いよいよ首相の訪米日程が近づくなかで、米大統領のトランプが日本に対してホルムズ海峡に軍艦を派遣するよう求めるなど、訪米時に飲ませたがっている要求をあからさまに突きつけている。そこにのこのこと出かけて「自衛隊を派遣します」などと約束しかねない危険性をともなっており、訪米中止を求める声すら上がっている有り様である。踏み絵を踏まされることがわかっておきながら、あえて餌食になりに行くようなものだからである。仮に自衛隊が軍艦をホルムズ海峡に派遣してイラン革命防衛隊と対峙する事態にでもなった場合、それは長年にわたって親日国として友好関係を築いてきたイランと敵対関係になることを意味し、アメリカ・イスラエルという世界から浮き上がった一方の側に与して、武力参戦するということである。安倍晋三からこの方「戦争ができる国」にしてきた結果、国際的にもなんらの正当性もない今回のイラン侵略の片棒を担ぎ、アメリカの侵略戦争に引きずり込まれて自衛隊員が鉄砲玉にされるというのである。
アメリカ・イスラエルがイランに侵略を仕掛けなければ、ホルムズ海峡はこれまで通り各国の艦船が行き交い、世界に向けて原油や肥料、ナフサ等が輸出される海の玄関口として機能していたはずである。報復措置としてイランが機雷を設置することもなく、イラン革命防衛隊傘下の民兵組織が特定国のタンカーを襲撃することもなく、いたって平和で穏やかな海峡だったはずである。「ホルムズ海峡の艦船を守る」は、そもそもの原因を作り出したアメリカが叫んでいるもので、イランに軍事的な攻撃を加えて標的に立候補したものが、その報復に対して防衛を正当化しているに過ぎない。ホルムズ海峡の安全な航行を確保したいのであればイランへの不当な侵略をやめるのが筋であり、空母や軍艦を派遣して武力衝突をくり返すというのでは泥沼である。そのような侵略行為に日本が与するのは、親日国イランから敵視されるだけでなく中東諸国からも信頼を失い、世界からもますます「アメリカの犬」認定をされるだけである。
米戦争省は在日米軍基地から部隊や艦艇を中東に派遣することも発表している。いまのところ沖縄の即応部隊第31海兵遠征部隊と佐世保の強襲揚陸艦「トリポリ」を中東に向かわせることが明らかになっており、日本列島は国民の合意や政府の合意もなく、いつの間にかイラン侵略の出撃拠点にされている。日本政府が認めたわけでもないのに、勝手に出撃拠点として利用しているのである。世界各国は自国からの出撃を認めないと政府が発表したり、拒否しているのに対して、日本だけは政府の見解や判断などお構いなしにアメリカが自由勝手に在日米軍基地を利用しているのである。出撃拠点とは軍事的には標的そのものであり、叩かれてもおかしくない存在である。
アメリカとイスラエルによるイラン侵略を契機にして、石油を輸入に依存している日本列島では連日のように燃油が高騰して暮らしにも影響が及び、本来なら遠く離れた世界の出来事がまるで他人事では済まない状況を迎えている。戦争情勢がひたひたと身近に迫っているのである。イランからは経済制裁が強まる2019年までは石油も輸入していたし、何度もいうように中東でも有数の親日国として歴史的に関係を結んできた。かつては出光のタンカーがアメリカの制裁や規制もなんのそのでイランから日本に原油を持ち帰り、有り難がられたこともあった。アメリカの圧力で手放したとはいえ、大油田の開発利権には日本の大企業も参画していたし、日本の国益を考えて先人たちはアメリカとの狭間で上手に立ち回ってきたはずである。
自衛艦のホルムズ海峡派遣は、これまで積み上げてきたイランとの友好関係をぶち壊すだけでなく、敵国として名乗りを上げるようなもので、日本にとっては自殺行為以外のなにものでもない。そのことはイランとの友好に尽力し、真に日本の国益を憂う商社関係者や経済人なら当たり前のこととしてわかるはずである。日本の総理大臣がやるべきは第三国として即刻停戦を求めることで、トランプ&ネタニヤフの野蛮コンビに与することではない。
武蔵坊五郎


















