(2026年6月1日付掲載)

街頭「原爆と戦争展」には多くの人々が足を止めて見入った(5月24日、広島平和公園)
原爆展全国キャラバン隊は5月23日と24日、広島市の平和公園内で街頭「原爆と戦争展」をおこない、2日間で世界各国、日本全国から多くの人々が参観した。イスラエルとアメリカによるイランへの攻撃から3カ月が経過するなか、ホルムズ海峡封鎖などによる影響は世界中に及んでいる。トランプ米大統領が核兵器の使用をほのめかすような発言をくり返すなど軍事的緊張が高まるなか、世界各国から広島を訪れた人々は世界で唯一原爆を投げつけられた広島・長崎の経験を直視し、真実を知るために真剣に学ぶ姿が目立っている。長時間かけて英訳を読み込む外国人参観者も多く、アンケートには展示への感想と合わせて現在の世界的な戦争情勢への鋭い問題意識を記している。
参観した外国人参観者は、第二次世界大戦を経験した日本人の視点から描かれた展示内容に衝撃を受けている。アメリカやヨーロッパなどの多くの国々では、戦勝国側の歴史教育のもとで原爆の具体的な被害について語られることがないなかで、被害の実相を伝える生々しい写真や資料、被爆した子どもたちの詩などを目にして心を動かされ、涙を流しながら参観する姿もある。
また、展示では原爆に関する部分だけではなく、戦前から戦後にかけての歴史を資料や人々の証言をもとに描いている。昭和恐慌でみんなが貧乏になり、日本の軍国主義が加速するなかで「満州」を略奪し、言論統制を強めて天皇制批判を弾圧し、徴兵して戦争へと突き進んでいった流れから、武器もなく戦地へ送られて戦闘どころではなく餓死や病死ばかりだった兵士たちの証言、沖縄戦、あまり語られることのない全国空襲の実態についても詳しく伝えている。また、日本を単独占領したアメリカが、真珠湾攻撃前から日本の先制攻撃を待ち構え、その「報復」としての民族虐殺を周到に準備していたことや、戦後の占領政策などについても詳しく資料を展示している。
こうした内容を目にした多くの参観者は、現在アメリカが中東や中南米でおこなっている軍事侵攻、政権転覆の動きを重ねて捉え、過去の戦争を現在の問題として受け止めるとともに、深く考えてアンケートに意見を記している。
スタッフに話しかけてきた60代のアメリカ人男性は「とてもいい視点で作られた展示だ。この展示にあるように、日本との終戦後もアメリカの戦争は今も続いており、現在はイランとの戦争を仕掛けている。私自身、アメリカが日本を支配するために戦争を始めたとは知らなかった。そして現在も、アメリカが中国から本土を防衛するために日本に武器を提供していたことは知らなかった。本当のところ、戦争を起こすのはエゴの強いごく少数の者たちだ」と話した。その後アンケートに「かの戦争には別の側面があることは分かっていたし、おそらく表には語られない部分にこそ真実があるのだろう。自己中心的な老人が戦争を始め、一般市民が苦しむ」と書いていた。
30代のアメリカ人女性は、長時間かけて参観した後、涙ながらにアンケートに感想を記した。女性は「とても素晴らしい。第一次世界大戦のドイツやドイツ人についての資料は読んだことがあったが、第二次世界大戦における日本の状況について読んだのは初めてだった。今世界で起きていることと、かつての戦争で日本人が経験したことの間には多くの類似点がある。だからこそ他国から学ぶことは重要だが、米国の教育制度では、こうした点がかなり軽視されていると感じる」と語った。
また、現在中東や南米で米国が戦争や紛争に関与していることや、それに対する米国内での世論と戦時中の日本についての展示内容を重ねて以下のように記した。
――私の国(アメリカ)については多くの意見がある。私の出身地はアメリカでも非常に保守的な地域であり、ガザの問題についても多くの人がイスラエルを正当化すると同時に、パレスチナを支持することはハマスを支持することだと考えているようだ。しかし、この展示にある第二次世界大戦当時の日本政府についての記事や、帝国主義の下で沈黙させられていた人々を見ると、今のアメリカも同じような状況だと感じる。また、展示のなかで米軍の将軍が日本の民間人の殺害を正当化する場面を見て、パレスチナ人のことを思い出した。第二次世界大戦当時、日系アメリカ人は強制収容所に収容されるなどして米国内でひどい差別を受けた。そして現在もアメリカ国内では、ICEなどの捜査を通じてガザ難民に対して同様のことが起きている。それでもなお戦争で人々を傷つけることを正当化し、容認する人々もいる。イラン戦争については、“経済の悪化=戦争の開始”ということがいえると思う。私自身、なぜそうなっているのかは分からないが、戦争が経済立て直しの正しい方法ではないことは分かる。展示の冒頭で、戦争が始まる前に当時の日本ではひどい貧困のために家族が子どもを売らざるを得なかったという記述を見たが、今後私たちがその方向へ向かうのではないかと不安になる。――
戦争仕掛け日本を支配 今と変わらぬ手口

食い入るように英訳を読み込む外国人参観者(5月24日、広島)
展示のなかでは、米軍第21爆撃兵団司令官として、日本全土への焼夷弾による無差別空襲を指揮したカーチス・ルメイ少将による報告の内容を掲載している。
ルメイ少将は「われわれの攻撃目標が、一般市民への無差別爆撃ではなかったことは、注目されなければならない。それは日本の中心部に集中している工業的および戦略的な目標を破壊することであった」「私は日本の民間人を殺したのではない。日本の軍需工場を破壊していたのだ。日本の都市の民家はすべて軍需工場だった。ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。木と紙でできた民家の一軒一軒がすべてわれわれを攻撃する武器の工場になっていたのだ。これをやっつけて何が悪いのか」「核兵器を使って人々を殺傷することは、岩で頭を割ることより“邪悪”だというわけではない」などとのべている。戦後、ルメイは昭和天皇より勲一等旭日章を受賞している。こうした内容を目にする参観者も多く、アメリカ軍による残虐な市民虐殺と侵略の歴史を、現在のガザの虐殺と重ねる人は多い。
30代のアメリカ人男性は「とても勉強になった。原爆の被害について、アメリカでは学校でその影響がどれほど酷かったかということは詳しく教えられない。亡くなった子どもたちの写真を見るのはとても辛かったが、目をそらしてはならないと思う。私たち(アメリカ)が使った冷酷な戦術を目の当たりにして恐ろしくなった。とくに、日本がパールハーバーを攻撃すると予想していながら、政治家や将軍たちは最終的にそのことを口実にして原爆を使用したということを知り、衝撃だった。アメリカが病院や学校を爆撃(中国戦線で野戦病院や国際法上攻撃が禁止されている赤十字病院を爆撃)したさいに“事故だった”という言い訳を使ったのを見て、真っ先にイランのことが頭に浮かんだ。なぜこのようなことが許されるのだろうか。当時と今は何も変わっていない。中国に送られて死ぬ日本人兵士についての展示内容を見たときも、ロシア・ウクライナ戦争のことが頭に浮かんだ。なぜ政治家は戦争を止めようとしないのか」とアンケートに記した。
日本で働く20代のベルギー人男性は「歴史と地政学的な問題に強い関心がある。ベルギーで学んだなかには、第二次世界大戦時にアメリカと日本の間で何が起こったのか、とくに原爆や空襲については詳しく触れられてこなかった。その点この展示では、冒頭日本がなぜ戦争に踏み切ったのかという理由に焦点を当てており、日本の政治における帝国主義的な傾向などをはじめ当時の状況についてより深く理解することができた。非常に興味深い内容が多く、海外と日本国内の両方について詳しく資料を提示してあったのでとても勉強になった」と話した。
他人事でない中東戦争 日本全国からも参観者
日本全国からも幅広い世代の参観者が多数訪れた。修学旅行で広島を訪れた小学生たちや、親子連れ、大学生など若い世代が真剣に参観する姿が目立った。
東京から来た20代の女性は「私の曾祖父も戦争に出兵した経験があり、子どもの頃から幾度となくそのときの体験を聞かされてきた。今回初めて実際の原子爆弾の断面図を見て、こんなもの一つで中規模都市一つ分が吹き飛ぶんだとリアルに理解した。ざっくりとした知識だけでなく、こうした細分化された情報によって、人々の理解がより深まっていくのだと思う。普段は感じないが、こういう展示を見ると戦争からの後遺症のようなものが今の日本にも残っているように感じた。今、中東での紛争などの影響で自分が関わっている仕事でも輸入品が入ってこなかったりと影響が出ている。中東問題は、イスラエルとパレスチナがお互いの正義を持っているため平和的解決の道は厳しいのだと思うが、日本にとっても他人事ではないと思う」と語った。
現在アメリカの大学に通っているという東京都出身の女子大学生は、アンケートに「2026年、戦後80年以上が経った今、当時を知る者は減り、“戦争”がないがしろになっている。残酷さや恐ろしさが日本国民(若い世代)に平等に伝わらず、軽視しているような意見も一部ある。100年以内に起きた史上最大の悲劇、日本が現在世界の一員としてどの国の傘下に置かれているのか、先人の思いを敬えているのかということを私たちは知る義務がある。そして、戦争を知っていなくとも来世に伝えていく必要があると感じる。これは義務教育中に全国的に義務として学ぶべきことだ」と記した。
平和公園や資料館でボランティアガイドを務めている広島市民も複数訪れた。ある男性スタッフは「以前からこの場所で展示をしているのを見て気になっていた。今はたくさんの外国人観光客が広島を訪れて原爆や平和について真剣に考え、知ろうとしてくれている。こうして英訳も添付して誰でも見られる展示を続けてくれるのはありがたい。私もこの展示を見て勉強することがたくさんあった。これからも広島のことを伝える活動を一緒に頑張ろう」と語った。
街頭「原爆と戦争展」は今後も継続して実施する予定。6月は、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)の開催を予定している。時間は午前10時から午後4時まで。場所は広島市平和記念公園・原爆の子の像横。雨天中止。
■外国人のアンケートより

びっしりと意見や感想が記された「原爆と戦争展」の外国人アンケート用紙
▼戦争の詳細な事実の多くを無料で提供してくれる展示に感謝する。文章、体験者の証言、写真を組み合わせて生々しい歴史を伝えてくれた。かつての戦争における日本、アメリカ、中国など様々な側の行動が盛り込まれており、バランスのとれた内容だった。とくに子どもたちの詩に感動した。米国は、市民を犠牲にして自国の利益を促進するために、協力的な指導者を「民主主義」に置き換えて政権を樹立するという点において、中東やラテンアメリカにおこなっていることと同様に、ここ日本でも同じ手法を用いていたということがわかった。数年後にはこの展示のようにガザの惨状を明らかにしなければならない。ガザの子どもたちの声がこのように保存されることを望むとともに、近い将来、虐殺が終結することを願っている。(イギリス、32歳女性、大学職員)
▼これは日本だけでなく、世界中で広く知られるべきだし、学校教育でも教えるべきだ。例えばカナダでは、欧米の視点から学ぶことが多く、他の国の事情について詳しく学ぶことはほとんどない。もちろん、日本での原爆の悲惨な使用については学ぶ。しかし、こうした展示はそれ以上に多くのことを説明し、アメリカ側の現実も映し出しており、重要な歴史教育の一環だと感じた。現在の世界情勢も結局は権力、資源、資金、そして宗教がより大きな帝国を築き上げるという悪循環だ。実に馬鹿げている。なぜ民間人を傷つけてはいけないという単純なことを彼らは学ばないのか。彼らは良い人間であることよりもお金や領土、資源を欲しがる。因果応報が彼らに教訓を与えるだろうが、残念ながらそれにはあまりに時間がかかりすぎる。(カナダ、20歳女性)
▼この展示はとても興味深い。遊就館(靖国神社内にある、戦没者や軍事関係の資料を収蔵・展示する施設)など日本国内の他の公式博物館よりもバランスがとれていると思う。とくに満州と南京での日本軍の戦争犯罪についても明確に言及しているのは良かったと思う。とはいえまだ限定的だが。また、私は社会主義者だが、戦後日本の共産党が占領軍を歓迎したことを批判した展示には共感する。現在世界における反戦運動というテーマにおいて、アメリカ帝国主義を認識することは非常に重要である。また、日本にとって同様に重要な問題は、自国の帝国主義と植民地主義の歴史を認めること、そして現在の植民地主義において、みずからの最終的な役割を認識することだと私は考えている。(オーストラリア、30歳女性、公務員)
▼本当に衝撃的で、心が張り裂けそうだ。ほんの一瞬で何万人もの家族を何の同情心もなく消し去った彼らのやり方は本当に恐ろしい。人間の悪意がどれほどまでに及ぶのか、そして、よく考えてみればとるに足らないようなことで何百万人もの人々を傷つけることができるというのは、本当に恐ろしいことだ。政治的な問題のために、何の罪も責任もない家族が被害を受けるのは許せない。一般の人々がこうした決定に関与したり、意見をのべることができず、すべてが一部の共感力のない権力者に委ねられていることを考えると、非常に腹立たしい気持ちになる。紛争や戦争、そして何百万人もの人々を苦しめることは、いかなる場合も正当化されるものではなく、解決策にもなり得ないと私は信じている。(メキシコ、16歳女性、学生)
▼とても感動的で心を揺さぶられた。戦地の最前線にいた人々の証言は、堪え忍んだ苦難の生々しい側面を伝えていた。オーストラリアの学校ではこのようなことはほとんど教わらない。私自身も広島に来る前に少し調べたりもしたが、「原爆投下は、戦争が日本本土に及んだ場合よりも多くの人々の命を救った」というまるでポスターに書かれているかのような答えばかりだった。だが現実は恐ろしく非人道的な行為に他ならない。何度でもいいたいことは、メディアが伝えたいことではなく、実際に何が起きているのかを学ばなければならないということだ。とても難しいことだが、大切なことだ。現在、世界には人類のことよりもその他の重要ではない問題に焦点を当てている貪欲な人々がおり、彼らによってすべての人類にとってより平和で安全な空間が妨げられている。(オーストラリア、23歳女性、看護師)
▼とても悲しい。見ていて本当に苦しくなった。子どもたち、母親、父親、家族の皆が権力の誇示のために殺された。また、原爆は爆撃時だけでなく、爆撃後も大きな苦しみを産む。人々は本当に危険な目にさらされ、食べ物も薬もなかった。誰も来なかった。このような日本人のことを私は愛している。そしてアメリカは今も各地で戦争を続け、残酷なやり方で市民に犠牲を強いている。そしてトランプは、残念ながらその責任を負っていない。私は戦争、そして西側資本主義、イスラエルの政治に反対している。(トルコ、55歳男性、機械技師)
▼この展示は非常に包括的な内容を提示している。また、1945年の原爆投下前後の期間における情勢について、偏りのない説得力ある説明を提供している。アメリカによる原爆投下は、日本の市民に壊滅的な影響を与えた。
そして日本の人々は、世界平和を探求する他の国の人々にとっての模範となっている。だが一方で、現在の戦争に対しては、他の国々からの仲介による非戦争的な妥協点を見いだすための十分な努力がなされていないと感じる。戦争への急ぎ足は憂慮すべきことであり、世界秩序を揺るがしかねない重要な問題だ。(カナダ、55歳男性、弁護士)
▼「厳粛」という言葉が、今の私の気持ちをもっとも表している。私は子どもの頃に学校で戦争について学んだことはあるが、今になって改めて生き残った人々や被災した人々の証言を目の当たりにすると、本当に心に深く刻まれる。このような悲劇が二度と私たちの人生で起こらないことを願う。
罪のない人々の命は、常に政治家の貪欲さと権力欲の渦に巻き込まれている。戦争は決して解決策になり得ない。私たちは、世界中の平和のために努力しなければならない。そのためには愛を広め、すべての人に敬意と尊厳をもって接する必要がある。私たちは一度きりの人生を可能な限り最善の方法で生きなければならない。自分自身のためではなく、未来の世代のために。(カナダ、35歳男性、ソフトウェア開発)
▼この展示はとても感動的であると同時に悲しくなる。そしてたくさんのことを私に教えてくれた。戦争の恐ろしさ、とくに原子爆弾の恐ろしさは、人類が経験すべきものではない。戦争中および戦後のアメリカの日本への関与は非常に邪悪なものであると感じたと同時に、私から見て彼らは市民の命をまったく尊重していなかったと思う。そして現代も戦争が世界でくり広げられているが、それらもまた権力、金、土地をめぐるものであり、ばかげていると思う。一般市民にとってマイナス面しかなく、世界平和を大きく損なうものであると同時に、膨大な税金を浪費することとなる。世界は今、困難な状況にあるが、私たちは毎日笑顔で過ごし、皆団結しなければならない。(オーストラリア、23歳男性、救急救命士)
▼この展示は、民間人の犠牲はあらゆる戦争において不必要であるということをよく表している。侵略による犠牲者は、たとえ一人だけであったとしても多すぎる。特にそれが民間人であるならばなおさらだ。大量破壊兵器の使用は、いかなる紛争においても決して正当な手段とみなされるべきではない。また、民間人は常に標的となり利用されるだけでなく、あらゆる紛争において非自発的な参加者となるというのが戦争の悲しい現実である。他者を支配しようとする権力追求から解放され、彼らによる戦争を助長するような攻撃を止めない限り、私たちは権力者による悪しき侵略を根絶することはできないだろう。だからこそ私たちは、目の前で起きる現実に疑問を持ち、慎重に、注意深く批判する目を持ち続ける必要がある。(オーストリア、33歳男性、研究者)
▼原爆の惨禍と民間人への影響を詳細に描いた、この包括的で示唆に富んだ展示に大変感謝している。この展示は、すべての人に戦争に反対し、とくに将来の原爆使用を阻止するよう警告するものだ。地政学的緊張は世界中で高まっており、それぞれの戦争がさらなる戦争を正当化しているように見える。帝国主義的な独裁者は、緊張を利用して自国を軍事化し、近隣諸国やライバル国への攻撃を容認している。こうした状況を目にすると、誰もが第二次世界大戦の教訓を忘れてしまったのではないかと思わせる。(ドイツ、52歳男性、経営者)

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