(2026年7月20日付掲載)

イラン全土で2000万人以上が参列した最高指導者ハメネイ師の国葬(6日、テヘラン)
・イラン政府を「癌」と呼ぶトランプ大統領――国際社会の「癌」は誰か?

宮田律氏
米国のトランプ大統領は8日、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談の冒頭、イランの正式な国名である「イラン・イスラム共和国(Islamic Republic of Iran)」と言うべきところを誤って「日本イスラム共和国(Islamic Republic of Japan)」からミサイルが発射されたと発言した。
少なからぬ米国の心理学者や精神科医が、トランプ氏の認知機能の低下を指摘している。専門家はトランプ氏の「悪性ナルシシズム」を指摘するが、大統領の認知機能の低下は当然のことながら、統治能力の低下となって米国や国際社会の多くの層に弊害をもたらすことになる。イラン・イスラム共和国、スペインのサンチェス首相、イタリアのメローニ首相、NATOなどトランプ大統領の敵は増え続け、これらの「敵」を激しく攻撃することは彼の被害妄想と精神的不安定を助長することになるだろう。
トランプ大統領は7月8日、トルコ・アンカラで開かれたNATO首脳会議で、マルク・ルッテ事務総長との共同記者会見に臨み、「彼ら(イラン)は邪悪で病んだ人々だ。彼らには何か問題がある。正気ではない」とイランを批判した。また、イラン政府を「がん(癌)だ」と呼び、「そのがんは初期段階で切除しなければならない」とものべた。そのうえで「イランは四七年間問題だった。核兵器保有は決して許されない。あいつらはクズ(Scum)だ」と語っている。
トランプ大統領はイランを「がん」と形容するが、現在国際社会の深刻な「がん」ともいうべき存在はトランプ氏自身であり、「初期段階(現在はもはやそんな段階ではないかもしれないが)で切除しなければならない」。2月28日、イランがアメリカにとってなんら脅威でないにもかかわらず、議会の賛成や国連決議もないままにイランを攻撃し、イランの国家元首であるハメネイ最高指導者をいきなり殺害した。イラン攻撃の前にはベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を誘拐してアメリカ国内に移送し、アメリカで裁判を受けさせるつもりだ。さらに、トランプ政権は現在、キューバに対して経済封鎖をおこない、ベネズエラからの石油資源が入らないようにしているが、キューバでは1日20時間を超える大規模な停電や深刻な物不足が常態化するようになった。
トランプ大統領は今年1月に、「(米国の)ルビオ国務長官がキューバの大統領になるだろう」と投稿された画像を自身のSNSに載せた。米国の「外相」である国務長官を他国の大統領に就任させるという発想自体がひどく傲慢で、米国の対ラテンアメリカ観が如実に表れており、正気の沙汰とはとても思えない。
米中央軍は8日未明、イラン南部ホルムズ海峡沿岸に対する空爆を実施したと発表し、トランプ大統領はイランがホルムズ海峡の船舶を攻撃したと主張したが、イランがホルムズ海峡を通過する船舶を、ハメネイ最高指導者の葬儀にかかわる行事が進行するこのタイミングで攻撃する動機が見つからない。
重なるヒトラーの末路

テヘランの巨大看板に描かれた棺に横たわるトランプ。棺には「We Kill」の言葉も(16日)
哲学者の鶴見俊輔氏(1922~2015年)は、イラク戦争で米国に追従する日本の姿を見て、2005年4月10日の講演で「この国が滅びると私は思っています」と発言したが、イラク戦争について「イラクでは、女性、子ども、そして戦闘力のない老人が殺される。そのことは、アジアの中で大きな富と武力をもつかつての日本が、アジアに対してしたことを思わせる」と語っていた。
イランの女性、子ども、老人を殺害するトランプ大統領に抱き着いたり、彼と腕を組んだりする高市首相のふるまいを見ていると、日本はトランプの米国とともに滅んでしまうかもしれないという思いにもなる。
ヒトラーの健康悪化と、悪性ナルシシズムに伴う精神的能力の喪失は、ナチス・ドイツ敗北の重大な背景となった。また、イタリアのムッソリーニの場合、軍事的挫折と汚職もあって人気が落ち、彼の政権は打倒され、最終的に処刑された。これらファシスト政権の末路を見ると、精神的安定を喪失したようなトランプ大統領のファシズムも終わることになれば、その政策のほとんどが覆されることだろう。
あるデンマーク人記者はNATO会合で、NATOのルッテ事務総長に向かって「あなたはドナルド・トランプの隣に座り、彼がグリーンランド征服について語る時や、スペインのような同盟国に攻撃を加えると語るのを傍らで見ています。あなたがそこに座って何もいわないとき、それがあなたの自尊心に何の影響も与えないのですか?」と質問した。このデンマーク人記者の質問は高市首相にも向けてみたいものだ。「イランの無辜の人々を殺害する認知症のような老人のいいなりになってあなたはとても嬉しそうに見えます。それはあなたの自尊心に本当に何の影響も与えないのですか?」と。(7月10日)
・イスラエル化する日本政治――政治の極右支配は日本を国際的孤立に導く
高市政権は国民生活の改善とは関係のない国旗損壊罪や皇室典範の改正に力を入れてきた。高市首相は、ペルシア湾ではアメリカとイランの間で攻撃の応酬が再び始まっているにもかかわらず、ホルムズ海峡の日本船舶通行のためのイランとの独自交渉をいまだにおこなっていない。紛争開始から4カ月半近く経つのに、何もしていないというのはもはややる気がないのではと思えてしまうほどだ。
今日(10日)、送られてきた市来伴子前衆議院議員のホルムズ情勢報告では――9日、ホルムズ海峡における石油タンカーの航行はほぼ停止状態。10日、日銀が発表した日本国内企業物価は6月、前年比で非鉄39・2%、石油・石炭製品22・8%、化学製品14・4%上昇――だった。国民生活は危機的状況にあるのに、政府は「愛国心」を強制し、表現の自由を狭める可能性がある国旗損壊罪の成立にエネルギーを傾注し、旧皇族の男子を養子にする例外規定などを設ける皇室典範を、国民や皇族自身の声を無視し、国会の総意をこえて強引に進めようとしている。高市政権の下では、個人の権利よりも国家を優先させる戦前の体制に近づいている印象がある。
また、外国人規制を強化し、在留管理を厳格化、排外主義を煽っているかのようだ。選挙でも「日本人ファースト」だとか、「外国人は出ていけ」などのスローガンが目立つようになっているが、極度に国家を優先させる日本の今の政治は、国際社会でも評判が悪い極右化しているイスラエル政治に近づいているようだ。
排外主義台頭の危うさ
イスラエルでは1970年代に、極右のメイル・カハネが率いるカハ党が「イスラエル・ファースト」を活動の中心命題に据え、暴力はユダヤ教の価値観であり、復讐は神の掟であると主張した。イスラエル支配下のすべての土地からのパレスチナ人の追放を訴え、ユダヤ全体主義の国家を構想し、あらゆる事柄は独自のユダヤ法解釈によって決定されると主張した。
カハ党はイスラエルでは支持が得られず、1990年にメイル・カハネがニューヨークで射殺されたころには資金不足で崩壊寸前だった。カハネと、彼の名前を冠した政党は歴史的に忘れ去られる運命のように見えた。
しかし、カハニズムは、非ユダヤ人を排除した土地と政治体制という超国家主義的なビジョンとして存続した。21世紀、資本主義的グローバリゼーションの不均衡な発展とハイテクブームが不平等を深める中、カハニズムは再び現れ、右翼階級闘争のイデオロギーを提供するようになった。
2000年から2005年にかけて発生した「第2次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)」の中でハマスなどパレスチナの自爆攻撃がおこなわれると、カハニズムはますます広がる急進的悲観主義にも支えられた。すなわち、イスラエルは戦争に陥る運命にあり、この戦争はゼロサムであり、終わるには完全な終末論的勝利によってしか終わらない。カハネは「彼らかわれわれかのどちらかだ」とよく語っていた。
これは、「日本か、中国か」という高市首相のゼロサム的発想に似ているが、日本と中国がゼロサムなどということはあり得ない。日本でも経済的閉塞感の中で「日本人ファースト」の政治的訴えが強まっていった。
2010年代後半、ガザで連続する戦争を背景に、人種差別の扇動などで重い犯罪歴を持つベテランのカハニストがプライムタイムのテレビ番組に登場し始めた。かつてはタブーだった考えが当たり前になり、下品な反アラブ人種差別は、テレビやソーシャルメディアで注目を集める簡単な手段となった。パレスチナ人追放への支持はもはや周縁的な提案ではなく、日常的な政治議論の一部となった。
2022年末に、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の連立政権の誕生するころまでには、従来は選挙に参加するには危険すぎると見なされていた政党が連立政権の一翼を担うようになった。カハニズムの扇動者であり、有罪判決を受けたことがあるイタマル・ベングビールは国家治安相となり、イスラエルの警察活動を担当するようになり、ネタニヤフ政権の政敵を取り締まっていった。
2023年10月7日、ハマスの奇襲攻撃によってガザでの戦争が始まると、カハニズムはイスラエルの政治潮流の中心となった。ユダヤ人の命が他のすべてのそれよりも価値があると見なされるというユダヤ人至上主義がますます支配的になり、カハニズムは与党連立の実務的なイデオロギーとなり、ヨルダン川西岸ではイスラエルの入植地の拡大とパレスチナ人の追放が進んでいる。
イスラエル政府を構成する極右政党は、極端に保守的で宗教色の濃い価値観をリベラル層や世俗派の国民にまで押し付けようとしている。
日本でも「強い日本を取り戻す」ことを考える自民党内右派や参政党などによって伝統的な価値観や国家の象徴を強力に重視する姿勢が強まった。イスラエルの極右政治が国際社会から奇異な目で見られているように、国際的視点で見れば極右が支配する政治は日本のイメージを損ない、中国など近隣諸国との軋轢を招き、経済的にもマイナス面が多い。(7月11日)
・「米国がホルムズ海峡の通航料を徴収する」と言い出したトランプ

トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を通過するすべての貨物に20%の手数料を課すと一時的に言い出した。「私たちは50年間この海峡を守り続けたが、一度も報酬を受け取らなかった」とトランプ大統領は13日、『FOXニュース』で語った。「われわれは、これらすべてをおこなうこと、われわれの人々(兵士)を危険にさらしたことへの補償を求めている」とのべた。
日本や日本人が米軍に安全を保障されたことはなく、逆に米国はでたらめなイラク戦争をおこなって国際社会を危険にさらした。米国の軍事介入に怒ったイラクやアラブ・イスラムの人の中には「イラクのアルカイダ」や「IS(イスラム国)」を創設する動きが生まれ、外国人ジャーナリストなどを拉致して、斬首したことがあった。
今回も米国は国際法に違反するイラン戦争を始めて、日本をはじめ外国のタンカーなどのホルムズ海峡の通行を事実上妨害した。これのどこが「世界に平和と繁栄をもたらす人」なんだい、高市早苗さん? と問いたい。トランプ大統領は米国がホルムズ海峡の「守護者」の役割を果たしているというが、イランとの戦争はこの地域の海運を一層危険に晒すことになったことはいうまでもない。
6月、マルコ・ルビオ国務長官はホルムズ海峡に通行料を課すことはできないとのべていた。「いかなる国も国際水路で通行料や手数料を課すことは許されていない。それが現行の国際法だ」という彼の発言にもかかわらず、トランプ大統領は通行料を求めるようになっている。トランプ政権の支離滅裂ぶりを典型的に表すものだ。
「強盗だ」と各国が批判
イランとオマーンは共同でホルムズ海峡の通行を管理したいといっているが、同じように複数の国が管理する海峡としてマラッカ海峡がある。マラッカ海峡は、インドネシア、マレーシア、シンガポールの共同管理の下に置かれているが、これら3カ国はマラッカ海峡に地理的に接している。
一方、米国はホルムズ海峡から遠く離れていて、いわば縁もゆかりもない国だ。また、マラッカ海峡に接する3カ国は通行料など徴収したことがなく、曳航支援や狭い区間の航行支援など特定のサービスが必要な場合に限って料金を徴収することになっている。
国際海洋法において、ホルムズ海峡は国際海峡として認められていて、すべての商船の「通過通航権」が保証されている。国際海運の安全確保、海上保安、そして船舶による海洋や大気汚染の防止に関する世界共通のルール(国際条約)を策定・維持することなどを主な役割とする国連の専門機関である国際海事機関(IMO)は、同海峡での強制的な通行料徴収には法的根拠がないと明言している。
また、石油を満載する大型タンカーの場合、3000万㌦以上のコストが上乗せされるという見方もある。専門家によれば、船舶の貨物価値に20%の手数料がかかると、海峡を通る石油輸送コストが2倍以上になる可能性があるという。当然のことながら、そのツケを払うのは消費者ということになる。
ブラジルのルラ大統領は、ホルムズ海峡の通行料を徴収しようとするトランプ大統領の姿勢を「海賊行為」と批判した。ルラ大統領は「長年にわたり海賊行為と戦ってきたと信じる大国アメリカ合衆国が、今や海賊になることはできない」と付け加え、この紛争がブラジルの豆類、コメ、トマト、玉ねぎなどの基本的な食料品の価格を押し上げていると警告した。
また、イギリスの政治家たちもこれを「国家ぐるみの路上強盗」や経済的なゆすり行為だと表現し、批判している。
最も影響を受ける日本
米国がペルシア湾岸地域に介入してくるのは、第二次世界大戦後のことで、日本の出光興産がイラン産原油の買い付けに行った時代に高揚していたモサッデグ首相主導のイランによる石油国有化運動を、CIAによる策動で壊滅させた頃あたりから米国はペルシア湾に経済的・軍事的利害をもつようになった。
モサッデグ政権転覆のクーデターによって米国のメジャーと呼ばれる大手石油会社は、イラン産原油の利益の40%を手にすることになった。その後、米国はイランの王政に大量の武器を売却したり、イラン・イラク戦争が発生すると、反米的なイランと戦うイラクのサダム・フセイン政権を支援して、ペルシア湾に海軍を派遣したりした。2003年に始まるイラク戦争では、今度はサダム・フセインを敵として、不当な理由をつけて軍事介入をおこなって見事に失敗した。
世界の石油供給の約20%が通過する重要なエネルギー輸送路の警備を名目にこれほど高額な手数料を要求することは、米国が軍事的優位性を利用して世界の貿易から不当な利益をむしり取ろうとするものだ。
日本はホルムズ海峡を通行する原油が全輸入量の90%以上を占める。トランプ大統領の構想が実行されれば、国際海運会社や同盟国は、ペルシア湾岸地域における米軍の軍事作戦の費用を負担せざるを得なくなる可能性がある。日本は、韓国やインドネシア、マレーシアなどホルムズ海峡を通過する原油が死活的に重要であるアジア諸国とともに、トランプ大統領の考えにNOを突きつけるべきだろう。(7月15日)
・強権的なトランプ政権に立ち向かう米国全土の「グッド・トラブル」デモ

イランの民間海上監視塔を破壊したことを誇らしげに投稿したヘグセス米国防長官のXアカウント(17日)
ジョン・ルイス(1940~2020年)は、アメリカ合衆国の政治家、公民権運動活動家で、1987年から2020年までジョージア州選出の下院議員を務めた。1963年のワシントン大行進を主導したビッグ・シックス(6人の中心的な指導者)の一人で、公民権運動において重要な役割を果たした。
ジョン・ルイスは「良いトラブルに巻き込まれ、必要なトラブルに巻き込まれ、アメリカの魂を救う手助けをする」という言葉を残した。ジョン・ルイスの偉業を称え、アメリカ全土で反トランプ・デモ「Good Trouble Lives On(良きトラブルは生き続ける)」が7月17日から19日にかけておこなわれている。
「グッド・トラブル」とは、平和的かつ非暴力的な行動を起こし、不正に立ち向かう行動を表す言葉だ。アメリカでは何百万人もの人々がトランプ政権の権威主義、ICE(移民税関捜査局)の強権的ふるまい、イランやガザでの戦争、そしてごく少数の億万長者による富の著しい偏在に反対してデモや集会に参加してきた。
イラン戦争などトランプがもたらした問題は、最終的にはアメリカ政治に直接携わるアメリカ国民が解決すべき問題だ。トランプ大統領が何よりも恐れるのはアメリカ世論の動静だ。NATO同盟国の首脳たちがトランプを批判、糾弾しようとも、彼にはまったく「馬耳東風」のように見え、動じる様子が見られなかった。
日本の高市首相のように、イラン戦争で、不当で、無法な攻撃を受けたイランの側を非難する政府首脳もいる。トランプはアメリカを再び偉大にするどころか、むしろ卑小で、意地悪く、まったく愛されない存在にしている。アメリカ建国250年が経ったが、アメリカ国民に今すぐ求められるのは、トランプからの独立宣言だ。
出口見失ったアメリカ
トランプは、イラン戦争から抜け出す方法を見つけられないでいる。了解覚書(MOU)が結ばれたものの、米軍はイランを連日攻撃し、イランからの頑なな抵抗を招いている。
トランプ大統領は「覚書」を結ぶまでに数十回も勝利宣言をした。戦争開始後8日目には「もう勝ったんだ」といい、10日目には「戦争は完璧な勝利だった」と宣言した。彼は、覚書を結ぶまで「勝った、勝った」をくり返したが、その彼の「勝利主義」はかえってアメリカ人をはじめ国際社会の人々の戦争に対する不信と怒りを深めることになった。トランプとピート・ヘグセス国防長官は、偽の勝利を自画自賛してきたが、もはやアメリカの勝利を信ずるものなどいない。まさにオオカミ少年の世界だ。
イランの核計画を奪い、ヒズボラやフーシ派などの親イランの武装集団を弱体化し、イランの政権交代をもたらすといった米国とイスラエルの戦争目標は達成困難に陥っている。米軍を無力化しているのはイランの革命防衛隊ではなく、トランプの劣悪で、無能で、無責任な指導力だ。
トランプは、ホルムズ海峡での海上通行料を課すと宣言しながら24時間以内に方針を転換し、重大な戦争犯罪である民間インフラへの攻撃を命じるようになった。石油価格は再び上昇し、アメリカがイラン攻撃を激化させるたびにアメリカの国際的な評判と影響力は低下するほかない。
トランプは米軍を勝ち目のない消耗戦にさらし、湾岸アラブの同盟国に危険をもたらすようになり、また世界経済に重大な損害を与え、発展途上国においても壊滅的な飢饉を招いている。
トランプの無責任ぶりは、昨年9月に合意された20項目のガザ「和平計画」についてもいえることだ。ガザの非武装化、暫定統治、イスラエル軍の撤退、復興などといった重要な要素は一向に進展せず、トランプはガザ問題に対する興味や関心を失っている。ハマスは武装解除せず、イスラエル軍は撤退を拒否しているばかりか、かえって占領地域を拡大し、イスラエル軍によって人道支援は依然として妨害されている。昨年10月の「停戦」以降、1000人以上のパレスチナ人が死亡しているが、政治的解決の兆しはまるで見えず、ガザは平和も戦争もない状態にある。
戦費膨張が米国民を圧迫
トランプの戦争は国際法に違反し、アメリカ国民にも燃料費や肥料価格の上昇、消費者物価指数の上昇をもたらしている。公に発表されたアメリカの戦争費用は上昇し続け、最新の推計は290億㌦(4・7兆円)だが、実際のコストははるかに高くなり、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、米国防総省がイラン戦争で負担した費用は約400億㌦(約6・5兆円)にのぼる。
アメリカの武器備蓄は補充されなければならず、中東の米軍施設は広範に修理や修復が必要であり、展開する艦船の維持費は確実に上昇する。こうした戦費の増大がアメリカの納税者に重くのしかかることは明らかだ。アメリカ国民はアメリカが世界にどう映っているのかをよく意識し、無責任な大統領を除くために着実に前進してほしいものだ。(7月19日)

ミネソタ州セントポールで開かれた反トランプ・キャンペーン「NO KINGS」集会では20万人が広場を埋めた(3月28日)



















