(2026年4月6日付掲載)

広島市の平和公園で実施された「原爆と戦争展」を参観する人々(3月29日)
原爆展全国キャラバン隊は3月28、29日に、広島市の平和記念公園で街頭「原爆と戦争展」をおこなった。世界各国から広島を訪れる人は年々増え、現在の世界的な戦争情勢や軍事的緊張の高まりとも重ねて「核兵器を二度と使わせてはならない」という強い意志を持って広島の体験に真剣に学ぶ国内外の人々の姿が目立つ。街頭展示では、多くの参観者が長時間かけて参観した後、アンケートにびっしり感想や意見を記入し、その内容には、現在のイラン情勢をめぐる世界的な緊張激化や市民生活への影響、そして広島・長崎の経験を全人類の教訓として、新たな大戦を止めるための問題意識が色濃く反映している。
広島に来る外国人の生の声を聞く
2日間の街頭展示では、パネルに多くの人々が足を止め、展示のスタート地点には順番を待つ行列ができた。世界で唯一原子爆弾を投げつけられた広島、長崎市民の生々しい体験談や写真を通して、アメリカの戦争犯罪を真正面から訴える展示内容に、多くの外国人参観者は衝撃を受けるとともに強い共感を示した。
また、過去の経験を現在の戦争情勢と結びつけて深く考察する人も多く見られた。これまでおこなってきた街頭展示でも、参観者からは政治的、経済的利益のために戦争を引き起こそうとする一部の者たちへの怒りが語られてきた。今年に入ってからは、トランプ米政府によりベネズエラやイランなどで国際法を無視した軍事侵攻が強行され、参観者からは明確にアメリカの軍国主義を非難する意見がより目立っている。
また、そのような意見はとくにアメリカ人参観者に多く、過去から現在まで続く自国政府の侵略や戦争行為に対する怒りがこれまでになく語られた。アンケートにも、原爆投下をはじめとする過去・現在におけるアメリカの戦争、「利益」のために戦争を望む一部の者たちを明確に強い言葉で非難する内容が目立った。
アメリカから来た20代の心理学者の男性は、「一般的にかつてアメリカがおこなった悪いおこないはほとんど伝えられることはないが、この展示はとても明確にそのメッセージを伝えていた。この展示を見ることができてよかった」とアンケートに記した。その後、男性はスタッフに対して次のようにのべた。
「1941年に真珠湾攻撃がおこなわれた。アメリカではこの翌年から、『日本人は民族の敵だ』といって国をあげて大量の日系アメリカ人を強制収容した(約12万人が収容され、3万人以上が米陸軍に従事した)。米国民にとって真珠湾攻撃の恐怖はトラウマとなり、『自分たちの安全が脅かされるのではないか』という恐怖が煽られ、『日系人は悪人であり、恐ろしく残忍な存在である』と非合理的に現実を歪め、私たちは日本人をあまりにもひどく扱ってきた。そして『日本人は自分たちとは異なる種』であるかのように教え込まれ、そうした思い込みによって収容された日系人に多大な苦しみがもたらされた」。
「真珠湾攻撃や太平洋戦争における凄惨な暴力をトラウマ化することで、アメリカ人は現実を歪めて捉え『二度とあのような事態をくり返させてはならない』という国民的な世論が作られ、戦争が進むなかで最終的には広島や長崎の原爆投下という重大な過ちさえ正当化されてしまった。しかし、アイゼンハワー大統領でさえ『原爆投下など必要ない』と明言していたように、原爆投下が『やむを得ない必要悪だった』という説は、決して真実ではない」。
「第2次世界大戦に限らず、こうした国民のトラウマに根ざした戦争への道はすべて共通している。ホロコーストによってドイツがユダヤ人に多くの苦しみを与えた結果、それはユダヤ人にとってのトラウマとなり、それは今も彼らのなかに『反ユダヤ』への恐怖として生きている。そしてイスラエルはガザの人々を人間ではないものと見なし、彼らに苦しみを与え続け、その非合理性は絶えず受け継がれている」。
「また、この非合理性はイスラム世界の過激化を招く。こうしてトラウマの連鎖は続き、絶えず息を吹き返しながら広がり続けている。9・11から始まるテロによるトラウマが、イラク戦争を正当化させた。現在イランで起きていることも同じだ。中国についても事情は同じだ。中国にとって最大の屈辱は、かつて外国勢力によって国土を切り刻まれたことであり、そのトラウマが世界に対する極めて強い猜疑心となり、今や自国民さえも監視する監視国家が作り上げられた」。
「私たち市民は、外からやって来るトラウマに、内側から適切に対処する必要がある。アメリカ人として、私は自分の国が間違いや罪を犯す可能性があるという事実を受け入れる必要があるし、実際に私たちは世界で多くの悪いことをしてきた。煽られる恐怖で現実を歪めて物事の本質から目をそらすのではなく、現実を直視する必要がある。そうすれば原爆投下など必要なかったと理解することができるし、負の連鎖を断ち切ることができるはずだ。この地で起きた悲劇が二度とくり返されないよう、その一助になりたい」。
この男性は、戦争に関わる負の連鎖や、当時の米国民がどのような状態にあったのかについて研究しており、本を執筆しているという。そのなかで広島や長崎の事例をとりあげる予定で、そのために広島に学びに来たという。
「真実を知るため広島に来た」
オーストラリアから来た20代の男性とその母親は、2日間に分けてすべてのパネルを長時間掛けて読み込んだ。男性は「私が自国で学んできた第2次世界大戦の歴史や知識は、アメリカによるプロパガンダに基づくものだ。私たちはその教育による影響を大きく受けているという自覚はあったし、教えられてきたことが真実ではないということも理解していたつもりだった。だからこそ自分の目で見たいと思い、広島に来た。私が想像していた以上に日本の当時の状況は悲惨で、衝撃が大きかった。とくにこの展示では、被害を受けた一般市民の目線からその体験を伝える内容があり、とても具体的で心に迫るものがあった」と語った。
また、アンケートには「日米戦争と原爆投下による日本人の痛みや苦しみを理解することができた。戦争において、国家の指導者が国民を見捨て支援を放棄すること、そして正当化できるはずのない暴力を行使し、それを隠蔽し、プロパガンダで正当化していることが悲しく許せない」と記していた。
男性と一緒に参観した母親は、「真実を徹底的に明らかにした、他に類を見ない展示だ。2日間かけすべてのパネルを一言一句読んだが、非常に感動的で胸が張り裂けそうになり涙が出た。また同時に、恥と悲しみが押し寄せた。この展示で権力の追求とそれによってもたらされる破壊的な結果を目の当たりにして衝撃だった。私の世界観(認識)は永遠に変えられた。真実を学ぶためにこの地を訪れる人々のために、この展示は大きな役割を果たすだろう。アメリカは謝罪し、その犯罪に対して全責任を負う必要がある」とアンケートに記した。
【外国人のアンケートより】

長文の意見が目立つ外国人アンケート
▼資料館に行けない人のために、この展示は原爆投下前後の状況をより深く理解できるすばらしい内容だった。戦争の厳しい現実を人々に思い出させ、あらゆる国の人々が敬意を払うべきものだ。また、広島や長崎の人々へもたらされた虐殺とその後の永続的な影響についてはなおさらだ。この展示は、原爆はすべての生命の正義の名の下におこなわれたのか、それとも政治的に恵まれた一部の人々、つまりアメリカとその同盟国による自己中心的な利益のためだったのかという問いに正当かつ簡潔に答えている。
私は人類だけでなく、すべての生き物に対するこれらの犯罪行為に反対する。アメリカは、ネイティブアメリカンの虐殺から、世界のあらゆる緊張の場における戦争関与にいたるまで、人類への配慮をこれまで一切示してこなかった。「アメリカは偉大な国だ」と洗脳されてきた私たちだが、私は現在、そのような信念を持つこと自体を拒否し、自分自身の心を脱植民地化しようと努力している。アメリカにこのような大惨事の犠牲者を追悼し、生存者を称えるための専用の記念碑がないという事実は、少数の人間の自己保全こそがすべての生物よりも重要であるという私たちの国の立場を示している。原爆について、アインシュタインは「私たちの大きな過ち」であり、「人類は戦争をやめるときがきた」といったが、いまだに戦争は続いている。(アメリカ、33歳女性、起業家)
▼この展示はまず、戦争及びそれまでの過程における日本の行動の残虐性と人的犠牲に私の目を向けさせた。だが、それ以上に米国(私の母国)による日本に対する残虐性、破壊、そして想像を絶する破壊兵器を用いて容赦なく支配下に置いたこと、その占領政策に目を向けさせる内容だった。原爆の発明は、人類の自由意思を阻む暗黒の時代をもたらした。私たちアメリカ人は、米国がこれまで軍事紛争に関与していない期間が一度たりともなかったという事実を見過ごしてはならない。米国が差し向ける軍隊による直接的な介入、もしくは裏取引や隠された脅迫による間接的な介入に対し、「弱い国」はその支配に従うことでのみ「平和」を無理矢理保障されてきたのが現実だ。
イスラエルはジェノサイドを永続させており、米国もそれを容認するだけでなく助長している。戦争なんてクソくらえだ。私は自国の残虐行為に関わっていることを恥じている。(アメリカ、30代男性、ウェブデザイナー)
▼胸が張り裂けそうで、啓発的だった。戦争は恐ろしい。戦争の犠牲者は常に民間人だ。アメリカの学校でも戦争の恐ろしさについて教えられるが、この展示ほど残酷で赤裸々な内容に触れることはまずない。アメリカ人として、私は自国の現状を憎んでいる。人々に対する残酷な行為についてまったく気にもとめない指導者たちによって、私たちの国がこんなにも簡単に戦争に逆戻りしてしまうことが憎い。あのクソ野郎たち全員にこの展示を見せるべきだ。
私は7カ月前に英語を教えるために日本に来たが、それは祖国から逃れるためでもあった。これからは私なりにささやかな方法で小学生たちに戦争について教え、彼らのなかに平和を育むことができればと思っている。だが最近は、母国からの忌々しいニュース速報を何度も何度も目にしているので、生徒たちの前で笑顔を見せることさえ難しい日もある。(アメリカ、23歳女性、英語教師)
▼戦争における経済的・政治的な動機、さらに壊滅的な人的被害と苦しみを鮮烈に示した展示だった。犠牲者や生存者の物語と体験談を人々に伝えるにはとても効果的な方法だと思う。私はこの展示から多くのことを学んだし、この経験をこの先何度も思い出すことだろう。また、今この世界では恐ろしいことが起きている。この展示にあるような悲劇と現在起きていることには多くの類似点があり、それを目の当たりにすることは悲しく、恐ろしいことだ。
第2次世界大戦や広島への原爆投下のような出来事から人々が学び、団結することで二度と同じことがくり返されないよう望んでいる。私は、歴史的にも、今日においても、私の国がおこなったこと、おこなっていることを恥じている。(アメリカ、33歳女性、データマネジメント)
「イランを侵攻したわれわれの政府を憎む」

英訳のパネルを熱心に読む外国人(3月29日、広島市)
▼この展示はときに目を背けたくなる内容も多々あったが、原爆投下に至った背景や具体的な被害、影響について非常に詳細で啓発的な見解を示している。現在も世界で戦争が続いているが、これらは腐敗した世界秩序を保つためだけに利用された戦争であり、それはとても恐ろしいことだ。イラン戦争に関しては、米国が直ちにこの地域での軍事作戦を停止し、真の平和条約を早急に締結しなければならない。ガザに関しては、イスラエルが破壊行為をやめ、米国がイスラエルへの武器供与を停止することを望む。イスラエル政府は今もガザとレバノンで進軍を続けている。世界の国々はそれらに加担すべきではない。(アメリカ、24歳、男性)
▼テネシー州オークリッジ(原子爆弾用のウラン濃縮がおこなわれた地)で生まれ育った私にとって、この展示は奥深く有益な内容だった。それが広島の平和公園でおこなわれていることは、私にとって感慨深いことだ。資料館だけでなく、こうして誰でも見られる展示はとてもありがたい。私はアメリカ人だが、トランプと彼の愚かな行動を心底嫌悪している。イスラエルとアメリカによるイラン侵攻を憎んでいる。
トランプは核兵器を使用しようとしているのではないかと心配になる。なぜなら彼はそうした愚かな行動さえも自分の功績になると考えているからだ。また、私はアメリカがウクライナのことを見捨てたことも憎んでいる。アメリカ人の多くは今も自国以外の場所における戦争で何が起こっているのかについてはあまり関心がない。なぜなら経済的な苦痛にしか注意が払われないようになっているからだ。私たちアメリカ人の名誉や信用は、トランプのせいで失われつつある。(アメリカ、59歳、女性、高校教師)
▼非常に強烈な展示で、また包括的な内容を示している。他国が日本に対しておこなった犯罪だけでなく、当時の日本政府が自国民に対しておこなった不正についても視点を提供していた。こうした内容は、私のような外国人にとって信頼度を高めるものだ。読むのは非常に辛かったが、改めて戦争が罪のない人々にどのような影響を与えるのかを認識させてくれる良い展示だった。現在も世界で戦争が続いており、また同じ歴史がくり返されるのではないかという恐怖がある。戦争で影響を受けている罪のない人々を救うためにも、早急に戦争を止めなければならない。(オランダ、27歳、男性、ネットワーク設計)
▼戦争中と戦後、日本人がどのような被害に直面したのか、そしてどのように立ち向かったのかという歴史の側面を知ることができてよかった。何が起こったのか、どれだけ多くの人々の声が聞き入れられなかったのか、どれだけ罪のない人々が望まない人生に直面しなければならなかったのか、そうしたことを考えさせられる内容だった。展示では、本来国民は指導者が課す戦争を支持していないということが改めて強調されていることがとても有益だ。また、戦争を体験した人々の詩は、戦争が与える現実世界への影響を理解するうえで大きな深みを与えてくれる。戦争反対。自分たちの経済的利益のためだけを追求する利己的で貪欲な奴らなんかのために、市民は従う必要はないということにみんなが気づくべきだ。(オーストラリア、28歳、女性、接客業)
▼第2次世界大戦と原爆投下の悲劇の歴史、その背景を非常にわかりやすく展示している。また、第2次世界大戦後のアメリカによる日本占領について言及するだけでなく、日本の帝国主義がもたらした被害を展示することは、将来の戦争を防ぐための良い一歩となるだろう。このような悲劇が二度と起こらないようにするために、私たちは歴史についてもっと知る必要がある。台湾問題を口実とした日本の軍隊の拡張は危険な動きである。私たちは皆、現状についてより批判的かつ賢明に考える必要がある。(ベルギー、33歳、男性、エンジニア)
国内各地からも親子連れが参観
春休みということもあり、日本国内各地からも親子連れや学生など若い世代が多数参観した。
兵庫県から来た40代の男性は「展示を見ていて、戦前の日本を伝える内容はとくに印象的だった。第1次大戦後のバブルが弾けて世界的な恐慌、そのなかで資源のない日本の孤立や、近隣国に対する強硬姿勢、国民の貧困化が加速していったことなど、今と重なる部分が多い。現在の異常な株高もこの先どうなるか不透明だし、このまま日本はアメリカと一緒にまた世界的にも孤立を深めることになるのではないかという危惧がある」と話していた。男性はアンケートに「全国でおこなわれた都市空襲のなかでも三菱関連の財閥などは無傷だったことが衝撃だった。戦争の残虐性が生々しく伝えられており、今の戦争とも繋がる問題だと考えさせられた。国際金融資本同士の金もうけのための戦争はいい加減やめてほしい」と記していた。
父母とともに参観した男子高校生は、アンケートに「昭和天皇もアメリカに対して打つ手がないと思ったのなら早く戦争を止めてほしかった。ミッドウェー海戦で暗号を解読されていたことや、栄養失調で死んでいった兵隊さんたち、ビルマでの八つ当たりのようなインパール作戦、物資が届かない戦地で戦わずして死んでいった人が大勢いたことなど、衝撃が多すぎた。原爆投下について、アメリカ側の“核兵器を使って人々を殺傷することは、岩で頭を割ることよりも邪悪だとは思わない”という言葉は理解できないし、理解したくない。原爆は外傷があるかないかにかかわらず死んでしまうとても邪悪な兵器だ。日本は勝ち目はないのに、ソ連が来る前に日本を早く降伏させるためという都合で原爆を落としたのが許せない。今、戦争をしようとしている国にいってやりたい。“あのときの悲惨さを忘れたのか”と。もうこんな辛い思いは誰にもしてほしくないし、したくない」と記した。
平和公園での街頭展示は毎月おこなわれる予定。





















