いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

米国の水は汚染されている

 ロイターが「米国の水は汚染されている--。問題はそれが従来の想定よりもはるかに悪いことだ」として、以下のように報じていた。環境保護団体であるEWGが22日に公開した報告書によると、マイアミ、フィラデルフィア、ニューオーリンズでパーフルオロアルキル化合物(PFAS)を最高レベルで検出した。PFASはほぼ分解されないことから「永遠の化学物質」と呼ばれ、がんや肝機能障害、低体重児の誕生といった健康被害をもたらす。また、この化学物質はテフロンやスコッチガード、消火剤の泡など多数の製品に含まれ、米国の1億1000万人が汚染されている可能性があると報告書で指摘している--というものだ。研究チームが全米44カ所の水道水を検査したうち、PFASを検出しなかったのは深い井戸を使っているミシシッピ州の一州だけだったのだと--。

 

 このニュースを見て真っ先に思い浮かんだのは、マイケル・ムーアが『華氏119』で告発していたミシガン州フリント市で起こっていた水道水の鉛汚染の問題だ。ジェネラル・モータース(GM)創業の地であるフリントはデトロイトとともに自治体が破綻し、破産管財人の管理下に置かれた。その結果、コスト削減のために水道水をそれまでの水源であったヒューロン湖からフリント川に切り替えたところ、その水質汚染が原因で水道管の鉛が腐食し、身体に有毒な鉛汚染の水が各家庭の蛇口から供給されるようになった。気付かずに口に含んでいた市民のなかには死者も出て、とりわけ子どもたちに深刻な健康被害が出たことから大きな社会問題になったが、市は無害だと言い張り、それだけでなく健康診断書も改ざんしていた。しかも、貧困層の多いフリントの市民には死と隣り合わせの鉛汚染の水を供給しながら、カネのあるGMの工場には以前と変わらずヒューロン湖の水が供給されていたのである。このフリント市で水道供給を担っていた企業が世界最大の民間水道供給会社であるヴェオリアだった。ピッツバーグでもヴェオリアのもとでの鉛汚染が問題になっていた。

 

 水道民営化とそのもとで引き起こされる水質汚染・料金高騰は世界各国で問題になってきた。生命にとって欠かせない水が企業の営利に委ねられ、カネがない者は汚染水でも飲んでおけという論理のもとで危険な生活環境にさらされ、しまいには鉛汚染、あるいはPFAS汚染の水を供給されるというのである。一歩先を行くアメリカの社会インフラの荒廃した状況は戦慄するものがあるが、それは2018年末に改正水道法が国会を通過し、コンセッション方式の導入に道を開いた日本国内とて他人事ではない。それこそヴェオリアが日本国内への参入に色めき立っているわけで、今後、水道水の供給を誰に委ねるのかは、各自治体やそこで暮らす住民たちにとって命に関わる切実な問題となる。

 

 日本社会のように全国どこでも蛇口をひねれば安心安全な水を口にすることができる国はほかにないといわれてきた。その安心安全が脅かされるのは、明らかに社会インフラの後退であり、企業の利潤のために公共管理の水が握られるというのは、首根っこを抑え込まれるのに等しい愚行といえる。    武蔵坊五郎

関連する記事

  • 親の顔が見てみたい親の顔が見てみたい  政治家の子息というのは、余程出自を隠していない限り、どこの世界へ行っても「○○の息子」と呼ばれ、それ自体、人によっては相当に息苦しい立場であ […]
  • 「配川はピンピンしてるぞ!」「配川はピンピンしてるぞ!」  「配川はピンピンしてるぞ! 〇日前に電話で話したばかりだ。謹慎なんてするわけないじゃないか!」「配川が筆頭秘書を辞めるわけがない。誰が替わり […]
  • 格好悪いったらありゃしない格好悪いったらありゃしない  いやはや、聞いたこともないような酷い話である。「あいちトリエンナーレ2019」の展示作品(昭和天皇の写真を燃やした)を巡って、知事の対応を批 […]
  • 今だけ、カネだけ、自民党だけ今だけ、カネだけ、自民党だけ  自民党本部に勤めている20代の職員1人が新型コロナウイルスに感染したことから、自民党は党本部に勤務する200人の職員全員にPCR検査を実施す […]
  • 森喜朗がぶっ壊す東京五輪森喜朗がぶっ壊す東京五輪  「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」発言が問題視された83歳の森喜朗が謝罪会見をするというから中継を見てみたら、例の如くまるで謝 […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。