いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

イラン侵略直ちにやめよ 全米3300カ所で過去最多800万人が抗議 「NO KINGS!」掲げ呼応 5月にゼネストへ

(2026年4月3日付掲載)

ミネソタ州セントポールで開かれた「NO KINGS」集会は20万人が広場を埋めた(3月28日)

 米国内で3月28日、トランプ政府に抗議する全国統一行動「NO KINGSⅢ」が全米50州、3300カ所でおこなわれた。1日の動員では米国史上最多となる800万人以上が行動に参加する歴史的規模となった。各地の路上で集会やデモがおこなわれ、トランプ政府による移民・関税執行局(ICE)の不法移民捜査や市民弾圧、イラン攻撃をはじめ世界中で戦火を煽り続ける軍国主義、国民生活を無視した大企業優遇などさまざまな問題に対する怒りの声をあげた。また、トランプを背後で支える一握りの寡頭政治家や資本家たちに対しても米国民の「NO KINGS(王はいらない)」の声は確かな広がりを見せており、5月1日に全米で計画されるゼネストへ結集する流れが強まっている。

 

5月1日にはゼネスト呼びかけ

 

ミネソタ州セントポールの「NO KINGS」集会(3月28日)

 全国統一行動をとりくむにあたり、主催者はウェブサイトで以下のように訴えた。

 

 「アメリカに王はいらない。覆面をした秘密警察が私たちのコミュニティを恐怖に陥れている。違法で壊滅的な戦争が私たちを危険に晒し、コストを増大させている。言論の自由、市民権、投票の自由が攻撃されている。家計を破壊寸前に追い込む物価上昇。トランプは暴君として私たちを支配しようとしている。しかし、ここはアメリカだ。権力は国民のものであり、王様気取りの連中やその億万長者の取り巻きたちのものではない。3月28日、私たちはともに集まり、はっきりとこう宣言する――“王はいらない”」。

 

 この呼びかけのもと、労働組合や市民団体などが中心となり、全米各地で大小のイベントやデモがくり広げられた。今回の「NO KINGS」は昨年に引き続き3度目。主催者側は、大都市だけでなく郊外や共和党支持の強い州からの参加者が急増していることから、事前に「今回の抗議運動は米国史上最大規模の抗議運動の一つになる可能性がある」としていた。その目論見通り、ニューヨーク、ワシントン、シカゴ、ロサンゼルス、サンディエゴ、デトロイト、アトランタ、フィラデルフィア、セントポールなどの主要都市では数万~数十万人規模の人々が集まった。

 

 また、呼応してオランダ、スペイン、イタリア、イギリス、フランスなどのヨーロッパ諸国やラテンアメリカ、オーストラリアなど、10カ国以上が連帯して大規模な抗議行動をとりくんだ。

 

 全米3300カ所でおこなわれた抗議活動のうち約600件は共和党支持の強い地域でおこなわれたものであり、トランプ政府による独裁・寡頭政治、軍国主義、移民弾圧政策、市民生活に関わる公共部門の大幅な縮小などに対する党派をこえた国民の怒りを反映した。

 

 また今回は、イランへの違法な戦争に対する全国民的な反対世論を強く反映した。デモ行進では戦争反対を訴えるメッセージが記されたプラカードを手にする参加者が多数おり、参加者は海外での軍国主義とそれによる国内予算の圧迫や燃料高騰などをはじめとする国民生活への打撃に対する怒りの声をシュプレヒコールに込めた。

 

 ミネソタ州セントポールでは、主催者が「旗艦イベント」と位置づける集会がおこなわれ、20万人以上が参加した。集会ではバーニー・サンダース上院議員らが演説をおこなった他、歌手のブルース・スプリングスティーンも登壇した。

 

 サンダース氏は、トランプ政府のもとで一握りの寡頭政治家が膨大な富を蓄え、大多数の人々が食卓に食べ物を並べるのに苦労する経済を受け入れるべきだというビジョンがはびこっていると指摘。「金と権力の蓄積のために国民に嘘をつき、騙し、盗み、生まれた場所、話す言語、肌の色、宗教、性的指向を理由に、互いに憎み合わなければならず、憎しみを煽り分裂に次ぐ分裂が生み出されている」「私たちは、権威主義も、寡頭政治も、合衆国憲法と法の支配を蝕み続ける大統領も決して受け入れない」と訴えた。

 

 また、こうした現状はトランプ大統領一人の問題ではなく、「地球上でもっとも裕福なごく少数の人々が、飽くなき貪欲さゆえに、我が国の経済、政治システム、メディアを支配し、勤労世帯を犠牲にして私腹を肥やしてきたという問題だ」とのべ、政治をコントロールしようとする一部の支配勢力への抵抗の意志を示した。

 

 サンダース氏は、現在上位1%が下位93%よりも多くの富を所有しているなか、史上最大の減税措置を受けた超富裕層がかつてなく急速に資産を増やしているとのべ、「昨年アメリカの938人の億万長者が1兆5000億㌦もの資産を増やした。トランプ氏自身も10億㌦以上資産を増やした。そして腐敗した選挙資金制度のなかで、支配階級が政治家を買収するためにかつてないほど巨額の資金を費やしている。来る中間選挙では、億万長者たちは何億㌦もの資金を投じ、政府が労働者階級ではなく、自分たちのために機能し続けるよう働きかけるだろう。今日、私たちはトランプ氏の権威主義に“ノー”というだけでなく、その他すべての億万長者にも“ノー”を突きつける」と訴えた。

 

 また、現在の重要な課題として「トランプ政府の制御不能な軍国主義を止めなければならない」と提起し、要旨以下のようにのべた。

 

 正直にいおう。アメリカ国民はベトナム戦争について嘘をつかれた。イラク戦争についても嘘をつかれた。そして今日、イラン戦争についても嘘をつかれ続けている。この戦争は直ちに終結させなければならない。

 

 前回の選挙でドナルド・トランプは、アメリカの復興に使うべきだった巨額の資金が戦争に浪費されたことを指摘した。彼は「平和候補」として選挙運動をおこない、「終わりのない戦争はもうしない」と約束した。しかし、彼は嘘をついたのだ。

 

 1カ月前、トランプ大統領と彼のパートナーであるイスラエルのネタニヤフ首相はイランとの戦争を開始した。この戦争は憲法違反だ。トランプ大統領は議会の承認を求めておらず、得てもいない。主権国家は、いかなる理由であれ他の主権国家を攻撃することは許されない。

 

 この戦争が始まって以来、アメリカ兵13人が死亡し数百人が負傷しており、昨日だけでもさらに12人が死亡した。イランでは、民間人約2000人が死亡、さらに多数が負傷し、498の学校がアメリカとイスラエルのミサイル攻撃を受けた。レバノンでは1000人以上が死亡し、100万人以上(人口の15%)が住まいを追われた。イスラエルでは20人が死亡、5000人以上が負傷した。ヨルダン川西岸地区では、イスラエルの自警団が家屋を焼き払い、パレスチナ人を殺害している。

 

 ガソリン価格が高騰し、多くのアメリカ人が生活必需品さえ買えない状況にある今、この戦争によってすでに1兆㌦もの費用がかかっていると推定されている。アメリカ国民が政治的に分断されている今、保守派、穏健派、進歩派が声を一つにして訴えている。「もう戦争はごめんだ」と。

 

 私たちは皆、歴史を通じて世界中の人々に自由、民主主義、そして正義のために闘う勇気を与えてきたこの国に住んでいることを誇りに思っている。そして私たちが団結し扇動者たちに分断されないようにすれば、より明るい未来への希望を世界に与え続けることができる。

 

 アメリカの歴史において、われわれ国民は幾度となく困難な局面に立ち向かい、反撃し、勝利を収めてきた。今日は私たちの闘いの終わりではなく始まりにすぎない。彼らが当時それを成し遂げることができたのなら、私たちにもできるはずだ。

 

NYでは35万人参加

 

「No KINGS」のうねりはニューヨークのタイムズスクエアを埋めた(3月28日)

さまざまなプラカードを掲げて抗議するニューヨークの抗議者たち(3月28日)

 ニューヨークでは市内各地でさまざまな集会やデモがおこなわれ、推定35万人が参加した。マンハッタンのタイムズスクエアでは数十万人がデモ行進をおこない、通りをすべて埋め尽くした。デモ行進を組織した「HANDS OFF NYC」によると、デモ行進の終点である34番街に隊列が到着したとき、まだ出発点の59番街には出発を待つデモ隊がいたとのべた。

 

 デモ行進のテーマは、ニューヨーク市に暮らし、働いている310万人以上の移民(市の人口の約40%を占める)との連帯と、5つの行政区でのICEの活動の停止を強く求める呼びかけだった。デモでは「ICEなんてクソくらえ」というシュプレヒコールがブロードウェイ沿いに何ブロックにもわたって響き渡り、トランプ政府の排外主義的な政策への非難が書かれたプラカードが掲げられた。メインの横断幕には「ICEはいらない。戦争はいらない。王様気取りはいらない。もう糸を引く億万長者はお断りだ」とのスローガンが記された。

 

 また、このデモのもう一つのテーマは、イランへの米国とイスラエルの戦争に対する厳しい非難と、海外における米国の侵略行為終結の要求だった。「イランにおける帝国主義戦争反対」と記された横断幕に続くデモ参加者たちは、沿道に並んだ高校生たちとともに「お前らのクソみたいな戦争はいらない!」と1日中絶え間なく叫び続けた。群衆の中には、イランへの米国の介入を非難するプラカードが多数あり、とくに米国がミナブの女子校を爆撃し、165人以上の児童が殺害されたことに対する怒りが溢れた。

 

 デモ全体として米国内での反戦感情の高まりを反映した。ロイター社による直近の世論調査では、米国民の61%が戦争に反対している。デモ隊が次々と行進するなか、街角の至る所でパレスチナの旗が見られ、イランでの現在の攻撃とパレスチナ自治区ガザ地区でのジェノサイドを結びつけた戦争反対の声が街頭に響いた。大学生のみならず高校生や中学生の姿も多く、若者たちは群衆の中からICE、警察、イラン戦争、さらにはキューバに対する封鎖に反対するシュプレヒコールを上げた。

 

 デモに参加した高校生はメディアのインタビューに対し「トランプ大統領はイランに対して帝国主義的な戦争を仕掛けるファシストだ。イランへの戦争には反対だ。私はニューヨーク市内のさまざまな学校から集まった学生の一人だ。私たちは声を一つにして、自分たちが無関心ではないということを示すためにここにいる。政府は私たちに気づかせないようにと必死だが、私たちはしっかりと注目している」とのべた。

 

 別の学生は「私たちはトランプ大統領たちによる違法行為を憎悪する。私たちはアメリカを愛しているからこそ、民主主義、私たちの権利、良識、土地、そして全員の幸福のために戦わなければならない」と語った。

 

「独裁者には屈服しない」

 

ニューメキシコ州アルバカーキのモンゴメリ公園でおこなわれた「NO KINGS!」集会

 イリノイ州シカゴでは、中心部のグラントパークで開かれた集会に数千人が集まり、その後デモ行進で市内を練り歩いた。シカゴでのデモは、トランプ政権による移民取り締まり作戦「ミッドウェイ・ブリッツ作戦」で同地域が標的とされたことに加え、現在イランで続いている軍事行動に対する抗議が中心テーマとなった。

 

 集会では、主催した数十の地元団体の代表者らがステージに結集した他、同市のブランドン・ジョンソン市長が演説をおこなった。

 

 ジョンソン市長は「私たちの運動は日々規模を拡大し、決意はますます強固になっている。ここシカゴ市では、この街のすべての人々を守ることを信条としている以上、私たちは労働者や移民に対するこの攻撃を終わらせ、終わりのない戦争を終わらせるつもりだ」「これは単に選挙で人を選ぶという話ではなく、国民が権力を持つことを確実にするための話だ。シカゴの皆さん、この闘いを続ける準備はできているか? この行進の瞬間を楽しんでほしいが、これで終わりではない。5月1日にはまたシカゴの街頭に戻り、イリノイ州、そしてこの国中の超富裕層が正当な税負担を果たすよう、みんなで行動を起こそう」とのべ、メーデーに予定されている全米でのゼネストへの合流を呼びかけた。

 

 イリノイ州のジュリアナ・ストラットン副知事も登壇し、「トランプはこの1年間、組織的にわれわれの民主主義を解体しようとし、憲法を踏みにじり、法の支配を捨て去ろうとしてきた。そして、イランへの爆撃まで開始し、われわれを別の戦争へと引きずり込んだ」と非難した。さらに「独裁者気取りの奴に屈服するはずがない。イリノイ州はこれまで通り立ち上がり、反撃するだろう。トランプはわれわれが黙っていると思っているかもしれないが、イリノイ州全土の街頭や投票箱で声をあげよう。シカゴに手を出すな! イリノイ州に手を出すな!」と訴え、支持率が過去最低の31%へと落ち込むトランプに対し、11月におこなわれる中間選挙で民意を叩きつける意気込みを示した。

 

 北米約200万人の組合員を要する医療・公共サービス分野の巨大労組SEIU(サービス従業員国際労働組合)のダイアン・パーマー会長は「私たちが今日ここにいるのは、王がどのような人物かを知っているからだ。彼らは時代によって王冠を被ったり、制服を着たり、高価なスーツを着たりと異なる姿を見せるが、彼らが望むことは常に同じだ。それは、あなたの沈黙、服従、そして労働だ」とのべた。

 

 「ファシズムは街頭に兵士があらわれることから始まるのではなく、職場から始まる。“組織化するな”“声をあげるな”“団結するな”と。だからこそファシズムが台頭したどの国でも、彼らが最初に標的にしたのは労働組合だった」「彼らは権力を掌握すると、私たちの自由を守るために立ち上がる労働組合や草の根組織に真っ先に狙いを定める。なぜなら、組織化された労働者は彼らにとって脅威だからだ」と訴えた。そして、「労働者こそが最初に“ノー”をいわなければならない。一般の人々が団結すれば、自分のことを権力者だと思い込むどんな者よりも強い」とのべ、労働者のさらなる結束とメーデーのゼネストへの意気込みをのべた。

 

「海兵隊を故郷へ連れ戻せ!」とのプラカードを掲げる米軍人家族の姿も(サンディエゴ)

 カリフォルニア州サンディエゴでは、警察発表で約4万人が集会とデモ行進をおこなった。ウォーターフロントパークでの抗議活動は、昨年6月の「NO KINGS」で初めて開催されたが、当時の規模は2万人であり、この数カ月間で参加者数は倍増している。また、サンディエゴ市内では中心市街地でのこの行動以外にも20カ所で抗議行動がとりくまれ、市内全体で約10万人が参加した。

 

 長年海兵隊に勤務してきた退役軍人の女性は「トランプ大統領のような人物が最高位の職に選ばれたのは、実に嘆かわしいことだ。私は9・11以前から軍に所属していたが、直後にはクウェート、イラク、シリアに派遣された。この男とその仲間たちが金もうけのために戦争を続け、これ以上罪のない命が失われるのは恥ずべきことだ。犠牲者がわれわれの側であろうとなかろうと、これは恥ずべき行為だ」と非難した。

 

 抗議参加者たちはさまざまなプラカードを掲げた。イランとの戦争やエプスタイン事件、政府による監視、ICE(移民税関執行局)による弾圧などが主な内容を占めた。また、その他にもイスラエル・パレスチナ戦争などをはじめ過去の集会から引き継がれた問題も数多くあった。

 

 また、市内各地の集会では困窮している住民のために寄付金や、食料品や衣類などの支援物資が集められた。

 

 ウィスコンシン州の州都マディソンでおこなわれたデモ行進には、1万人以上が参加した。ここでもトランプ政府が一方的に開始したイラン戦争に対する抗議の声が圧倒的に多く、人々はプラカードや横断幕を掲げ、「お前たちの血まみれの戦争はいらない! 殺戮をやめろ、憎しみをやめろ!」などのシュプレヒコールをおこなった。

 

 首都ワシントンDCでは、数千人が集会とデモ行進をおこなった。デモでは参加者が「トランプは今すぐ辞任せよ!」「ファシズムと戦え!」と書かれた横断幕を手に行進し、「道化師よ、王冠を捨てろ」「政権交代はまず身近なところから始まる」「トランプを逮捕せよ」などのプラカードを掲げた。

 

欧州各国も連帯し行動

 

ロンドンでも連帯して「極右過激主義」に反対するデモ行進がおこなわれた(3月28日)

 欧州各国でも3月28日、「NO KINGS」の主旨に連帯した大規模な集会やデモがくり広げられた。イギリスでは、労働組合や反人種差別運動家、イスラム教徒の代表団体など約500の団体が支援する「トゥギャザー アライアンス」が主催する全国行動がとりくまれた。

 

 主催者はウェブサイトで「極右勢力に対する英国史上最大規模のデモ」として訴え、主催者発表によると約50万人が参加した。首都ロンドンでは、国会議事堂近くのホワイトホールに約11万人が集結し、集会とデモ行進をおこなった。

 

 デモ参加者たちはパレスチナ人、イラン人、スーダン人との連帯を呼びかけ、イスラム嫌悪、人種差別、外国人嫌悪の高まりを問題視し、「人種差別反対」「私たちを分断することはできない」といったスローガンが書かれたプラカードを掲げた。

 

 欧州ではこのほかにも、マドリード、アムステルダム、パリ、ローマなどの主要都市で米国の「NO KINGS」に連帯した大規模な集会やデモがおこなわれた。

 

 デモや集会の参加者たちは、イスラエルとアメリカによるイラン攻撃に抗議する横断幕を掲げ、「トランプの違法で、非道徳的で、無謀で、無責任な、終わりのない戦争すべてに抗議する」「戦争のない世界を」と訴えた。

 

 米国や欧州で抗議活動がおこなわれた数時間後、イラン議会のモハマド・バゲル・ガリバフ議長は、SNSに「47年前に我々が始めたパーティーへようこそ。王はいらない。これがイラン国民であり、我々はこのメッセージを承認する。#王はいらない」のメッセージとともに、1979年のイラン革命の写真を添えて投稿した。

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。