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3月末に東京で「令和の百姓一揆」第2弾 トラクターデモや提灯行進を企画 「食と農を守れ!」を全国に発信

(2026年2月18日付掲載)

昨年3月に東京でおこなわれた「令和の百姓一揆」トラクターデモ(2025年3月30日、東京・港区)

 令和の百姓一揆のトラクター&軽トラパレード、提灯行進が3月29日、東京都内で再びおこなわれる。昨年3月30日の初開催からおよそ1年。消費者にとっての米価高騰は収まらないだけでなく、食料自給率38%の日本では円安の影響でさまざまな食品が値上がりし、安心して食べることができない状況はますます深刻になっている。そうしたなかで背景にある農村・農業の危機的な現状を、消費者と生産者の垣根をこえて共有し、農政の転換を求める令和の百姓一揆は、全国26カ所に実行委員会が結成され、昨年12月までに24カ所で開催されるなど、大きなうねりを生み出してきた。2回目となる東京での行動は、この1年で築いてきた力を基礎に農政転換の実現に向けてさらに連帯を広げることをめざす。東京だけでなく、全国各地で同時開催するための準備が着々と進んでいる。

 

 農業と農村の衰退を食い止め、安全で日本の食を守るために結成された令和の百姓一揆実行委員会は「日本の食と農を守ろう」のスローガンのもと、

 

 1,国民が国産食料を食べ続けられる政治を求める。
 2,安定して農家が営農できる所得補償制度を求める。
 3,食料の需給の混乱を二度と起こさない事を求める。

 

 の三つを掲げ全国に運動を広げてきた。同実行委員会の菅野芳秀代表(山形県・農民)は、この1年で各地域に食と農を守る運動の拠点ができ、そこを拠点に第2波、第3波の運動が展開できる状況が生まれていることを大きな成果にあげた。しかし、農民とくに小農の離農を食い止めるに至っておらず、「第2陣の課題はなお大きい」とし、農民と消費者が連携し、政治家を巻き込みながら、すべての農家に対する所得補償、食料自給率の向上などの実現に向けて運動を広げていく意義を強調している。

 

 同氏はメッセージで、「今急速に農家が離農していく、農村が崩壊していく、日本からこのままなら農民がいなくなるという現実を目の当たりにしている。立ち上がるなら今、なんとかできるなら今しかないと思っている。多くの国民は食が危ないということを自覚している。だが、何をすればいいのか手立てがわからない状態にいると思う。令和の百姓一揆は一時の一揆ではなく、それをつなぎながら農家と消費者の連携をさらに拡大していく、今の農を粗末にし、壊滅に追い込んでいる政治を変えていく、それを容認している社会を変えていくことが大事だと思っている。百姓一揆を成功に導き、そこを通してこれからの日本の農業政策を転換していく大きな発火点にしていきたい」と、多くの人に参加を呼びかけている。

 

 3月29日に向けてチラシも完成し、これから参加の呼びかけが始まる。チラシでは行動について要旨次のように訴えている。

 

 気候変動による酷暑や台風、大雨などの災害、異常円安による肥料、燃料、飼料などの生産コスト増などによる経営赤字、高齢化などにより農家人口は年々減少してきた。

 

 耕作放棄地は増え続け、今や一つの県の面積をしのぐほどになってきた。米や野菜、畜産物、果樹などの国産食料の生産基盤が大きく損なわれようとしている。またそれにともない、山林は放置され、熊などの獣が多く出没し始め、今や市街地にまであらわれるほどとなり、農村の衰退も社会にとって深刻な問題だ。

 

 一方でスーパーの棚から米が消える令和の米騒動が起こった。需要の混乱が拍車をかけ、米価高騰は収まらず、「国産のお米が食べたいのに買えない」といった声が多く聞こえる。また、異常円安による物価高騰も厳しく、国民の生活はままならない。

 

 未来に生まれてくる子どもたちも国産の食料を食べ続けてもらえるように、「日本の食と農を守る」をスローガンに掲げ、すべての市民が安心して国産の食料を手にするために、すべての農民に所得補償を求める――。

 

 今回はトラクター5台と軽トラ15台によるパレードと、人による提灯行進を計画している。「令和の百姓一揆」のネーム入り提灯を1000個作成しており、会場で1000円以上のカンパに対して提灯を配布する予定(無くなり次第終了)。集会会場は昨年と同じく東京都港区の「青山公園南地区・多目的広場」。各地域代表のあいさつや地方議会でのとりくみの報告、同日開催地域からのメッセージ紹介などを予定し、集会を開催したのち、青山公園→表参道→原宿駅前→代々木公園の約3・2㌔のコースを行進する。トラクター・軽トラパレードと人による提灯行進は、約1時間の間を置いて出発する計画だ。現時点で実行委員会が発表している日程は次の通り。

 

 午後1時30分…参加者受付開始
 午後2時30分…集会開会
 午後4時…トラクター&軽トラパレード出発
 午後5時…提灯行進出発
 午後5時頃…トラクター&軽トラパレード終了
 午後6時30分…提灯行進終了、流れ解散

 

全国で同時開催も計画 寄付も呼びかけ

 

 東京だけでなく、各地域でのとりくみも重視している。すでに3月29日を前後して、山口市(山口県)、名古屋市(愛知県)、札幌(北海道)、福岡県内3~4カ所、熊本県、京都府などで計画が進んでいるところだ。熊本県では、昨年東京でのトラクター行進に参加した後に地元に帰り2人でトラクター行進をしたという農家が、今年は地元で実行委員会を立ち上げてトラクターとデモ行進の準備を進めているという。

 

 実行委員会は「農業と食を守ることを目的とし、多様な農業、人を尊重し、他の団体、農法、人への批判をおこなわない」「反社会的な行為や、暴力行為、破壊行為などはおこなわない」を申し合わせ事項としてあげている。東京での統一行動の参加にあたり、「農業生産者と消費者が一緒になって、多くの消費者、市民に農業の置かれた現状を訴え、新たな連帯を築くことが大きな目的」であり、農家が主体となった行動を多くの消費者、市民が支えていく位置づけとしているため、行進時の横断幕やプラカード、スピーチは「農業や食を守る」内容に限ること、日の丸や旭日旗その他の誤解を招くような内容の自粛も呼びかけている。

 

 また実行委員会は運動を継続していくために新たに寄付の呼びかけも始めている。寄付はトラクター行進にともなう移動費、資材費などのほか、チラシなどの印刷代、発送代、備品代、会場使用など必要な費用に充てる予定だ。寄付はhttps://congrant.com/project/tractormarch/21122より可能となっている。

 

5年で24万経営体が離農 地方議会が意見書も

 

 令和の米騒動から抜本的な農業政策の転換がなされないなか、昨年11月に発表された2025年農林業センサス(速報値)は、農業経営体が100万を割り込んで82万2000経営体まで減少するなど衝撃的な数字が並んだ。5年間で24万7000もの経営体が離農したことになる。2015年は137万7000経営体あったのと比較すると、10年間で約40%が消滅したことになる。減少率も前回の21・9%から23・0%へと大きくなっており、衰退のスピードは加速している。

 

 もっとも深刻なのが基幹的農業従事者(自営農業をおもな仕事としている世帯員)の減少だ。基幹的農業従事者は102万1000人。5年間で34万2000人(25・1%)減少と、比較可能な1985年以降で最大の減少幅だ。65歳以上が約7割を占め、とくに60~64歳の層は前回の14万人から8・4万人へと大幅に減少している。平均年齢が0・2歳低下して67・6歳になったのは、高齢者層が大量に離農したことをあらわしており、地域から農家がいなくなる現実がそう遠くない未来に迫っている。

 

 一方で、法人経営体、なかでも会社法人が増加するなど農業のビジネス化が進む。20㌶以上の農業経営体の面積シェアが初めて5割をこえ、小規模農家が軒並み減少している一方で、100㌶以上は45・8%増加するなど、大規模経営への集約が急激に進んでいる。こうしたなかで小規模農家に支えられてきた中山間地域は、地域コミュニティも成り立たないほど人がいなくなり、農業の存続は危機的な状況になっている。それは政府の農業政策の帰結でもある。

 

 令和の百姓一揆実行委員会に参加する地方議員の働きかけで、鶴岡市議会(山形県)が昨年9月に「農業の再生と食料安全保障の確立に向けた実効性のある所得補償制度の実現を求める意見書」を全会一致で採択したのを皮切りに、栃木市議会(栃木県・全会一致)、大磯町議会(神奈川県・賛成7、反対6で可決)、伊勢原市議会(神奈川県・全会一致)で同様の意見書が可決されている。

 

 鶴岡市議会の意見書は、「我が国の農業は今、生産者の高齢化と後継者不足に加え、史上類を見ない生産資材価格の高騰、そして異常気象の頻発という複合的な危機に直面している。このままでは、次世代への継承が困難な状況であり、国民の命の根幹である『食』を支える基盤が、根底から揺らいでいる。一方で、国際情勢の不安定化により、いつでも安価に食料を輸入できる時代は終わりを告げた。国民が安心して暮らすための基盤となる食料安全保障の確立は、国家の最重要課題だ」「先進諸国の多くが、農業者の所得を直接的に補償する制度を、国家の基本政策として位置づけている。これは、食料生産が単なる一産業ではなく、国民の生存と国家の独立を守るための基盤であるという共通認識があるからだ。気候や市況の変動に左右されやすい農業の特性を鑑み、所得補償を行うことは、我が国においても重要な課題だ」と指摘し、所得補償制度の速やかな法制化などを求めている。

 

 トラクター行進など生産者と消費者が連帯する行動を広げながら、地方議会から「すべての農家の所得補償の実現」「日本の食と農を守る」ことを内容とする意見書を提出するとりくみも運動の一つの柱として広げていく方針だ。

 

「命を支える農家を守れ!」。消費者も一緒に声を上げた(2025年、北広島町)

トラクターを先頭に出発した広島・令和の百姓一揆(2025年7月21日、北広島町)

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