いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

ジェノサイドをやめろ‼ イスラエル止めぬ米欧政府に怒り パレスチナ国家承認と武器禁輸求めゼネストも ガザ死者6万5000人超

(2025年9月29日付掲載)

ガザ虐殺に反対するイタリア全土での全国行動の一環として、数万人が参加したボローニャでの集会(9月22日)

 国際連合本部(米ニューヨーク)で開会した国連総会は22日、各国首脳が参加する討論や会合がおこなわれる「ハイレベルウィーク」に入り、そこでの議題はイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区へのジェノサイド(民族大量虐殺)に集中している。イスラエルのネタニヤフ政権はこの2年間、「ハマス排除」を口実とするガザへの攻撃を激化させ、ガザ保健当局によると、6万5000人以上のパレスチナ人を殺害した。長年におよぶパレスチナ抹殺と占領の集大成ともいえる蛮行に対し、全世界的な抗議行動が日増しに高まっており、歴史的に親イスラエルの立場をとってきた欧州各国の政府を揺るがしている。その世論に動かされるように、今回の国連総会では英国、オーストラリア、カナダ、ポルトガル、ベルギーなど新たに10カ国がパレスチナを国家として承認すると表明。イスラエルのネタニヤフ政権への怒りとともに、イスラエルの暴力を黙認し、構造的に支えてきた自国政府や資本を包囲する世論が国境をこえて広がっている。

 

イスラエルの封鎖攻撃で子どもの犠牲者が増え続けているガザ地区(9月26日)

 すでにイスラエルのネタニヤフ首相に対しては、昨年11月に国際刑事裁判所(ICC)が戦争犯罪と人道に対する犯罪の容疑で逮捕状を発行している。そのためネタニヤフは、ICCに加盟する120をこえる国や地域を訪問すれば逮捕される可能性があり、今回の国連総会への参加にあたっても、強制着陸のリスクを回避するため欧州上空を避けるルートで渡米した。それ自体、ネタニヤフを支える政治的基盤が劇的に縮小していることを物語っている。国連総会では、ネタニヤフが登壇すると同時に各国大使が次々に退席し、議場はほとんど空席となった。

 

 国連安保理は1947年からパレスチナ問題のビジョンとして「二国家解決」を掲げてきたきたが、欧米主要国はパレスチナ人を追い出して建国したイスラエルを国家として認める一方、パレスチナを国家承認せず「準国家」扱いとすることで、イスラエルの国際法違反の暴力や土地収奪を野放しにしてきた。パレスチナはアメリカの拒否権によって国連加盟も阻まれ、パレスチナ自治政府(PA)は非加盟の「オブザーバー国家」として会議への参加資格はあっても採決には参加できない。

 

 国家が承認されず、国境も設定されていないため、パレスチナはイスラエルの長年の武力占領によって生活を脅かされ、土地を奪われ、2年前からはガザ地区で22万人をこえる人々が封鎖、爆撃、飢餓にさらされていても、国連機関はイスラエルに拒まれて食料供給などの人道支援さえできない状態が続いている。いまや日本を含むG7が唱える「二国家解決」は、イスラエルの国際法無視とジェノサイドを黙認するための免罪符に成り下がっているとの世論が広がっている。

 

 国連総会は9月12日、パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの二国家共存を支持する「ニューヨーク宣言」を142カ国の賛成で採択(イスラエルや米国など10カ国が反対)。英国、オーストラリア、カナダ、ポルトガルをはじめ、ルクセンブルク、マルタ、アンドラ、モナコなど10カ国があいついでパレスチナ国家承認を宣言し、ベルギーもハマスの人質解放を条件にして承認した。国連加盟国の8割超を占める160カ国近くがパレスチナを承認したことになる。そのなかで日本の石破政府は、二国家共存を支持する宣言には賛成したが、アメリカを忖度して国家承認を見送るという旧態依然の二枚舌をみせた。

 

国連人権理事会 報告書で戦争犯罪認定

 

ネタニヤフ首相の登壇とともに退席する各国大使ら(9月26日、国連総会)

 国連人権理事会(スイス・ジュネーブ)の「パレスチナ占領地域(東エルサレムを含む)およびイスラエルに関する国連独立調査委員会」は16日、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区のパレスチナ人に対してジェノサイドをおこなっているとする報告書を発表した。

 

 同委員会が2023年10月7日以降の出来事を調査した結果、イスラエル当局及び治安部隊が1948年のジェノサイド条約で定義される5つのジェノサイド行為のうち、以下の4つを犯したと結論づけている。

 

 ①集団の構成員の殺害
 ②集団の構成員に対する重大な身体的または精神的な危害
 ③パレスチナ人を集団として全部または一部の破壊をもたらすよう意図した生活条件の故意的な付与
 ④集団内の出生を妨げることを意図した措置

 

 「ジェノサイド意図」の立証をめぐって同委員会はイスラエル当局の発言を分析し、これらがジェノサイドを意図したことを示す直接的証拠であると結論付けている。また、ガザ地区におけるイスラエルによるパレスチナ人に対する飢餓状態や非人道的な生活条件の強制等を分析し、これらの作戦の性質について「ジェノサイドを意図したものである」と認定した。

 

 さらに同委員会は、ジェノサイドの実行者は「イスラエル国家に帰属する」と認定。イスラエルのヘルツォグ大統領、ネタニヤフ首相、当時のガラント国防相がジェノサイドを扇動し、イスラエル当局がこの扇動行為を処罰する措置を講じなかったと結論付けた。

 

 調査委員会は、イスラエル政府に対しガザ地区におけるジェノサイドの終了や国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令の完全履行を含む、国際法上の義務をただちに遵守するよう強く求めた。そして、飢餓政策の終了、封鎖解除、大規模な人道支援物資のアクセス確保、イスラエルとアメリカが支援する「ガザ人道財団」の即時活動停止などを求めている。

 

 また、各国政府に対しても、ジェノサイド行為に使用され得る武器等のイスラエルへの移転停止、自国領土内及び管轄権下にある個人・企業がジェノサイドの遂行支援・幇助やジェノサイド扇動に関与しないことなどを勧告した。

 

 国連総会を前後した各国政府の動きは、イスラエルによるジェノサイドを許さない国内世論が拡大し、「ジェノサイドに加担するな」という政府への圧力が大きく影響している。

 

イタリア 100万人が抗議のゼネスト

 

全国一斉行動の呼びかけにこたえておこなわれたボローニャのデモ(9月22日、イタリア)

 イタリア全土で9月22日、イスラエルによるガザでの虐殺を非難し、パレスチナとの連帯とパレスチナ国家承認を求める大規模なデモが発生した。封鎖やストライキ、デモ行進がおこなわれ、ミラノでは警察との衝突に発展した。市民たちは、親イスラエルの立場をとりパレスチナ国家を認めない右派メローニ首相に対する怒りを爆発させた。
 

 ストライキには、教師や港湾労働者、学生らが参加し、全国80の町や都市で展開され、パレスチナ連帯デモも含めると参加者は100万人といわれる。ガザ地区におけるパレスチナ人の大量虐殺に抗議するためのストライキを呼びかけた草の根労組USB(職場労働組合連合)によると、ガザ地区で進行中の大量虐殺、イスラエル軍による人道支援の封鎖、44カ国から300人以上の人員を乗せた50隻の船舶でガザに向けて出発した「グローバル・スムード船団」に対する攻撃に抗議して、全土で約50万人が参加するゼネストがおこなわれた。

 

 ミラノ中央駅周辺では、暴動鎮圧用の装備を身に着けた警察が催涙ガスを発射し、抗議者を解散させようとしたため緊張が高まり、警官約60人が負傷した。ミラノでは主要な地下鉄路線が閉鎖され、トリノやボローニャでは学生たちが大学校舎を閉鎖し、講義や研究を停止させた。南部の都市ナポリでも、群衆が中央駅に押し寄せ、警察と小競り合いが発生し、列車の運行が大幅に遅延した。

 

 また同日、イタリア国営放送チャンネル『TG3』のアナウンサーが「TG3のジャーナリストたちは本日のゼネストに連帯する。それは軍事占領の下に置かれ、民間人、医療従事者、ジャーナリストが日々虐殺され、さらにイスラエル政府によって大量追放を強いられているパレスチナ住民と連帯した叫びだ」とする声明をニュース冒頭で呼びかけた。親イスラエルの立場をとる政府監督下にある国営放送が公式放送で「虐殺」「大量追放」などの言葉を使うことは異例だが、この声明は編集委員会を代表して朗読された。

 

 これらの行動が広がる契機となったのは、ガザ支援のために8月末に出航した「グローバル・スムード(不屈の精神)船団」に対してイスラエル軍が攻撃を宣言したことだ。市民活動ミッションとして組織された同船団は、世界中から活動家や医師、芸術家、弁護士、市民らが乗り込み、ガザ地区で欠乏している支援を届けるため、各国から集まった船舶が群れをなしてガザ地区を目指している。イスラエルはこれまでも同様の船団を拿捕しており、ガザに近づく船舶に対する攻撃を宣告している。24日にはドローンによる攻撃がおこなわれた。

 

 イタリア・ジェノバ港湾労組(CALP)は「たった20分でも船や仲間との連絡が途絶えれば、ヨーロッパ全土を封鎖する」「この地域からは毎年1万4000個のコンテナがイスラエルに向けて出港する。われわれの港からは釘一本も出港させない」と宣言。22日には数千人が早朝からジェノバ港を封鎖し、トリエステ、ヴェネツィア、リボルノなどの港湾の労働者も港湾封鎖に合流した。いずれもイタリアがイスラエルへの武器を輸送する中継地点とされている港湾都市であり、港湾労組は「私たちは戦争のためには働かない!」として26、27日にも国際部門別会議を主催し、イスラエルへの欧州からの武器流入を阻止するため、国境をこえてゼネストに加わる労働組合を結集するとしている。

 

ローマのデモ行進の先頭に立った消防士たち(9月22日)

 首都ローマでは30万人のデモ参加者が市内の主要鉄道駅を占拠した後、街路を行進。参加者たちは「ジェノバの港湾労働者からの呼びかけに応じ、われわれはここにいる。すべてを封鎖する」とのべ、デモの先頭に立った消防士組合の代表者は「救急隊員は決してジェノサイドに加担することはない。われわれは再軍備の中にわれわれを閉じ込めようとする政府に抗議している」とのべている。

 

 公務部門の労組もストに合流し、「私たちは平和と軍縮を支持し、死と破壊をまき散らす武器ではなく、サービスと福祉を提供する国家を要求する」「あらゆる分野のすべての行政機関に対し、イスラエルという大量虐殺国家とのあらゆる組織的、商業的、学術的、科学的な関係を断ち切り、この許しがたい殺人的共謀から手を引くよう求める」と呼びかけた。

 

 ゼネストを呼びかけたUSBは、「2年間にわたるガザ封鎖とパレスチナ人に対するジェノサイドが続く中、グローバル・スムード船団への新たな激しい攻撃が開始された。複数の船舶が損傷を受け、任務は危機に瀕している。イスラエルは、国際水域における人道支援活動を、いかなる処罰も受けることなく、あらゆる規範を無視し、容認できない残虐行為で攻撃している。船舶はイタリア、イギリス、ポーランドの国旗を掲げており、これは事実上、わが国に対する本格的な戦争行為だ」と宣言。「イタリア政府は口ごもり、何の行動も起こせず沈黙している」と非難し、26日からイタリア全都市の主要広場に恒久的な野営地を設置することを決定し、「イタリアをパレスチナのための偉大な広場にしよう」と呼びかけている。イタリア政府に圧力を掛けるためのゼネストは10月4日にも予定されている。

 

 全国的規模の運動はメローニ首相を動かすことになり、23日晩、メローニ首相はイスラエルの人質全員の解放とハマスが政権に入らないことを条件にパレスチナ国家を承認することを明らかにした。

 

 最近の世論調査によると、イタリア人の64%がガザの人道的状況を「非常に深刻」と考えており、42%がイタリアがパレスチナ国家を承認することを望んでいる。

 

ドイツ 10万人が武器供与する独政府非難

 

9月27日、ベルリン中心部のブランデンブルク門近くで、「私たちと一緒にレッドラインを引こう!ガザのために共に!」というスローガンを掲げたデモ参加者たち

 ドイツでは27日、首都ベルリンで約10万人の市民がイスラエルの蛮行に対する抗議の集会とデモ行進がおこなわれた。「ガザに注目、大量虐殺を止めよう」と題する行動は、ベルリンでおこなわれたガザ地区に関するデモとしては過去最大規模となった。「ホロコーストの償い」と称して国是としてイスラエルを軍事支援し続けてきたドイツ政府は、市民がパレスチナ連帯を主張するだけで逮捕・制裁する強硬措置をとってきただけに、大規模デモは異例の事態といえる。

 

 デモ参加者は「パレスチナを解放せよ」などのスローガンを叫びながら、「ガザでの大量虐殺を止めろ」「二度とくり返さない」「パレスチナに自由を」と書かれたポスターを掲げた。デモではイスラエルとハマスとの戦争の終結を求め、ガザで悪化する人道危機の終結、そして歴史的な「ドイツの共謀」の終結を要求した。また、ドイツ政府によるイスラエルへの武器輸出の停止とともに、EU政府にはイスラエルに制裁を科すよう求めた。デモ参加者を監視するために約1800人の警察官が配置された。

 

 抗議行動は、親パレスチナ団体、メディコ・インターナショナル、アムネスティ・インターナショナル、野党左翼党を含む約50団体の幅広い連合が呼び掛けた。主催者は声明のなかで、ガザでは今もなお民間人が毎日のように無差別に殺害されており、そのなかには多くの子どもたちも含まれており、深刻な飢餓状況がまん延しているにもかかわらず、イスラエルは自主的な人道支援や物資の供給を阻止し、ガザ地区のほぼ全住民が避難を強いられていると指摘している。

 

 そして、「イスラエル政府の行動は、専門家や国際機関から長年ジェノサイドとみなされており、国際司法裁判所もジェノサイドとして捜査している。イスラエル軍がガザでおこなっている大量虐殺は誰もが認識しているにもかかわらず、ドイツ政府は組織的な暴力行為を否定している」「私たちはドイツの共謀に終止符を打ち、いわゆる“国家理性”に抗議して街頭に立つことを求める!」と訴えている。

 

 また、ドイツ連邦政府と連邦議会に対し、イスラエルに対する武器、弾薬、その他の軍事物資の輸出入、輸送を含むあらゆる軍事協力を停止すること、数十年にわたる避難とパレスチナ領土の不法占領の終結に向けて活動すること、認められた人道原則に沿って人道援助の円滑なアクセスを確保するとともに、ガザ地区における即時かつ恒久的な停戦を実現するために、あらゆる利用可能な手段を活用することなどを求めている。

 

 加えて、「ドイツにおける表現の自由、集会の自由、そして学問の自由の権利を守ること。パレスチナ連帯運動による正当な抗議活動と表現の自由への弾圧を終わらせること」を要求している。

 

ベルリンでは「パレスチナを解放せよ」「食料と水は人権だ」と書かれた横断幕を振って行進した(9月27日)

 左翼党のイネス・シュヴェルトナー党首は群衆に向かって演説し、ガザでの大量虐殺とドイツ政府の共謀について、「メルツ首相と大臣たちは口ではいうものの、行動は起こさない。病院が瓦礫と化しているにもかかわらず、“国家理性”を語る。彼らはジェノサイドについて沈黙を守り、共犯者となっている」と批判した。

 

 23日に発表された新たな世論調査によると、ドイツ国内の有権者の62%がイスラエルのガザでの行動はジェノサイドに当ると考えていることが示された。親イスラエルの政策をとり続けてきた右派政権に対し、ドイツ国内では姿勢を見直すよう求める全国民的圧力が高まっている。

 

 また、英国に本社を置くデータ分析会社「YouGov」が実施した世論調査では、メルツ首相率いる保守派キリスト教民主・社会同盟の有権者の60%が、イスラエルの軍事作戦をパレスチナ人に対するジェノサイドと見なしていることが明らかになった。

 

 こうした国内世論の変化は、イスラエルにとってもっとも強力な支持国の一つであったドイツ政府の姿勢にも大きな圧力となっており、メルツ首相とワデフル外相は、最近になってイスラエルのガザに対する軍事攻撃と人道支援の封鎖に対する批判を強めている。8月には、イスラエルがガザ攻撃をさらに強める「制圧計画」を発表し、攻撃を開始したことを受け、メルツ首相はガザで使用される可能性のある軍事装備のイスラエルへの輸出について「追って通告があるまで」承認しないことを決めた。

 

スペイン イスラエルに制裁を!

 

 スペインでも26日、国内でもっとも重要な映画祭の一つであるサン・セバスティアン国際映画祭で、ガザ地区でのパレスチナ人少女の死に関するドキュメンタリー「ヒンド・ラジャブの声」が上映され、10分間のスタンディングオベーションが起きた。また、映画祭に合わせてバスク州のパレスチナ人コミュニティがガザでのジェノサイドに抗議するデモを呼びかけ、数千人の市民が参加した。

 

 サン・セバスティアンでおこなわれたデモの抗議者は、パレスチナ国旗を掲げ、バスク語と英語で「ジェノサイドを止めよう。パレスチナと共に映画を」と書かれた横断幕を掲げた。人々は「これは戦争ではない、これは大量虐殺だ」や「イスラエルをボイコットせよ」などのスローガンを叫んだ。

 

 スペインでは、6月に実施された調査でスペイン人の80%以上がイスラエルによるジェノサイドを非難している。スペインはヨーロッパでもっともイスラエルを厳しく批判する国の一つであり、昨年パレスチナの国家承認をおこなっている。

 

 サンチェス首相はイスラエルに対する全面的な武器禁輸、イスラエル軍向けの燃料輸送のための港湾利用禁止、イスラエルへの軍需物資を運ぶ航空機の領空通過を禁止などの制裁を布告しており、イスラエルのガザ戦争について初めて「ジェノサイド」という言葉を使って厳しく非難している。

 

アメリカ 国連総会にあわせ行動

 

ニューヨークでは国連総会でネタニヤフ首相の演説に抗議するデモ(9月26日)

 国連総会がおこなわれているニューヨークでは9月26日、イスラエルのネタニヤフ首相による演説に合わせて、数千人もの人々が大規模な抗議デモをおこなった。抗議者たちは、アメリカがイスラエルを支援し続けていることについても激しく非難した。デモ参加者は、「パレスチナを解放せよ」「今すぐ武器禁輸を」「ネタニヤフは隠れることはできない」「われわれはジェノサイドの罪で告発する」と叫んだ。さまざまなメッセージを記したプラカードが掲げられるなか、手錠をかけられた巨大なネタニヤフの像が大きなインパクトを与えた。他にも、パレスチナ人への支持を声高に表明してきたコロンビアとアイルランドの国旗を掲げる者もいた。

 

 米国内では同日、デトロイト、ミルウォーキー、ツーソン、セントポール、ジャクソンビルなどの各都市でも抗議行動がおこなわれた。

 

 ニューヨークでの抗議行動を呼びかけたパレスチナ青年運動の活動家は「パレスチナの人々の利益は、アメリカの労働者の利益と一体であることがこれまでも明らかになった。私たちの税金が、イスラエルの兵器開発に何十億㌦も使われるのではなく、インフラ、教育、医療、そして子どもたちのために使われることを望む」とのべている。

 

 また、全米自動車労組の組合員は「世界中の労働者階級として、私たちの運命は一つに繋がっている。ヨーロッパの労働者が港湾封鎖を警告し、労働者の力を目の当たりにしている。だからこそ職場で組織化し、同僚とともにジェノサイドを阻止しなければならない」と買ったっている。

 

 何千人ものデモ隊が国連本部近くの公園に到着すると、国連総会でイスラエルのガザでの行動を痛烈に非難したコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領がデモに合流した。

 

 ペトロ大統領は「ガザで起こっていることはジェノサイドだ。他にいいようがない。これはパレスチナの人々を根絶しようとする試みに他ならない」と厳しく指摘した。また、最近米国が国連安保理でガザの恒久的な停戦を求める決議に対して6度目の拒否権を発動したことに触れ、「外交は終わった」と批判した。そして、「外交が終われば、闘争の次の段階に進まなければならないということを人類の歴史は数千年にわたって示してきた」とのべ、自身がおこなった国連総会での演説同様、パレスチナ解放を最初の任務とする「国際軍」結成の必要性を訴えた。また、ペトロ大統領は米軍や米国民に対し、トランプ大統領の命令に従わないよう呼びかけた。米国は、ペトロ大統領のビザの取り消しを発表している。

 

 今月初め、ニューヨーク市長選の民主党候補であるゾーラン・マムダニ氏は、ネタニヤフ首相に対する国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状を執行すると約束している。米国内で「ネタニヤフを逮捕せよ」という世論が高まるなか、デモの参加者からは「ネタニヤフは文字通り指名手配犯だ。彼は新市長の下で、今後ニューヨークに足を踏み入れ次第、逮捕しなければならない」との声もあった。

 

オーストラリア ガザへ医療支援拡充を

 

「ミサイルではなく薬を送れ!」と抗議するメルボルンの医療従事者たち(9月13日)

 今回の国連総会でパレスチナの国家承認を表明したオーストラリア国内でも、8月から9月にかけて各地で活発な抗議行動がくり広げられてきた。

 

 8月24日には、オーストラリア全土で40件以上の抗議活動がおこなわれ、全国で35万人が集会に参加した。シドニー、ブリスベン、メルボルンでは数万人の参加者があった。

 

 9月13日には、イスラエルのジェノサイドに対してメルボルンの医療従事者たちが抗議行動に参加し、イスラエルによる医療施設への攻撃に抗議するとともに、ガザにおける医療支援の拡充を訴えた。参加者たちは「ミサイルではなく薬を」「パレスチナの医療は標的ではない」「看護師と助産師は拷問に反対する」「ガザの飢餓を止めよう」などのプラカードを手に抗議の声をあげた。メルボルンでは毎週抗議行動を継続しておこなっており、14日におこなわれた100回目の抗議行動には1000人が参加した。

 

 オーストラリアのユダヤ人コミュニティの間でもイスラエルに対する抗議行動が広がっている。「パレスチナのためのユダヤ人」西オーストラリア支部も9月12日、米国領事館前で緊急抗議活動をおこない、イスラエルがガザ地区の建物を一つ残らず組織的に破壊することを許した米国の役割に抗議した。抗議活動参加者は制裁措置と、イスラエルとパレスチナ間の武器取引の停止を求めた。「占領反対ユダヤ人連盟」も7日、ボンダイビーチでガザ連帯イベントを開催している。

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。