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奄美大島と宮古島に陸自が駐屯地 南西諸島で臨戦態勢

 「海洋進出を強める中国を牽制する」という口実で、陸上自衛隊が奄美大島(鹿児島県)と宮古島(沖縄県)に500~800人規模の駐屯地を開設した。同時に離島侵攻作戦の専門部隊である「日本版海兵隊」(水陸機動団)を300人増強した。すでに駐屯地建設が進行している石垣島(沖縄県)の動向とも連動し、南西諸島や九州全域を巻きこんだ軍備増強に拍車がかかっている。新区域への土砂投入などのパフォーマンスで、辺野古新基地建設のみに国民の目を釘付けにしながら、日本全土を出撃拠点にしていく企みが加速している。

 

 南西諸島は鹿児島県の大隅諸島から与那国島(沖縄県)へつながる約1200㌔に及ぶ区域である。とくに与那国島は台湾から110㌔しか離れておらず、ここへ自衛隊部隊を配置すれば軍事緊張が高まるのは避けられない。そのため以前は、台湾から600㌔以上離れた沖縄本島しか陸自駐屯地(約2200人)を置いていなかった。

 

 ところが16年3月に日本最西端の与那国島に沿岸監視隊約160人を配備し、戦闘機も艦船も捕捉できるレーダーを新設。そして26日には、与那国島から160㌔しか離れていない宮古島と沖縄の後方に位置する奄美大島にミサイル部隊と警備部隊の配備を開始した。ミサイル部隊は地対艦誘導弾や地対空誘導弾を操る部隊で先制攻撃能力も保有している。警備部隊は島外から応援兵力を受け入れるため、空港や港湾をすぐ制圧することを任務にしている。

 

 宮古島の駐屯地は警備部隊約380人で発足し、来年配備する地対空・地対艦ミサイル部隊を含め、最終的に700~800人規模に拡大する計画だ。奄美大島には駐屯地、分屯地、射撃場、弾薬庫等を置き、約560人配備する計画が動いている。石垣島で動く陸自部隊配備計画(550人規模)と合わせれば、南西諸島一帯に4000人規模の陸自部隊を常駐させ、臨戦態勢をとる配置となっている。

 

 佐世保市(長崎県)でも26日、尖閣諸島などの離島奪還を専門任務とする「水陸機動団」を300人増員し約2400人態勢にした。同部隊の拠点である相浦駐屯地の南東約10㌔離れた崎辺地区(佐世保市)に分屯地(13・4㌶)を開設し、水陸両用車を操る戦闘上陸大隊などの約160人が相浦駐屯地から移る体制を整えた。同分屯地では敷地内外で操縦・射撃訓練を本格化させる方向になっている。水陸機動団は昨年3月に発足して以来、一部部隊を大分県にも駐屯させている。この水陸機動団の隊員や車両輸送拠点にするため、日米政府は佐賀空港(佐賀市)へのオスプレイ配備計画をごり押ししようとしている。

 

辺野古を隠れ蓑にして全土基地化

 

 こうしたなか日本全国の米軍基地強化や軍備増強計画が「日本全土の米軍基地化」という意図に沿って動いていることがより鮮明になっている。

 

 南西諸島に近い馬毛島(鹿児島県西之表市)では、FCLP(米軍空母艦載機離着陸訓練)基地配備計画が進行している。FCLPは米軍の空母艦載機が陸上滑走路を空母の飛行甲板に見立てて、離着陸をくり返す訓練である。米軍パイロットが出撃前に必ずおこなう訓練で爆音や事故の危険がともなう。そのため厚木基地所属の空母艦載機は東京から約1200㌔㍍離れた硫黄島で実施することをよぎなくされてきた。だが迅速な出撃態勢を整えるため、在日米軍再編計画のなかで、岩国から約400㌔㍍しか離れていない馬毛島をFCLP基地にするようアメリカが要求した。無人島で激しい訓練がしやすいことも候補選定理由の一つとなった。こうした使い勝手の良い空母艦載機の出撃前訓練基地を整備するのは、今後、日本に空母を複数配備したり空母寄港を増やすための布石にほかならない。

 

 このような動きと連動して米軍岩国基地は、普天間基地から空中給油機15機が移転し、沖合拡張による大滑走路二本体制を整えたうえ、厚木の空母艦載機が移転し軍用機約120機体制の一大出撃拠点に変貌している。

 

 加えて、航空自衛隊築城(福岡県築上町など)と新田原(宮崎県新富町)基地では、米軍関連施設の整備計画が進行している。防衛省は「普天間基地が攻撃されたときや緊急時に使う」と主張し、両基地とも「米軍普天間基地なみの施設」へ増強する内容である。築城基地は滑走路(現在2400㍍)を約300㍍延伸して2700㍍にし、駐機場、燃料タンク、弾薬庫、庁舎、宿舎、倉庫などを新設する。普天間基地と同規模の滑走路がある新田原基地には弾薬貯蔵施設を整備する。日米政府は普天間基地返還のために辺野古に基地を移設すると宣伝してきたが、実際は普天間基地と同規模の米軍基地を辺野古、築城、新田原に整備する動きを見せている。

 

 そして本州側では陸自むつみ演習場(萩市)と陸自新屋演習場(秋田市)へのイージス・アショア配備計画を住民の反対を無視して動かしている。イージス・アショアは、現在海自に配備しているイージス艦のシステムを地上配備するだけにとどまらない。レーダーによる探知能力も、ミサイルによる射程距離も大幅に機能を向上させ、ロシアや中国を想定した攻撃体制をつくることを意図している。もともとイージス・アショア配備は、アメリカ本土を狙うミサイル対処が任務であり、「日本の防衛」が任務ではない。それは秋田が朝鮮半島からハワイへ飛ぶミサイルの軌道上にあり、萩が朝鮮半島からグアムへ飛ぶミサイルの軌道上にあることを見ても歴然としている。

 

 全国で動くどの軍事増強計画も「普天間基地返還」「ミサイルからの防衛」「離島を守る機能の向上」など、もっともらしい理由がついている。しかしそれは、すべて日本全土を「不沈空母」にしていく方向へと通じている。

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