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霊感商法対策弁護士連絡会が会見 今も続く統一教会の違法行為の数々 政治家にも食い込む実態

 参議院議員選挙中、安倍晋三元首相が街頭演説のさなかに射殺された事件をめぐり、犯人の山上徹也容疑者は、母親が統一教会の熱心な信者で、多額の寄付をして自己破産し家庭が崩壊したことへの恨みを持っていたことが明らかになっている。これをめぐって統一教会の霊感商法による金銭的搾取や家庭破壊等の被害についてとりくんできた、全国の弁護士300人からなる「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が12日、記者会見を開いた。冒頭に、今回の事件に対する「声明文」も発表した。記者会見の要旨、信仰二世の40代女性の発言、そして質疑応答を紹介する。

 

記者会見する全国霊感商法対策弁護士連合会(12日)

 代表世話人・山口広弁護士 今日の会見をおこなった理由は声明に掲げた2、3、4に尽きる。安倍先生の殺害という行為は本当に断じて許されないと思う。しかし理解いただきたいのは、統一教会信者の、親の理解をこえた献金行為、あるいは統一教会の方針に従って合同結婚式に参加してメシアが指名した、あるいは統一教会が選んだ異性との結婚を強いられて拒否できずにしてしまった二世の人たちの苦しみがどんなにつらいものか、とくに親がなぜそのようなことをしたのか理解できず、その家族がどんなに苦しい思いをしたのかについて、ぜひご理解いただきたい。

 

 私たちは安倍晋三先生にも、他の政治家に対しても何回も統一教会の社会悪を考えたならば反社会的団体である統一教会にエールを送るような行為をやめていただきたい、どんなに被害者が悲しむのか、苦しむのか、絶望するのか、しかも新しい被害者がそれによって生み出されかねないということについて政治家として配慮いただきたいということをくり返しお願いしてきた。しかし残念ながら「反共」ということに共感をもつ議員の方々、統一教会のお金が最初は目的だったかもしれないが…。

 

 この2005年から2010年にかけて、警察があいついで献金勧誘にからむ物品販売について13件検挙した。30人以上の統一教会信者が摘発され、逮捕・拘留された。東京の新世事件(2009年に印鑑を売りつけた事件)では社長とその部下の幹部2人が懲役刑の判決を受けている。統一教会としては資金的には厳しい事態になっているが相変わらず伝道行為はやっているし、今回の選挙でもその前の選挙でも特定の自民党の候補者を組織推薦候補として応援してきた。それに信者組織は動員をかけてやってきたことをわれわれは事実として認識している。それを考えると昨日(11日)の田中統一教会会長のコメントはあまりにも事実に反するといわざるを得ない。統一教会としては反省していただき、こういう家族の悲劇、苦痛については配慮していただきたい。

 

 一番私として許せないのは山上さんのお母さんが平成14(2002)年に奈良地裁で自己破産している。その自己破産は明らかに統一教会に対する過度の献金のためだ。それ以外考えられない。それを記者会見ではあたかも他人事のようにいったうえで、その後の献金はありませんといった。だがおそらく献金をさせている。借金をさせても献金をさせている。過度な献金をしたために自己破産した信者はたくさんいる。それを白々しくあのように人前で証言することは許されない。私としては心からそう思う。そういう意味で、今後、政治家のみなさんも、あのような社会的団体とのエールを交換することについては本当に慎重に考えていただきたい。最後にくり返すが、あのような凶行は許されないことは強調しておきたい。

 

 (献金勧誘の様子を撮影した動画が上映される

 

全財産は神様のもの 家庭崩壊に至る道

 

 渡辺博弁護士 2点だけ付け加えたい。今のビデオは実は埼玉の教会の説教だ。現役の信者の方が「あまりにもひどい」ということで盗み撮りをして私たちに持ってこられたものだ。全国で同じように今でもやられている。「すべての財産は神様、韓鶴子様のもの。すべて捧げなさい」というのが統一教会の教えなので、その結果家庭崩壊になってしまう。

 

 単なる本を、統一教会は3000万円で買わせる。かつ信者1人に1冊ではなくて、4、5冊売りつける場合もある。5冊といえば1億5000万円だ。こんな非常識なことがおこなわれている。中身は文鮮明の御言葉を印刷した本で、なぜ3000万円かというと文鮮明の署名があるからと付け加えられている。

 

 もう1点、2009年11月に新世事件で2人が懲役刑となった。その後、統一教会の責任者は今後は違法な行為をおこなわないとはいわなかった。機関誌のなかで責任者がいったのは、「私たちの反省として政治家とのつながりが弱かったから警察の摘発を受けた。今後は政治家とつながっていかないといけない」というのが反省の内容だった。私たちが政治家の方々に対して統一教会の応援をするのはやめてくださいと呼びかけている理由もそこにある。統一教会の被害者にとっては教会が政治家とのつながりがあるから、警察がきちんとした捜査をしてくれないという思いがずっとあると思うし、私たちにもある。その点を、国会議員の先生方にはぜひとも考えていただきたい。

 

 川井康雄事務局長 私たちは平成30年に政治家の方々に対して「統一教会への支援をしないでほしい」という要望を出した。その後も再度要望を出している。この2種類の要望書は、全国会議員に配布した。声明にものべたが、衆議院議員・安倍晋三元首相へも「公開抗議文」を送った。議員会館に送付したものは受けとり拒否、山口の事務所に届いたけれども回答はなかったというのが客観的な事実だ。1987~2021年の被害総額は1237億円超だ。あくまでわれわれが把握できている額なので、氷山の一角だ。

 

 山口弁護士 統一教会の日曜礼拝で流れたビデオで、天宙平和連合の会合でどのように努力して安倍晋三さんのビデオメッセージをとり付けるようになったのかを議長の副島さんが自慢気に語っている。つまり統一教会と天宙平和連合は明らかに一体だ。

 

 紀藤正樹弁護士 2002年10月25日に殺害された当時衆議院議員の石井紘基さんの事件のとき、刺された直後にご遺族からご連絡をいただき病院にかけつけた。安倍元首相と同じ失血死だった。そのときの体験を踏まえると、ご遺族が今どれほどつらいのかをお察しする。1人の政治家を失うというのは、ご遺族だけでなく自民党の政治家のみなさん、安倍元首相を支援していた人たちの全人生を奪うことになる。1人の政治家を自分と意見が違うとか、自分の立場が違うなどという怨恨で殺めることがどれほど罪作りなのかは、非常に重いものがあると思う。

 

 自民党の政治家の人たちも悲しみと憤りがあると思うが、この事件の背景になにがあったか。つまり、そのエネルギーをむけてほしいのはむしろ巨悪だ。石井紘基さんのときは犯人が24時間後に出頭したが、鞄の中の手帳などの私有物はいまだ見当たらず、いまだに動機もわかっていない。背後に何らかの組織があるのかもしれない。

 

 今回の事件の背後には統一教会のかなり過酷な献金ノルマがあって、それが怨恨につながった可能性がある。そうすると憤りの対象は、個々の信者に向けられるものではなく、統一教会、巨悪に向けられるべきだと思う。誤解なきように話すが、私は統一教会の問題にずっとかかわってきた。彼らは「反省」といいながら過去の罪は清算しない。霊感商法とか違法な献金はいまだに続いている。そして彼らは信者に対して、お金を少し返して「他は請求しません」という念書までとるようなことをしている。それをコンプライアンスというだろうか。コンプライアンスというなら、過去の問題をすべて清算して被害を回復し、罪作りな行為についてすべてつまびらかに明らかにして出直すならわかる。だが、それはやらない。そして今回の事件の遠因をつくりだしたという意味では問題点が大きい。

 

 政治家のみなさまもぜひ巨悪に目を向けていただきたい。日本に巨悪を残してはいけないし、罪をきちんと清算してもらうためにも統一教会の問題にもっと目を向けてもらいたい。自民党の政治家もその他の政治家のみなさまも、今回の問題は他人事ではないので目を向けていただきたい。

 

 郷路征記弁護士 私たちは山上容疑者のお母さんが脱会してきた場合に、そのお母さんの依頼を受けてお母さんを被害者として加害者である統一教会に対して損害賠償請求訴訟を提起する。そして統一教会から献金としてとられたお金を回収してそれをお母さんにお渡しして、できれば失われた傷ついた家族の絆を回復していただきたい、失われた人生のいくらかでもとり戻していただきたい、という気持ちで仕事をさせていただいている。その限りでは統一教会は100%の悪であり、山上容疑者のお母さんもそれに派生した山上容疑者自身も統一教会との関係においては100%の被害者だ。

 

 被害者救済について、われわれの力が小さいがために、社会的な諸勢力がそのことに目を向けないがために、政治家のなかにはかえって現実的な力を有している教団に与することによって、利益を得ようとしている人がいるがために、救済の手が届かず被害者を助けることができなかった。今回の事件はその結果、暴発した感情の結果なのかなと考えている。その点では、われわれの努力の不足を自覚しないわけにはいかないし、今回の事件はとても残念だ。

 

信仰2世・40代女性の証言

 

 元信者40代女性 衝立を立ててお話させてもらうことをお許しください。私自身一般の会社員として生活している人間であり子どもの母親でもある関係上、身元がばれてしまうといわれなき誹謗中傷を受ける可能性も考えられるので、今回はこのような形でお話させてもらう。

 

 私は信仰2世だ。母親がまず統一教会に通うようになってから家のことすべてが統一教会の教えに変わっていった。母は子どもである私たち三姉妹にも教会の教えを強要するようになった。とくに私は夫婦関係のよくなかった父と母の家庭環境で育った。いつも父に泣かされている母を、娘として、同じ女性としてかわいそうだなと思って育った。そんな母が導かれた統一教会の教えを受け入れることが親孝行になるのだと勘違いをしてしまった。

 

 そして母のいわれるとおり、統一教会のビデオセンターという所に通って、そこから洗脳が始まった。そして21歳の1995年に合同結婚式を受けることになった。そのとき教会からいわれたことは、まずどんな国の人でも断ってはいけない。どんなに学歴がなくても断ってはいけない。障害があったり、なにか経済的に難しい事情がある相手であっても断ってはいけない。すべてを神に預けて断っては決していけないということを誓わされた。

 

 相手は韓国人で、私より2歳年下の19歳。家もなく、職もなく、親もない、学歴は中学中退だった。住む所がなかったので、教会にころがりこんできた男性だった。そのような男性が私の永遠の伴侶としてマッチングされた。その人を断れなかったのは、祝福を受ける前に神に誓わされたからだ。学歴がなかろうが、どんな状況の人であろうが断ってはいけないといわれていたからだ。

 

 そして3年後、家もない、職もない彼は日本に渡ってきて私と一緒に生活するようになった。彼は気に入らないことがあると私を殴る人だった。そのことがとてもつらく、そのことを教会の上の者に相談した。するとそれは彼にサタンがとりついているからだといわれ、あなたの信仰が足りないからだともいわれた。彼が悪いとは一言もいわれなかった。

 

 1年後、その当時の統一教会は避妊してはいけないといわれていたので、自然と子どもができた。彼の暴力は収まることはなく、子どもができたと知っても経済的な部分や身体的暴力、言葉による暴力が日々続いていった。統一教会では離婚してはいけないといわれていたが、この暴力がいつか娘に向かうのではないかという恐れを抱くようになった。このことを母に相談したが、母は絶対に離婚してはだめだといった。祝福家庭が壊れることはサタンが一番喜ぶことだという。私は正直彼と離婚したかったが、母からも教会からもとめられていたので、離婚することができずにいた。

 

 ただ彼が日本での永住権ほしさに統一教会を利用して私と結婚したという本当の理由を知って離婚を決意した。そんな彼と結婚生活を送ることが耐えられなくなり、離婚を申し出た。教会からも母親からも反対されたが、暴力を振るう彼を母親がまのあたりにしてやっと離婚することにイエスといってくれた。

 

 彼とは離婚できたが、母はとても悲しんだ。統一教会では夫婦でなければ天国に行けないとなっていたからだ。母は私が祝福結婚を壊してしまったことで娘が天国に行けないととても悲しんでいた。母を見るたびに罪悪感や、天国に行けないのだという思いを抱くようになった。

 

 そんなとき韓国の教会の人から再祝福を受けないかといわれた。統一教会では結婚が壊れたときに被害者と加害者にわかれることになる。私は夫からの暴力によって結婚が壊れたので、私は被害者として認定されて再祝福が認められるということだった。そして私は韓国の教会につながっていくことになった。韓国の教会から再婚を申請したときに、日本では140万円の献金を要求されたが、韓国側の教会長は140万ウォン必要だといった。日本円で約14万円だ。韓国の人が合同結婚式を受けるのは14万円でいい。でも日本人で合同結婚式を受けるには140万円という大金を払わなければならない。これはいわゆる教祖がいう、「韓国のうら若き乙女を従軍慰安婦として蹂躙した過去が日本人にはあるから、韓国の乞食と結婚させられても感謝しなければならない」という根本的な反日的な教えがあるからだ。日本人は大金を払わされてあたりまえ、大金を払わされて感謝しろといういい方をしていた。

 

 私は再祝福を受けることになり、娘を連れて再祝福を受けたが、その相手も韓国人だった。その相手も学歴、職業、年齢、すべてうそをついて申請してきた人だった。日本の信販カードをすべて使われてしまい、夫によって自己破産させられた。10年間韓国で暮らしてきたが、教祖の死を境に私のなかで洗脳がとけて2013年に日本に子どもを連れて帰ってきた。

 

 今回の事件について思いをのべさせてもらう。誤解のないように聞いてほしいが、犯人のしたことについて何一つ擁護することもないし、正しいと思ってもいないが、ただ、人生を統一教会によって破たんさせられた身としては理解できてしまうという苦しい心情がある。やったことに関しては間違っていると思うが、それだけ統一教会は人生を破壊する。統一教会にかかわってきた人たち、2世といわれる人たちがどんなに苦しんでいるか理解できる。そこの思いが正しい方向に報道されて、今まで放置されてきた問題が解決される方向に進んでいってくれればいいと思っている。

 

質疑応答より

 

 記者 自民党に統一教会が浸透しているといわれたが、どれくらいか。

 

 渡辺弁護士 歴史的に統一教会は国会議員と関係を持ってきた。二十数年前に調べたところ、百数十の信者が公設、私設秘書になっていた。その秘書たちが自分が仕えている国会議員の知らないところで会議をして、自分が仕えている国会議員の行動について統一教会に報告し指示を仰いでいる実態もあった。現在、3ケタの信者の秘書がいるかどうかは調べてないのでわからないが、地元の市会議員、区議会議員選挙に出す約束をしていたり、信者の地方議員が多いことも把握している。以前相談を受けた秘書の方は、議員からは給料をもらわず無償でやっていて、勝共連合という統一教会の友好団体からいくらかお小遣いをもらうだけだ。今、統一教会のなかで、ある議員を応援しようという指示がきたり、演説会場に行ったり、街頭演説に聴衆として行ったりしている。もちろん無償だ。

 

 記者 助ける政党はとくに自民党か?

 

 渡辺弁護士 別に自民党に限らない。野党でも応援をしてくれるということであれば秘書も送り込み応援もする。自分たちの有利なコマになる、自分たちのために使える人だと思えば応援する。旧民主党などにもいた。私が二十数年前に秘書の経歴について調べたときは自民党が多かった。

 

 記者 昨日の田中会長の会見で、明らかに事実が違うところを何点か教えてほしい。

 

 渡辺弁護士 統一教会にとって資産がある信者が一番ありがたい。資産すべてをささげなさいという教えだ。財産復帰とかいろいろいうが、資産がなくなれば統一教会の場合は借りるだけ借りてこいと借金をさせる。借金をさせて献金をさせることまでする。そうすると弁済ができないので、破産するしかない。その場合、私が調べたところある教会長が、破産申し立ての書き方とか、破産に至った理由書の書き方とかを教えていた。まるで破産を奨励しているかのような教会での動きがあった。当然理由のなかには統一教会への献金で破産したとは書けないので、弟の病気のためにお金を使ったとかウソの理由を書くように指示をしていた例があった。

 

 郷路弁護士 「献金をどのくらいの方がしたのか二十数年前の記録までは遡りきれない」という発言があった。私がやっている裁判では平成11(1999)年の献金台帳が証拠として提出されていて残っている。損害賠償請求を起こされる可能性を考えているので、組織としては残しているはずだと思う。ただし記録が包括的に大量に意識的に廃棄される場合がある。警察の捜査などが入ったときだ。

 

 私は有限会社新世で伝導された方の裁判もやっている。これは新世に対して刑事捜査が入る前のことだった。この人については献金は一切ないと統一教会の側はいっている。他の事件のある方の陳述書を見ると、大量の証拠の廃棄をやらされたという記載があるので、当時の記録が全部廃棄されたのだろうと思う。そうでなければ、記録は残っているはずで、たどることはできたと思う。

 

 「献金は自由意志だ」といっていたが、1999、2000年のときに札幌で裁判をおこされた方の関係で摂理献金台帳というものの原物を持っている。そこには650万円が義務献金とされていた。必ず支払わなければならない献金だ。その650万円が終わったあとは、愛天愛国献金が300万円、聖本献金が3000万円だ。義務献金とされていることからも明らかなように、山上容疑者のお母さんも義務献金を課せられていたことは間違いないのではないかと推測する。

 

 2009年以降、コンプライアンスが強調されたといっているが、これは新世への刑事摘発事件を受けて当時の徳野会長の「無理な献金をさせない」「因縁を強要しない」という声明が出たことを指す。当時コンプライアンス上一番問題になっていたものは、統一教会の正体を隠した伝導活動だった。正体を隠して洗脳してしまうことが許されないということだったが、そのことについては2015年になって内部的にそれをやめるという通達を出しているようだ。しかし社会に対してそのことは明らかにしていない。やめなければならないことをやっていたことについて、社会に対して謝罪もしていなければ、尻拭い状態だ。そのことによって人権を侵害された被害者がいるのにだ。私は内部文書が出されたとしても、状況によってはいつまた復活するかわからないから、監視をし続けなければならないと思っている。

 

 山口弁護士 統一教会の場合、信者になりかかった人にまずやらなければならないこととして、いくらの預金を持っているのかを聞き出すことだ。「財には因縁がつきやすくお清めをしないといけないから、通帳を持ってきて下さい。あなたが隠しても霊界に通じているから、それを正直にいわなきゃだめですよ」という。その人が、あるいは夫がどれぐらいの財産を持っているか、その奥さんにそのお金をどれほど出させることが可能かを聞き出すことを説得する。それを踏まえて作戦会議を幹部信者でやって、いつまでにいくらを出させるかを協議して決めて、墓参りに行かせたり、あるいは先祖供養ということで一番思いのいく祖父母や夫などの供養祭をする。霊界で先祖が救いを求めていると思い込ませてやっていく。

 

 昨日、「2009年以降、まったく問題になっていない」といったが、まったくのウソだ。私は今年の1月28日に73歳のご婦人(未亡人)の献金被害についての損害賠償請求通知書を出して、ほぼ全額を返してもらった。この方の場合は、2016年の被害だ。散々先祖解怨の献金をさせられている。一代から七代までの先祖の解怨が、一族70万円だ。このご婦人の場合は、お父さんとお母さんの家系で二氏族、亡くなったご主人のお父さんとお母さんの家系の四氏族だ。70万の4倍の280万円を払わされている。この方の場合は次から次に先祖供養をさせられて、かつ先祖供養をした方は霊界での合同結婚式を受けなければいけない。そのための祝福献金をさせられる。この方の場合には、1073万円を献金させられていた。統一教会はこの献金のほとんどを返金することで合意ができている。

 

 佐々木弁護士 昨日の統一教会の会見のなかで、「2009年以降コンプライアンスを徹底している」という話があったが、それは明らかに事実に反する説明だ。東京地裁令和2年2月28日判決という事件がある。これは被害を受けたのが平成24~27年頃だ。明らかに2009年以降の事件だ。この事件は深刻な事件で、ご主人と息子さんが亡くなった方が被害者だ。「ご家族が天国に行けないよ」「地獄で苦しんでいる」という説明を受けて、亡くなったご家族を救うために多額の金を払わされた。亡くなったご主人との結婚式のためにお金を払わされた。非常に悪質なのが、被害者の方が若干統一教会の悪質性に気づき始めたときにごくごく一部のお金を返金するかわりに、「残りのお金は返金請求しない」という旨の合意書にサインをさせる。裁判になっても勝てないよという風にして民事訴訟を断念させたというものだ。

 

 記者 統一教会の悪質さなどは十分伝わったが、安倍晋三元首相が銃撃され殺されたという点について、テレビ等でコメンテーターなどが「とばっちりだ」「犯人の勘違い」「たいした関係ではない」「祝電を送ったくらいの関係なのに」といっている。ここ数日の報道は危ないと思っているが、安倍晋三という政治家と統一教会の近年の関係性がどうなっていたのか、実際どうだったのかを検証するべきだと思う。それについてどう思われるか。

 

 山口弁護士 安倍晋三さんが尊敬してやまない岸信介さんと、文鮮明が握手している写真がある。韓国の統一教会がいかに世界的に広く認知されているかを認めさせるためにその写真を掲載した分厚い写真集がある。こういう写真をくり返し信者のみなさんに見せて、「地上天国はもう一歩だ」という説明に使う。さらに、これは憂うべき事態だと思ったのは、安倍政権になってから若手の政治家が統一教会のさまざまなイベントに平気で出席するようになったことだ。それまでは政治家が参加しても名前は出さず、統一教会の方も名前を伏せていた。ところが若手の政治家が大手を振ってコメントをするようになってきた。それはなぜかというと統一教会と近いといわれる政治家が、安倍政権のなかでは大臣とか副大臣とか政務官とかに登用される傾向が顕著になってきた。自分が大臣なり政務官に登用されるためには、統一教会と協力関係にあった方が早く出世できるという認識が浸透し始めた。

 

 これはまずいなということで、私たちは2019年と20年に政治家のみなさんに、統一教会と協力関係になることはやめてほしいという要望を出した。去年の天宙平和連合への安倍さんのビデオメッセージについては正式に抗議した。そのぐらい安倍晋三さんが統一教会と仲良くすることについての開き直りが顕著だったので非常に憂慮していた。

 

 記者 実際に安倍晋三が統一教会に特定の信者への組織票の依頼をしていた。昨日の会見では「統一教会の幹部を官邸に招待したことはあるか」という質問に「ない」と答えたが、実際は招待した証拠がある。いろんな証拠を積み重ねたなかで、明らかに安倍晋三さんが昵懇(じっこん)の関係にあるであろうという状況のなかで出てきたのがUPFのリモート登壇だった。改めてここまで強い関係性があることをはっきりと裏づけられたという認識だが、そういった流れを知らない有識者やコメンテーターが軽くとらえている。そこを「犯人の勘違い」で流されてしまうという危惧を持っている。その関係性について、今の報道をどう思うか。

 

 紀藤弁護士 弁護士は被害者を救済することが究極の目的だ。ここでいう被害者は多額の献金を出された信者の人たち、その子どもたち、関係者が被害者だ。われわれから見ると、政治家のみなさんは被害者の視点に立っていただけていないと思う。

 

 統一教会は、人をだまして自分たちの野望を実現する。もともと正体を隠して政界に食い込み、学者陣に食い込み、国連に食い込む。そして自分たちの統一教会という政治、経済、芸術、学問でこれらをみな統一する。そして半島も統一するという発想で成り立つコングロマリット宗教団体だ。その一つの宗教法人の形だけを説明しても、コングロマリットである統一教会の説明はできないと思う。コングロマリットである統一教会がどれほど甚大な人的、財産的被害、家族被害、精神被害を生んだか、それは世界中で問題になっていることをわかっていただきたい。わかっていただければ、近づいてはいけない団体ということはわかると思う。安倍晋三元首相と自民党、あるいは野党の政治家もそうだが、統一教会に近づいたことが問題というよりは、統一教会のことがわからないで近づいてしまった。われわれができるだけ説明してきたが、それをご理解いただけなかったことが悔しい。

 

 政治家のみなさんにも反社会的な団体との付き合い方の問題として真剣に考えてほしい。反社会的団体にはメンバー自体が被害者という者もいるし、メンバーから被害を受けた被害者が膨大にいる。岸首相が統一教会の本部に行ったのは1973年のことだから、それからだと50年という単位だ。その間に膨大な被害者群を生み出している。刃傷沙汰もたくさん起こっている。統一教会のなかでは信者同士の争いとか、直近では統一教会に直接乗り込んだという暴力沙汰もある。それを田中会長が知らないわけはない。責任ある方がまるで事件がなかったかのように説明する。それに政治家が騙されてほしくないし、コメンテーターといわれている知識層が騙されてほしくないというのがここにいる弁護士全員の総意だと思う。

 

 被害の甚大さはここ数年ではなく、被害者が膨大に積み上がっているなかで起きた一つの事件であるということを十分にご理解いただき、今回の事件だけを表面的に扱ってほしくないというのが私たちの思いだ。

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この記事へのコメント

  1. 池田裕計 says:

    旧統一教会は宗教法人として、献金、霊感商法など、お布施として処理され、無税で懐を太らせているようですが、これでは、納税者として、がまんが出来ません。また、いわゆる訳のわからない宗教法人が多数あるようですが、これらすべてが税金を払わないで、存続しているのは、不当です。今まで自民党はじめ、100人を超える政治家が、何らかの形で後援してきたことで、宗教法人への免税措置を見直すなどということは、無理、無理とあきらめていましたが、この際あえて税制面からも、宗教法人への措置を見直すことが、できませんか?? 

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