(2026年7月22日付掲載)

昨年8月に広島市でおこなわれた「原爆と戦争展」で参加者に体験を語る被爆者(2025年8月)
被爆から81年目の8月を迎えるにあたり、広島市内や下関市内で「原爆と戦争展」の開催が予定されている。この展示は、広島の被爆詩人・峠三吉の詩や原爆を経験した子どもたちの詩、被爆の実相を伝える写真や資料を織り交ぜたパネルや、沖縄戦や全国空襲、南方の戦地での出征兵士の体験などについて証言をもとに写真資料で構成した「第二次大戦の真実」パネルなど約150枚を展示。その他市民からの提供を受けた貴重な戦時中の遺品や資料、関連書籍や被爆体験集なども展示している。また、会場では被爆体験の証言もおこなわれるなど、20年以上にわたり全国、世界に「核廃絶」「二度と戦争をくり返してはならない」との願いを訴え続けてきた。以下、各地での開催についての詳細な日程と内容について紹介する。
■ 広 島 ■
広島市では、8月4日から8日まで広島県民文化センター地下展示場で「原爆と戦争展」(主催/「原爆と峠三吉の詩」原爆展を成功させる広島の会、後援/広島市教育委員会)が開催される。入場無料。パネル展示の他、被爆者が描いた絵や体験記、被爆と戦争の実物資料なども多数展示される。会場では被爆者が来場者に被爆体験を語ったり、被爆二世や若い世代による被爆体験の伝承朗読会もおこなわれる。
同会の末政サダ子会長はチラシに掲載された挨拶で、戦後81年を迎え、直接の被爆や戦争体験を持つ世代は少なくなるなかで、原爆による悲惨さや苦しみ、その廃虚のなかから故郷を復興させてきた経験と願いを次世代に継承し、このような惨劇を再びくり返さないため、核兵器を廃絶することは全世界共通の切実な願いだと訴えている。その願いに反して世界各地で非道な殺りくや侵略がおこなわれていることに触れ、「私たちは今こそ、幾十万もの原爆犠牲者にかわって、戦争と核兵器の悲惨さ、愚かさを全国・世界に向けて発信しなければなりません」「あの戦争がどのようにして始まり、日本中の人々がどのような経験をしてきたのか。原子爆弾がなんのために投下され、その下にいた市民がどれほどの目に遭ったのか。展示物や体験者の証言から真実を感じとり、今を“新しい戦前”にさせないための糧としていただきますよう心から願うものです」とし、多くの来場を呼びかけている。
また関連して、広島平和公園の原爆の子の像横でも4日から8日まで、同展のパネルを使用した街頭「原爆と戦争展」が開催される。すべてのパネルに全文英訳が添付されており、8月に広島を訪れる世界中の人々が誰でも自由に参観することができる。同展は7月25・26日と8月1・2日にも開催する(雨天中止)。
【開催要項】
広島 原爆と戦争展
会場:広島県民文化センター・地下展示場(原爆ドームから徒歩2分)
会期:8月4日(火)~8日(土)
開催時間:午前9時30分~18時(4日は午後1時から、8日は午後5時まで)
街頭「原爆と戦争展」
会場:広島平和公園・原爆の子の像横
会期:8月4日(火)~8日(土)
開催時間:午前10時~午後4時
■ 下 関 ■
下関市では、下関市立中央図書館の4階エレベーターホールで、7月28日から8月2日まで「原爆と戦争展」(主催/下関原爆被害者の会、後援/下関市教育委員会)が開催される。同展は9月初旬にも下関市役所ロビーでもおこなわれる。
下関原爆被害者の会の近藤捷治会長はチラシの挨拶のなかで、ウクライナやガザ、イランでの戦争が続くなか、何の罪もない子どもたちまでもがミサイルによって殺されていく様子は、まさに81年前の広島・長崎を思い起こさせるとし、「下関原爆被害者の会は、平成6年に会を再建して以来、“平和な未来のため、命ある限り被爆体験を子どもたちに語り継ぐ”ことを生き残った者の使命とし、学校に出向いて子どもたちに体験を語る活動を中心にして活動してまいりました。年々、直接体験した被爆者が減少しているなかで、子どもたち、孫たちが二度とこのような悲惨な体験をすることのないよう次世代に継承していくことが私たちの願いです」とのべている。そして「戦争・原爆がもたらす惨さを知り、平和について考える機会にしていただけると幸いです」とし、家族や友人と誘い合わせての来場を呼びかけている。
会場ではパネルの他に、被爆と戦争の実物資料や体験記なども多数展示される。
【開催要項】
下関市立中央図書館 原爆と戦争展
会場:下関市立中央図書館・4階エレベーターホール(生涯学習プラザ内)
会期:7月28日(火)~8月2日(日)
開催時間:午前9時~午後7時(最終日は午後4時まで。7月81日は休館日)
下関市役所 原爆と戦争展
会場:下関市役所西棟・1階ロビー
会期:9月2日(水)~4日(金)
開催時間:午前9時~午後4時30分
・「心揺さぶられる展示」 参観者のアンケートより

多くの参観者が訪れている街頭「原爆と戦争展」(5月、広島平和公園)
広島平和公園で毎月おこなってきた街頭「原爆と戦争展」には、日本全国、世界各国から多くの人々が参観している。参観者は、体験者の証言や写真を通じて知る戦争の真実に触れ、衝撃を語っている。そして現在の世界的な戦争情勢やそのなかで多くの民間人が犠牲になっていること、その戦争を引き起こす一部の為政者や資本家に対する怒りを全世界の人々が共通して抱いている。とくに若い世代の反応が強く、かつての戦争体験を現在の教訓とし、二度とあのような悲惨な戦争をくり返してはならないという強い思いがアンケートに記されている。以下、参観者のアンケートの内容を紹介する。
外国人参観者から
▼非常に有益であると同時に、衝撃的で心を揺さぶられる展示だった。私の両親は当時核関連の任務に就いていた退役軍人だ。母はサイパン島の陸軍病院で看護師として働いており、広島へ原爆を投下したB29が飛び立つのを目撃したそうだ。その後、病院船に乗務し米軍による長崎への最初の進駐に同行した。そして長崎で被爆者の看護をした後、東京の米軍病院で働いた。母は戦争で多くの友人を亡くし、父と結婚する前には最初の夫も戦争で亡くしている。日本語が話せた父は暗号解読官を務めており、原爆投下後陸軍部隊が広島を初めて訪問したさいには、師長の通訳を担当した。私の父はマッカーサーの下で日本の復興における労働責任者だった。両親は平和主義者として米国に帰国し、戦時中に強制収容所へ送られ、すべてを失った日系アメリカ人たちへの補償を求める活動に尽力した。私は戦争には断固反対だ。(アメリカ、65歳男性、教授)
▼とても詳細で興味深い展示だった。今まで教わらなかったアメリカの別の側面と、深く強烈な歴史の一面を知ることができた。イラン戦争、ロシア・ウクライナ戦争やガザ虐殺など、世界中で起きている戦争行為そのものには何の意味もない。それらは戦争を「目くらまし」として利用しているにすぎず、権力にしがみつこうとする一握りの老人たちがそれを引き起こしているにすぎない。一般市民を攻撃するな。私たちには世界平和が必要だ。人々はみな世界平和を望んでいる。(アメリカ、16歳男性、高校生)
▼かつての戦争における出来事と体験を包括的に伝えられた展示であり、考えが変わった。以前は原爆は戦争を終わらせ、流血を減らすために必要だったと信じていた。しかし今では、原爆は日本ではなくロシアに対する戦略的な使用だったことが分かる。戦争が始まる前からアメリカの勝利は決まっていた。彼らは戦利品を分け合いたくなかっただけで、日本を支配下に置き、その後の戦争の拠点として利用しようとしたのだ。原爆は日本との戦争を終わらせるためにではなく、その後の戦争でアメリカが有利になるために使われたのだ。そして今の戦争情勢も心配だ。この展示はそうした時事問題と非常に関連しているということを読みながら感じていた。数年後、ヨーロッパ、ロシア、ガザで同様のシナリオがくり返される可能性があるのを見ると、恐ろしい。皆が平和で居続けたいと思っているはずなのに、いつまでもそれが実現しないのは愚かなことだと思う。(スウェーデン、28歳男性、心理学者)
▼日本国内における第二次世界大戦の原因、経過、そしてその後の状況に関する私自身の無知の度合いに驚かされると同時に、愕然とさせられた。私は、ニューギニアで日本軍と戦ったオーストラリアの義勇コマンド部隊員の娘だ。父は彼自身と同じく貧しい境遇にあった、ごく普通の日本兵の勇気に敬意を抱いていたが、父のいっていたことは正しかったのだと思った。確かに、ティモールや日本の炭鉱において、オーストラリアの人々に対する日本軍の残虐行為がおこなわれた。しかし、当時の人々は、昭和天皇や支配層、そしてその背後にある数々の戦争を通じた米国の支配と秘密主義という邪悪な仕組みによって、無力感や怒りを抱くとともに、利用されていると感じていたに違いない。トランプの強引な権力と偽情報が日に日に増している。日本は観光やビジネスへの依存を減らし、たとえ米国にとってどのような代償をともなおうとも、報道の自由や権力への抵抗をより重視する必要がある。日本と米国が「同盟国」であることをご存知ですか? そのことで利益を得ているのは誰でしょうか。(オーストラリア、73歳女性、退職者)
▼戦争について、別の視点を与えてくれる展示だった。私たちは通常、戦争の歴史に限らずあらゆることについてアメリカ側の視点から見たものについて教わる。そのため日本人が経験したことを見るのは本当に恐ろしい。とくに私と同年代の若者たちが、自分たちにはどうすることもできないまま夢を打ち砕かれたことを見るのは辛かった。罪のない人々を傷つける無益な戦争はやめるべきだ。利他的な態度を持ち、エゴを少し脇に置いて、国民のことを本当に考えて平和を求め、問題解決のためにできることをやらなければならない。(コロンビア、15歳女性、学生)
▼とても衝撃的で印象的だった。知らなかった情報がたくさんあった。間違いなく衝撃的という言葉が展示会を表現するのにふさわしいが、同時にとても悲しく野蛮さも感じた。世界で続いている戦争やそのなかでおこなわれている民間人への攻撃は今すぐに絶対に止めなければならない。しかし、この世界には自分たちの権力を好む人間がいる。アメリカ、日本、ロシア、韓国、その他の国々も、権力を求めるだけで人々への助けを怠っている。アメリカがウクライナを支援しているのも、善意からではなく権力のためだ。戦争は悪だ。そして戦争は人類の悪い面を代表している。(メキシコ、16歳男性、学生)
▼胸が張り裂けそうだ。私はメキシコ出身で、地理的にはアメリカに近いが、彼等の戦争犯罪に目を背けているわけではない。アメリカは権力欲の強いナルシストな国だ。日本もかつて中国や韓国で間違ったことをしたが、全体的に見て戦争は野蛮で不必要で愚かであり、どの国の国民も軍事費を負担すべきではない。これらの残虐行為に正当化の余地はない。私の祖父は日本人で、戦前にメキシコに来たが、そこでもアメリカ政府の圧力によって日本人コミュニティは強制収容所に入れられた。今もまだ戦争が続いているが、私たちは過去から学べていないと感じる。野心的で利己的な指導者、そして人々の無知がこの世界を支配している。すべてが早く終わることを願っている。これ以上の犠牲者が出てほしくない。歴史から学ぼうとしなければ、私たちはまた同じことをくり返す運命にある。(メキシコ、43歳女性、主婦)
▼虐殺の背景を理解するために歴史を辿るのはとても興味深いことだ。原爆が人々の人生全体にどのような影響を与えたのかについて、人々の詩や物語を読むのはとても辛いことだった。戦争を知らない人々と共有し、二度とこのようなことが起こらないようにするために、彼らの証言を保存することはとても重要なことだ。現在も続く戦争に目を向けると、とても辛く、無力感を感じる。悲しいことに、現代社会は病んでいる。なぜ人間はこんなにも邪悪なのか理解出来ない。宗教、文化、国籍に関係なく、私達は皆同じだ。政治家や宗教家たちは目的達成のために民間人を犠牲にするべきではない。(フランス、29歳女性、無職)
▼非常に有益な内容で、欧米のメディア、特にアメリカのメディアで描かれるのとは異なる歴史の一面を示している。戦争や爆撃による被害の現実をありのままに伝えるため、展示ではどの写真も禁止や検閲の対象とされていなかった点が良かった。私は世界中のあらゆる戦争に反対だ。戦争は不必要な悪であり、関わるすべての人々に不必要な犠牲と苦しみをもたらすものだと考える。権力者たちがそれほどまでに他者と争いたいのであれば、さらなる権力を求めるみずからの強烈な欲望に罪のない人々を巻き込むべきではない。勝手に一対一で戦うべきだ。(ポーランド、19歳女性、学生)
▼この展示は、1937年から1945年までの戦争、そしてそれ以降の戦争に影響を与えた要因と、影響力のある者たちの物語を伝えている。私が理解したメッセージは、貪欲と権力欲が、富裕層や権力者を、最終的には自分たちの支配領域と影響力を拡大するために武力を行使するよう駆り立て、それによってもっとも苦しむのは罪のない民間人だということだ。そして戦争は今もなお、以前と同じ理由で、同じ特定の人々によっておこなわれている。それを考えるといつも悲しくなるが、世界の圧倒的多数の人々が平和を望んでいることは明らかであり、そのことを忘れてはならない。(カナダ、35歳男性、公務員)
▼戦争で苦しむのは常に一般市民であること、戦争は避けるべきであること、そして原爆のような残虐行為は決しておこなわれるべきではなかったことを、展示パネルの強烈でインパクトのある写真や生存者の生々しい体験を通して改めて認識させてくれる内容だった。今も世界で戦争が続いているが、歴史は常にくり返される。上記のように、権力者の貪欲さと愚かさのために苦しむのは常に一般の人々だ。(オーストリア、33歳男性、IT業界)
▼人々が直面した現実を目の当たりにするのは本当に悲しいことだが、同時に深く心に響くものでもある。また同時に、すべての人間には平和な生活を送る権利があるのだと改めて思い知らされた。そして多くの人々にとってこの展示を見ることは、昨今の出来事や冷酷なイスラエル軍によってガザの人々が強いられている苦難に思いを馳せるきっかけにもなると思う。私はすべての人々のための平和と正義を支持する。そして私たちは戦争を終わらせ、互いに助け合うことに目を向ける必要がある。日本万歳、パレスチナ万歳。あらゆる戦争が終わりますように。(無記名)
全国各地から

国籍や年齢を問わず、多くの人々が「原爆と戦争展」に足を止めている
▼戦争のむごさを目の当たりにし、戦争における正解はひとつもないと思った。大きな被害を被るのはいつだって弱者である市民なので、現代を生きる私たちも自分事として考えなければならないと思った。まさに今世界では戦争が続いているが、私も含め無関心の人が多すぎる。知ることから始めたいと思った。(無記名)
▼今の時代は、この第二次大戦の時代よりも国と国、人と人の関係が複雑化しているがゆえに、また同じ過ちが起きてしまうのではないかと展示を見ながら思った。逆に今の時代を改めて怖く感じた。旅行の目的としてここを訪れる人がいて、目にして感じて学んで原爆による影響を世界の人が知ってくれることは日本人としてありがたいが、今それを防ぐことができていないのもまた悲しく感じた。争うことでは何も始まらないし、解決しない。ただ自分の意見、国の立場を主張するだけでは相手は何も感じない。すべての争いごとが、武力という物理的行為で相手を動かそうとするのではなく、言葉による解決になることを願う。(23歳女性・会社員)
▼授業で習ったことよりもリアルで当時の新聞記事や当事者の声が載せられていて、当時の状況を感じることができた。言葉だけでなく、写真もあることでとても印象深く残るし、海外の方にもわかりやすく実感してもらえているのではないかと思った。教科書では分からない、生の声を多く知ることができ、戦争を経験したことがない私にとって、くり返してはいけないと痛感できる展示だった。大都市への被害は多くの損失を出すので戦争を終わらせる一つの手段となり得るのかもしれないが、一方で何の関係もなく生活していた市民の命まで奪って、国や政府の勝利を優先して良いはずがない。そこまでして得た勝利に何の価値もない。武力よりも先に、会って理解し合うことを第一に優先してほしい。(無記名)
▼今まで広島で育ってきて平和学習を通して平和の尊さや原爆の恐ろしさについて学んできたが、今回の展示を拝見してアメリカ側の観点から見た太平洋戦争であったり、戦後も広島県民が苦難したことなどより詳しい実態を知ることができ良い経験になった。また、英語での文面が添付されていることによって、私自身がどのように英語で原爆を説明すれば良いかについても学ぶことができた。今もなお、世界各地で戦争がくり広げられているなかで、被爆地である広島が平和の尊さを発信することができるような場になるべきだと思う。(18歳女性・公務員)
▼学生時代の授業でしか戦争等に触れる機会がなかったが、実際におこなわれていたことを知れて考えるきっかけになった。二度と起きてはいけないし、先人が戦争を経験して残してくれたものを守り続ける義務が私たちにはあると思う。日本だけでなく全世界の人が平和でいることを願う。とくに母への最後の手紙が切なかった。母親を想う息子さんと、それを読んだ親の気持ちがなんともいえず、23歳という若さで亡くなってしまった…。未来ある子どもたちの幸せを私たちは守っていかないといけない。核兵器なんて、誰一人幸せにならない。文句一ついわせず、なくすべき。(25歳女性、製造業)
▼戦争の惨禍が起こる機序がわかりやすく解説されていて、これからを生きる人々が何に注意し、何を防いでいかなければならないのか、社会がどのようになると危険が近づいてくるのかの参考になった。時間があまりない人にも立ち寄りやすく、場所も良かったと思う。イデオロギーや宗教をこえて人類共通の利益となるはずの平和をつくり続けるために、このような運動は永遠に続けていくべきだと思う。(無記名)
▼関心を持たないよりは、見るだけでも良い、知るだけでもいいという気持ちだった。ただしこの展示を見てそんな私の考えが生半可であるといわれているように思えた。原爆の投下は本当に愚かで人として最低な行為であり、うまくいえないが怒りを感じる。戦争は今も世界で続いているし、日本も他人事とはいえない。なぜこんなバカなことがくり返されるのだろうか。(無記名)





















