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思いやり予算「現行の4倍に」と米政府が増額要求 

 年内に始まる在日米軍駐留費経費(思いやり予算)負担の改定交渉を前にして、米国が執拗に「日本は負担額を増やせ」と圧力をかけている。昨年から「4~5倍にせよ」との要求を突きつけてきたが、年頭からナッパー米国務副次官補(日本・韓国)やスティルウェル国務次官補が負担増を求める発言をくり返している。日本政府はこの米国の要求に唯々諾々と従う準備を進めている。

 

 現在の「思いやり予算」は5年間の特別協定で額が決まっているが、この協定は2021年3月末で期限が切れる。そのため新たな協定を結ぶ交渉を今年おこなうことになる。

 

 ちなみに2019年度予算で安倍政府が計上した「思いやり予算」は1974億円で、内訳は次のようになっている。
【在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)】
▼提供施設整備         …207億円
▼労務費(福利厚生)      …270億円
▼労務費(基本給等)     …1269億円
▼光熱水料等          …219億円
▼訓練移転費(夜間着艦訓練)     …9億円
              合計 =1974億円

 

 基地内の光熱水費や基地従業員の人件費、施設整備費も、すべて日本国民が納めた税金からの負担である。2015年度以降5年間の「思いやり予算」は、合計で9707億円(歳出ベース)に達している。

 

 これを「負担が少なすぎる」と主張し、大幅増額を要求しているのが米国である。トランプ政府は昨年3月頃から同盟国の費用負担を増やす「コストプラス50」計画を動かし始めた。この動きについて国内メディアが沈黙を守るなか、海外メディアが「現在の5~6倍に当たる額を要求される国も出てくる」と報じ始めた。昨年7月中旬に訪日したボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当、9月に辞任)が「5倍の負担」を求めたという話も表面化した。さらにボルトン辞任後の11月には、米外交誌「フォーリン・ポリシー」が「5倍の負担」について「年間80億㌦(約8700億円)の負担を求めている」とより具体的な額を報じた。昨年12月にトランプ大統領は「友人であるシンゾーにわれわれは日本の防衛に大金を払っている。日本は助けなければならないと伝えた」と明言している。

 

 加えて今月24日にナッパー米国務副次官補がワシントンで記者会見し「思いやり予算」を巡って「同盟国はさらに多くのことができる」と発言した。スティルウェル国務次官補も24日の講演で「われわれは地域の安全保障情勢が5年前や10年前とまったく異なるという事実を考慮しなければいけない」と強調した。この米国が要求する年間80億㌦の負担を認めれば、5年間で4兆円以上も在日米軍のために注ぎ込むことになる。 

 

安倍政府は上限撤廃 日本負担既に5870億円

 

 しかも日本側が負担している在日米軍関係費は「思いやり予算」だけにとどまらない。国民には「財政がきびしい」と主張し、消費増税や医療・介護・教育費などの負担増を押し付けているが、在日米軍には生活費、米軍基地内のレジャー施設整備費、豪華な住宅整備等もふくめ、至れり尽くせりとなっている。

 

 ちなみに「思いやり予算」以外に日本側が負担している米軍関係費(2019年度防衛省予算分)は次のようになっている。

 

【防衛省予算分(周辺対策、施設の借料、配置転換経費、漁業補償等)】…1914億円

【防衛省予算外の日本負担(基地交付金、国有地の地代等)】…2021億円
【SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係費(土地返還事業、騒音軽減費、訓練移転費等)】…256億円
【米軍再編関係費(在沖米海兵隊のグアム移転、空母艦載機の移駐事業等)】 …1679億円
                         合計=5870億円

 

 こうして日本政府は国民に公表している「思いやり予算」とは別に、その約4倍に匹敵する在日米軍経費を米国に貢ぎ続けている。したがって19年度に日本側が負担している在日米軍経費は合計で7844億円である。このうち「思いやり予算」部分を「年間80億㌦(8700億円)規模」に増額すると、毎年米軍関係費として1兆4570億円拠出することになる。この負担を5年間認める協定を結べという米国の要求は、5年間で約7・3兆円も米軍に貢ぐよう求める内容である。

 

 そして問題はこうした在日米軍関係費の増額や米国から買う兵器の購入額を増やす準備が動き出している現実だ。安倍政府は「そのような事実(米国による思いやり予算増額要求)はない」と公式見解で否定し続けてきたが、軍事予算増額にむけた仕組み作りは昨年段階から動き出している。

 

 2020年度予算編成を巡っては昨年7月、予算規模の目安となる「概算要求基準」を巡って「歳出上限を定めない」と決定した。それは各省庁が無制限に予算を拡大していくことを認める内容だ。それは防衛省予算に含まれる米軍関係費の増加に直結する地ならしといえる。

 

 さらに安倍政府は2019(平成31)~2023(令和5)年度の中期防衛力整備計画(三一中期防)でも、初めて防衛費総額の「上限枠」を削除した。中期防はもともと原則5年ごとに「防衛費」(米軍再編関係費は対象外)の総額を定め、「各年度予算はその枠内で決める」としてきた。

 

 ところが三一中期防は「防衛関係費は、おおむね25兆5000億円程度を目途とする」というあいまいな表現を用いて「上限」をとり払い、各年ごとの予算規模の上限も撤廃した。これも「自衛隊基地の整備」と称して、米軍施設整備や米国製兵器購入の予算増額をにらんだ動きである。こうした動きは米国側が「思いやり予算を五倍にせよ」「日本側の負担が少ない」と要求していることと無関係ではない。

 

 この「思いやり予算」を巡る日米協議は「今年秋口くらいから交渉が始まる」と河野防衛相はのべている。どのような内容にするかという交渉は水面下で動き出している。その行方は日本の将来を左右する内容を含んでいる。

 

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この記事へのコメント

  1. 京都のジロー says:

    本日(1月31日付け)の長州新聞に掲載してます「米比地位協定を終了へ」
    「米国と決別を宣言、相次ぐ主権侵害に対抗」! — とても勇気づけられる記事です。
    米国依存から抜け出すことができることを証明しています。
    日本もこれ(不当な増額要求)を機会に米国に決別宣言して欲しいです。
    安倍自公政権を引き釣り降ろすことが先決でしょうが。。 
    マスコミも大々的に広げて、欲しいです。いつまで米国の植民地で我慢しているのだと。

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