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対イラン有志連合への参加打診 米国に引きずり込まれるな

 米トランプ政府が「ホルムズ海峡などを航行する民間船舶の護衛」を掲げて、同盟国と有志連合の結成を目指す方針を明らかにした。有志連合は「国連安全保障理事会の決議がない」など、国際的な評価が割れているときでも強引に軍事攻撃へ踏み切るための軍事同盟で、過去にはアフガニスタンへの対テロ戦争やイラク戦争の前例がある。この有志連合に米国側は日本の参加を要求しており、今後数週間で参加国を決定する動きを見せている。

 

 米制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は9日、「ホルムズ海峡とバブルマンデブ海峡での航行の自由を確保する」ため、有志連合結成に向け複数国と調整に入ったと表明した。だがその内容は米海軍が指揮統制のための艦船を派遣し情報・監視・偵察活動を主導する方向で、参加国の最大任務は米艦戦の指揮に基づく作戦の実行や米軍艦船の防護となる模様だ。

 

 民間船舶の安全確保や海域の警備を掲げて、米軍主導の有志連合が中東における海上交通の要衝を支配下に収めていく意図がにじみ出ている。ダンフォード統合参謀本部議長は「2週間後にはどの国が今回の構想を支持する意思があるかが明確になる」とし、どの国の軍隊がどのような役割を果たすかは関係国と直接協議するとのべている。

 

 他方、日本の野上浩太郎官房副長官は11日の記者会見で有志連合結成の動きについて「イラン情勢をめぐり日米間で緊密にやりとりをしているところだが、詳細は控えたい」とのべ、具体的内容の公表は避けた。そして「ホルムズ海峡における航行の安全を確保することはわが国のエネルギー安全保障上、死活的に重要であり、国際社会の平和と繁栄にとっても極めて重要だ」「米国をはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、引き続き中東の緊張緩和に向け、できる限りの役割を果たしていきたい」と語った。日本側は打診内容の詳細を国民に知らせぬまま「役割を果たす」検討に入っている。

 

 今回の有志連合結成の動きは、6月13日にイラン沖で起きた「日本のタンカーを含む2隻への攻撃」が直接のきっかけとなった。ポンペオ米国務長官が事件直後から「イランは以前からホルムズ海峡の原油輸送を阻害すると示唆していた。イランに責任がある」と表明したのを皮切りに、米国側は「イラン革命防衛隊がタンカーに機雷を仕掛けて爆破させた」と敵愾(がい)心を煽り続けた。イラン革命防衛隊がタンカーから不発機雷を除去する動画や写真も公開した。

 

 だが、どの映像も不鮮明で「証拠」になり得ず、イラン側は「米国の根拠のない主張をイランとして断固否定し、もっとも強い言葉で非難する」と全面否定した。米国の主張はイスラエルなどイランと対立する一部の国が支持したのみで、ドイツやフランスも同調しなかった。

 

 それでもシャナハン米国防長官代行が6月17日、イラン軍の「敵対的態度」に対抗して中東に1000人増派する声明を発表した。トランプ政府は5月にも中東へ1500人追加派遣すると明らかにしており、合計で2500人増派する動きとなった。

 

自衛隊派遣を執拗に要求

 

 こうしたなか米国が強力に主張したのは、日本に対する兵員派遣要求だった。タンカー事件後、ポンペオ米国務長官はホルムズ海峡の安全確保で大きな恩恵を受けている国として日本や韓国をくり返し名指しした。原油輸入の中東依存度(2018年)は日本が88%、韓国が73%であることともかかわって「自国の経済に与える真の脅威を理解すべきだ」と強調した。

 

 そしてトランプ大統領は6月24日、ツイッターに「中国や日本、他の国国もホルムズ海峡を通って石油を得ている」という内容を投稿し、「なぜ、われわれがほかの国国のために報酬も得られないのにこの輸送路を守るのか。すべての国国は自国の船を自分で守るべきだ」と書きこんだ。そしてホルムズ海峡だけでなくイエメン沖のバベルマンデブ海峡も有志連合の守備範囲に含めた。

 

 中東地域をめぐってトランプ政府は、昨年4月のシリアへの空爆、一方的な核合意離脱に続くイランへの経済制裁発動、イスラエルの主張にそったエルサレムの首都認定、ゴラン高原をめぐって「イスラエルに主権がある」という宣言への署名など中東諸国への攻撃・干渉・挑発をエスカレートさせてきた。5月には原子力空母を派遣しイランに恫喝を加えた。こうして軍事緊張を煽るだけ煽って「自国の船は自国で守るべきだ」という論法で兵員派遣を執拗に迫り、日本を戦争に引きずり込むというのが米国の軍事戦略である。

 

 過去に結成している有志連合では、2001年の米同時多発テロ事件後のアフガニスタン戦争、「大量破壊兵器を保有している」という口実で開始した2003年のイラク戦争がある。アフガニスタン戦争のとき米国は、武力行使を容認する安保理決議を得られず、米仏独など30カ国で有志連合をつくり開戦に踏み切った。このとき日本は時限立法であるテロ特措法を作って有志連合軍に給油活動を実施し、海上自衛隊が軍事作戦を実行する前例をつくった。イラク戦争時も安保理常任理事国内で武力行使への批判が出て、米英軍が約30カ国と武力行使に踏み切った。日本は時限立法であるイラク特措法をつくって陸上自衛隊をイラクに派遣している。

 

 そして2015年には、テロ特措法やイラク特措法の内容を恒久化し集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法を成立させた。このとき新任務で追加したのが「国際連携平和安全活動」で「PKOに類する国際的な活動であれば、PKO以外にも自衛隊による海外での支援活動を可能にする」と規定している。それは国際社会が認めていない米軍主導の「多国籍軍」や「有志連合」の行動にも自衛隊派遣を認める内容である。

 

 すでに安倍政府は今年4月、国連が統括しない多国籍軍監視団(MFO)に初めて陸自隊員を2人派遣し前例をつくっているが、今回、米国は有志連合への本格的な参加を要求している。それは日本を戦争に引きずり込むことにつながる極めて危険な内容をはらんでいる。

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この記事へのコメント

  1. アラキヒデオ says:

    有志連合に自衛隊派遣されるだろう が武器使用しないで参加すればよい 手ぶらで行けばよい 世界は笑うだろうが関心もする 古式戦法は武器を必要としないのが流儀だ

アラキヒデオ にコメントする コメントをキャンセル

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