いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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年金支給年齢引き上げ、消費税は増税

 野田政府はTPP(環太平洋経済連携協定)参加を急ぎ、新自由主義によるごく一握りの米日独占資本の最大限利潤追求に奉仕するのと表裏一体で、「社会保障と税の一体改革」を掲げ空前の国民大収奪に乗り出している。安住財務相は12日の日本経団連との会合で米倉会長らを前に「来年は必ず消費税増税を実施する」と約束、個人所得税増税を中心とする「復興増税」、年金・医療・介護・保育・生活保護など、社会保障各分野の改悪と合わせた大収奪に突っ走っている。これに対し「アメリカや財界のいいなりになって生存権も無視して国民大衆を徹底してしぼりあげるもの。購買力は空前に落ちこみ日本は荒廃する。国民あげて反対しなければ」(下関・専門店主)との声が上がる。
 
 2013年にも消費税8%

 安住財務相は消費税増税の実施に向け、準備法案を来年1月招集の通常国会に提出すると明言。2013年にも消費税増税に踏み切る。消費税率は3%を軸に引き上げて8%にする案を中心に動いているが、日本経団連の提言にはすぐに10%にまで引き上げ、近い将来、18%にまで引き上げる案を提起している。
 消費税は1%引き上げれば1兆2000億円から1兆5000億円の増税となる。3%引き上げれば年4兆円をこえ、5%引き上げれば7兆円を大幅にこえる大増税にほかならない。
 消費税は低所得層ほど重い負担となる逆進性課税で、1000円の買物で80円から100円の税金をとられることとなる。国民年金(月6万円台)だけで生活する高齢者や生活保護受給者、民間企業で年間通して働く人の4人に1人が年収200万円以下という現実を直撃する。
 消費税導入と合わせて大企業のための法人税減税をやり税率を30%まで引き下げてきたがこれによる国税減収を消費税の増収でまかなってきた。「高齢化社会のため」「福祉財源」がその口実であったが、高齢者に対する姥捨て政策の徹底と医療費窓口3割負担、介護保険の改悪が示すように、まったくのペテンであった。
 今回はこのペテンもできなくなり、「社会保障と税の一体改革」と、消費税大増税と、年金・医療・介護・保育・生活保護など社会保障大改悪とセットでうち出した。やらないのは、法人税増税であり、大金持ちのための証券取引税軽減の中止であり、億万長者を対象とする個人所得税最高税率の大幅な引き上げである。

 68歳~70歳の引上げに怒り 年金支給開始年齢

 野田政府の年金制度改悪に各職場や自営業者のなかで怒りの声が噴き上がっている。「年金受給年齢を68歳~70歳に引き上げ、進行している支給年齢六五歳への引き上げを前倒しで実施するとしている。財界も政府も、多くの者が年金受給もなしに死ぬことを狙っている。こんなことが許せるか」と、巷で論議が交わされている。
 テレビ報道で政府・厚生労働省が社会保障審議会年金部会に年金支給開始年齢を68歳~70歳に引き上げる案を提示、本格的な論議を開始したことを知るや、下関市内のトラック輸送の職場でも一斉に「冗談ではない。65歳に延長するのも問題なのに、年金もとらずに死ぬか、わずかな年月とって終わりだ。40年間も高い保険料掛けさせてふんだくりか」との声が上がった。この状況を話した同社課長は「“自由競争”のやりすぎで過重労働はどこも一緒、60代で死ぬ者が多いことを、みんな知っているからだ」といった。
 JR下関駅前の「シーモール下関・専門店街」の衣料品店主は「働いている店主家族を含めて5人以上の事業所は厚生年金に入れということで社会保険をかけている。厚生年金と健康保険を合わせて人件費の2割以上、必死の思いで掛けているのに年金がとれるかどうかわからない。65歳でも不安なのに68歳とか70歳にのばされてたまるものか。国は圧倒的な掛け捨てを企んでいる」と怒る。
 隣にいた夫人は「平均寿命がのびているといいますが、戦中、戦後と粗食と便利すぎない社会で懸命に働き、子どもを育て、身体を鍛えてきた人人。私ら今の50代はどこまでもつかわからない。“急速な少子高齢化”と騒いでいるが、少子化の元凶は失業と非正規雇用でもうけた大企業だ」と、声高にぶちまけた。
 11日開いた社会保障審議会年金部会で、厚生労働省が提示した案は、現在進行中の3年に1歳引き上げて65歳支給開始に統一する行程を、2年に1歳引き上げの前倒しにして、ひき続き68歳~70歳にまで引き上げてゆくというものである。これを実施すると現在、65歳支給の基礎年金部分も68歳~70歳からの支給となる。支給開始年齢を1歳引き上げることで基礎年金給付費だけで年に約1兆円の削減となる。基礎年金に上乗せする給与所得割部分を加えると何倍もの年金給付費削減となることは歴然としている。
 3年引き延ばしで10兆円以上の年金資金、労働者、勤労人民が長年月掛けた金の国による詐欺・横領にほかならない。
 年金支給開始年齢の68歳~70歳への引き上げ計画は、「社会保障と税の一体改革」と称する消費税大増税と合わせた国民収奪政策の一環である。

 協会けんぽは保険料引上げ 医療分野でも

 社会保障改悪による収奪で、医療分野では政府管掌健康保険の後身である「協会けんぽ」の保険料を全国平均で10%引き上げようとしている。医療給付の面では、病院・診療所を問わず、外来受診1回ごとに100円を上乗せ徴収する。整形外科など週2回、長期の通院が必要な診療科では月1000円もの上乗せ負担。他の診療科でも投薬は3日分ぐらいが一般的で、治るまで相当な負担となり、重い3割負担に加え「医者に行かない」ことに拍車がかかるのは歴然としている。
 さらに病院機能の再編と入院患者の早期追い出しをはかり、急性期病院の入院日数を9日間に短縮する目標を掲げて、「在宅医療」の強化をうち出している。これは、終末期の「在宅みとり」の拡大とあわせて、核家族化し貧困化する勤労者世帯にかつてない経済的・肉体的・精神的負担を強いる。このようにして多額の医療費削減を狙っている。
 介護保険法はすでに民主・自民・公明の賛成多数で改悪している。その一つの柱は、要支援1、この在宅高齢者を介護保険給付の対象から外し、有償ボランティアなどによる「総合日常生活支援サービス」の対象に、市町村の判断で移せるとした。介護保険利用の一割負担より高くつく有償ボランティア利用で、要支援高齢者を犠牲に、介護給付費の大規模な削減をはかる。
 第二に、特別養護老人ホームを中心とする介護施設を増やさず、要介護3、4、5と重度者が入所待機者のなかで増大して在宅介護の限界をこえているなかで、「24時間体制の巡回型介護・看護サービス」を新設。安上がりの「在宅」でまかなおうとしている。
 しかしこれは、看護師、介護職員不足の現実のなかで“絵に描いた餅”であるばかりでなく、重度要介護者の在宅介護への押しつけで、「介護・看病苦」による心中や肉親殺しという社会的悲劇をさらに広げる社会的犯罪との批判が高まっている。
 野田政府は、市場原理労働政策でかつてない失業と貧困を押しつけながら、「生活保護受給者204万人、地方自治体の負担を軽減する」などと称して、「職業訓練」を受けることを要件にして生活保護の停止・廃止をおこなう改悪に乗り出している。
 これは非公開でおこなっている「生活保護法改悪にむけての国と地方の協議」に厚生労働省が持ち出したものである。だが「食える仕事をよこせ」との要求にこたえていない現実の下で、協議に参加している自治体側からも「現状の雇用情勢を総合的に判断すれば、保護の停・廃止は難しい」との声が上がるありさまであった。国民生活の実情無視で、社会保障切り捨てありきを強行する政府・官僚の正体をさらけ出している。
 野田政府が乗り出している「社会保障と税の一体改革」は、ごく一握りの米日独占資本の利益のために法・制度を改悪して働くだけで、国民に対して「最低限の健康で文化的な生活」さえ保障する能力も力もないことを白日のもとにさらしている。失業も貧困も戦争もない社会、アメリカ、財界いいなりでなく社会の公益のために働く国家への立て直しが最重要課題となっていることを示している。

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