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安岡風力反対の会が記者会見  署名広げ7月にデモ行進

 安岡沖洋上風力発電建設に反対する会は4月30日、下関市役所内の記者クラブで記者会見をおこない、前田建設工業が環境調査を妨害したとして4人を刑事告訴したことに対して、「これに立ち向かうべく、組織を明確にして反対する会を正式に設立した」と明らかにした。また、環境調査反対は全住民の意志であり、前田建設の主張する「威力業務妨害」「器物損壊」は犯罪として成立しないこと、今後とも風力建設を阻止するため、署名活動やデモ行進、環境調査反対の示威行動など、住民の反対運動をますます大きくしていくことを明らかにした。
 
 恫喝告訴に屈せず意気込み

 記者会見は、反対する会の有光会長と弁護士3人がおこなった。机の上には市民から寄せられた7万5000筆の署名の一部が積み上げられた。安岡・横野地区から約20人の住民が集まり、会見を見守った。
 有光会長は、「前田建設工業は住宅地から1・5㌔沖合に4000㌔㍗の風車を15台建設しようとしている。4000㌔㍗の風車は日本でははじめてであり、高さは海峡ゆめタワーよりも高く、総出力6万㌔㍗は日本最大級である」「これまで署名活動や集会、デモなどをおこなってきたがたんに反対する人たちの集まりにすぎなかった。しかし、前田建設が私たちの仲間4人を刑事告訴したことから、これに立ち向かうべく、組織を明確にし、反対の会を形あるものとした」とのべた。会の正式な設立は4月23日で、会長・有光哲也、副会長・斎藤正樹の両氏をはじめ9人の理事を決めたこと、会の目的は前田建設の風力発電建設を阻止することであること、前田建設の告訴に対して4人の弁護団を結成したことを報告した。
 また、風力発電の問題点について、「風力はエコでクリーンなエネルギーと思われているが、風車の低周波による健康被害の報告は世界中でなされている。昨年末の消費者庁の報告書にもあるように、低周波音と健康被害(自律神経失調症)との因果関係は日本の司法も行政も認めている。安岡沖の風車は規模が大きなものなので、その被害は安岡・横野に限らず下関の全域に及ぶことが懸念される。また、建設予定地は安岡の漁師が漁場としている久留見ノ瀬だ。漁師は生活の基盤がなくなると猛反対している。風車建設は漁業者の漁業権を侵害する。さらに宅建協会から、周辺の地価が下がっていると意見書が出されている」と指摘した。
 現在の状況について、「前田建設の環境アセスメントの調査段階にある。前田建設は今年の4月に準備書を提出する予定だったが、住民の反対で環境調査ができず、のびのびになっている。それで住民を刑事告訴した」「これに対して住民の側は昨年来、安岡・綾羅木の自治会や山口県漁協ひびき支店など漁業者、下関市医師会北浦班、宅建協会下関支部、安岡商工振興会など26団体が市長や県知事に風力発電反対の陳情をおこない、昨年3月には下関市議会で反対の請願が全会一致で採択された。反対署名は現在7万5000筆をこえている」とのべた。
 さらに、前田建設が4人のメンバーを刑事告訴したことに対して弁護士は次のようにのべた。「昨年9月14日、前田建設が安岡周辺10カ所で環境調査のための機器を設置したことに、周辺住民のべ100人が抗議し、機器を前田建設に返しにいった。その前の7月と8月の環境調査のさいは、住民の抗議で前田建設自身が機器を回収している」「前田建設は器物損壊罪というが本当に壊れたのかもわからないし、誰がさわったのかもわからない、つまり住民側の故意はなく犯罪として成立しない。また威力業務妨害罪というが、環境アセス実施に対して県知事より“地域住民の意向を踏まえよ”という条件がつけられており、地域住民全体が反対していることは明らかなのに調査を強行した前田建設の側が不当であり、業務妨害には当たらない」「前田建設側は“数百万円以上の損害”といっているが、そんなことはないという民事の弁護もおこなう」とのべた。
 また、「前田建設は告訴することで、妨害されずに環境調査をしてしまおうということだろう。しかし住民の側は環境調査反対の示威行動はこれまで通りおこない、それによって住民の反対の意志を明らかにする。調査が終わり準備書が出されたとして、市長意見が求められ、それを踏まえた県知事意見が求められる。これを環境省が許可したとして、海上の工事を開始するには県知事の一般海域占用許可が必要になる。したがって中尾市長がどういう意見を出すかが焦点となるが、それに影響を及ぼす最大のものは市民の反対署名であり、そのためにさらに住民の運動を強くしていかなければならない。来年は市長選であり、7万5000の反対の声は市長にとっても重要な関心事ではないか」とのべた。
 有光会長は「今後、引き続き反対署名を集めることに力を入れる。7月には風力発電反対のデモ行進をおこなう。今、安岡では各自治会が反対の幟や看板を立てているが、こうした横のつながりをもって地域の反対をもっと盛り上げたい」としめくくった。
 前田建設工業が反対の会の4人のメンバーを告訴し、山口県警本部と下関警察署の刑事が家宅捜索をおこなったが、そのことが逆に住民の怒りに火をつけ、風力反対の行動は急速に盛り上がっている。昨年6月には650人、9月には1200人が風力反対のデモ行進をおこなったが、7月にはより多くの市民が結集して国策をはね返す意志を示すことが期待されている。

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