7121億円
▼2021年度=1兆8031億円
▼2022年度=1兆7208億円
▼2023年度=5兆5737億円
▼2024年度=5兆7943億円

 

 と推移している。中央調達実績も自民党政府が反撃力保有を明記した安保戦略策定後、3倍以上に急増している。

 

 しかも自民党政府は2023年度から防衛装備品の利益率を増やす新制度を導入している。これまで防衛装備品は防衛省が原価計算をもとに予定価格を決め、利益率を平均八%に設定してきた。だが「利益率が低い」「国内の防衛産業を守る」と主張して「改革」に着手し、岸田首相が新たな利益率算定方法を提示した。それは品質や納期の実績を企業ごとに評価しそれに応じて最大10%の利益率にし、同時に原材料高騰など調達コストの変動分として最大五%を契約年数に応じて付与する内容だった。これは結局、最大15%の営業利益を得ることができる仕組みで、100億円規模の契約ならこれまで8億円だった利益を15億円規模へ倍増する内容だった。

 

 加えて2023年6月には防衛産業強化法も成立。同法は「自衛隊の任務に不可欠な装備品をつくる企業」と認定されれば「生産工程の効率化」「サイバー攻撃対策」「防衛産業撤退企業の事業を継承するときの設備投資」にかかる経費を国が助成すると規定。

 

 さらに「経営難で事業を続けられない」という軍需産業については、国が土地も製造施設も買いとって「国有化」し、別の軍需産業に運営を委託する内容も盛りこんだ。これは国が買いとった兵器生産施設は「国有施設」であるため、税金類はすべて免除したうえ設備投資費を国費で助成する制度だ。それは税金もかからず、設備投資費もごくわずかで済む武器生産ラインをフル稼働させ「運営を委託された軍需産業」が丸もうけできる制度にほかならない。

 

 そして軍需産業の兵器生産や軍事研究を後押しするため2026年度の防衛予算には過去最大となる総額9兆353億円を計上。「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の主力兵器である「スタンド・オフ防衛能力」整備費に約1兆円、戦闘機や軍艦調達費を含む「領域横断作戦能力」関連費に1・4兆円、弾薬やミサイル調達費を含む「持続性・強靱性」関連費に3・1兆円計上した。

 

 具体的な国産スタンド・オフ・ミサイル取得費として以下を列記した。

 

▼12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)及び地上装置等の取得…1770億円
▼12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)の取得…357億円
▼潜水艦発射型誘導弾の取得…160億円
▼島嶼防衛用高速滑空弾及び地上装置などの取得…387億円
▼極超音速誘導弾及び地上装置等の取得…301億円

 

 この国産ミサイルは日本に配備して台湾有事等に備える為の装備で当初は「国防のため」が表向きの調達理由だった。だが殺傷兵器輸出解禁によって米国が「ミサイルが不足した」といえば輸出して補充することも可能になった。それは「米国のミサイル不足を補う」ことも調達理由に加わったことを意味している。

 

 このような「防衛財源」を捻出するため、高市政府が四月から開始したのが防衛増税だ。防衛増税第一弾は法人税とたばこ税の引き上げで、2027年1月からは所得税も増税する方針になっている。政府はこの増税策だけで年間約1兆3000億円にのぼる税収増を見込んでいる。

 

 これは単に「殺傷兵器輸出を解禁した」「防衛費を大幅に増額した」「軍需産業を優遇した」というだけにとどまらない問題をはらんでいる。それは農漁業生産で国民の食を支え、資源が少ないなか高度な技術力で加工品輸出を中心にして経済を発展させ、平和国家の道を歩んできた日本を武器生産や戦争がなければ成り立たない国に変貌させ、米国やイスラエルのように「戦争へ依存する国」へ転落させる方向へ通じているからだ。

 

 ちなみに2024年の米国の武器輸出額は世界1位で、過去5年間で世界の武器輸出総額に占める割合は43%に達していた。イスラエルも武器輸出に力をいれており、輸出額はロシアや中国についで世界七位に位置している。そのため定期的に野蛮な戦争を仕掛けて兵器の在庫を一掃し、世界中で軍事緊張を煽り、各国に武器を売り込んでいる。高市政府が強行した「殺傷兵器輸出の解禁」や活況を呈す軍需産業の動向は、日本を「武器生産や戦争に依存する国」に転落させてよいのかという、日本の国の針路を鋭く問う問題になっている。

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