(2026年9月7日付掲載)

柳井市議会に提出された中間貯蔵施設建設反対決議は、9議員の賛成により可決した(3日)
中国電力が関西電力との共同事業として検討している上関町での使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画をめぐって、柳井市議会は9月3日におこなわれた令和8年第3回定例会本会議で、議員提出議案「上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画に反対する決議」を、9対6(議長を除く)の賛成多数で可決した。地元住民団体が提出した反対請願を6月議会で採択したことに続き、議員提出の反対決議が可決されたことは重く、柳井市議会として「リスクを受け入れることは到底容認できない」という姿勢を明確に示した。上関町に隣接する周辺1市3町(柳井市、田布施町、平生町、周防大島町)では、田布施町が昨年3月に反対決議を可決しており、柳井市は2例目。既存の組織や団体の枠をこえた新しい住民運動によって選挙で議会の勢力図を変え、圧倒的な市民世論を代弁する決議を実現させてきたこのとりくみは、周辺市町や上関町内の住民にとっても励みや共感を呼んでおり、「山口県に核のゴミはいらない!」の訴えをいっそう押し広げるものとなっている。
未来を生きる子どもたちへの影響見据え
今回提出された中間貯蔵施設建設反対の議員提出議案の提出者は中川隆志市議で、賛成者は三島好雄、長友光子、斉郷孝、中本英宏、ジョンソン彩奈、坂ノ井徳、平岡実千男、山本澪馬の8市議となっている。8月20日に山本達也議長宛に提出された。決議文の内容は以下の通り。
「上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画に反対する決議」
本市に隣接する上関町において、中国電力株式会社が計画している使用済み核燃料中間貯蔵施設建設については、地域住民の安心・安全、地域の環境や将来への不安等々、多岐にわたる懸念が存在している。
2026年3月議会に上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会から「上関の使用済み核燃料中間貯蔵施設計画への反対決議を求める請願書」が提出された。それを受けて柳井市議会は慎重に審査し、6月議会において市民の不安と反対の意志を真摯に受け止めるべきであると判断し賛成多数で採択した。
中間貯蔵施設は、放射性物質を含む使用済み核燃料を長期間にわたり保管する施設であり、未来を生きる子どもたちへの影響をも見据えた判断をするのが柳井市議会の使命である。
請願の審査の結果や将来世代への影響を考えるなら、使用済み核燃料の中間貯蔵施設から発生するリスクを受け入れることは到底容認できない。
よって柳井市議会は、次の通り決議する。
上関町の使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設計画に反対する。
2026年9月3日
柳井市議会
住民と未来の子どものため 中川議員の提案理由

決議案の提案理由をのべる中川市議(3日、柳井市議会)
同議案は、委員会負託を省略するとともに18日の最終本会議を待たずに3日の本会議で討論、採決がおこなわれた。傍聴席には柳井市民だけでなく平生町や田布施町など他市町からも多くの住民が駆けつけ、立ち見も出るなど注目の高さをあらわしていた。
初めに、議会事務局が上記の決議案を読み上げた後、提出者である中川議員が提案理由を要旨以下のようにのべた。
本年2月18日、上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会から、上関の中間貯蔵施設建設計画への反対決議を求める請願書が議会に提出された。柳井市議会は3月議会から6月議会にかけて慎重に審査をおこない、市民の不安の声や請願に添付された約4000筆の署名、さらにアンケート調査で7割以上が建設に反対しているという結果を重く受け止め、6月議会において同請願を賛成多数で採択した。
上関町で計画されている使用済み核燃料の中間貯蔵施設は、放射性物質を含む核燃料を長期間保管する施設であり、万が一の事故が発生した場合には地域住民の生活や環境に甚大な影響を及ぼす可能性がある。また、建設にともなう自然破壊への負荷、過疎地域に対して補助金を背景に危険性の高い施設を押しつける構造など、地域の尊厳や将来の世代への負担という観点からも看過できない問題を含んでいる。
未来を生きる子どもたちの安全と柳井市の持続可能な発展を守ることは、私たち市議会に課された重要な責務だ。請願審査の結果、市民の意志、そして将来世代への影響を総合的に考えるならば、使用済み核燃料中間貯蔵の建設によって生じるリスクを受け入れることは到底容認できないとの判断に至った。
ここで、本計画に対して「請願の署名は圧倒的多数ではない」「国策である以上、国や事業者の説明を聞いてから判断しても遅くはない」という意見が一部にあるのでその点について申し上げる。
まず、署名の数についてだが、確かに請願に添付された署名は柳井市の全人口から見れば多数派とはいえない。だが、署名の大小だけで住民の不安の正当性を判断することはできない。原子力関連施設の立地は住民の生命、健康、生活環境に長期的な影響を及ぼす重大な問題であり、一人でも不安を抱える住民がいるならその声を軽視してはならないというのが地方自治の基本だ。
また、署名はみずから姓名を明らかにして強い反対の意志を表した人の数であり、沈黙しているなかに不安を抱えている人がいないとは誰にもいえない。そういう点も重要だ。署名数は住民の不安の存在を示す証拠であって、不安の正当性を否定する材料ではない。また、自治会アンケート調査やシール調査では、70%をこえる人が計画に反対の意を表明している。
次に、「国策だから国や事業者の説明を聞いてから判断すべきだ」という意見について申し上げる。エネルギー政策が国策であることは事実だ。しかし、だからといって地方自治体が国の方針に従属し、判断を国や事業者の説明に委ねるべきということにはならない。地方自治法は、住民の福祉の増進をはかることを自治体の基本的使命としており、国策であっても住民の安全や生活に重大な影響が及ぶ場合には、自治体は独自に判断し、必要な意志表示をおこなう責務がある。
さらに、国や事業者の説明はこれまでの経緯を見ても、情報が限定的で、双方向の質疑が十分に保証されていない、事故時等の避難計画が具体化されていないなど、住民が主体的に判断するための条件が整っているとはいえない。説明を聞いてから判断するという姿勢は一見慎重に見えるが、実際には説明を受けたという事実が計画推進の既成事実として扱われる危険性がある。これは、原子力施設立地の歴史のなかでくり返し指摘されてきた問題であり、柳井市として看過できない。
あえて申し上げるが、中間貯蔵施設建設推進の国や事業者の説明を求めるのであれば、当然反対の立場にある有識者の説明も求めるべきであり、そのことこそが公正な判断に繋がるのではないか。
国策であっても、住民の安全と地域の将来を守るために、自治体が自主的に意見を示すことは、決して早すぎる判断ではなく、むしろ当然の責務だ。柳井市議会は使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設によって生じるリスクを受け入れることは容認できない。署名の大小にかかわらず、住民の不安は重く受け止めるべきであり、国策であっても自治体は主体的に判断すべきであるとの立場から、本決議案を提出した。
以上の理由から、本決議案は上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画に反対することを明確にし、柳井市議会としての意志を示すものだ。
反論にならぬ反対討議 勉強不足にじむ
続いて、中間貯蔵施設建設反対決議に対する反対・賛成討論がおこなわれ、4議員が反対討論、3議員が賛成討論をおこなった。
反対討論の主な主張は「国や事業者の説明を聞いてから判断すべき」という内容だった。
その他にも、
「議案における文言があいまい。議案の文言は誰もが正しく受けとることができるものでなければならない。本議案では“上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画に反対”とされている。これではあたかも上関町という地方公共団体が策定した公式な計画がすでに存在し、その計画に反対しているかのように受けとられかねない」(平井議員)
「市民に反対する方々のチラシが全戸配布された。(中間貯蔵施設建設に)反対した方々には名前の下にきれいな○、反対に賛成しなかった方々には黒い○もしくは以前は×印だった。きれいな○は善人で、×印は悪人だという印象を与えてしまう。小学校1年生の私のひ孫から“名前の下の黒い○は何なの”と聞かれ“欠席したから”と濁しておいたが、ひ孫と私の間に疑心暗鬼が生まれている」(田中議員)
「上関町では、本年10月に中間貯蔵施設建設計画の是非を大きな争点の一つとする町長選挙が予定されている。このように計画をめぐる状況がいまだ流動的であり、今後事業者や国からの説明、上関町における議論、さらには町民の意志を示す機会も予定されているなかで、現段階で柳井市議会が反対決議をおこなうことについては時期尚早だ」(友座議員)
などの意見があった。
一方、賛成討論では、「核施設の事故の恐ろしさは、福島第一原発を見ればわかる。生活も生業もふるさとごと奪われる異次元のものだ。上関に中間貯蔵施設が建設されれば、柳井市でもいつも心の隅に事故が起きたらどうしようという不安を抱えながら暮らさなければならない地域になってしまう。中間貯蔵施設は国の原発推進政策の一環だ。国が地域住民の安心安全を脅かす政策を押しつけてくるならば、私たち議員はその防波堤となって市民を守らなければならない」(長友議員)
「百歩譲ってプルサーマルが動いているならまだしも、何も処理の仕方がわかっていないなかで進めていくことこそ愚行だ」(坂ノ井議員)
「“何もわからないうちに”という言葉が飛び交うが、何もわからないから皆が不安になっている。キャスクの寿命は短くて50年、長くても80年。使用済み核燃料が元に戻るのは10万年もかかる。これが1回ではなくどんどんこれからやってくる」(三島議員)
などの意見があった。
討論後の採決では、議案の提出者および賛同者の計9議員全員が賛成し、議長を除く9対6の賛成多数で「上関町の使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画に反対する決議」を可決した。
閉会後、満員の傍聴席からは拍手がわき起こる一幕もあった。議場を後にする傍聴者たちは、「祝勝会をしないと」「今日は10杯は飲まないと」など喜びの声をあげ、各市町で中間貯蔵施設建設反対を訴え行動してきた住民たちの間には勝利感が満ちていた。

決議可決に沸く傍聴席 市民の力が議会動かす
反対決議を提出した中川議員は、反対決議可決を受け「住民の不安に寄り添う結果が出て非常に嬉しく思う。市長にも議会としての決定を重く受け止めてもらい、市民に寄り添った結果をお願いしていきたい」と語った。また、田布施町に続き周辺市町では2例目の反対決議可決となったことについては、「田布施町議会で議員提出議案が採択されたことがわれわれの重要な後押しになった。柳井市の場合、田布施町よりも多くの議員の賛成で採択できたことについても嬉しく思う」と語った。
6月議会で採択された反対請願を提出した「上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会」の井上重久代表は、このたび反対決議が可決されたことについて「(署名やアンケートで)柳井市民の声が目に見える形であらわれた。市民が手をあげ署名を書いてくれたことが説得力を持ち、市民が反対だということが伝わったと思うので、署名とアンケートを書いてくれた方々のおかげだ」と語った。
議会の決定を受け、柳井市に求める対応については「井原市長は結局、“事業計画が出ないと熟議ができない”ということだったので、埒(らち)があかないと思う。だが、“熟議”ということでいえば、①関西からのリスクを押しつけられることが嫌だということ、②福島のような事故が起こり得るということを見てしまった以上、100%の安全は保証されないということ、③そのような事故がおきた場合、家を出て行かなければならないということ、この3つの事実がある以上、市民は署名やアンケートでは事業計画が出る出ないに関係なく、怖いから嫌だという理由で答えているはずだ。事業計画がなくてもこの3つの事実だけで熟議は可能だし、判断できるといいたい」とのべた。
そして今後に期待する動きとして「県知事が“周辺が揃って反対なら建てるべきではない”と踏み込んだ発言をしている。結局、周辺地域は巻き添えを食らうだけだ。(田布施、柳井に続き)平生や大島でも似たような動きがあると、周辺が嫌がっているということはよりはっきりすると思う」と語った。
柳井市で議会への請願提出などに関わってきた女性は、「田布施町の町議選で中間貯蔵施設反対派の候補を多数当選させて反対決議を可決させたことで“あの封建的な田布施で反対決議を実現できたのなら私たちにもできるはずだ”と思わせてくれた。そこから柳井でも反対派の議員を多数議会に送り込み、一度は継続審査にもなりながら請願を採択させ、今回は9人の議員の連名で議案を提出して可決することができた。最初に出した請願は廃案にされ、その後も時間はかかったがこうして議会を動かして市民の声を形にできたことは本当に嬉しい。今は毎回議会があるたびにワクワクしながら傍聴席に座っている」と喜びを語っていた。
一方で、「議会で議員の発言を聞いていると、“事業計画が出ないと何も判断できない”ということを言い訳にして中間貯蔵施設計画に消極的賛成の立場をとり、何も勉強していない人が多いことがよくわかる。市長も一般質問では“事業計画が出てから…”と逃げの答弁ばかりだったが、逆にいえばそこしか逃げ場がないのだろうと思う。私たちにとって中間貯蔵施設に核ゴミが持ち込まれることは、常に不安を感じ続けなければならず、幸せな暮らしを奪われるということだ。平生町や周防大島町でも運動が広がってほしい」と話していた。
平生町から傍聴に来ていた女性は「同じ周辺市町の住民として、柳井市で中間貯蔵施設反対の請願や議案が次々に可決するのはすごいことだと思うし、賛成・反対討論で活発に議論がおこなわれている。平生町では六月議会で町議一人が反対決議を提出したが委員会で全会一致で否決された。私も他の議員全員に協力を要請して回ったが、“よく分からないから…”と濁したり立場をはっきりさせない議員もいた。自分で少しでも勉強すれば判断できるはずだが、それをしないで住民の代表として議会に居続けられると思っているところが情けない。4月の町議選で少しでも変えたい」と意気込みを語っていた。
「嫌なものは嫌」が圧倒 説明なくても議論可能

答弁する柳井市の井原市長(3日、柳井市議会)
反対決議が可決したことについて記者から問われた井原市長は「重く受け止めている」としつつも、決議を受けて市長として何か対応していくことはなく、具体的な事業計画が出てから「議論がつくされるような場を作っていくというところが責任である」とのべるにとどめた。
さらにこの決議は「議会という機関における議会単体としての意志」であり、「柳井市という地方公共団体全体としての意志は最終的には私自身、民主的なプロセスを経たうえで示すべきものだ」と語り、意味合いが違うことを強調していた。現段階で住民投票の実施についての考えはないという。
反対決議の採決と同日には一般質問もおこなわれ、中川議員から柳井市としての意志をどのようなタイミングで示すのか問われた井原市長は「具体的な事業計画が示され、説明を受けるだけでなく質疑が尽くされる必要がある」「質疑が尽くされたといえる状況がどのような状況になるかはこの場では明確に答えられない」と回答。また、事業計画を出してくれと事業者に要請する考えはないのかとの問いに対しては「事業計画を早く出してくれとわれわれが民間事業者の活動に対して要望していくことには違和感がある」と答えた。
上関の中間貯蔵施設建設計画自体、周辺市町には事前に何の説明もなく突如として発表されたもので、周辺市町の首長たちにとっても「寝耳に水」であったことから、対応に苦慮していた面もある。
だが、計画発表からすでに丸3年が経過しているにもかかわらず、いまだに市長自身が「事業計画が提出されない限り議論できない。自治体の首長としての判断もできない。事業計画を求めることもしない」という消極的な立ち居振る舞いを続けるのならば、この間議会を動かすほど拡大してきた住民の反対世論と運動を軽視していると捉えられてもおかしくない。
周辺市町の1市3町でつくる首長会議でも、「事業計画が出てから」という立場で4人の首長が足並みを揃えており、それ以上議論が進まない状況が続いている。態度をうやむやにしたまま結論を先延ばしにし続ける対応については、周辺市町全体で住民の不信感が増している。
住民運動で突き動かす 田布施に続き柳井で

上関町の中間貯蔵施設建設計画は、2023年8月2日に中国電力が上関町に対して計画を申し入れたことで明らかになった。関西電力との共同事業として、関電が運営する福井県内の原発に溜まり続けている使用済み核燃料の貯蔵を想定した内容と見られている。昨年8月には、中電が立地可能性調査の結果を公表し、上関町が中間貯蔵施設建設の「適地」であるとしている。
この計画をめぐっては、当初から上関町内外で反対世論が圧倒していた。そうしたなか、議会の動きとしては田布施町議会が昨年3月、中間貯蔵施設建設に反対する議員らが提出した反対決議案を賛成多数(賛成6、反対5)で可決した。
田布施町では一昨年12月に、同町二つの住民団体が計3370に筆の署名とともに中間貯蔵施設建設への反対を求める陳情を町議会に提出。しかし議会はこの陳情を「継続審査」とし、その後、議員の任期満了にともない審査未了廃案としていた。まともに審議しない議会に対し、田布施町民の間では「反対派の議員を選挙で多数当選させ、過半数にして反対決議を可決させよう」との声が拡大。実際に昨年2月におこなわれた町議選で反対派の議席を増やし、直後の3月議会で反対決議が可決された。
柳井市でも、昨年8月に周防住民の会が反対請願を提出したが、議会がまともに取り扱わず「審議未了廃案」とし、その後昨年12月に市議選を迎えた。市民の間では「柳井でも“田布施方式”で中間貯蔵施設問題を争点にして、反対派議員を多数議会に送り込もう」との意気込みが高まり、選挙前に全候補者に公開質問状を送って中間貯蔵施設に対する立場を問うたり、中間貯蔵施設の問題点や反対請願に対する全議員の態度、候補者の質問状への回答内容などを細かくまとめて掲載したチラシを作成して、郵便局の「タウンプラス」を使って複数回にわたって市内に全戸配布した。その数は商店や企業なども含め1万5500軒分だという。
そうした住民主体の運動に押し上げられる形で市議選には定数16に対して24人が立候補。結果的に新人7人が当選し、10人の反対派を議会に送り込んだ。だが、今年2月に改めて提出した反対請願に対して、3月議会で「反対派」と目された議員の寝返りもあり、継続審査となって結論は先延ばしになった。しかしその後は彼らに対する有権者たちの厳しい声もあり、該当議員たちも態度を改め、6月議会では9対6の賛成多数で「反対決議を求める請願」の採択を実現させた。
今回の9月議会で採択された反対決議は、この請願の内容を受けたもので、前回請願採択に賛成した議員全員が署名している。
住民が主体となって地域住民のなかへ世論を広げていく粘り強いとりくみは、上関町内や他の周辺市町で中間貯蔵施設建設反対の思いを持って活動してきた住民たちにとっても大きな励みとなっている。
中国電力が2023年八月に上関町への中間貯蔵施設建設計画を発表してから、すでに3年が経過している。計画を発表したのは中電だが、原発から出る核燃料廃棄物の中間貯蔵施設をいち早く確保したいのは、共同事業者である関電の方だ。現在の状況が続けば、福井県に立地する関電管内の高浜、美浜、大飯の3原発の燃料プールは2028年から2030年度ごろに順次満杯になり、運転できなくなるといわれている。
これまで関電は、上関町や周辺市町に対して、公式な面会や説明を計画するなどの動きをいっさい見せていない。だが使用済み核燃料の搬出に向けた動きは進めており、端々に焦りも滲む。8月31日には、美浜原発と高浜原発で計画する使用済み核燃料の乾式貯蔵施設について、原子力規制委員会に設計・工事計画の認可を申請したと発表。完成時期も見直し、美浜原発については30年ごろの予定から29年へと早めている。
乾式貯蔵施設とは、使用済み核燃料を一時保管しつつ、中間貯蔵施設への円滑な搬出に備えるもの。プールで冷却した使用済み燃料を輸送・貯蔵機能を持ち合わせる金属製の「キャスク」に密封し、空気の力で冷却する。このキャスクを、いまだ最終処分場の建設も決まらず、核燃料サイクルの破綻は明らかであるにもかかわらず、上関町へと持ち込もうとしていることになる。中間貯蔵といいながらその先が見通せないため、多くの県民が「実質の最終処分場ではないか」との危惧を抱いている。
関西の電力供給のためにこれまで原発内に溜め込まれ続けてきた核のゴミを「なぜ山口県が受け入れないといけないのか?」という声が、上関町内だけではなく、周辺市町住民の共通した世論となっている。事業計画など詳細な中身を見なくても「嫌なものは嫌」という人が大半である。そうした住民の声を可視化し、みんなの思いを横に繋ぎ、選挙の争点にして議会の勢力をひっくり返してきたのが田布施町や柳井市の住民運動だ。2市町の議会で反対決議を可決したことは周辺市町の住民たちのなかでも強い確信となっている。
今年秋には上関町長選、平生町長選、田布施町長選が予定されており、来年4月には平生町議選もおこなわれる。中間貯蔵施設問題を、上関町だけの問題ではなく周辺地域全体の問題として争点化するため、地域や組織の垣根を越えた協力・連携体制も強まっており、住民主体の運動を広げていく機運が高まっている。

決議の採択には多くの市民が詰めかけて傍聴席を埋めた(3日、柳井市議会)





















