いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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沖縄の不屈の魂に連帯する =甘くない選挙情勢 揺さぶる県民の力=

 沖縄県知事選が告示を迎えた。翁長知事逝去を受けて弔い合戦の様相を帯び、のっけから「玉城デニーがリード」等等のフワフワした情報が飛びかっている。ただ、上澄みの華やかさに反して、果たしてそうだろうか? と疑問を呈し、厳しい視線を投げかけている沖縄現地の関係者も少なくない。足元を見ると相当に厳しい選挙であり、前回同様に大差をつけて打ち負かすなど至難の業だというのである。

 

 直前までオール沖縄が空中分解しかけていたことは周知の事実である。名護市長選だけでなく、その他の沖縄県内のいくつかの地方選でオール沖縄系候補が敗北してきたのも事実だ。4年前とは明らかに形勢は異なっている。支えてきた地元保守系や企業のなかでも、締め付けの強さや様様な矛盾を反映して距離を置いたり、身動きがとれない状態に置かれた人もいる。裏切って県民の信頼を失いつつある人もいる。中央政府の金力、権力でもってオール沖縄に結実した力をバラバラに分解し、切り崩しをはかる力が作用しているのである。首相官邸による有力者の一本釣り等等、生生しい話はゴロゴロと転がっている。それらの現実を直視したときに、雰囲気や同情狙いだけで乗り切れるほど甘い選挙ではない--という指摘は、極めて現実的な響きを持っている。

 

 しかし同時に、悲観しても始まらないのが選挙であり、押し込まれるのではなく、逆に押し込んでいく気概をもって選挙戦情勢は動いているようだ。根拠なき上滑りも禁物だが、初めから敗北意識を抱くのも時期尚早で、緊張感を持って挑まなければならない真っ向勝負なのである。オセロゲームのようにひっくり返された地盤をまたひっくり返し、確実に一票を積み重ねていくほかに、選挙はたたかいようがない。候補者の街頭演説もさることながら、陣営全体が県民のなかを這うようなステルス作戦で友人知人に支持を訴え、切り崩されたり、締め付けが効いている人人の懐にも積極的に潜り込んで、とられそうになっているものをとっていく、この一票一票の奪い合いこそが勝負の分かれ目だ。吹けば飛ぶような風任せ、雰囲気に酔いしれているような根無し草の選挙ではなく、泥臭い徹底的な集票活動が展開できるかどうかにかかっているといえる。目下、政党主人公の選挙戦ではなく、水面下で沖縄現地の主体的な力によって本気の選挙戦が展開されており、どこまで押し上げていくのかは未知数だ。まさに選挙は「オール沖縄」すなわち沖縄県民と、日米両政府(東京司令部)との全面戦争として、見えないところでこそバチバチと火花を散らして進行しているのである。

 

 主義主張ばかりくり広げる政党や、あてにならぬ労働組合など、県民の願いを素直に代弁する組織が乏しいなかで、事情が複雑であることは想像に難くない。そのなかで、この夏場にかけては、味方のような顔をして足を引っ張る上澄みの勢力をも引きずり回しながら、名もなき県民が横につながり、県民投票の実現に向けて下から押し返してきた。この実力行使によって張った根は決して無力なものではない。

 

 復帰闘争がそうだったように、異民族支配に抗う島ぐるみの闘争や歴史は、よそにはない沖縄の不屈の魂を本土に生きるわれわれにも教えてきた。基地のない平和な沖縄をとり戻すために占領軍の銃剣に立ち向かってきたし、どこかの日本政府や為政者のように主権を放り出したり、屈服などしていないのである。裏切る政治家を何度でも振るい落とすシビアな県民の政治意識こそが、沖縄を突き動かしている最大の原動力であり、その長年の苦労や願いは、政党政派の目先のちっぽけな仲違いや都合によってねじ曲げられるわけにはいかないのである。

 

 アメリカに隷属し、「占領軍に反旗を翻すのはけしからん!」といわんばかりに襲いかかっているのが日本政府である。そして新興宗教団体など誰にカネをもらったのかわからないような集団が多数本土から乗り込み、信者たちが誹謗中傷にまみれたヘイトビラを配り回すという、気味の悪い動きも見せている。脳味噌攪乱を意図した物量作戦である。「平和の党」などと標榜してきた公明党も、5000~6000人規模で本土から人員を送り込んでいるのだともっぱらである。いわゆるヤマトンチュにも様様いるが、右傾化のオラオラ感を出している者や、与党に寄生する宗教勢力がせっせと占領軍の下請をしている光景は異様である。東京司令部という統一指揮のもとに連なったよそ者が沖縄の政策選択に介入し、主人公気取りでポストをもぎとりにきているのである。

 

 この選挙で対決している相手は日米両政府すなわち東京司令部でもあるが、その背後でふんぞり返っているのが米軍だ。あきらめを煽り屈服を迫る者に対して、県民のなかから県民のなかに支持を広げ、何なら御輿に乗っている候補者や各種の政党がしがみついていなければ振り落とされるくらいのうねりをつくり出せるかどうかに選挙の行方はかかっている。主人公は県民そのものであり、候補者の善し悪しや、この指とまれ式の人気投票などではない。基地のない沖縄の未来をかけて、県民自身が進むべき道を選択する選挙なのだ。同時にそのたたかいは、主権のない対米隷属国家になりはてた日本社会全体にとって、決して他人事ではないものとして注目されている。対米従属構造を打ち破る課題は沖縄固有のものではなく、全国共通のものだからだ。

 

 選挙は蓋を開けてみなければわからない。最後の最後まで一票を重ねる努力にかかっている。

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