いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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密着・れいわ新選組中国ツアー in 島根・鳥取

鳥取でのおしゃべり会(24日)

 昨年9月から九州、沖縄、東北、甲信越、関東など全国ツアーを敢行してきたれいわ新選組は、23日から島根県松江市を皮切りに中・四国地方ツアーをスタートした。山本太郎代表は、地方に住む多くの人々が抱える生活問題、産業の実態などに耳を傾け論議していくスタイルを貫きながら、今年も地道に一人一人が横につながり政治を変える大きな力をつくっていくことを訴えた。そして来る次期衆議院選挙にむけた候補者選定の第一次発表を2月中旬におこなうとした。

 

現役世代の姿目立つ 島根県松江市

 


 23日に松江市労働会館で、24日には鳥取市の童謡・唱歌とおもちゃのミュージアムわらべ館でおしゃべり会が開かれた。両会場とも乳幼児や小・中学生の子どもを連れた親世代、また作業着姿の若者、有機農業を営む人など30~40代の参加者が多く見られた。


 郵便局に勤める30代の男性は、今年4月から全国一斉に施行される「同一労働同一賃金」(パートタイム・有期雇用労働法)について職場の実態をふまえ意見と質問をのべた。「私は郵便局で派遣として働いている。郵便局は職員の半分が派遣で40、50代の人たちの出入りが激しい。時給もコンビニと変わらないほど低く、郵便局にいても今の給料では将来が恐ろしいと感じる。バイクに乗っての配達の仕事は命の危険もあるが、同僚は生活のためにみな頑張っている。同一労働同一賃金と聞いて、同じ仕事をしているのであればパートでも派遣でもアルバイトでも正社員と同じ処遇になると捉えられるが、実際は正社員の処遇を下げると思う。同一労働同一賃金をどう考えるか。日本全国の労働者の4割まで広がった派遣労働は必要ないと思う。どう考えるか」と質問した。


 山本代表は、「企業側にコントロールされている現在の政治のなかで、人々の生活を底上げしていくための制度であるとは考えられない。おそらく同一労働同一賃金といって正社員の処遇を下げていくものだろう。派遣労働を広げた結果、企業側はもうかったが、働く人たちは不安定な厳しい状況に追い込まれた。郵便局も民営化によって完全にブラック企業化している。そのなかで都市部では、自分の住む家を持てない人が増えている。家賃は払えるが初期投資できる資産がないという人たちがいる。東京都の調べでネットカフェ難民は4人に1人おり、そのうちの7割の人が非正規の働き方をしていた。労働環境を壊した結果、働く人の生活は壊れた。働く人の賃金を保障するのはもちろんだが、住まいも安く住める場所が確保されなければならない。派遣労働は企業側の都合で人々を換えのきく部品のような扱いにするもので、国も一緒になって推進してきた。今、多くの労働者が派遣しか選択肢がないという状況にあることは間違っていると思う」とのべた。


 米子市で居酒屋を営む40代の男性は「米子では平日の繁華街は閑古鳥が鳴いている。とくにこの10年の状況はひどいものだ。消費税も10%に上がり、これ以上商売をやればやるほど赤字になるかもしれない。中小企業の6割が消費税を滞納しているというが、この現状で商売を続けられる人が一体どれぐらいあるだろうか」とのべた。また「昨年、突然税務署が入ってきて家族はパジャマ姿でそのまま車に乗り込まされたりした。私はそれがきっかけでメニエル病になり、寝込んでいるときに新選組の山本さんの映像を見るようになった」とのべ、消費税廃止などの政策に共感しており、ポスター貼りなどで力になりたいと語った。


 その他、「れいわ新選組が掲げる経済政策には賛同するが、同時に経済成長によって地球環境の破壊が進むことが心配だ」(出雲市・40代男性)、「若者の居場所をつくって30年以上たつ。精神疾患の若者が精神病院の閉鎖病棟に閉じ込められ、薬漬けで人権が無視されている。精神疾患をわずらっても家族任せにするのでなく、自律を支援していくような国の政策が必要だと思う」(松江市・60代女性)、「ゲーム依存症の対策として香川県でゲームの時間を平日60分、休日は90分と規制する動きがある。依存症対策は必要だと思うが時間を規制するようなやり方は僕はおかしいと思う」(高校2年・男子)など多岐にわたる意見が出された。

 

原発や安全保障問題で論議 鳥取市

 

 鳥取市では原発問題、対米従属問題、消費税廃止の公約を実行するための財政政策などが論議となった。島根県、鳥取県選挙区は2016年の参院選から合区となり、2県で1選挙区となっている。この問題について「自民党は合区解消のためには憲法改正が必要だといっており、合区に反対する野党のなかでもそれに賛成する声もあるがどう考えるか」という質問に対し、山本代表は「合区解消はすべきだが、そのために憲法改正というやり方はありえない。合区を決めたのも自民党で、それを解消するために憲法改正をするといっているのも自民党だ。放火魔が消火器を売っているようなもの。同じ土俵でたたかってはいけないと思う」とのべた。


 東日本大震災を契機に、2歳のとき両親とともに鳥取県に移住してきた10歳の男児は、「最近、山口に原発をつくるという話が出て不安だ。原発はどうしたらなくなりますか。僕は選挙はできないのでそれ以外でお願いします」と質問した。


 山本代表は、原発にかわるエネルギー政策について「“自然エネルギー対原子力”というのが権力側の構図だ。だがすぐに自然エネルギーに移行することは現実的ではない。現在の主力は火力であり、そのなかでも環境負荷が少ない天然ガスでつないでいくしかない。そしてより自然への負荷が少ない自然エネルギーに移行していくしかない」とのべた。さらに原発をやめるためには、原発に依存する企業や町のあり方を抜本的にやりかえる政策とそのための財政的な投資が必要だとして以下のようにのべた。


 「ただやめろといっても原発はなくせない。2012年に私も大飯原発がある町議会議長に“どうしたら原発がなくせるのか”という質問をした。すると“カネだ”といわれた。原発をやめるために何が必要か。原発で町を支えてきた状況から脱するために、財政的支援やこれからの産業をどう立て直すかなど踏み込んだ形の政策が必要だということだ。原発にかかわるメーカーもそうだ。原発をやめていくために廃炉技術の研究に対して国が投資し、技術を高めて国際的に貢献していく必要がある」「これほど地震が多い国で、原発を続けるのは無茶苦茶な話だ。しかしそれで金もうけしている人たちは、“もう一回事故っているからいいじゃないか”という感覚だ。いまだに終息の方法もわかっていない。山口県に新規に原発を建てるなど、寝言は寝ていえといいたい。南海トラフ地震の被害について、土木学会が出した20年間に及ぶ経済的損失は1400兆円としている。これほどの大災害が起こるといわれているのに原発は耐えられない」とのべた。


 また最近、阪神・淡路大震災を教訓にして、国が全国で活断層の調査を推進した結果、現在、地震が起きる切迫度が阪神大震災の直前と同じか、それを上回る活断層の数が31あることが判明しており、そのうち切迫度が高いSランクに指定されたのが島根県の宍道断層であることも紹介した。


 また日米関係や安全保障問題について、「日本は事実上、アメリカの植民地だ。対等な関係を結んでいかなければアメリカの世界戦略にとことん付き合わないといけなくなる。中東への自衛隊派遣を見ても、アメリカを敵ととらえる人たちからは日本がアメリカとグルと見られる。イラク戦争のとき、日本の小泉純一郎首相は真っ先にアメリカを支持している。元来、日本と中東の関係は悪くなかった。だがアメリカに対していいことはいい、悪いことは悪いといえる姿勢を示さないとアメリカの巻き添えになる」と指摘した。


 山本氏は今後の方向性として、「この世の中を変えるためにどうすればいいか。環境問題、労働問題、みなさんいろいろな関心事があり、それぞれは重要な問題だ。だが世の中を見たときに、今の現状は50%の人たちが票を捨てている。この現状を変えていくためにまず私たちが旗を上げて訴えるべきは、多くの人が生活が苦しいと感じている現状を変えていくための大きなストライクゾーンをもうけていくことだ。それが消費税廃止だ」とのべ、次期衆院選での野党共闘の条件は「消費税5%への減税」を掲げることであり、それが一致しない場合は単独でたたかうことを強調した。れいわ新選組がめざす財政政策として、法人税の累進制の導入や新規国債の発行などについても時間を割いて説明した。


 また「われわれは地方組織を今すぐにつくる状況にない。組織化されて上から指示されたことをただやっていくグループは権力側にとって恐くない。権力側が恐いのは正体不明の有象無象が、把握できないところで動きをつくっていくことだ。一人一人がそれぞれ当事者意識を持って主体性を持って動く、そのような一人一人の変化がないと世の中は変わらないということだ」とのべ、地道ではあるが一人一人が横につながって大きな力をつくっていこうと訴えた。

 

親世代や若者が目立つ ボランティアに参加

 

 おしゃべり会終了後、ポスターを持ち帰ったりボランティア登録を申し出る人たちで溢れた。


 2人の幼子を膝に抱えて聞いていた20代の夫婦は、「今まで投票に行ったことがなかったが、昨年夏に山本太郎さんの動画を見て応援したいと思った。直接話が聞きたいと思って浜田市から来た。政治が身近な問題で自分たちのことだと今日あらためて実感した」と語った。友人に誘われて参加した介護に携わる40代の女性は、「必死で生きている人が応援する政党だと思った。これまで別の政党の集まりに参加したことがあったが、参加している層がまったく違った。世間から注目されていないけれど真面目に生きている人たちのための政党だと思った。話の内容がすべて福祉の原点だった。もっと勉強したい」とのべた。


 他にも「麻生さんが“2000万円貯めとけ”と発言したことに疑問を持ち、子どもが3人いるのでとても不安になった。ネットでれいわ新選組に出会い、知れば知るほど何だこれは? と思うことばかりで勉強したいと思った。みな興味がないのではない。知るきっかけがあれば動き出すと思う」(米子市・30代男性)、「バンクーバーに住んでいて、太郎さんに注目してカナダから投票した。海外から見ると日本の政治は人に優しくないと感じていた。たまたま帰国して日程が合ったので大阪から車を飛ばしてきた」(20代男性)という人もいた。


 25日には鳥取市中心部のポスター貼りがおこなわれ、幼い子どもの手を引いた女性など合わせて約15人が参加し、2グループに分かれて一軒ずつ依頼に回った。


 智頭町から参加した女性は、「鳥取は保守が強いという思いもあったが、意外なところで貼ってもらえて驚いた。自分の地元でも仲間をつくってポスター貼りをしようと思う」と語っていた。終了後、初対面だった参加者同士が連絡先を交換して今後も連携しながら活動していくことを確認し合っていた。

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この記事へのコメント

  1. 長周新聞さん、いつもながら密着取材ありがとうございます。太郎さんのおしゃべり会の様子がよく分かります。終了後の参加者へのインタビューも、とても興味深いです。2人の幼子を抱いて参加された20代のご夫婦の感想には涙が出ました。人々が政治に何を求めているか、れいわはそれに真正面から応えている党だということを今さらながら思いました。
     私もれいわのボランティアをしておりますが、1人、2人と参加者が増えています。政治活動は初めてという方が多いです。フリースタイルで支持者同士ゆるやかにつながっていることがとても心地いいです。記事を拝読して「よし頑張ろう」と思いました。届いたばかりの長周新聞をリュックに入れて行くのが私のスタイルです。

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