いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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安倍晋三とお友達の発言録 発足一年を振り返る

 2012年末の衆院選で安倍晋三率いる自民党政府が発足して1年以上が経過した。選挙が終わると公約を覆してTPP交渉に参加し、原発輸出や再稼働に舵を切り、施政方針演説ですらのべていなかった特定秘密保護法や日本版NSC設置法を持ち込んで強行可決するなど、暴走ぶりがきわまってきた。最近では「選挙で選ばれた私が最高責任者だ」といい、集団的自衛権の行使に対する法解釈まで安倍晋三の知能レベルに貶めるなど、為政者の思い上がりはとどまるところを知らない。この間、中国や韓国といった近隣諸国とは攻撃型のケンカ腰外交をやって破綻し、世界的にも右傾化が気味悪がられ、浮き上がった存在となってきた。
 
 ろくでもないお友達勢力登用

 「独裁」的な振る舞いをやる政治のもとで、日銀、NHKにしても安倍ブレーンの「お友達」が次次登用されてきたが、いったいどんな連中が何をしているのか、その思想世界ともあわせて彼ら自身が口にしてきたことをもとに見てみた。


 
◇安倍晋三発言録



 衆院選(2012年12月)
 「ニッポンをとり戻す!」「自民党は、実現できる約束こそが本当の公約と考えます」「“聖域なき関税撤廃”を前提にする限りTPP交渉参加に反対」「原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指す」など訴える。


 TPP参加表明(2013年3月15日)
 「TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます」「国益をかけたたたかいはこれからです。私はみなさんの不安や懸念をしっかり心に刻んで交渉に挑んでまいります。あらゆる努力によって日本の“農”を守り、“食”を守ることをお約束します」「私たちは国民との約束は必ず守ります。先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認しました。その他の五つの判断基準についても交渉のなかでしっかり守っていく決意です」


 米国シンクタンク・CSISでのスピーチ(2013年2月23日)
 「ハレム(ジョン・ハレムCSIS所長、元米国防副長官)さん、アーミテージ(元米国務副長官)さん、グリーン(CSIS上席副所長)さんありがとうございます。日本は戻ってきた。私は戻ってきた」「アーミテージさん、私からお答えします。日本は今も、これからも、二流国家にはなりません。繰り返して申します。私は、カムバックをいたしました。日本もそうでなくてはなりません」
 「(アベノミクスは)幸先のよいスタートを切りました。私は日銀を促し、今まで彼らができないと思っていた次元の仕事をさせました。今のところ、経済指標はみな上向きです」


 成長戦略発表スピーチ(2013年6月5日)
 「小泉内閣が始めた構造改革特区は一つ一つ古い規制に風穴を開け、まさに規制改革の切り込み隊長となってきました。私が提案する国家戦略特区は、構造改革特区の考え方をさらに面的なものへと進化させていくものです」「エネルギー、医療、インフラ整備。がんじがらめの規制を背景に、公的な制度や機関が民間の役割を制約している。官業ともいえるこの世界を大胆に開放していきます」「今こそ日本人も日本企業もあらん限りの力で爆発する時です。民間活力の爆発、これが私の成長戦略のキーワードです」


 ロンドンでの講演(2013年6月9日)
 「国を開き、日本の市場をオープンにすること。これは政治家となって以来、私の中に流れる一貫した哲学でした」「TPPへの反対は、自民党を支持したみなさんにもありました。私は全力で説得しました。そのうえで交渉参加に断を下しました」「規制が変わるのを待つのではなく、自分が実験台になるからとにかくやらせてほしい、そんなモルモット精神にあふれる企業に、大きなチャンスをつくりたいと思います」「私の成長戦略は、官僚たちに書かせたただのエッセイではあり得ません。私がアンダーライトし、実行するものです」
 「私はこれからの三年を集中的な改革の期間と位置付け、持てる政治力を投入します。固い岩盤のような日本の規制を、私自身をドリルの刃として突き破ろうと思っています」


 IOC総会でのスピーチ(2013年9月7日)
 「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。東京にはいかなる悪影響にしろこれまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」「状況はコントロールされています。汚染水は福島第1原発の0・3キロ立方メートルの港湾内に完全にブロックされています! 健康問題については今まで現在も将来もまったく問題はありません!」(発言に対して東電は「今の状態はコントロールできていないとわれわれは考えている…」と困惑)


 ニューヨーク証券取引所での演説(2013年9月25日)
 「バイ マイ アベノミクス(私のアベノミクスは買いです)」「日本の成長は日本人のためだけではない。世界人類のため果たすべき責任でもある」「外国人が住んで働きやすい街にするのがもうひとつの目的です」「国家戦略特区は私、すなわち首相の直轄事業です。私自身がもてる政治資本を進んで投下し、いわばリスクを取ろうというのです」「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「TPPをつくるのは歴史の必然です」


 米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」会合にて(2013年9月25日)
 「すぐそばの隣国に軍事支出が少なくとも日本の二倍で、米国に次いで世界二位という国がある。もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば、どうぞ呼んでいただきたい」「私は愛する国を積極的平和主義の国にしようと決意している。私に与えられた歴史的使命は、日本を積極的平和主義の旗の誇らしい担い手となるよう促していくことだ」


 消費税増税を決定(2013年10月1日)
 「消費税収は社会保障にしか使いません。当然、歳出のムダは不断に削減していきます」(同時に5・5兆円の経済対策と称したバラマキ政策を発表)


 秘密保護法を最短審議で強行可決(2013年12月9日)
 「私自身がもっともっと丁寧に時間をとって説明すべきであったと反省もしている」


 靖国参拝の弁明(2013年12月26日)
 「すべての戦争において、命を落とされた人人のために手を合わせ、ご冥福をお祈りをし、二度と戦争の惨禍によって人人の苦しむことのない時代をつくるとの決意を込めて、不戦の誓いをいたしました。中国あるいは韓国の人人の気持ちを傷つける。そんな考えは毛頭ございません」


 東京証券取引所の大納会にて(2013年12月30日)
 「来年もアベノミクスは買いです!」(この日を境に年始から株価暴落)


 ダボス会議後の会見(2014年1月)
 欧州記者から「日中関係が軍事衝突に発展する可能性はないか」と問われ、「今年は第一次大戦から100年を迎える年。当時、英独は大きな経済関係にあったにもかかわらず第一次大戦に至った歴史的経緯があった」と日中関係をなぞらえて説明。世界各地で武力衝突の危険性を否定しなかったことが報道される。


 憲法解釈について(2013年2月14日)
 「(立憲主義について)王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」


 
 ◇ブレーンたちの発言



 籾井勝人・NHK会長
 「(公共放送の役割について問われ)政府が右ということを左というわけにはいかない」「(慰安婦問題)戦争をしているどこの国にもあった。ヨーロッパはどこだってあったでしょ。韓国が、日本だけが強制連行をしたみたいなことをいっているから話がややこしい。だからお金よこせ、補償しろといっている。日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか」「(秘密保護法)まあ通っちゃったんで、いってもしょうがないのではと思う。あまりかっかすることはない」


 百田尚樹・NHK経営委員
 「すごくいいことを思いついた! もし他国が日本に攻めてきたら、九条教の信者を前線に送り出す! そして他国の軍隊の前に立ち、“こっちには九条があるぞ! 立ち去れ!”と叫んでもらう。もし九条の威力が本物ならそこで戦争は終わる。世界は奇跡を目の当たりにして人類の歴史は変わる!」(2013年10月17日)
 「毎日新聞では、籾井氏の発言に対し、『経営委員側からは“外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる”と失望の声がもれた』とあるが、少なくとも経営委員である私は何もいっていないぞ。誰が失望したんや! 名前書けや」「明日はしんどくてもNHKの経営会議に出席する! 籾井会長を非難する経営委員が誰なのかを、この目でたしかめないとあかん」「インフルエンザのお陰でほとんと食欲がない(涙)」「せめて、きれいなオネエチャンを食べたい!」(2014年1月27日、ツイッターで発言)
「戦争ではおそらく一部の軍人で残虐行為がありました。でもそれは日本人だけじゃない。こういうことを義務教育の子どもたちに教える理由はどこにもない」「中国・韓国の顔色を見ながら政治をする人は不必要。彼らは売国奴」「(都知事選対立候補について)人間のクズみたいなやつ」(2014年1月、東京都知事選の田母神応援演説にて)。「民主党、もっと頑張って自民党に要求して、百田尚樹を国会に呼び出せよ! びっくりするようなこといっぱい喋ってやるから」(ツイッターで)


 長谷川三千子・NHK経営委員
 「人間が自らの死をささげることができるのは神に対してのみである」「人間が自らの死をもって神と対話することができるなどということを露ほども信じていない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」「“すめらみこと いやさか”と彼が3回唱えたとき、彼がそこに呼び出したのは、日本の神神の遠い子孫であられると同時に、自らも現御神であられる天皇陛下であった。そしてそのとき、たとへその一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何といおうと、日本国憲法が何といおうと)ふたたび現御神となられたのである」(朝日新聞で自決した右翼団体幹部への追悼文)


 石破茂・自民党幹事長
 「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」(2013年11月、秘密保護法反対の国会前デモについて)
 「『国家の独立のためだ、出動せよ』といわれたときに、いや行くと死ぬかも知れないし、行きたくないという人がいないという保証はどこにもない。だから国防軍になったらそれに従えと。従わなければ最高刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。そんな目に逢うなら出動しようかとなる」(自衛隊を国防軍にした後、軍法会議を設置することを求めて)


 麻生太郎・副総理兼財務相
 「護憲と叫んで平和がくると思ったら大間違いだ」「ドイツのヒトラーは民主主義によって、議会で多数を握って出てきた。ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気がつかなかった。あの手口を学んだらどうかね」(2013年7月29日、都内での講演)
 「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと、寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」(2013年1月21日、社会保障制度改革国民会議での発言)


西田昌司・清和会所属議員 「そもそも国民に主権があることがおかしい」。

細田博之・自民党幹事長代行 「憲法は法令の一つだ。日本国憲法というと立派そうだが、日本国基本法という程度のものだ」。

磯崎陽輔・自民党憲法起草委員会事務局長 「立憲主義なんて聞いたことがない」。

船田元・自民党憲法改正推進本部本部長代行 「立憲主義を守ると国が滅ぶ」。

石原伸晃 「終末患者は尊厳死させれば医療費が浮く」。

鴻池祥肇・元防災担当相 「山本太郎議員は私なら直接殺す。天誅を加えなきゃいかん」(天皇に直訴した山本太郎に対して)。

城内実・自民党外交部会長 「秘密保護法を批判する国連人権高等弁務官はクビにしろ」。

小野寺五典・防衛大臣 「あくまで報道があったということで、信じたくない」(米国の諜報機関NSAが日本国内でも通信傍受する施設を設け、盗聴活動していたことに対して。2013年11月)。

嶋倉剛(安倍首相の肝いりで下関市教育長に天下っていた文科省キャリア) 「植民地支配という部分は歴史的事実に反するので受け入れられない」「日朝併合をいかにいうかは自由だが、それを植民地支配だったと事実関係を変えて語ったのでは、事実関係は進まない」(2008年、教育委員会へ要望に訪れた朝鮮学校父兄らに対して)。

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